69 / 82
第六十七話 錬金術
しおりを挟む
学園に入学して、同じクララではホクト、サクヤ、フランソワの成績上位三人で、同じ授業を受ける事が多くなり、自然と一緒にいる時間も多くなると仲良くもなった。
召喚術と錬金術の授業も三人で受けている。
この調子で行けば、二学年に上がる頃には、三学年と一緒に、錬金術と召喚術の授業を受ける事が出来るだろう。
今日はシェスター教授の研究室で、ホクト達三人が錬金術の授業を受けていた。
「先ずは、ホクト君達の魔法属性ですが、ホクト君とサクヤさんは、土属性と水属性が使えるのは分かっています。フランソワ様は土属性の適性はありませんでしたよね」
「はい、私は風属性と水属性のダブルです」
「なるほど、では、錬金術は特別に必要な属性はありませんが、土属性と水属性があると有利ではあります。欲を言えば光属性の適性があれば申し分ないですね。
錬金術の基本は、分解と合成です。
これを魔法陣を使用して行うのが錬成と言います。
例えば合成の場合、魔法陣には、合成する素材となるモノの割合と使用する魔力量、触媒が必要な場合はその量と合成するタイミングを魔法文字と記号で描く必要があります。
これが分解の場合は、素材の分解と、種類ごとの結合ですから、比較的シンプルな魔法陣で済みます。
ポーション類を錬金術を使って作成する場合もレシピを魔法陣に描き込み錬成します」
シェスター教授の研究室で座学が続く。
錬金術は、鉱石の精錬や合金の製造にもちいられている技術だ。鍛治でも鉄やその他鉱石の精錬はされているが、新しい合金の研究には錬金術をもちいる事が多い。
ポーション製造についても、薬師の手作業によるポーション作成とは別に、錬金術では複雑で繊細な調合が可能になる為、錬金術でしか調合出来ない薬も存在する。
「錬金術は生活に役立つ技術として確立されています。例えば、岩塩から不純物を取り除いたり、我が国には海はありませんが、海水から塩を取り出したりと、他にも色々とあります」
シェスター教授の説明は分かりやすく、鍛治師と錬金術師の違いなども教えてくれた。
鉱石の精錬についても、錬金術師が精錬する場合、金属への知識が精錬された後の品質に影響してくる。
例えば、鉄に関して言えば、鉄以外のニッケルやマンガンその他の不純物についての知識が圧倒的にない。当然、熱による分子構造の変化なども知られていないので、一般的に錬金術師の精錬するインゴットは、そのまま武器や防具には使えないというのがこの世界の常識だったりする。
鋼鉄の炭素量など鍛治師の経験でしかない。さらに焼入れからの急冷によるマルテンサイト組織への変質など、この世界の鍛治師でも知る者は少ない。
この世界の剣は鋳造の剣が多く、鍛造で剣を打つのはドワーフの職人くらいのものだ。
「あと、ドールマスターが使うオートマトンに使われる素材を創るのも錬金術師の仕事ですね」
ドールマスターとは、オートマトンという人形を操り戦わせる職業で、オートマトンは錬金術師と鍛治師の技術の結晶だと言える。
「錬金術はある意味、様々な新素材の開発だと言えるでしょう。薬師や鍛治師にも使える技術ですから、研究職以外の人達の方が多いのですけどね」
実際、錬金術師で研究で食べていける者は少数で、その他大勢は食べるために薬師となったり、鍛治師と組んで仕事をする者がほとんどだ。
「研究職につく錬金術師で、最高峰に居る術師の仕事として、アーティフェクトの解析がありますが、残念ながらまともな成果が出ているとは言い難いですね。これは私を含め、力不足を実感しています」
ダンジョンから稀に見つかる貴重な宝箱。そこから低確率で神器と呼ばれるアーティフェクトが見つかる事がある。ロマリア王国の国宝として保存されているアーティフェクトの数は、片手の数も無いのが現状だった。
サクヤが鉱物迷宮で手に入れた、アブソリュートガーディアンは、神器まではいかないが、アーティフェクトには違いない。
そこで鐘が鳴り響く。
「おっ、時間ですね。今日の授業はここまでです。ホクト君達は優秀ですから、思いのほか実技に移るのが早くなりそうですね。
では、また次の授業で会いましょう」
「「「ありがとうございます」」」
ホクト達は、シェスター教授に礼をすると、あとかたづけをして研究室を退出する。
実はホクトは独学で錬金術をすでに実践していた。ガンツと武器を造る際に、インゴットを精錬するのは、ホクトの錬金術が主に使われていた。
ただ、ホクトにとっても金属以外の素材研究に、色々と考える事がありそうだ。
召喚術と錬金術の授業も三人で受けている。
この調子で行けば、二学年に上がる頃には、三学年と一緒に、錬金術と召喚術の授業を受ける事が出来るだろう。
今日はシェスター教授の研究室で、ホクト達三人が錬金術の授業を受けていた。
「先ずは、ホクト君達の魔法属性ですが、ホクト君とサクヤさんは、土属性と水属性が使えるのは分かっています。フランソワ様は土属性の適性はありませんでしたよね」
「はい、私は風属性と水属性のダブルです」
「なるほど、では、錬金術は特別に必要な属性はありませんが、土属性と水属性があると有利ではあります。欲を言えば光属性の適性があれば申し分ないですね。
錬金術の基本は、分解と合成です。
これを魔法陣を使用して行うのが錬成と言います。
例えば合成の場合、魔法陣には、合成する素材となるモノの割合と使用する魔力量、触媒が必要な場合はその量と合成するタイミングを魔法文字と記号で描く必要があります。
これが分解の場合は、素材の分解と、種類ごとの結合ですから、比較的シンプルな魔法陣で済みます。
ポーション類を錬金術を使って作成する場合もレシピを魔法陣に描き込み錬成します」
シェスター教授の研究室で座学が続く。
錬金術は、鉱石の精錬や合金の製造にもちいられている技術だ。鍛治でも鉄やその他鉱石の精錬はされているが、新しい合金の研究には錬金術をもちいる事が多い。
ポーション製造についても、薬師の手作業によるポーション作成とは別に、錬金術では複雑で繊細な調合が可能になる為、錬金術でしか調合出来ない薬も存在する。
「錬金術は生活に役立つ技術として確立されています。例えば、岩塩から不純物を取り除いたり、我が国には海はありませんが、海水から塩を取り出したりと、他にも色々とあります」
シェスター教授の説明は分かりやすく、鍛治師と錬金術師の違いなども教えてくれた。
鉱石の精錬についても、錬金術師が精錬する場合、金属への知識が精錬された後の品質に影響してくる。
例えば、鉄に関して言えば、鉄以外のニッケルやマンガンその他の不純物についての知識が圧倒的にない。当然、熱による分子構造の変化なども知られていないので、一般的に錬金術師の精錬するインゴットは、そのまま武器や防具には使えないというのがこの世界の常識だったりする。
鋼鉄の炭素量など鍛治師の経験でしかない。さらに焼入れからの急冷によるマルテンサイト組織への変質など、この世界の鍛治師でも知る者は少ない。
この世界の剣は鋳造の剣が多く、鍛造で剣を打つのはドワーフの職人くらいのものだ。
「あと、ドールマスターが使うオートマトンに使われる素材を創るのも錬金術師の仕事ですね」
ドールマスターとは、オートマトンという人形を操り戦わせる職業で、オートマトンは錬金術師と鍛治師の技術の結晶だと言える。
「錬金術はある意味、様々な新素材の開発だと言えるでしょう。薬師や鍛治師にも使える技術ですから、研究職以外の人達の方が多いのですけどね」
実際、錬金術師で研究で食べていける者は少数で、その他大勢は食べるために薬師となったり、鍛治師と組んで仕事をする者がほとんどだ。
「研究職につく錬金術師で、最高峰に居る術師の仕事として、アーティフェクトの解析がありますが、残念ながらまともな成果が出ているとは言い難いですね。これは私を含め、力不足を実感しています」
ダンジョンから稀に見つかる貴重な宝箱。そこから低確率で神器と呼ばれるアーティフェクトが見つかる事がある。ロマリア王国の国宝として保存されているアーティフェクトの数は、片手の数も無いのが現状だった。
サクヤが鉱物迷宮で手に入れた、アブソリュートガーディアンは、神器まではいかないが、アーティフェクトには違いない。
そこで鐘が鳴り響く。
「おっ、時間ですね。今日の授業はここまでです。ホクト君達は優秀ですから、思いのほか実技に移るのが早くなりそうですね。
では、また次の授業で会いましょう」
「「「ありがとうございます」」」
ホクト達は、シェスター教授に礼をすると、あとかたづけをして研究室を退出する。
実はホクトは独学で錬金術をすでに実践していた。ガンツと武器を造る際に、インゴットを精錬するのは、ホクトの錬金術が主に使われていた。
ただ、ホクトにとっても金属以外の素材研究に、色々と考える事がありそうだ。
20
あなたにおすすめの小説
過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる