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5巻
5-1
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ひょんな事から世界樹の種を手に入れた僕、タクミ。
種から芽吹いた樹――精霊樹を軽い気持ちで育ててみたんだけど、ちょっと凄い聖域が生まれてしまった。
清浄な空気に包まれ、希少な植物が育つ、まるでこの世の天国のような空間。そんな場所だから、エルフとかドワーフとか色んな種族が続々移住してくるし、大精霊まで集結してしまって……
いやそんな事より、大陸の国々の勢力バランスが崩れてしまったみたいで、だいぶややこしい事態になってしまった。僕、チクチク生産活動に専念したいと思っていただけなのにな。
ともかくそんなこんなで、聖域は大注目の的に。それでバーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国の三ヶ国の代表者が聖域を視察する事になった。
もちろん僕は隠れてるつもりだったんだけど、あろう事か、水を司る大精霊のウィンディーネが僕の事をバラしてしまった。
それどころか「精霊樹の防人」「精霊樹の管理者」「聖域の守護者」とか大げさに僕の事を紹介するものだから、それはそれは面倒な事になってしまって……
1 大精霊を説教する
視察団が帰った次の日、僕はウィンディーネに抗議した。
「ひどいよ、ウィンディーネ! 僕の事が各国に知られちゃったじゃないか!」
「あら、元からバーキラ王国の人達はタクミの事を知ってたんでしょう? なら、黙っていても他の国に知られるのは時間の問題だったんじゃない?」
僕が必死に訴えているというのに、ウィンディーネはどこ吹く風だ。
確かにウィンディーネの言うように遅かれ早かれバレたとは思う。僕の屋敷が聖域中心部の一等地にあるんだから、まあバレバレだよね。
けれど、いきなり各国のお偉いさんと対面させるのは勘弁してほしい。おかげでロマリア王には顔を覚えられたし、ユグル王国の宰相なんかは僕の事を睨んでいた。
宰相が睨んでいたのはきっと、ウィンディーネが僕の事を「精霊樹の守護者」とか言ったのが、気に食わなかったんだろうな。エルフを差し置いて、って感じなんだと思う。
「はぁ、ウィンディーネやシルフはまだしも、ドリュアスには止めてほしかったよ」
大精霊の中でも常識人(?)な、木の大精霊ドリュアスには、ウィンディーネ達にブレーキをかけてほしかったけど……
ドリュアスがさらりと言う。
「そうねぇ、今後タクミは、聖域以外じゃ不自由を強いられるようになるかもね」
「ボルトンの街に戻ったら、わずらわしい事になってるでしょうね。でも、聖域にいるなら問題ないでしょ」
ウィンディーネが言うように、ちょっと面倒な事になってると思う。きっと、ボルトンにある僕の屋敷には、商人や貴族の使者が大量に押し寄せているんじゃないかな。
僕はつい最近、襲撃者に狙われたばかりなのに……ここに来て、また狙われる原因を作ってしまった気がする。
あの騒動以来みんな警戒していて、ボルトンの街を歩く時はもちろん、安全なはずの聖域を歩く時でもエルフのソフィアが僕の側を離れなくなったんだ。アラクネというレアな魔物のカエデも糸の結界を張り巡らせているし、僕が作ったゴーレムのタイタンは亜空間で常に待機している。
そんなみんなの配慮を申し訳なく思いつつ、僕はため息をつく。
「はぁ~、しばらくボルトンの街に行くのは控えるよ」
「じゃあ、ちょうどいいじゃない。タクミは聖域でやる事があるんだから。タクミには、住居建設や設備の充実もお願いしたいのよ」
「……え、その前に、以前設置した浄化の魔導具や浄化機能付き便座の資金とかは、完全に僕の持ち出しなんだけど」
勝手な事ばかり言うウィンディーネに再び抗議すると、今度は風の大精霊のシルフがさも当然のように言ってくる。
「ケチ臭い事言わないの。タクミはお金いっぱい持ってるんでしょ」
僕が大精霊達に抗議しても暖簾に腕押し、糠に釘でぜんぜん響かないよ。僕を気の毒に思ったのか、ドリュアスが優しげな笑みを浮かべて告げる。
「まあまあ、タクミちゃん。その代わりと言ってはなんだけど、私がタクミちゃんの欲しかった物をあげるわ」
「欲しかった物?」
「そう、お米ってたぶんこれよね」
ドリュアスの手から現れたのは、一束の実った稲穂だった。
「あぁ!! お米だ!!」
思わず僕は、大きな声を出してしまう。
僕は、お米が手に入らないかとずっと願っていて、パペック商会を通してサマンドールから輸入してもらうようにはしていたんだけど、聖域とかで忙しすぎてすっかり忘れていたのだ。
「これで合ってたのね。このお米と大豆も欲しがってたでしょう。それと麹だったかしら。味噌と醤油? を作るのに必要なのよね。私の力なら発酵食品の製造も簡単よ」
「ははぁ~、ドリュアス様! 馬車馬のように働かせていただきます!」
念願のお米だけでなく醤油や味噌まで作ってくれると分かって、僕のテンションは限界突破だ。思わずドリュアスにひれ伏してしまった。一応、錬金術の「発酵」で醤油や味噌は作れるし、実際に作った事はあるんだけど、錬金術製のそれらはどうも味気なくて……
ドリュアスが発酵まで司るとは知らなかったよ。ドワーフ達が酒作りに夢中になっていた時に、ドリュアスはノータッチだったから、酵母は守備範囲じゃないと思ってた。
この聖域の食品関連で、ドリュアスが果たしている役割はとても大きい。果樹園に始まり、希少な薬草、麦や野菜など、彼女なしでは成り立たない。畑の土や水はノームやウィンディーネも関わってくるし、光と闇のセレネーとニュクスの力も関係しているから、一概にドリュアスだけの力ってわけではないんだけど、それでもドリュアス様々だ。もう、ドリュアスには逆らえないかもしれないな。
「ふふっ、作業するエルフも増えているし、きっと栽培出来ると思うわ。お米と大豆は任せておいて」
「ありがとう、ドリュアス」
「じゃあ、解散ね」
ウィンディーネとシルフはこれで問題は解決したとばかり、話を切り上げて出ていった。ドリュアスに乗せられて、色々とうやむやにされてしまった気がするけど――
「まぁ、お米と醤油や味噌が作れる目処が立ったし、結果オーライかな」
僕がそう呟くと、僕の側でずっと控えていたソフィアが不思議そうに聞いてくる。
「そんなにお米と醤油と味噌とやらは美味しいのですか?」
どうやら珍しくはしゃいでいる僕を見て、戸惑っているらしい。
「僕にとっては、ソウルフードなんだ」
「あぁ、なるほど、そうなんですね」
適当に言ってみたら何だか納得してもらえた。エルフにもソウルフードって考え方があるのかもしれないね。
まあ、それはさておき、僕のソウルフードである日本食を食べられる環境は、すでに着々と出来つつあった。
聖域の人魚達が昆布(たぶん昆布だと思う)やイワシ(味もイワシに似ている)を採ってくれるようになっている。そんなわけで、味噌汁の出汁の問題はすでにクリア済みだ。
昆布もイワシも、それっぽい見た目と味だから僕はそう呼んでいるけど、この世界の人は昆布なんて食べないし、イワシのような小さな魚は肥料くらいにしか利用していない。元日本人の僕からしたら本当に信じられないよ。
ウィンディーネとシルフにはちゃんと抗議出来なかったけど、近いうちに日本食が食べられるようになりそうだし、まぁいいや。
2 タクミ、満面の笑みを浮かべる
この世界にも四季はある。
今の季節は春の走り。聖域にある僕の屋敷の庭では、一本の立派な桜の木が薄桃色の花を咲かせていた。これはドリュアスにお願いして、日本の桜の木を生やしてもらったのだ。
ハラハラと散る花びらに狙いをつけ、僕達は槍を繰り出す。
早朝のこの鍛錬に参加しているのは、僕、ソフィア、メイドのマリアと兎人族のマーニ、そして狐人族のレーヴァ。あとは召喚された勇者だったんだけど僕らと合流したアカネと、その従者で猫人族の女の子のルルちゃんだ。
不規則に揺れる小さな的目掛けて、正確に振るわれる槍。そのたびに、小さな花びらが二つに分かれた。
「えい!」
「ほにゃ! にゃにゃ!」
ケットシーのミリ、ララ姉妹が棒切れを槍に見立てて、僕達の真似をして振り回している。
真似しているのは他にもいて、猫人族の兄妹であるワッパとサラ、人族の姉妹であるコレットとシロナも参加していた。
朝の訓練のあと、僕はソフィアに話しかける。
「本当にドリュアス様々だな。まさか季節関係なく稲が育つなんて」
「水を張っているから、水田というのですね」
そう、僕達の目の前には水田が広がっていた。
昨日の今日だというのに、すでに田んぼは完成した。聖域の東側一帯に、ドリュアス、ノーム、ウィンディーネの力を借りて水田地帯を作り上げたのだ。
作業は次のようにして行われた。
まず僕が地面を魔法で耕して平らにならし、形を田んぼに整える。土は、ノームが米が育つのに適したものへ調整してくれた。そこにウィンディーネが水を張ると、続いて僕は水路を張り巡らせて川と繋ぐ。それからドリュアスが育苗した苗を、みんなで植えていった。
田植えには僕達だけでなく、ケットシーの家族であるマッボ、ポポロ、ミリ、ララに、猫人族の兄妹ワッパとサラ、人族の姉妹コレットとシロナ、エルフの親娘メルティー、メラニー、マロニー、あとドワーフのドガンボさんとゴランさんまで参加してくれた。
ドワーフまで田植えにノリノリだったのを疑問に思って、ドガンボさんとゴランさんに聞いてみたら――
「米でも酒が作れると聞いてな。なら手伝わん手はないじゃろう」
「米の酒とはどんな味かのう。楽しみじゃ」
聞かなきゃ良かった。
ともかくそんな経緯があって、青々とした水田が出来た。
この水田が黄金色に輝くまでには、たった十日しかかからないらしい。というのも、ドリュアスが短縮してくれたみたいなのだ。これは毎回なわけじゃなくて、初夏の田植えからは自然に任せると言っていた。
大豆畑も順調らしい。ドリュアスやノームに任せておけば、同じ作物を作り続ける事で土が弱ってしまう連作障害も関係ないという。これでいよいよ味噌と醤油作りが現実味を帯びてきた。まさかここまでスムーズに進むとは、僕はなんてラッキーなんだろう。
ちなみに味噌蔵と醤油蔵は建設中で、大型の樽は酒樽を流用する事にした。新しい調味料という事で、ドワーフ達やエルフ達も積極的に協力してくれている。
そうそう、調味料といえば、この聖域ではハーブ類を始め、唐辛子、胡椒、山椒などの香辛料が簡単に手に入る。
これらの物は本来希少品なので、聖域以外では調理といえば塩味が基本だ。それが聖域では誰でも手に入れられるのだから、みんなの舌が肥えてきている。塩と数種類のハーブしかなかった頃にはもう戻れないんじゃないかな。
こんな感じなので、僕が新たに調味料を作ると言ったら、聖域のみんなはこぞって協力してくれた。味噌、醤油以外だと、米酢は作っておきたいかな。ちなみにこの世界にはワインがあるので、ワインビネガーは元から存在してるみたい。
油は、この世界ではオリーブ油に似た物が使われている。聖域では、油作りにまで手が回らないので、当面は近隣から購入するしかない。人がもっと増えたら考えよう。
そして当然のように、ドガンボさんとゴランさん主導による日本酒醸造計画はすでに始動しているらしい……いやまだお米は出来ていないんだけどな。ともかく、これで聖域で作られるお酒の種類は、ワイン、ウイスキー、エールに続いて、四つ目になる。そのうち、サトウキビやサツマイモからも蒸留酒を作りそうだな。
まぁ、僕は飲めてもエールかワインくらいだし、お酒の味はあまり分からないから、任せてしまおう。ドガンボさん達が自由にしてくれたら、それでいいや。
何度考えても早すぎて違和感しかないんだけど、稲が実るまでに十日間しかないから、脱穀用の千歯扱きと、精米の魔導具も作っておく事にした。
千歯扱きは仕組みが簡単だからまだしも、精米機は難しそうだ。脱穀した米の籾殻を取り除き、風属性魔法で吹き飛ばし、さらに糠の除去までするのだ。試作品を何台か製作して、お米の収穫後にテストしながら完成まで持っていきたいな。
そんな風にして僕が嬉々として働きまくっているのを見て、みんな不思議そうだった。でも、日本食が食べられると思ったら、こればっかりは我慢出来なかったんだよね。
3 三ヶ国共同事業、始まる
タクミが稲穂の実りに一喜一憂している頃。
バーキラ王国、ロマリア王国、ユグル王国の三ヶ国による、聖域への窓口となる街作りが始まった。
三ヶ国から魔術師が大量に動員され、タクミが作った城塞都市ウェッジフォートから聖域への街道工事と、街の基礎工事が着々と進んでいる。
また、各国から派遣された騎士団が魔物を討伐していた。未開地には魔境が多いため、魔物が頻繁に出現するし、魔境以外の土地でも魔物が生息していないわけではない。
この三ヶ国合同事業は、経済を活性化させる意味合いもあった。公共事業で街一つ作るのだから大きなお金が動く。石材や木材などの建材は三ヶ国の商会が均等に受注し、労働者は三ヶ国中から集まってきていた。
すでに労働者達の集落が出来上がり、騎士団の駐屯所も完成している。テントや仮設小屋が立ち並ぶ、ちょっとした街といった様相だ。人が集まれば、商売のチャンスが生まれる。それを狙って、労働者や騎士に紛れて商人も多数集まっているようだった。
◇
「聖域とウェッジフォートを繋ぐ街道まで計画にあるなんて……」
「まぁまぁ、あの人達も必死なんだから仕方ないわよ。ユグル王国なんて、独自に自国からの街道を通すつもりよ」
僕が顔をしかめながら言うと、ウィンディーネは意外にも三ヶ国側に理解を示していた。
でも、視察団が帰ってからわずかな日数しか経っていないのに、これだけの人員を動員するのは、ちょっとやりすぎだよね。
すでに街道と街の城壁となる高い壁が、土属性魔法によって急ピッチで作られていた。僕はそんな光景を見ながら呟く。
「土属性魔法を使う魔術師が大量に動員されてるね」
「ええ、でも属性魔法だけじゃないわ。エルフの精霊魔法が発動されているようだから、その使い手もいるようね」
「ユグル王国には、土属性や風属性の精霊魔法が得意な魔術師団がありますから」
ウィンディーネに続いて、ソフィアが色々と教えてくれた。
実際、精霊魔法は凄い威力だった。それは僕でも見ていてよく分かる。
そもそも魔力の効率と威力でいえば、属性魔法と精霊魔法じゃ勝負にならない。属性魔法だって威力が出せるけど、精霊魔法と同じ威力にしようとすると圧倒的に効率が悪いのだ。僕がウェッジフォートの街を作る時、魔力を湯水の如く使っていたのがバカバカしくなるよ。
僕が精霊魔法の凄さに呆れていると、ソフィアが言う。
「タクミ様、ユグル王国には、土属性の適性がある者が少ないので、他の二国とバランスは取れていると思いますよ」
「そうか、ノームとサラマンダーは、エルフよりもドワーフの方が相性がいいものね」
精霊魔法の使い手が多いからといって、ユグルだけが恵まれているというわけでもないらしい。
それはさておき建設中の街だが、作られている位置はウェッジフォートと聖域の中間地点ではない。聖域の方に近く、歩いて半日程度の距離だったりする。
いや、ちょっと近すぎないかな。
「ねぇウィンディーネ、聖域にも高い壁を作った方がいいかな?」
「う~ん、周りを壁で覆うのは賛成ね。ここからが聖域だ! と知らしめるためには有効だと思うわ」
「え、縄張りを主張するだけの役割って事?」
そこへシルフが割って入ってきて、おっかない事を言う。
「それはそうよ、結界があるんですもの。大精霊がいて精霊樹がある限り、この結界はエンシェントドラゴンでも抜けられないのよ。まぁ、エンシェントドラゴンは精霊に近い存在だから、私達と敵対する事はないけどね。むしろそのうち挨拶に来るかもよ」
エンシェントドラゴンって、海竜なんかとは格が違うと聞いた事がある。強さが別格なんだとか。シルフが自慢げに続ける。
「まぁ、エンシェントドラゴンにしても、私達に比べるとだいぶ落ちるけどね」
「……そういう問題じゃ」
「大丈夫よ。悪さするような子は今はいないから」
シルフにそう言われても全然安心出来ない僕に、ウィンディーネが大丈夫だと言ってくれた。でも、「今は」ってなんだよ。
「って事は、前は悪さする奴がいたの?」
「ずっと昔の事よ。その時は、シルフが顕現して斃したんだっけ」
「そそ、風の刃で一撃よ」
「……」
物理防御と魔法防御に優れた鱗を持つエンシェントドラゴンを一撃か。僕が唖然としていると、ウィンディーネが発破をかけてくる。
「ほらっ、ぼおっとしてないで、防壁を作るんでしょう」
「あ、うん、そうだね。じゃ、じゃあ、どの位置に作ったらいいか教えてよ」
「任せといて!」
その日は結局、防壁で囲む位置を決めるため、聖域の周囲に目印を付けて回るだけで終わった。
翌日、土属性魔法が使える僕、マリア、タイタンが協力して作業に入る事になった。
さっそく高さ8メートル、幅1メートルの防壁を立ち上げる。さらにその防壁の外側に堀を作り、仕上げとして防壁の土を強固な石に変化させた。
とんでもなく広がってしまった聖域を囲むので、作らねばならない防壁はウェッジフォートや三ヶ国が合同で建設している街の比じゃないだろう。
僕はため息をつきながら言う。
「これって、ノームに手伝ってもらえないのかな?」
「ふふっ、ノームはお酒関連で忙しいんだって」
暇そうに見ていたウィンディーネが冷たく答えた。ウィンディーネは早くお酒を飲みたいらしく、ノームにこっちを手伝わせるつもりはないらしい。
三ヶ国が合同で建設する街に張り合うわけじゃないけど、僕は自分を鼓舞するように声を上げる。
「よし! 僕達だけで十日で終わらせるぞ!」
「はい、頑張ります!」
「リョウカイデス、マスター」
その後、僕達はそれぞれ頑張って防壁を拡大していった。
作業中の僕、マリア、タイタンを守ってくれているのは、ソフィアとアカネだ。カエデは竜馬であるツバキに乗って、周辺の魔物を討伐している。未開地中を駆け巡り、食肉になる魔物を狩ってくれたらしい。
「ヒャホォイ!!」
ちょうどカエデが、僕達の近くを走り抜けていった。
カエデはツバキの背に八本の蜘蛛の脚で掴まり、何本もの糸を縦横無尽に操り、魔物を切り裂き、斃した魔物を確保している。うん、楽しそうでいいね。
三ヶ国が合同で建設する街に負けないよう、僕達は作業を進める。
防壁作り、聖域内の住居建設、上下水道の整備、農地の開墾、水路整備など色んな作業を並行して行っていく。溜め池もいくつか作っておいた。
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◆ ◆ ◆
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