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7巻
7-3
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あれは、俺と同じくらいの年齢の奴に聞いた時だった。
「へっ? バート? アイツは一番弱いぞ」
「えっ!? ウソだろ……」
「何々、どうしたの?」
「ああ、ベールクトか、いやコイツがバートがこの中でどのくらい強いのか聞いてきたんで教えてただけだぜ」
「ミノムシはドンケツだよ」
「ミ、ミノムシ……ミノムシにボロ雑巾にされた俺って……」
だいたいここは異常なんだよ。
ちなみに、俺達天空島組を引率しているのはエルフの女戦士。コイツは怖いから近寄れない。
それと、人族の少女が二人。
一人は魔槍を持ち、魔物を蹂躙していた。イルマって奴のメイドじゃなかったのかよ。
もう一人はあの馬鹿でかい狼の主人。魔法職なのか、魔法メインで戦っていた。お願いだから、その狼を俺から遠ざけてくれ。
「ボロ雑巾、早く行くニャ」
そしてコイツはなんなんだ。
猫人族の子供のくせに、なんで俺よりずっと強いんだ。確かルルと言ったか。あの狼の女主人の従者だと言ってたと思う。
俺は重い体に鞭を打って立ち上がると、親父や仲間のあとを追う。
どうしてこうなった……
6 住環境の改善と探索開始
僕とレーヴァで、バルザックさん達の装備を作る事になった。
彼らの装備はお世辞にも優れているとは言えなかった。
魔物と戦わずにひっそり暮らしていたからだろうが、このままだとパワーレベリングに危険が伴う。
今も魔大陸でパワーレベリングしてもらっているけど、引率しているソフィアには、バルザックさん達に戦闘をさせず、トドメを刺させてレベルアップしてもらうように頼んである。
その間に、武器と防具を仕上げてしまおう。
防具は革鎧がいいだろう。空を飛ぶのには重い金属鎧では無理だからね。武器はバルカンさん達に渡したのと同じ槍と弓を人数分作る。
カエデにはいつもの鎧下をお願いした。カエデの作る鎧下は、下手な鎧よりも防御力が高いからね。
そんなこんなで、天空島の有翼人族達の装備が一通り完成した。終わってから、レーヴァとカエデは彼らのパワーレベリングに参加しに行った。
◇
「ねえねえ、お兄ちゃん、何を作ってるの?」
「えーとね、お水が出る魔導具とおトイレだよ」
一人残って作業している僕に、有翼人族の子供が興味津々で話しかけてくる。
バルカンさんの集落もそうだったが、ここの集落も子供の数は多くない。二つの集落が合流すれば少しマシになると思うけど、それもたかが知れているだろう。
ゲートを設置し、新しい洞窟を追加したものの、この集落にはトイレがなかった。また、水は大きな甕に溜めて使用していた。
そうした環境を改善するため、僕は魔導具を作ってあげる事にした。
これまで水をどう調達していたかというと、水属性に適性がある人が魔法で甕に水を入れていたそうだ。
それだと大変すぎるので魔物が駆逐出来たら湖や川の近くに移住するのはどうですか? と提案したら、高い場所で暮らすのは有翼人族の性だとバルザックさんに言われた。
不便でも高いところの方が落ち着くらしい。そういえば、魔大陸の拠点でも有翼人族達は上の階にある部屋を使っていた。遺跡の街を復興して安全が確保出来れば、そうしたこだわりも少しは変わるかもしれないけど。
「よし、水の問題はこれで大丈夫だな」
水の魔導具の設置を完了すると、子供達が水の魔導具を興味深そうに見ている。子供の一人が尋ねてくる。
「ここからお水が出るの?」
「そうだよ。ほら、ここに手を当てて、押してごらん」
僕は小さな子供の手を持って、水の魔導具にその手を当ててあげる。
「わぁ! お水が出てきた!」
「ねえねえ! 私もやる!」
「僕にもやらせてー!」
「ハイハイ、順番だからね」
子供達が水の魔導具に集まって水を出して遊ぶのを見て、いかに娯楽が少ないかが分かる。まあ魔導具が珍しいというのもあるんだろうけどね。
この魔導具は、魔晶石に魔力を充填するだけで使える。
普通は燃料として魔晶石ではなく魔石を使うんだけど、それだと内包する魔力がなくなると魔石を交換する必要がある。ゲートで繋がっている魔大陸に行けば魔石が確保出来るだろうけど、天空島の有翼人族には危険だ。
だから魔力を充填出来る魔晶石にしたというわけだ。魔晶石は僕の自作だから、たいした手間じゃないしね。
まあそれもパワーレベリングが終われば、彼らが魔石を確保するのも簡単に出来るようになるだろうけど。
僕はすべての洞窟に水の魔導具と、浄化魔導具付き便器を設置していった。
水の魔導具から出た水を排出する下水路を作り、下水路には浄化の魔導具を設置した。浄化魔導具付き便器と合わせて、これで衛生状態はかなり向上するだろう。
「よし、次はアレを作らないとな」
その後、僕は住居用の洞窟が並ぶ少し下に、大きな洞窟を掘り始めた。
崩落しないように念入りに固め、表面にあらかじめ用意しておいた珪藻土を錬成して、壁面を仕上げる。
「湿気対策は大事だからな」
床は入り口から途中まで、珪藻土入りのタイルを貼り付けていく。
四つの大きい部屋を作り、手前の二つの部屋には壁面と床に珪藻土を使用する。奥の二つの部屋の壁面と床は、水を弾くよう加工した石を使った。
「こんなもんかな」
僕がわざわざ一日かけて作ったのは、公衆浴場だ。
男性用の浴室、女性用の浴室、脱衣所も男女別に用意してある。
天空島の有翼人族にも孤島の有翼人族にも、入浴という習慣は基本的にない。濡らした布で身体を拭くか、川で水浴びをする程度だ。どちらにしてもそれほど頻繁にしていないので、お世辞にも清潔が保たれているとは言えなかった。
「でも、嫌いってわけじゃないんだよな」
バルカンさん達も魔大陸の拠点に作った大きなお風呂にはまって、今では入浴が習慣になっていた。翼に艶が出たと喜んでいるようだ。
身体を清潔に保つ事は、健康的な生活を送るうえで大事だからね。
◇
僕が天空島の洞窟を整備している間、ソフィア達は天空島の有翼人族達のパワーレベリングを敢行していた。
その結果、有翼人族達はある程度戦えるレベルと、スキルを身に付けた。
なので、天空島の魔物の間引きと古代遺跡の調査をそろそろ始めるはずだったんだけど……
「俺も連れていってください!」
「いや、俺が行くべきだ!」
「「何を!」」
何度か見た例の光景が、僕らの前で繰り広げられていた。
発端は、探索メンバーを決める時。
僕達のメンバーからは、僕、ソフィア、マリア、カエデ、そして遺跡に興味があるレーヴァの五人とすぐに決まった。
アカネとルルちゃんは、聖域の屋敷でミーミル王女とお茶会があるんだそうだ。いつの間にエルフのお姫様と仲良くなったんだか。
次に有翼人族から、魔物が溢れる以前の森を知っているバルザックさん、女の子だけど屈指の実力を誇るベールクト。
あとプラス一人くらいで遺跡を目指そうと話していたら、その残り一人の枠を争ってバート君とバルト君が殴り合いを始めたのだ。
「俺は次期族長なんだぞ!」
「ふざけるな! 俺が次期族長だ!」
ドガッ!
「ウッ! テメェ、殴りやがったなぁ!」
バキッ!
「グッ! この野郎ー!」
確かに二人とも長の息子ではあるけどさ。
ソフィアとカエデがため息混じりに言う。
「実力でいえば、底辺を争ってるんですけどね」
「まだミノムシの方が少し強いよ」
ソフィアの意見は辛辣だし、カエデのはフォローにもなってないよ。
二人の父親であるバルカンさんとバルザックさんが、僕達に向かって同時に頭を下げてきた。
「「重ね重ね、申し訳ございません」」
「いや、バルカンさんとバルザックさんのせいじゃないですし」
なんだかなぁ……バート君もバルト君も悪い子じゃないんだけど、二人が一緒になると揉めるんだよな。
バート君とバルト君の泥試合のような喧嘩は放置しといて、今日の探索の方針をバルザックさんに伝える。
「まあ、あっちは放っておくとして、今日の探索なんですけど、遺跡の調査をしながら、ダンジョンの入り口を見つけるのを目指そうと思っています」
「それで問題ないです。儂らではこの森の魔物でさえも強敵でしたが、それもこの何日かの魔物狩りと、イルマ殿からの装備のおかげで、ついて行くだけなら大丈夫になりましたし」
なお、バルカンさんには洞窟に残ってもらい、洞窟周辺の魔物を無理しない程度に間引いてもらう事になっている。
「最短距離でダンジョンの入り口がある遺跡の中心部まで行くとしたら、どのくらいかかりますか?」
「そうですね……儂らが足を引っ張る事を考慮して……半日程度で到着出来ると思います」
半日か。足場の悪い森を行くわけだけど、今から出発すればお昼を少し過ぎて、夕方になる前には着くだろうな。
順調に出発出来ればだけど……
僕はため息を吐きつつ、バート君達に視線を向ける。喧嘩は終わったみたいだが、バルト君はこの間みたいにボロ雑巾となって転がっていた。
「はぁ、バート君、喧嘩はダメだよ」
「……ハァハァ、お、俺が悪いんじゃないぞ! 逆らったコイツが悪いんだ!」
「……」
バート君は肩を上下に揺らし、荒い息を吐きながら、不貞腐れた態度で僕に文句を言う。言ってる事は、いじめっ子と変わらないからね。
「とりあえず今回は、バート君もお留守番だね」
「なっ!? なんでだよ!」
出発前に殴り合いする人なんて連れてはいけないよ。バート君にそう告げると、バート君は訳が分からないと噛みついてくる。
そんな彼を宥めつつ、僕はちょっと意地悪な事を言ってみる。
「いや、バート君もボロボロだしさ。っていうか、バート君って実力的に下から数えた方が早いよね」
「グッ、そんな事ない! 天空島の奴らよりも俺は強い!」
「いや、バート君怠けているから、だいぶ抜かされているよ」
「グッ……」
実際問題、天空島組の優秀な人はすでにバート君を超えているんだよね。バルカンさんの手前、さすがにハッキリと底辺を争っているとは言えなかったけど。
すると、ムッとした顔のバート君が命令してくる。
「アンタ、回復魔法使えるんだよな。俺に使えよ!」
ゴンッ!
我慢の限界を超えたバルカンさんのゲンコツが、バート君の脳天に直撃した。
「イルマ殿申し訳ない。愚息は私が責任持って監視しておくので、探索の方は頼みます」
「は、ははっ、分かりました」
気絶したバート君は、バルト君と一緒にズルズルと引き摺られていった。僕は苦笑いしつつ、バルザックさんに告げる。
「さあ、出発しましょう」
「……そうですな」
出発前にゴタゴタしたけど、なんとかやっと探索を始められそうだ。
7 古代文明遺跡
歩きにくい森の中を、僕達はしっかりとした足並みで、まるで平地を歩くように進む。僕は隣を歩くソフィアに言う。
「この森は、かなり長い年月をかけて広がったんだろうね」
「そうですね。古代文明は、五千年以上前に突然姿を消したと言われています。長命のエルフでも、当時の事は文献でしか知りません」
バルザックさん達が住んでいた山側は古い森になっていた。その様はまるで、太古の原生林のようだ。
僕らは、バルザックさんが遅れないように少しだけペースを落とす。バルザックさんは疲れたみたいで、時折低空飛行していた。
有翼人族の翼は、飛行する際に補助的な役割しか果たさない。それでもこういう使い方が出来るのはさすがだと思う。わずかな魔力消費で、跳ねるように短い飛行を繰り返しているのだ。
僕は後ろを振り向き、バルザックさんに向かって告げる。
「バルザックさん、少し休みましょうか」
「助かります。私は年寄りですから、深い森を行くのは大変です」
「無理する必要はありません。のんびり行きましょう」
ゆっくり進んだつもりだったけど、ちょっとペースが速かったかな。
バルザックさんは見た目が若々しいのでいつも忘れてしまうが、人族の寿命の何倍も生きている。少し配慮が足りなかったかも。
僕はその場に、使い捨ての簡易結界魔導具を設置すると、休憩を取る事にした。
バルザックさんには簡単な特訓しか出来なかったから、魔物との戦闘をしながら進むのはキツかったかもしれない。
まあ戦闘してたのは、主にカエデと張りきるベールクトだったけど。
疲れた身体を休めるバルザックさんが、元気いっぱいのベールクトを見て感心している。
「ふぅ、ベールクトはまだまだ元気だな」
「バルザック族長、私は何度もタクミ様達と魔境で魔物を討伐してきたから、このくらいなんでもないぞ」
ベールクトは僕に懐いているから、僕達が魔境で魔物を討伐する時はいつも参加していた。そのせいもあって、彼女は有翼人族の中で一番の実力者になっている。ソフィアやマリア達にも可愛いがられているしね。
「タクミ様、お茶をどうぞ」
「ありがとう、マリア」
僕はマリアから渡されたお茶を飲み、改めて周囲を見回す。
こんな太古の原生林の中を行くのは、貴重な経験だ。日本の白神山地の原生林もこんな感じなのかな。
そんなふうに思ってしまうほど、この探索は僕達にとって観光気分だったりする。
十五分くらい休んだあと、バルザックさんも少し回復したみたいなので探索を再開する事にした。
時折襲いくる魔物を討伐しながら、真っすぐ遺跡へ進む。
木々が細くなってきた。苔むしてフカフカのカーペットの上を歩いているようだった地面が、硬い感触に変わる。
僕はソフィアに話しかける。
「森の様子が変わってきたね」
「それでも十分鬱蒼とした森ですけどね」
バルザックさんの先祖がこの島に住み着いた時には、すでに遺跡は森に呑まれていたという。
当時は脅威になる魔物がいなかったので、遺跡の調査は行われ、ダンジョンコアを利用した天空島の浮遊装置は確認されていたらしい。
そろそろ中心部に近づいてきたという頃、ソフィアが足元の変化に気づいた。
「あっ、これは人工物ですね」
「ほんとだ。風化してボロボロだけど、高い技術で加工されているのが分かるね」
そこには、遺跡の一部が姿を見せていた。
植物の蔓に覆われているが、切り出された石が隙間なく組み合わされているのが分かった。
僕は地面の上にある土を、慎重に取り除く。
「石畳か。僕が作った聖域の道と比べても遜色ない出来だ」
そこには、何千年も前の物とは思えない、立派な石畳があった。
バルザックさんは周りを見渡すと、何か思い出したように言う。
「……この辺りの風景は覚えています。ダンジョンの入り口までは、このペースなら二時間ほどで着くでしょう」
「そうなんですね。だったら、遺跡の調査はあと回しにして、ダンジョンコアの確認までしちゃいましょうか」
「そうですね。コアさえ直れば、森も安全になるでしょうし」
ダンジョンコアの不具合が解消されれば、ダンジョンから魔物が溢れる事はなくなるだろう。ちょっと忘れていたけど、今も暴走している天空島を覆う暴風の結界も落ち着くかな。
◇
僕達はバルザックさんの記憶を頼りに、ダンジョンの入り口に向かった。中心部に近づくほど、建物の残骸が多くなっていく。
やがて緑に侵食された廃墟の中に、三階建てくらいの建築物が見えてきた。メキシコのティオティワカンにあるピラミッドのようだ。
バルザックさんが指を差して告げる。
「イルマ殿、あの建物がダンジョンコアへの入り口となっています」
すぐ側まで近づくと、その建物は特殊な魔法を施されているのが分かった。魔法で経年劣化を防いでいるのかもしれない。
「……すごいですね。何千年前の建物か分からないけど、ほぼそのまま残ってるなんて」
僕がそう言って感心していると、ソフィアとマリアが声をかけてくる。
「タクミ様、入り口に結界を張って魔物が出てくるのを止めましょう」
「そのあと、夕食にしましょう」
「そうだね、了解。僕が結界の準備をするから、マリアは夕食の準備をお願い」
「じゃあカエデは、周りの魔物を狩って来るねー!」
カエデはそう言うやいなや、あっという間に森の中へと消えていった。
軽い休憩を挟み、いよいよダンジョンアタックする事になった。
「じゃあ、僕とカエデが先頭で、バルザックさんを真ん中に、その横にベールクト、反対側にマリア、最後尾にソフィアで行こう」
「「「はい」」」
ダンジョンの入り口へと足を踏み入れると、さっそくカエデが気づく。
「ねえマスター、ダンジョンなのに魔素が薄いよ?」
「本当だね。魔物が小物ばかりなのもそのせいかな」
そんなに多くのダンジョンに潜ってきたわけではないけど、これまで経験したダンジョンとは比べ物にならないくらい魔素が薄いのが分かる。
ダンジョンに出現する魔物は魔素から生み出されるので、基本的にダンジョンの中は魔素が濃いはずなんだ。
ただこれは、僕達が経験したダンジョンが、魔大陸のドラゴン系が出没するようなものが基準であるため、普通のダンジョンというのが分からない。他には邪精霊のダンジョンとかだからね。
「コアの制御を完全に失くしたわけじゃなさそうですね」
「それはそうだろうね。完全に制御を失うと、天空島は地上に落下するだろうから」
ソフィアの推測に頷き、間に合った事に少しホッとした。
マッピングしながらダンジョンを進む僕達に、時折魔物が襲いかかる。
ダンジョン以外でなら僕達を見つけたら逃げ出す程度の魔物でも、ここでは積極的に襲いかかってくるようだ。どのみち魔物は殲滅するつもりだったので、向こうから来てくれるのは楽でいいけどね。
「マスター、カエデだけでこの階層の魔物やっつけていい?」
「うーん……そうだな。カエデなら僕達とどれだけ離れていてもはぐれる事はないだろうし、うん、行っといで」
「はーーい!」
面倒になったのか、それとも弱すぎる魔物に退屈したのか、カエデが魔物を殲滅したいと言い出した。このダンジョンに出現する程度の魔物なら、カエデに危険はないので好きなようにさせる。
カエデを見送ったあと、僕らは今いる階層を丹念に調べていった。バルザックさんは、先祖からダンジョンの様子を伝えられていたらしい。
「もう千年以上昔の話です。魔物が溢れる以前ですから、構造が変化しているかもしれませんが、建物の見た目通り三階層の小規模な作りだったと聞いています」
「二百年でどのくらい変わっているかですが、たぶん大丈夫だと思いますよ」
ダンジョンは見た目とその内部構造が同じとは限らない。
でも、ダンジョン内の魔素の濃度を考えれば、ダンジョンが育っているとは思えない。階層に変化があったとしても、大きなものではないだろう。
「へっ? バート? アイツは一番弱いぞ」
「えっ!? ウソだろ……」
「何々、どうしたの?」
「ああ、ベールクトか、いやコイツがバートがこの中でどのくらい強いのか聞いてきたんで教えてただけだぜ」
「ミノムシはドンケツだよ」
「ミ、ミノムシ……ミノムシにボロ雑巾にされた俺って……」
だいたいここは異常なんだよ。
ちなみに、俺達天空島組を引率しているのはエルフの女戦士。コイツは怖いから近寄れない。
それと、人族の少女が二人。
一人は魔槍を持ち、魔物を蹂躙していた。イルマって奴のメイドじゃなかったのかよ。
もう一人はあの馬鹿でかい狼の主人。魔法職なのか、魔法メインで戦っていた。お願いだから、その狼を俺から遠ざけてくれ。
「ボロ雑巾、早く行くニャ」
そしてコイツはなんなんだ。
猫人族の子供のくせに、なんで俺よりずっと強いんだ。確かルルと言ったか。あの狼の女主人の従者だと言ってたと思う。
俺は重い体に鞭を打って立ち上がると、親父や仲間のあとを追う。
どうしてこうなった……
6 住環境の改善と探索開始
僕とレーヴァで、バルザックさん達の装備を作る事になった。
彼らの装備はお世辞にも優れているとは言えなかった。
魔物と戦わずにひっそり暮らしていたからだろうが、このままだとパワーレベリングに危険が伴う。
今も魔大陸でパワーレベリングしてもらっているけど、引率しているソフィアには、バルザックさん達に戦闘をさせず、トドメを刺させてレベルアップしてもらうように頼んである。
その間に、武器と防具を仕上げてしまおう。
防具は革鎧がいいだろう。空を飛ぶのには重い金属鎧では無理だからね。武器はバルカンさん達に渡したのと同じ槍と弓を人数分作る。
カエデにはいつもの鎧下をお願いした。カエデの作る鎧下は、下手な鎧よりも防御力が高いからね。
そんなこんなで、天空島の有翼人族達の装備が一通り完成した。終わってから、レーヴァとカエデは彼らのパワーレベリングに参加しに行った。
◇
「ねえねえ、お兄ちゃん、何を作ってるの?」
「えーとね、お水が出る魔導具とおトイレだよ」
一人残って作業している僕に、有翼人族の子供が興味津々で話しかけてくる。
バルカンさんの集落もそうだったが、ここの集落も子供の数は多くない。二つの集落が合流すれば少しマシになると思うけど、それもたかが知れているだろう。
ゲートを設置し、新しい洞窟を追加したものの、この集落にはトイレがなかった。また、水は大きな甕に溜めて使用していた。
そうした環境を改善するため、僕は魔導具を作ってあげる事にした。
これまで水をどう調達していたかというと、水属性に適性がある人が魔法で甕に水を入れていたそうだ。
それだと大変すぎるので魔物が駆逐出来たら湖や川の近くに移住するのはどうですか? と提案したら、高い場所で暮らすのは有翼人族の性だとバルザックさんに言われた。
不便でも高いところの方が落ち着くらしい。そういえば、魔大陸の拠点でも有翼人族達は上の階にある部屋を使っていた。遺跡の街を復興して安全が確保出来れば、そうしたこだわりも少しは変わるかもしれないけど。
「よし、水の問題はこれで大丈夫だな」
水の魔導具の設置を完了すると、子供達が水の魔導具を興味深そうに見ている。子供の一人が尋ねてくる。
「ここからお水が出るの?」
「そうだよ。ほら、ここに手を当てて、押してごらん」
僕は小さな子供の手を持って、水の魔導具にその手を当ててあげる。
「わぁ! お水が出てきた!」
「ねえねえ! 私もやる!」
「僕にもやらせてー!」
「ハイハイ、順番だからね」
子供達が水の魔導具に集まって水を出して遊ぶのを見て、いかに娯楽が少ないかが分かる。まあ魔導具が珍しいというのもあるんだろうけどね。
この魔導具は、魔晶石に魔力を充填するだけで使える。
普通は燃料として魔晶石ではなく魔石を使うんだけど、それだと内包する魔力がなくなると魔石を交換する必要がある。ゲートで繋がっている魔大陸に行けば魔石が確保出来るだろうけど、天空島の有翼人族には危険だ。
だから魔力を充填出来る魔晶石にしたというわけだ。魔晶石は僕の自作だから、たいした手間じゃないしね。
まあそれもパワーレベリングが終われば、彼らが魔石を確保するのも簡単に出来るようになるだろうけど。
僕はすべての洞窟に水の魔導具と、浄化魔導具付き便器を設置していった。
水の魔導具から出た水を排出する下水路を作り、下水路には浄化の魔導具を設置した。浄化魔導具付き便器と合わせて、これで衛生状態はかなり向上するだろう。
「よし、次はアレを作らないとな」
その後、僕は住居用の洞窟が並ぶ少し下に、大きな洞窟を掘り始めた。
崩落しないように念入りに固め、表面にあらかじめ用意しておいた珪藻土を錬成して、壁面を仕上げる。
「湿気対策は大事だからな」
床は入り口から途中まで、珪藻土入りのタイルを貼り付けていく。
四つの大きい部屋を作り、手前の二つの部屋には壁面と床に珪藻土を使用する。奥の二つの部屋の壁面と床は、水を弾くよう加工した石を使った。
「こんなもんかな」
僕がわざわざ一日かけて作ったのは、公衆浴場だ。
男性用の浴室、女性用の浴室、脱衣所も男女別に用意してある。
天空島の有翼人族にも孤島の有翼人族にも、入浴という習慣は基本的にない。濡らした布で身体を拭くか、川で水浴びをする程度だ。どちらにしてもそれほど頻繁にしていないので、お世辞にも清潔が保たれているとは言えなかった。
「でも、嫌いってわけじゃないんだよな」
バルカンさん達も魔大陸の拠点に作った大きなお風呂にはまって、今では入浴が習慣になっていた。翼に艶が出たと喜んでいるようだ。
身体を清潔に保つ事は、健康的な生活を送るうえで大事だからね。
◇
僕が天空島の洞窟を整備している間、ソフィア達は天空島の有翼人族達のパワーレベリングを敢行していた。
その結果、有翼人族達はある程度戦えるレベルと、スキルを身に付けた。
なので、天空島の魔物の間引きと古代遺跡の調査をそろそろ始めるはずだったんだけど……
「俺も連れていってください!」
「いや、俺が行くべきだ!」
「「何を!」」
何度か見た例の光景が、僕らの前で繰り広げられていた。
発端は、探索メンバーを決める時。
僕達のメンバーからは、僕、ソフィア、マリア、カエデ、そして遺跡に興味があるレーヴァの五人とすぐに決まった。
アカネとルルちゃんは、聖域の屋敷でミーミル王女とお茶会があるんだそうだ。いつの間にエルフのお姫様と仲良くなったんだか。
次に有翼人族から、魔物が溢れる以前の森を知っているバルザックさん、女の子だけど屈指の実力を誇るベールクト。
あとプラス一人くらいで遺跡を目指そうと話していたら、その残り一人の枠を争ってバート君とバルト君が殴り合いを始めたのだ。
「俺は次期族長なんだぞ!」
「ふざけるな! 俺が次期族長だ!」
ドガッ!
「ウッ! テメェ、殴りやがったなぁ!」
バキッ!
「グッ! この野郎ー!」
確かに二人とも長の息子ではあるけどさ。
ソフィアとカエデがため息混じりに言う。
「実力でいえば、底辺を争ってるんですけどね」
「まだミノムシの方が少し強いよ」
ソフィアの意見は辛辣だし、カエデのはフォローにもなってないよ。
二人の父親であるバルカンさんとバルザックさんが、僕達に向かって同時に頭を下げてきた。
「「重ね重ね、申し訳ございません」」
「いや、バルカンさんとバルザックさんのせいじゃないですし」
なんだかなぁ……バート君もバルト君も悪い子じゃないんだけど、二人が一緒になると揉めるんだよな。
バート君とバルト君の泥試合のような喧嘩は放置しといて、今日の探索の方針をバルザックさんに伝える。
「まあ、あっちは放っておくとして、今日の探索なんですけど、遺跡の調査をしながら、ダンジョンの入り口を見つけるのを目指そうと思っています」
「それで問題ないです。儂らではこの森の魔物でさえも強敵でしたが、それもこの何日かの魔物狩りと、イルマ殿からの装備のおかげで、ついて行くだけなら大丈夫になりましたし」
なお、バルカンさんには洞窟に残ってもらい、洞窟周辺の魔物を無理しない程度に間引いてもらう事になっている。
「最短距離でダンジョンの入り口がある遺跡の中心部まで行くとしたら、どのくらいかかりますか?」
「そうですね……儂らが足を引っ張る事を考慮して……半日程度で到着出来ると思います」
半日か。足場の悪い森を行くわけだけど、今から出発すればお昼を少し過ぎて、夕方になる前には着くだろうな。
順調に出発出来ればだけど……
僕はため息を吐きつつ、バート君達に視線を向ける。喧嘩は終わったみたいだが、バルト君はこの間みたいにボロ雑巾となって転がっていた。
「はぁ、バート君、喧嘩はダメだよ」
「……ハァハァ、お、俺が悪いんじゃないぞ! 逆らったコイツが悪いんだ!」
「……」
バート君は肩を上下に揺らし、荒い息を吐きながら、不貞腐れた態度で僕に文句を言う。言ってる事は、いじめっ子と変わらないからね。
「とりあえず今回は、バート君もお留守番だね」
「なっ!? なんでだよ!」
出発前に殴り合いする人なんて連れてはいけないよ。バート君にそう告げると、バート君は訳が分からないと噛みついてくる。
そんな彼を宥めつつ、僕はちょっと意地悪な事を言ってみる。
「いや、バート君もボロボロだしさ。っていうか、バート君って実力的に下から数えた方が早いよね」
「グッ、そんな事ない! 天空島の奴らよりも俺は強い!」
「いや、バート君怠けているから、だいぶ抜かされているよ」
「グッ……」
実際問題、天空島組の優秀な人はすでにバート君を超えているんだよね。バルカンさんの手前、さすがにハッキリと底辺を争っているとは言えなかったけど。
すると、ムッとした顔のバート君が命令してくる。
「アンタ、回復魔法使えるんだよな。俺に使えよ!」
ゴンッ!
我慢の限界を超えたバルカンさんのゲンコツが、バート君の脳天に直撃した。
「イルマ殿申し訳ない。愚息は私が責任持って監視しておくので、探索の方は頼みます」
「は、ははっ、分かりました」
気絶したバート君は、バルト君と一緒にズルズルと引き摺られていった。僕は苦笑いしつつ、バルザックさんに告げる。
「さあ、出発しましょう」
「……そうですな」
出発前にゴタゴタしたけど、なんとかやっと探索を始められそうだ。
7 古代文明遺跡
歩きにくい森の中を、僕達はしっかりとした足並みで、まるで平地を歩くように進む。僕は隣を歩くソフィアに言う。
「この森は、かなり長い年月をかけて広がったんだろうね」
「そうですね。古代文明は、五千年以上前に突然姿を消したと言われています。長命のエルフでも、当時の事は文献でしか知りません」
バルザックさん達が住んでいた山側は古い森になっていた。その様はまるで、太古の原生林のようだ。
僕らは、バルザックさんが遅れないように少しだけペースを落とす。バルザックさんは疲れたみたいで、時折低空飛行していた。
有翼人族の翼は、飛行する際に補助的な役割しか果たさない。それでもこういう使い方が出来るのはさすがだと思う。わずかな魔力消費で、跳ねるように短い飛行を繰り返しているのだ。
僕は後ろを振り向き、バルザックさんに向かって告げる。
「バルザックさん、少し休みましょうか」
「助かります。私は年寄りですから、深い森を行くのは大変です」
「無理する必要はありません。のんびり行きましょう」
ゆっくり進んだつもりだったけど、ちょっとペースが速かったかな。
バルザックさんは見た目が若々しいのでいつも忘れてしまうが、人族の寿命の何倍も生きている。少し配慮が足りなかったかも。
僕はその場に、使い捨ての簡易結界魔導具を設置すると、休憩を取る事にした。
バルザックさんには簡単な特訓しか出来なかったから、魔物との戦闘をしながら進むのはキツかったかもしれない。
まあ戦闘してたのは、主にカエデと張りきるベールクトだったけど。
疲れた身体を休めるバルザックさんが、元気いっぱいのベールクトを見て感心している。
「ふぅ、ベールクトはまだまだ元気だな」
「バルザック族長、私は何度もタクミ様達と魔境で魔物を討伐してきたから、このくらいなんでもないぞ」
ベールクトは僕に懐いているから、僕達が魔境で魔物を討伐する時はいつも参加していた。そのせいもあって、彼女は有翼人族の中で一番の実力者になっている。ソフィアやマリア達にも可愛いがられているしね。
「タクミ様、お茶をどうぞ」
「ありがとう、マリア」
僕はマリアから渡されたお茶を飲み、改めて周囲を見回す。
こんな太古の原生林の中を行くのは、貴重な経験だ。日本の白神山地の原生林もこんな感じなのかな。
そんなふうに思ってしまうほど、この探索は僕達にとって観光気分だったりする。
十五分くらい休んだあと、バルザックさんも少し回復したみたいなので探索を再開する事にした。
時折襲いくる魔物を討伐しながら、真っすぐ遺跡へ進む。
木々が細くなってきた。苔むしてフカフカのカーペットの上を歩いているようだった地面が、硬い感触に変わる。
僕はソフィアに話しかける。
「森の様子が変わってきたね」
「それでも十分鬱蒼とした森ですけどね」
バルザックさんの先祖がこの島に住み着いた時には、すでに遺跡は森に呑まれていたという。
当時は脅威になる魔物がいなかったので、遺跡の調査は行われ、ダンジョンコアを利用した天空島の浮遊装置は確認されていたらしい。
そろそろ中心部に近づいてきたという頃、ソフィアが足元の変化に気づいた。
「あっ、これは人工物ですね」
「ほんとだ。風化してボロボロだけど、高い技術で加工されているのが分かるね」
そこには、遺跡の一部が姿を見せていた。
植物の蔓に覆われているが、切り出された石が隙間なく組み合わされているのが分かった。
僕は地面の上にある土を、慎重に取り除く。
「石畳か。僕が作った聖域の道と比べても遜色ない出来だ」
そこには、何千年も前の物とは思えない、立派な石畳があった。
バルザックさんは周りを見渡すと、何か思い出したように言う。
「……この辺りの風景は覚えています。ダンジョンの入り口までは、このペースなら二時間ほどで着くでしょう」
「そうなんですね。だったら、遺跡の調査はあと回しにして、ダンジョンコアの確認までしちゃいましょうか」
「そうですね。コアさえ直れば、森も安全になるでしょうし」
ダンジョンコアの不具合が解消されれば、ダンジョンから魔物が溢れる事はなくなるだろう。ちょっと忘れていたけど、今も暴走している天空島を覆う暴風の結界も落ち着くかな。
◇
僕達はバルザックさんの記憶を頼りに、ダンジョンの入り口に向かった。中心部に近づくほど、建物の残骸が多くなっていく。
やがて緑に侵食された廃墟の中に、三階建てくらいの建築物が見えてきた。メキシコのティオティワカンにあるピラミッドのようだ。
バルザックさんが指を差して告げる。
「イルマ殿、あの建物がダンジョンコアへの入り口となっています」
すぐ側まで近づくと、その建物は特殊な魔法を施されているのが分かった。魔法で経年劣化を防いでいるのかもしれない。
「……すごいですね。何千年前の建物か分からないけど、ほぼそのまま残ってるなんて」
僕がそう言って感心していると、ソフィアとマリアが声をかけてくる。
「タクミ様、入り口に結界を張って魔物が出てくるのを止めましょう」
「そのあと、夕食にしましょう」
「そうだね、了解。僕が結界の準備をするから、マリアは夕食の準備をお願い」
「じゃあカエデは、周りの魔物を狩って来るねー!」
カエデはそう言うやいなや、あっという間に森の中へと消えていった。
軽い休憩を挟み、いよいよダンジョンアタックする事になった。
「じゃあ、僕とカエデが先頭で、バルザックさんを真ん中に、その横にベールクト、反対側にマリア、最後尾にソフィアで行こう」
「「「はい」」」
ダンジョンの入り口へと足を踏み入れると、さっそくカエデが気づく。
「ねえマスター、ダンジョンなのに魔素が薄いよ?」
「本当だね。魔物が小物ばかりなのもそのせいかな」
そんなに多くのダンジョンに潜ってきたわけではないけど、これまで経験したダンジョンとは比べ物にならないくらい魔素が薄いのが分かる。
ダンジョンに出現する魔物は魔素から生み出されるので、基本的にダンジョンの中は魔素が濃いはずなんだ。
ただこれは、僕達が経験したダンジョンが、魔大陸のドラゴン系が出没するようなものが基準であるため、普通のダンジョンというのが分からない。他には邪精霊のダンジョンとかだからね。
「コアの制御を完全に失くしたわけじゃなさそうですね」
「それはそうだろうね。完全に制御を失うと、天空島は地上に落下するだろうから」
ソフィアの推測に頷き、間に合った事に少しホッとした。
マッピングしながらダンジョンを進む僕達に、時折魔物が襲いかかる。
ダンジョン以外でなら僕達を見つけたら逃げ出す程度の魔物でも、ここでは積極的に襲いかかってくるようだ。どのみち魔物は殲滅するつもりだったので、向こうから来てくれるのは楽でいいけどね。
「マスター、カエデだけでこの階層の魔物やっつけていい?」
「うーん……そうだな。カエデなら僕達とどれだけ離れていてもはぐれる事はないだろうし、うん、行っといで」
「はーーい!」
面倒になったのか、それとも弱すぎる魔物に退屈したのか、カエデが魔物を殲滅したいと言い出した。このダンジョンに出現する程度の魔物なら、カエデに危険はないので好きなようにさせる。
カエデを見送ったあと、僕らは今いる階層を丹念に調べていった。バルザックさんは、先祖からダンジョンの様子を伝えられていたらしい。
「もう千年以上昔の話です。魔物が溢れる以前ですから、構造が変化しているかもしれませんが、建物の見た目通り三階層の小規模な作りだったと聞いています」
「二百年でどのくらい変わっているかですが、たぶん大丈夫だと思いますよ」
ダンジョンは見た目とその内部構造が同じとは限らない。
でも、ダンジョン内の魔素の濃度を考えれば、ダンジョンが育っているとは思えない。階層に変化があったとしても、大きなものではないだろう。
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