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2巻
2-2
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ソフィアとマリアのサポートを受け、何度も斧を振る。
ソフィアは盾で根を弾きながら、魔鋼製の剣に風属性の魔力を込めて根を切り裂いていく。マリアはエルダートレントから距離を取りつつも一本一本確実に根を斧で切り、丁寧にファイヤーボールで焼いていた。
エルダートレントが再生する速度が鈍くなってきた。
〈スキル「風属性魔法」のレベルが上がりました〉
ガツッ!!
「グゥギャァァォォォォーーン!!」
断末魔の叫び声を上げると、ついにエルダートレントがその活動を止めた。
〈スキル「斧術」のレベルが上がりました〉
〈職種「魔法剣士」のレベルが上がりました〉
〈職種「魔術師」のレベルが上がりました〉
・
・
・
ズズゥゥゥーーン!!
地響きを立てて、ついにエルダートレントが倒れた。
「はぁ~~、疲れた~~」
「タクミ様!」
「大丈夫ですか!」
肩で息をする僕に、ソフィアとマリアが駆け寄ってくる。カエデはいきなり僕にしがみついてきた。
「外縁部でもこんなのが出るんだね」
「そうですね、魔境に絶対はないですから」
「怖かったです」
「カエデ、役に立った?」
「みんなのおかげで勝てたよ。みんなありがとう」
エルダートレントの枝は太かったので、それ一本だけでも素材として十分使えそうだ。
僕達はその枝を落とすと、それらすべてを収納した。
散らばった葉の先に、赤い丸い物が付いているのを発見する。
「トレントに実が生るんだね」
「あっ! それは『奇跡の林檎』です。エルフでも滅多に食べることができない希少なものですよ」
ソフィアが興奮して教えてくれる。
[奇跡の林檎]
エルダートレントに生る希少な果実。
味は極上で、魔力を豊富に内包している。食べると魔力を回復することができる。
鑑定してみたけど間違いないみたいだな。
「よし! 全部持って帰ろう!」
「「はい!」」
僕達は果実をすべてアイテムボックスに収納すると、エルダートレントの枝を切り落とし、本体と葉っぱも残さず収納した。
「さあ、ヒースさん達と合流しよう」
「「はい!」」
ずいぶんとレベルアップした気がするので、最後にステータスを見ておく。
【名 前】 タクミ・イルマ
【種 族】 人族
【年 齢】 15歳
【職 種】 魔法剣士8Lv 魔術師9Lv (付与魔法師32Lv、大工16Lv、錬金術師56Lv、鍛冶師58Lv 裁縫職人40Lv)
【レベル】 64
【状 態】 健康
【生命力】 710 【魔 力】 880 【 力 】 360 【俊 敏】 320
【体 力】 420 【器 用】 340 【知 力】 420
【ユニーク スキル】 [鑑定EX][アイテムボックスEX(隠匿)]
【パッシブ スキル】 [怪力3Lv][直感3Lv][毒耐性2Lv][麻痺耐性2Lv][回避2Lv][身体制御2Lv][魔力回復速度上昇1Lv]
【アクティブスキル】 [槍術7Lv][斧術5Lv][剣術7Lv][投擲4Lv][体術5Lv][魔闘術5Lv][索敵3Lv][気配察知5Lv][隠密4Lv][テイム1Lv][身体能力強化5Lv][魔力感知7Lv][魔力操作9Lv][光属性魔法8Lv][火属性魔法5Lv][水属性魔法5Lv][風属性魔法6Lv][土属性魔法8Lv][氷属性魔法1Lv][雷属性魔法1Lv][時空間属性魔法3Lv][付与魔法5Lv][錬金術8Lv][鍛冶7Lv][木工細工6Lv][大工4Lv][採取5Lv][伐採5Lv][解体4Lv][採掘4Lv][金属細工5Lv][裁縫3Lv][料理2Lv]
【 加 護 】 [女神ノルンの加護(隠匿)]
【 従 魔 】 [アルケニー特異種(カエデ)]
【 称 号 】 [ジャイアントキリング]
3 鉱山の町
思わぬエルダートレントとの戦いのあと、僕はヒースさん達と合流するために、森を出て少し離れた場所へ急いだ。
そこには枝を切り落とされたトレント材が積み上げられていた。
「よう! タクミ達も無事だったか」
「ヒースさん達も無事で何よりです」
「さっそく、トレントの収納を頼んで良いか?」
「わかりました」
ヒースさん達はギルドからアイテムバッグを借りてきていたが、容量いっぱい入れてもトレント材は五本しか入らなかったそうだ。
僕は積み上げられたトレント材をアイテムボックスへ収納する。
「タクミの収納魔法は容量がすげえな」
「僕は魔力量が多めみたいです」
僕がユニークスキルの「アイテムボックスEX」を持っているのを誤魔化すために、ライルさんに適当な理由を話しておく。
「じゃあ馬車まで戻るか。ドワーフのおっさんも待ちくたびれてるだろう」
「はい」
僕達は森から離れた場所で待機していたドガンボさんのところへ行った。ドガンボさんは御者台で暇を持て余していた。
「ドガンボさん、変わりありませんでした?」
「ああ、こっちは大丈夫じゃ」
今日はもう遅くなってしまったのでここで野営することになった。明日の朝ヒースさん達はボルトンの町に戻り、僕達はホルアスへ向かうことにした。
「じゃあなタクミ、またボルトンで会おうぜ」
「はい、ヒースさんもお気をつけて」
翌朝、別れの挨拶を交わしたあと、ヒースさんが真剣な表情を見せた。
「タクミ、この街道はたまに盗賊が出没することもある。もしそんな奴らに遭遇しちまったときは……殺すことを迷うな。奴らを見逃せば、それだけ善良な領民の命が失われるんだ。盗賊は男は殺し、女は犯し尽くして売り払う。そういうことを想像してみるんだ」
人を殺した経験がない僕を察して、忠告してくれたみたいだ。
僕は平和ボケした日本で、荒事に巻き込まれることなく平凡な人生を送っていた、いわば小市民だった。それでもこの世界で最初に壊滅した廃村を見たときに、ここが危険と隣り合わせの世界だとすぐに認識できた。
だからと言って、僕に人を殺せるかというのは別の話だと思うけど……
でも僕は大丈夫な気がしている。
この世界に来てから、これまで生き物を殺したこともなかった僕が、角ウサギを殺してもブレードディアを狩っても精神的な揺らぎはなかった。
もちろん人を殺すことの忌避感はある。
けど、この世界はそういう世界だと、すでに僕の魂に刻まれている。
きっとこれは、女神ノルン様がそうしてくれたんだと思う。日本の倫理観や道徳観を引きずって、僕の心が壊れないように。
「大丈夫ですヒースさん。ソフィアやマリアを護るためなら、たとえ人を殺すことになったとしても、ためらう理由がありません」
「そうだ、その気持ちを忘れるな」
ヒースさんの話では、冒険者のDランクからは盗賊討伐の依頼や商隊の護衛依頼があるそうだ。そして、盗賊と対峙したとき躊躇した奴から死んでいくと言っていた。
僕がこの依頼を終えるとDランクに上がるのも知っていて、ヒースさんはアドバイスをしてくれたんだと思う。
真面目だった表情を崩して、ヒースさんが告げる。
「じゃあまたボルトンでな」
「はい、ヒースさんもお気をつけて!」
「………………」
「ボガさんもお元気で!」
ボガさんは相変わらずずっと無口だったな。
僕達の乗る馬車と、ヒースさん達の乗る馬車は、それぞれ反対の方向へ走りだしていった。
僕達は死の森を右手に見ながら、ホルアスへの街道を進む。
それから野営を二回挟んで進むと死の森が見えなくなり、ゴロゴロとした岩が目立つどこか荒涼とした風景に変わっていった。
◇
「ウォーターアロー!」
マリアの水属性魔法が全長2メートルを超えるトカゲに突き刺さる。
このトカゲの魔物はロックリザード。岩のように硬い鱗を持ち、物理攻撃には強いが水属性魔法や氷属性魔法に弱い。
ロックリザードは、景色に岩場が増えてきた頃から僕達の馬車を頻繁に襲ってきていた。でも動きは速くないため、僕とマリアの水属性魔法や氷属性魔法の練習台になった。
「結構厄介な魔物なんだがな」
ロックリザードを解体しながら、ドガンボさんが呆れたように呟く。
ロックリザードは、その岩のような鱗が鎧や盾の素材になるらしい。解体しながらドガンボさんが解説してくれる。
「でもな、こやつのはそのまま使えねえんだよ」
水属性と氷属性に弱い特徴を素材になっても引き継いでしまうそうで、それを緩和する手順が面倒なんだとか。
「あと、肝臓が薬の素材に使えるんですよね」
解体を手伝いながら、僕はドガンボさんに確認する。
「薬師じゃねえから詳しく知らねえが、熱病の薬の材料になるらしいぞ」
なら一応、自分達用に少し確保しておくか。
でも、僕達には病気の薬ってあまり重要じゃないんだよね。というのも、僕の回復魔法は病気も治すことができるから。
ところが、この世界の人達が使う回復魔法は違うらしい。
僕の回復魔法は病気も怪我も同じように治すけど、他の神官が使う回復魔法は病気にはあまり効かないようだ。
これは、この世界の人が病気の原因を知らないせいだと僕は考えている。
僕はユニークスキルの鑑定EXのおかげで、病気の詳細を調べることができる。病気の原因が菌によるものか、ウイルスによるものか、その他違う理由によるものかわかるのだ。あとは僕がその原因を取り除くイメージで回復魔法を使うだけだ。
それから僕達は、ヒースさんが心配していた盗賊に遭うこともなく、予定より一日遅れでホルアスの町が見える高台にたどり着いた。
「へぇ~、あれがホルアスの町か」
高台から見えるホルアスは、岩山に囲まれたまさに鉱山の町だった。
町中から幾筋もの煙が立ちのぼり、金属加工の工房が多くあることが一目でわかる。町の周辺には、鉱山から出た残土がいくつものボタ山となっていた。
「ホルアスは鉱山の町だけあって、鉱夫や鍛冶師が多い。荒っぽい奴らには気をつけるんじゃぞ」
ドガンボさんが言うには、ホルアスには犯罪奴隷が多く送り込まれていて、鉱山で採掘の仕事をさせられているらしい。そんな町だから治安はボルトンと比べるとかなり悪く、トラブルに巻き込まれないように気をつけろと言われた。
「(ドガンボさん、それはフラグが立つって言うんだよ)」
高台から降りて道を進んで、ホルアスの門に向かう。
ホルアスの町の門前には、たくさんの商隊が列をなしていた。
僕達は列の最後尾に並び、門をくぐるのにずいぶん時間がかかったが、日が暮れる前にホルアスの町に入ることができた。
4 坑道の討伐依頼
夕暮れ間近、ホルアスの町に入った僕達は、ドガンボさんの勧めで「穴熊の棲家亭」という宿屋へやってきた。
「こっちだ、こっちだ!」
ドガンボさんは馬車を宿の専用スペースに停めると、魔馬を外して宿の従業員に世話を頼んだ。
「ここは俺が若いときから世話になってる宿でな、安くて飯がうまいんだ」
ドガンボさんは一人ツカツカと宿へ入っていく。僕らは慌ててあとを追った。
「おう! 部屋は空いとるか!」
ドガンボさんが大きな声でカウンターに向かって尋ねる。
「おや、珍しい。ドガンボじゃないか。久しぶりだね」
奥から出てきたのは、貫禄のある女将さんという感じの女性だった。
「おおノーラ、久しぶりじゃのう。今日はこのタクミ達と泊まりたいんじゃが、部屋は空いとるか?」
「部屋数はどうする?」
ドガンボさんが僕の顔を見る。
「一人部屋と三人部屋の、二部屋でお願いします」
「えっ!?」
僕が何か言う前に、ソフィアが宿の女将さんに言った。
「おやおや、じゃあドガンボが301号で一人部屋、そちらの三人は403号で四人部屋を使ってくれるかい」
「ありがとうございます」
ノーラさんがドガンボさんとソフィアに鍵を渡す。
「とりあえず三日でおいくらになりますか?」
「朝と夜の食事付きで一人部屋が一泊銀貨5枚、四人部屋が三人使用で一泊銀貨10枚、二つ合わせて三日分で銀貨45枚だね」
僕はドガンボさんの分もまとめて支払う。
「夕食はどうする? 今ならすぐに食べられるよ」
「お願いします」
ちょうどお腹が空いていたので、そのまま一階の食堂兼酒場で食事をすることにした。
ドガンボさんがうまいと言っていた通り、料理はとても美味しかった。肉体労働者が多い鉱山の町だけあって味は少し濃いめだったけど、これはこれでありだ。この世界では貴重な香辛料が利いた刺激的な味だったのは、ドワーフ料理の影響が強いためらしい。
部屋に入って亜空間からカエデを出し、カエデにご飯を食べさせる。それからみんなに汚れを綺麗にする魔法ピュリフィケーションをかけた。
この日はそのまま大人しくして別々のベッドで寝た。カエデだけは僕のベッドに潜り込んで、しがみ付いて寝てたけど。
「おはようございます」
「おう、早いのう」
朝、一階に下りると、ドガンボさんがすでにテーブルに座っていた。
「それで今日のことなんじゃが、タクミは冒険者ギルドで坑道の討伐依頼を受けるんじゃな」
そう、依頼をこなしながら鉱石の採掘をする予定だった。
本当は鍛冶師ギルドのメンバーじゃないと鉱山に入れないんだけど、裏ワザがあって、鉱山の魔物を討伐する依頼を受ければ、討伐という名目で鉱山に入れる。そのついでに鉱石を採ることは問題ないらしい。
「はい、そのつもりです」
「じゃあ俺はタクミに付いていって鉱石を掘ろう。俺は鍛冶師ギルドに加入しておるので、鉱山での採掘は自由じゃからな」
朝食を済ませたあと、冒険者ギルドへ向かった。
ホルアスの冒険者ギルドは、ボルトンのギルドに比べてふた回りほど小さな建物で、その中は冒険者でごった返していた。
ボルトンではドガンボさんしか見なかった、ずんぐりむっくりのドワーフがいっぱいいる。その中に少数の人族と獣人族が見て取れた。
「すごい人だな」
「採掘の護衛や鉱石の運搬、魔物の討伐、仕事はいろいろあるからな」
掲示板で依頼を探す。
Dランクへの昇格は試験が必要なので、僕はボルトンへ帰らないと昇格できないけど、ソフィアとマリアはここで依頼を達成すればEランクへ上がることが可能だ。
「アイアンモール討伐? モールってモグラの魔物なのか?」
「うん、あぁ鉱石喰いだな。鉱石を餌にする魔物でな、鉱山の天敵じゃ」
ナント、鉱石を食べる魔物がいるのか。
「鉱石喰いの討伐は俺からもお願いしたいくらいじゃ。奴らはどこにでも穴を掘りやがるから、坑道が崩れる事故の原因にもなるんじゃよ」
ドガンボさんの勧めもあったし、Eランクの討伐依頼なので受けることにした。
Eランクということでわかる通り、アイアンモール自体はそれほど強くない。ただ、群れる魔物ではないので数を討伐することが難しく、あまり儲けに繋がらない依頼のようだ。なので、いつも不人気となり、常に依頼が貼り出されているらしい。ちなみに依頼元は鍛冶師ギルドだった。
依頼書を剥がして受付へと並ぶ。
受付に座っていたのは小柄な少女だった。初めて間近で見るドワーフの女性だ。
僕は思わずホッとしてしまった。
ああ、こっちの可愛いバージョンのドワーフで良かった。女性なのにビア樽体型で髭もじゃじゃだったら嫌だなと心配していたのだ。そういうのを喜ぶ属性は僕にはないし。
「はい、アイアンモールの討伐依頼ですね。ギルドカードをお願いします」
そんなことを考えていたら催促されたので、慌ててカードを差し出す。
「はい、確認しました。アイアンモールは、三匹討伐で依頼達成となります。討伐証明部位は、アイアンモールの爪になります。期限は依頼を受けてから三日間です。ではお気をつけて頑張ってください」
丁寧な受付嬢にギルドカードを返してもらい、みんなでギルドを出る。ふと思い出してソフィアとマリアに相談する。
「僕は鶴嘴持ってるけど、ソフィアとマリアの分も買った方がいいのかな」
「いやタクミ、お嬢ちゃん達は護衛で良いんじゃねえか?」
考えてみれば、ドガンボさんの言う通りかもしれない。
僕とドガンボさんが採掘している間、周囲の警戒を任せるのが普通だよね。
素材採取から物作りまで、僕は生産系の仕事にすべて手を出しているから、ソフィアとマリアにも自然と同じことを求めてしまった。
ソフィアとマリアは、別に生産職を極めたいわけじゃないのにね。
それからドガンボさんの案内で三番坑道へ向かった。
坑道は一番から五番まであるけど三番にしたのは、ミスリル鉱石とアダマンタイト鉱石を採掘できるから。
ちなみに一番坑道は鉄鉱石がメインで、二番坑道は銅鉱石と鉄鉱石、三番坑道はミスリル鉱石とアダマンタイト鉱石、四番坑道はミスリル鉱石が主に産出され、五番坑道は銀鉱石と少しの金鉱石が産出される。
何も知らない僕からすれば、三番坑道に人が集中しそうだと思っちゃうけど、そんなことはないようだ。ミスリルとアダマンタイトの精錬のハードルが高いということもあり、むしろ三番坑道はいつも空いているとドガンボさんは言っていた。
三番坑道のすぐ近くまで乗り合い馬車が出ていたのでそれに乗ると、10分程度で坑道の入り口に着いた。
「カンテラの用意は良いな、じゃあ俺のあとに付いてこい」
ドガンボさんが先頭、その後ろに僕とマリア、最後尾にソフィアとカエデという並びで、僕らは薄暗い坑道へ足を踏み入れた。
5 モグラは光が苦手?
大人が三人並べば窮屈になってしまう程度の広さしかない坑道は暗闇に包まれており、じめっとして湿っぽかった。
そんな薄暗い坑道を、カンテラの灯りを頼りに歩き続ける。
しばらくすると、コウモリの魔物、ソニックバットが出没するようになったけど、このソニックバットはアイアンモール以上に雑魚なので、カエデの暇つぶし相手にもならない。
狭い坑道でカエデの糸からは逃れられず、哀れソニックバットは真っ二つになって落ちていく。魔石もクズ魔石だし必要な素材もないので、そのまま土魔法で埋めて処理しておいた。
突然、ドガンボさんは立ち止まると、鶴嘴で坑道の壁をコツコツと叩いた。
「タクミ、この辺を少し掘るぞ」
「はい、了解です」
ドガンボさんが指示した付近を、僕とドガンボさんが鶴嘴で掘る。
ソフィアとマリアは周辺の警戒を、カエデも糸を伸ばして地下から来る魔物を感知しようとしてくれている。
「おっ、ここは当たりかもしれん。タクミ、この石を見てみろ。これがミスリル鉱石じゃ。お前は魔法職寄りじゃから魔力感知で調べてみるとええ」
ドガンボさんが試掘した石を、魔力に気をつけながらよく見てみる。
「どうじゃ、魔力を内包しておるのがわかるじゃろ。ミスリル鉱石は、この魔力と白っぽい色で判別できるんじゃ」
確かに、ただの石や鉄鉱石にはない魔力をわずかに感じることができた。
「……はい、何となくわかりました」
ソフィアは盾で根を弾きながら、魔鋼製の剣に風属性の魔力を込めて根を切り裂いていく。マリアはエルダートレントから距離を取りつつも一本一本確実に根を斧で切り、丁寧にファイヤーボールで焼いていた。
エルダートレントが再生する速度が鈍くなってきた。
〈スキル「風属性魔法」のレベルが上がりました〉
ガツッ!!
「グゥギャァァォォォォーーン!!」
断末魔の叫び声を上げると、ついにエルダートレントがその活動を止めた。
〈スキル「斧術」のレベルが上がりました〉
〈職種「魔法剣士」のレベルが上がりました〉
〈職種「魔術師」のレベルが上がりました〉
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ズズゥゥゥーーン!!
地響きを立てて、ついにエルダートレントが倒れた。
「はぁ~~、疲れた~~」
「タクミ様!」
「大丈夫ですか!」
肩で息をする僕に、ソフィアとマリアが駆け寄ってくる。カエデはいきなり僕にしがみついてきた。
「外縁部でもこんなのが出るんだね」
「そうですね、魔境に絶対はないですから」
「怖かったです」
「カエデ、役に立った?」
「みんなのおかげで勝てたよ。みんなありがとう」
エルダートレントの枝は太かったので、それ一本だけでも素材として十分使えそうだ。
僕達はその枝を落とすと、それらすべてを収納した。
散らばった葉の先に、赤い丸い物が付いているのを発見する。
「トレントに実が生るんだね」
「あっ! それは『奇跡の林檎』です。エルフでも滅多に食べることができない希少なものですよ」
ソフィアが興奮して教えてくれる。
[奇跡の林檎]
エルダートレントに生る希少な果実。
味は極上で、魔力を豊富に内包している。食べると魔力を回復することができる。
鑑定してみたけど間違いないみたいだな。
「よし! 全部持って帰ろう!」
「「はい!」」
僕達は果実をすべてアイテムボックスに収納すると、エルダートレントの枝を切り落とし、本体と葉っぱも残さず収納した。
「さあ、ヒースさん達と合流しよう」
「「はい!」」
ずいぶんとレベルアップした気がするので、最後にステータスを見ておく。
【名 前】 タクミ・イルマ
【種 族】 人族
【年 齢】 15歳
【職 種】 魔法剣士8Lv 魔術師9Lv (付与魔法師32Lv、大工16Lv、錬金術師56Lv、鍛冶師58Lv 裁縫職人40Lv)
【レベル】 64
【状 態】 健康
【生命力】 710 【魔 力】 880 【 力 】 360 【俊 敏】 320
【体 力】 420 【器 用】 340 【知 力】 420
【ユニーク スキル】 [鑑定EX][アイテムボックスEX(隠匿)]
【パッシブ スキル】 [怪力3Lv][直感3Lv][毒耐性2Lv][麻痺耐性2Lv][回避2Lv][身体制御2Lv][魔力回復速度上昇1Lv]
【アクティブスキル】 [槍術7Lv][斧術5Lv][剣術7Lv][投擲4Lv][体術5Lv][魔闘術5Lv][索敵3Lv][気配察知5Lv][隠密4Lv][テイム1Lv][身体能力強化5Lv][魔力感知7Lv][魔力操作9Lv][光属性魔法8Lv][火属性魔法5Lv][水属性魔法5Lv][風属性魔法6Lv][土属性魔法8Lv][氷属性魔法1Lv][雷属性魔法1Lv][時空間属性魔法3Lv][付与魔法5Lv][錬金術8Lv][鍛冶7Lv][木工細工6Lv][大工4Lv][採取5Lv][伐採5Lv][解体4Lv][採掘4Lv][金属細工5Lv][裁縫3Lv][料理2Lv]
【 加 護 】 [女神ノルンの加護(隠匿)]
【 従 魔 】 [アルケニー特異種(カエデ)]
【 称 号 】 [ジャイアントキリング]
3 鉱山の町
思わぬエルダートレントとの戦いのあと、僕はヒースさん達と合流するために、森を出て少し離れた場所へ急いだ。
そこには枝を切り落とされたトレント材が積み上げられていた。
「よう! タクミ達も無事だったか」
「ヒースさん達も無事で何よりです」
「さっそく、トレントの収納を頼んで良いか?」
「わかりました」
ヒースさん達はギルドからアイテムバッグを借りてきていたが、容量いっぱい入れてもトレント材は五本しか入らなかったそうだ。
僕は積み上げられたトレント材をアイテムボックスへ収納する。
「タクミの収納魔法は容量がすげえな」
「僕は魔力量が多めみたいです」
僕がユニークスキルの「アイテムボックスEX」を持っているのを誤魔化すために、ライルさんに適当な理由を話しておく。
「じゃあ馬車まで戻るか。ドワーフのおっさんも待ちくたびれてるだろう」
「はい」
僕達は森から離れた場所で待機していたドガンボさんのところへ行った。ドガンボさんは御者台で暇を持て余していた。
「ドガンボさん、変わりありませんでした?」
「ああ、こっちは大丈夫じゃ」
今日はもう遅くなってしまったのでここで野営することになった。明日の朝ヒースさん達はボルトンの町に戻り、僕達はホルアスへ向かうことにした。
「じゃあなタクミ、またボルトンで会おうぜ」
「はい、ヒースさんもお気をつけて」
翌朝、別れの挨拶を交わしたあと、ヒースさんが真剣な表情を見せた。
「タクミ、この街道はたまに盗賊が出没することもある。もしそんな奴らに遭遇しちまったときは……殺すことを迷うな。奴らを見逃せば、それだけ善良な領民の命が失われるんだ。盗賊は男は殺し、女は犯し尽くして売り払う。そういうことを想像してみるんだ」
人を殺した経験がない僕を察して、忠告してくれたみたいだ。
僕は平和ボケした日本で、荒事に巻き込まれることなく平凡な人生を送っていた、いわば小市民だった。それでもこの世界で最初に壊滅した廃村を見たときに、ここが危険と隣り合わせの世界だとすぐに認識できた。
だからと言って、僕に人を殺せるかというのは別の話だと思うけど……
でも僕は大丈夫な気がしている。
この世界に来てから、これまで生き物を殺したこともなかった僕が、角ウサギを殺してもブレードディアを狩っても精神的な揺らぎはなかった。
もちろん人を殺すことの忌避感はある。
けど、この世界はそういう世界だと、すでに僕の魂に刻まれている。
きっとこれは、女神ノルン様がそうしてくれたんだと思う。日本の倫理観や道徳観を引きずって、僕の心が壊れないように。
「大丈夫ですヒースさん。ソフィアやマリアを護るためなら、たとえ人を殺すことになったとしても、ためらう理由がありません」
「そうだ、その気持ちを忘れるな」
ヒースさんの話では、冒険者のDランクからは盗賊討伐の依頼や商隊の護衛依頼があるそうだ。そして、盗賊と対峙したとき躊躇した奴から死んでいくと言っていた。
僕がこの依頼を終えるとDランクに上がるのも知っていて、ヒースさんはアドバイスをしてくれたんだと思う。
真面目だった表情を崩して、ヒースさんが告げる。
「じゃあまたボルトンでな」
「はい、ヒースさんもお気をつけて!」
「………………」
「ボガさんもお元気で!」
ボガさんは相変わらずずっと無口だったな。
僕達の乗る馬車と、ヒースさん達の乗る馬車は、それぞれ反対の方向へ走りだしていった。
僕達は死の森を右手に見ながら、ホルアスへの街道を進む。
それから野営を二回挟んで進むと死の森が見えなくなり、ゴロゴロとした岩が目立つどこか荒涼とした風景に変わっていった。
◇
「ウォーターアロー!」
マリアの水属性魔法が全長2メートルを超えるトカゲに突き刺さる。
このトカゲの魔物はロックリザード。岩のように硬い鱗を持ち、物理攻撃には強いが水属性魔法や氷属性魔法に弱い。
ロックリザードは、景色に岩場が増えてきた頃から僕達の馬車を頻繁に襲ってきていた。でも動きは速くないため、僕とマリアの水属性魔法や氷属性魔法の練習台になった。
「結構厄介な魔物なんだがな」
ロックリザードを解体しながら、ドガンボさんが呆れたように呟く。
ロックリザードは、その岩のような鱗が鎧や盾の素材になるらしい。解体しながらドガンボさんが解説してくれる。
「でもな、こやつのはそのまま使えねえんだよ」
水属性と氷属性に弱い特徴を素材になっても引き継いでしまうそうで、それを緩和する手順が面倒なんだとか。
「あと、肝臓が薬の素材に使えるんですよね」
解体を手伝いながら、僕はドガンボさんに確認する。
「薬師じゃねえから詳しく知らねえが、熱病の薬の材料になるらしいぞ」
なら一応、自分達用に少し確保しておくか。
でも、僕達には病気の薬ってあまり重要じゃないんだよね。というのも、僕の回復魔法は病気も治すことができるから。
ところが、この世界の人達が使う回復魔法は違うらしい。
僕の回復魔法は病気も怪我も同じように治すけど、他の神官が使う回復魔法は病気にはあまり効かないようだ。
これは、この世界の人が病気の原因を知らないせいだと僕は考えている。
僕はユニークスキルの鑑定EXのおかげで、病気の詳細を調べることができる。病気の原因が菌によるものか、ウイルスによるものか、その他違う理由によるものかわかるのだ。あとは僕がその原因を取り除くイメージで回復魔法を使うだけだ。
それから僕達は、ヒースさんが心配していた盗賊に遭うこともなく、予定より一日遅れでホルアスの町が見える高台にたどり着いた。
「へぇ~、あれがホルアスの町か」
高台から見えるホルアスは、岩山に囲まれたまさに鉱山の町だった。
町中から幾筋もの煙が立ちのぼり、金属加工の工房が多くあることが一目でわかる。町の周辺には、鉱山から出た残土がいくつものボタ山となっていた。
「ホルアスは鉱山の町だけあって、鉱夫や鍛冶師が多い。荒っぽい奴らには気をつけるんじゃぞ」
ドガンボさんが言うには、ホルアスには犯罪奴隷が多く送り込まれていて、鉱山で採掘の仕事をさせられているらしい。そんな町だから治安はボルトンと比べるとかなり悪く、トラブルに巻き込まれないように気をつけろと言われた。
「(ドガンボさん、それはフラグが立つって言うんだよ)」
高台から降りて道を進んで、ホルアスの門に向かう。
ホルアスの町の門前には、たくさんの商隊が列をなしていた。
僕達は列の最後尾に並び、門をくぐるのにずいぶん時間がかかったが、日が暮れる前にホルアスの町に入ることができた。
4 坑道の討伐依頼
夕暮れ間近、ホルアスの町に入った僕達は、ドガンボさんの勧めで「穴熊の棲家亭」という宿屋へやってきた。
「こっちだ、こっちだ!」
ドガンボさんは馬車を宿の専用スペースに停めると、魔馬を外して宿の従業員に世話を頼んだ。
「ここは俺が若いときから世話になってる宿でな、安くて飯がうまいんだ」
ドガンボさんは一人ツカツカと宿へ入っていく。僕らは慌ててあとを追った。
「おう! 部屋は空いとるか!」
ドガンボさんが大きな声でカウンターに向かって尋ねる。
「おや、珍しい。ドガンボじゃないか。久しぶりだね」
奥から出てきたのは、貫禄のある女将さんという感じの女性だった。
「おおノーラ、久しぶりじゃのう。今日はこのタクミ達と泊まりたいんじゃが、部屋は空いとるか?」
「部屋数はどうする?」
ドガンボさんが僕の顔を見る。
「一人部屋と三人部屋の、二部屋でお願いします」
「えっ!?」
僕が何か言う前に、ソフィアが宿の女将さんに言った。
「おやおや、じゃあドガンボが301号で一人部屋、そちらの三人は403号で四人部屋を使ってくれるかい」
「ありがとうございます」
ノーラさんがドガンボさんとソフィアに鍵を渡す。
「とりあえず三日でおいくらになりますか?」
「朝と夜の食事付きで一人部屋が一泊銀貨5枚、四人部屋が三人使用で一泊銀貨10枚、二つ合わせて三日分で銀貨45枚だね」
僕はドガンボさんの分もまとめて支払う。
「夕食はどうする? 今ならすぐに食べられるよ」
「お願いします」
ちょうどお腹が空いていたので、そのまま一階の食堂兼酒場で食事をすることにした。
ドガンボさんがうまいと言っていた通り、料理はとても美味しかった。肉体労働者が多い鉱山の町だけあって味は少し濃いめだったけど、これはこれでありだ。この世界では貴重な香辛料が利いた刺激的な味だったのは、ドワーフ料理の影響が強いためらしい。
部屋に入って亜空間からカエデを出し、カエデにご飯を食べさせる。それからみんなに汚れを綺麗にする魔法ピュリフィケーションをかけた。
この日はそのまま大人しくして別々のベッドで寝た。カエデだけは僕のベッドに潜り込んで、しがみ付いて寝てたけど。
「おはようございます」
「おう、早いのう」
朝、一階に下りると、ドガンボさんがすでにテーブルに座っていた。
「それで今日のことなんじゃが、タクミは冒険者ギルドで坑道の討伐依頼を受けるんじゃな」
そう、依頼をこなしながら鉱石の採掘をする予定だった。
本当は鍛冶師ギルドのメンバーじゃないと鉱山に入れないんだけど、裏ワザがあって、鉱山の魔物を討伐する依頼を受ければ、討伐という名目で鉱山に入れる。そのついでに鉱石を採ることは問題ないらしい。
「はい、そのつもりです」
「じゃあ俺はタクミに付いていって鉱石を掘ろう。俺は鍛冶師ギルドに加入しておるので、鉱山での採掘は自由じゃからな」
朝食を済ませたあと、冒険者ギルドへ向かった。
ホルアスの冒険者ギルドは、ボルトンのギルドに比べてふた回りほど小さな建物で、その中は冒険者でごった返していた。
ボルトンではドガンボさんしか見なかった、ずんぐりむっくりのドワーフがいっぱいいる。その中に少数の人族と獣人族が見て取れた。
「すごい人だな」
「採掘の護衛や鉱石の運搬、魔物の討伐、仕事はいろいろあるからな」
掲示板で依頼を探す。
Dランクへの昇格は試験が必要なので、僕はボルトンへ帰らないと昇格できないけど、ソフィアとマリアはここで依頼を達成すればEランクへ上がることが可能だ。
「アイアンモール討伐? モールってモグラの魔物なのか?」
「うん、あぁ鉱石喰いだな。鉱石を餌にする魔物でな、鉱山の天敵じゃ」
ナント、鉱石を食べる魔物がいるのか。
「鉱石喰いの討伐は俺からもお願いしたいくらいじゃ。奴らはどこにでも穴を掘りやがるから、坑道が崩れる事故の原因にもなるんじゃよ」
ドガンボさんの勧めもあったし、Eランクの討伐依頼なので受けることにした。
Eランクということでわかる通り、アイアンモール自体はそれほど強くない。ただ、群れる魔物ではないので数を討伐することが難しく、あまり儲けに繋がらない依頼のようだ。なので、いつも不人気となり、常に依頼が貼り出されているらしい。ちなみに依頼元は鍛冶師ギルドだった。
依頼書を剥がして受付へと並ぶ。
受付に座っていたのは小柄な少女だった。初めて間近で見るドワーフの女性だ。
僕は思わずホッとしてしまった。
ああ、こっちの可愛いバージョンのドワーフで良かった。女性なのにビア樽体型で髭もじゃじゃだったら嫌だなと心配していたのだ。そういうのを喜ぶ属性は僕にはないし。
「はい、アイアンモールの討伐依頼ですね。ギルドカードをお願いします」
そんなことを考えていたら催促されたので、慌ててカードを差し出す。
「はい、確認しました。アイアンモールは、三匹討伐で依頼達成となります。討伐証明部位は、アイアンモールの爪になります。期限は依頼を受けてから三日間です。ではお気をつけて頑張ってください」
丁寧な受付嬢にギルドカードを返してもらい、みんなでギルドを出る。ふと思い出してソフィアとマリアに相談する。
「僕は鶴嘴持ってるけど、ソフィアとマリアの分も買った方がいいのかな」
「いやタクミ、お嬢ちゃん達は護衛で良いんじゃねえか?」
考えてみれば、ドガンボさんの言う通りかもしれない。
僕とドガンボさんが採掘している間、周囲の警戒を任せるのが普通だよね。
素材採取から物作りまで、僕は生産系の仕事にすべて手を出しているから、ソフィアとマリアにも自然と同じことを求めてしまった。
ソフィアとマリアは、別に生産職を極めたいわけじゃないのにね。
それからドガンボさんの案内で三番坑道へ向かった。
坑道は一番から五番まであるけど三番にしたのは、ミスリル鉱石とアダマンタイト鉱石を採掘できるから。
ちなみに一番坑道は鉄鉱石がメインで、二番坑道は銅鉱石と鉄鉱石、三番坑道はミスリル鉱石とアダマンタイト鉱石、四番坑道はミスリル鉱石が主に産出され、五番坑道は銀鉱石と少しの金鉱石が産出される。
何も知らない僕からすれば、三番坑道に人が集中しそうだと思っちゃうけど、そんなことはないようだ。ミスリルとアダマンタイトの精錬のハードルが高いということもあり、むしろ三番坑道はいつも空いているとドガンボさんは言っていた。
三番坑道のすぐ近くまで乗り合い馬車が出ていたのでそれに乗ると、10分程度で坑道の入り口に着いた。
「カンテラの用意は良いな、じゃあ俺のあとに付いてこい」
ドガンボさんが先頭、その後ろに僕とマリア、最後尾にソフィアとカエデという並びで、僕らは薄暗い坑道へ足を踏み入れた。
5 モグラは光が苦手?
大人が三人並べば窮屈になってしまう程度の広さしかない坑道は暗闇に包まれており、じめっとして湿っぽかった。
そんな薄暗い坑道を、カンテラの灯りを頼りに歩き続ける。
しばらくすると、コウモリの魔物、ソニックバットが出没するようになったけど、このソニックバットはアイアンモール以上に雑魚なので、カエデの暇つぶし相手にもならない。
狭い坑道でカエデの糸からは逃れられず、哀れソニックバットは真っ二つになって落ちていく。魔石もクズ魔石だし必要な素材もないので、そのまま土魔法で埋めて処理しておいた。
突然、ドガンボさんは立ち止まると、鶴嘴で坑道の壁をコツコツと叩いた。
「タクミ、この辺を少し掘るぞ」
「はい、了解です」
ドガンボさんが指示した付近を、僕とドガンボさんが鶴嘴で掘る。
ソフィアとマリアは周辺の警戒を、カエデも糸を伸ばして地下から来る魔物を感知しようとしてくれている。
「おっ、ここは当たりかもしれん。タクミ、この石を見てみろ。これがミスリル鉱石じゃ。お前は魔法職寄りじゃから魔力感知で調べてみるとええ」
ドガンボさんが試掘した石を、魔力に気をつけながらよく見てみる。
「どうじゃ、魔力を内包しておるのがわかるじゃろ。ミスリル鉱石は、この魔力と白っぽい色で判別できるんじゃ」
確かに、ただの石や鉄鉱石にはない魔力をわずかに感じることができた。
「……はい、何となくわかりました」
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