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村を造ろう
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次の日、俺とスーラで工房の建設を始めた。鍛治用の炉と練金台の設置、クレーンの設置と工作台の設置と進めていく。
「スーラ、炉の方はどうだ?」
「直ぐにでも使えるのです」
スーラが魔力を炉に取り付けられた魔石に注ぎ込み、炉に火を入れる。
「じゃあ、スーラは井戸のポンプをお願いしたいんだ」
俺はそう言って、ポンプの図面をスーラに渡す。
「……ふむふむ、なるほど、魔力に頼らず水を汲みあげる仕組みなのですな。よく出来た仕組みなのです。わかりました。スーラに任せて欲しいのです」
俺はスーラに、井戸の数だけポンプの製作を頼んで、俺は領主館の仕上げをする。
アイテムボックスに入れてあった、木材を使って、フローリング、ドア、鎧戸を作っていく。
領主館の建物は、2日ほどで完成した。
その後、俺は倉庫を幾つか土魔法で建造すると、兵舎にトイレやシャワーを設置していく。
公衆浴場も出来たので、派遣される兵士や大工、職人が来ても大丈夫だ。
平らに馴らされた土地をエル、アンナ、ルシエルが土魔法で畑にしていく。森から持って来た腐葉土を混ぜ込み、カイトが魔法で造った肥料を混ぜて耕す。
「お嬢様、畑はこの位で大丈夫だと思います」
「そうね、じゃあ帰ってお風呂にしましょう」
「「はい」」
エルレインの提案にアンナとルシエルが同意して、屋敷へと歩き出す。
王都から戻り、領地の開発を初めて10日目、王国とバスターク辺境伯から派遣された兵士達が到着した。
「ランカス団長!ご無事でしたか!」
バスターク辺境伯から派遣された兵士の中に、ランカスを知る人物が混ざっていたようだ。第一騎士団の団長を勤めていたのなら当然か。
「ゴードンか、久しいな。元気そうでなによりだ」
ランカスも久しぶりの部下との再会に嬉しそうだ。
「団長、生きていらっしゃったんですね。本当に良かった」
ゴードンと呼ばれた、身長が2メートルはある大男が涙ぐんでいる。ランカスは、部下に慕われていたんだな。
「俺もゴードンと此処で会えるとは思わなかった。俺は、半ば死んだも同然の状態を、カイト様に救われて臣下にして頂いたのだ」
「っ、カイト様!」
ガバッとゴードンと呼ばれた大男が、深く頭を下げる。
「ランカス団長を助けて頂いてありがとうございます!」
「いや、ランカスは俺が望んで雇ったんだから、お礼を言われる程の事でもないよ」
「それでゴードン、兵士の人数はこれで全員か?」
今回、ドラーク男爵家の武官として派遣されたのは、30人程だった。確かに話とは違い、少し少ない。
「いえ、我等は先遣隊です。工兵部隊として動ける者を中心に、先発隊として来ました。あと、10日後に残りの人員が合流します。総勢200名になる筈です」
「そうか、では明日からゴードンが兵士の半数を率いて工兵訓練の指揮をとれ。残りの半分は俺と魔物狩りに行く。今日の所は身体を休めるように」
ランカスがそう言ってその場は解散となった。
それから数日、大工や職人達が到着すると、早速住居の建築を始める。
下水管の位置や、浄化の魔導具取り付けを打ち合わせする。
寝泊まりは、兵舎にまだまだ空きがあるので、そこを使ってもらう事にした。
新たにドラーク男爵家の武官として、派遣された兵士達と、道路の整備や井戸へのポンプ設置、堀の掘削、治水工事を進める。
住居が数棟完成し始めた頃、入植者が到着し始める。
農業従事者が来た事により、畑の開墾が始まる。
ゴゴゴゴゴッーーーー!!
俺が地面に手をついて、土魔法を発動すると、地面がウネリ四角く平坦な畑が出来上がる。長年自給自足の生活を送って来た俺にとって、畑仕事は慣れたものだ。
土が深く掘り起こされた畑に、もう一度魔法を行使する。
ゴゴゴゴゴーーーー!!
見る見るうちに、畑に畝が出来上がる。
あとは種蒔きを待つばかりとなった畑を見て、俺は一人呟く。
「はぁ~、お米が食べたい」
この領地は、温暖で平野部も広く水も豊富で米作りに適しているんだけど、肝心のお米を見た事がないんだよな。
目の前に広がる広大な農地を見て切実に思う。
「無い物を思うより、目の前の仕事を片付けないとな」
海岸の一画に、流下式塩田が造られていた。ただ、稼働して間もない為、当座の必要量を俺が魔法で用意する。海水から塩を取り出す簡単なお仕事だ。
次々に出来上がる塩を、これも魔法で作った壺に入れて、アイテムボックスに収納していく。
スタートは、俺達や兵士を含めて300人程度の人口を数年支えるだけの分量を精製しておく。
塩作りが始まれば、余剰分は王国へ販売する契約を結んでいる。戦略物資である塩を他国に頼らない事は王国発展の為に必要な事なのだから。
流下式塩田では、早速王国から送り込まれた人員により塩作りが続けられ、その横では新たな流下式塩田の建設が始まっていた。
エルは、アンナさんとルシエルを連れて、東の山脈に続く丘陵地で、果樹の苗を植え付けている。
スーラは工房に籠り魔導具を作っていた。灯りの魔導具や浄化の魔導具を量産している。最低限住民には、灯りの魔導具と浄化の魔導具は支給する事にしているからだ。
コレットは、村に建てられた教会で神官の仕事をしている。作業中怪我をした大工や職人の治癒もコレットの仕事だ。
ただ、変に立派な教会を建ててしまったせいか、王都の教会本部から神職を数人派遣する旨連絡を受けた。まだまだ小さな村だから、コレットだけで十分なのだが、宗教はややこしい。
ルキナは、一杯遊んで、一杯勉強している。やっぱり子供は元気じゃないとだめだ。母親のイリアには、ルキナに勉強を教える事を頼んである。
それといつの間にか、イリアとコレットが俺の妾になっていた。エルとイリア、コレットで話し合ったらしい。そこに俺が口を挟む事は許されなかった。それに、ルキナが俺の事を『パパ』と呼ぶようになっている。エルがニヤニヤしていたから、エルの差し金だろう。
イリアにしても、旦那さんを亡くしてそんなに時間が経ってないけど、獣人の本能が俺を求めているそうだ。……よく分からん。イリアもコレットも美人でスタイルも抜群なので文句などないが。
まぁ、でも俺の領地は、良いスタートを切れたと思おう。
「スーラ、炉の方はどうだ?」
「直ぐにでも使えるのです」
スーラが魔力を炉に取り付けられた魔石に注ぎ込み、炉に火を入れる。
「じゃあ、スーラは井戸のポンプをお願いしたいんだ」
俺はそう言って、ポンプの図面をスーラに渡す。
「……ふむふむ、なるほど、魔力に頼らず水を汲みあげる仕組みなのですな。よく出来た仕組みなのです。わかりました。スーラに任せて欲しいのです」
俺はスーラに、井戸の数だけポンプの製作を頼んで、俺は領主館の仕上げをする。
アイテムボックスに入れてあった、木材を使って、フローリング、ドア、鎧戸を作っていく。
領主館の建物は、2日ほどで完成した。
その後、俺は倉庫を幾つか土魔法で建造すると、兵舎にトイレやシャワーを設置していく。
公衆浴場も出来たので、派遣される兵士や大工、職人が来ても大丈夫だ。
平らに馴らされた土地をエル、アンナ、ルシエルが土魔法で畑にしていく。森から持って来た腐葉土を混ぜ込み、カイトが魔法で造った肥料を混ぜて耕す。
「お嬢様、畑はこの位で大丈夫だと思います」
「そうね、じゃあ帰ってお風呂にしましょう」
「「はい」」
エルレインの提案にアンナとルシエルが同意して、屋敷へと歩き出す。
王都から戻り、領地の開発を初めて10日目、王国とバスターク辺境伯から派遣された兵士達が到着した。
「ランカス団長!ご無事でしたか!」
バスターク辺境伯から派遣された兵士の中に、ランカスを知る人物が混ざっていたようだ。第一騎士団の団長を勤めていたのなら当然か。
「ゴードンか、久しいな。元気そうでなによりだ」
ランカスも久しぶりの部下との再会に嬉しそうだ。
「団長、生きていらっしゃったんですね。本当に良かった」
ゴードンと呼ばれた、身長が2メートルはある大男が涙ぐんでいる。ランカスは、部下に慕われていたんだな。
「俺もゴードンと此処で会えるとは思わなかった。俺は、半ば死んだも同然の状態を、カイト様に救われて臣下にして頂いたのだ」
「っ、カイト様!」
ガバッとゴードンと呼ばれた大男が、深く頭を下げる。
「ランカス団長を助けて頂いてありがとうございます!」
「いや、ランカスは俺が望んで雇ったんだから、お礼を言われる程の事でもないよ」
「それでゴードン、兵士の人数はこれで全員か?」
今回、ドラーク男爵家の武官として派遣されたのは、30人程だった。確かに話とは違い、少し少ない。
「いえ、我等は先遣隊です。工兵部隊として動ける者を中心に、先発隊として来ました。あと、10日後に残りの人員が合流します。総勢200名になる筈です」
「そうか、では明日からゴードンが兵士の半数を率いて工兵訓練の指揮をとれ。残りの半分は俺と魔物狩りに行く。今日の所は身体を休めるように」
ランカスがそう言ってその場は解散となった。
それから数日、大工や職人達が到着すると、早速住居の建築を始める。
下水管の位置や、浄化の魔導具取り付けを打ち合わせする。
寝泊まりは、兵舎にまだまだ空きがあるので、そこを使ってもらう事にした。
新たにドラーク男爵家の武官として、派遣された兵士達と、道路の整備や井戸へのポンプ設置、堀の掘削、治水工事を進める。
住居が数棟完成し始めた頃、入植者が到着し始める。
農業従事者が来た事により、畑の開墾が始まる。
ゴゴゴゴゴッーーーー!!
俺が地面に手をついて、土魔法を発動すると、地面がウネリ四角く平坦な畑が出来上がる。長年自給自足の生活を送って来た俺にとって、畑仕事は慣れたものだ。
土が深く掘り起こされた畑に、もう一度魔法を行使する。
ゴゴゴゴゴーーーー!!
見る見るうちに、畑に畝が出来上がる。
あとは種蒔きを待つばかりとなった畑を見て、俺は一人呟く。
「はぁ~、お米が食べたい」
この領地は、温暖で平野部も広く水も豊富で米作りに適しているんだけど、肝心のお米を見た事がないんだよな。
目の前に広がる広大な農地を見て切実に思う。
「無い物を思うより、目の前の仕事を片付けないとな」
海岸の一画に、流下式塩田が造られていた。ただ、稼働して間もない為、当座の必要量を俺が魔法で用意する。海水から塩を取り出す簡単なお仕事だ。
次々に出来上がる塩を、これも魔法で作った壺に入れて、アイテムボックスに収納していく。
スタートは、俺達や兵士を含めて300人程度の人口を数年支えるだけの分量を精製しておく。
塩作りが始まれば、余剰分は王国へ販売する契約を結んでいる。戦略物資である塩を他国に頼らない事は王国発展の為に必要な事なのだから。
流下式塩田では、早速王国から送り込まれた人員により塩作りが続けられ、その横では新たな流下式塩田の建設が始まっていた。
エルは、アンナさんとルシエルを連れて、東の山脈に続く丘陵地で、果樹の苗を植え付けている。
スーラは工房に籠り魔導具を作っていた。灯りの魔導具や浄化の魔導具を量産している。最低限住民には、灯りの魔導具と浄化の魔導具は支給する事にしているからだ。
コレットは、村に建てられた教会で神官の仕事をしている。作業中怪我をした大工や職人の治癒もコレットの仕事だ。
ただ、変に立派な教会を建ててしまったせいか、王都の教会本部から神職を数人派遣する旨連絡を受けた。まだまだ小さな村だから、コレットだけで十分なのだが、宗教はややこしい。
ルキナは、一杯遊んで、一杯勉強している。やっぱり子供は元気じゃないとだめだ。母親のイリアには、ルキナに勉強を教える事を頼んである。
それといつの間にか、イリアとコレットが俺の妾になっていた。エルとイリア、コレットで話し合ったらしい。そこに俺が口を挟む事は許されなかった。それに、ルキナが俺の事を『パパ』と呼ぶようになっている。エルがニヤニヤしていたから、エルの差し金だろう。
イリアにしても、旦那さんを亡くしてそんなに時間が経ってないけど、獣人の本能が俺を求めているそうだ。……よく分からん。イリアもコレットも美人でスタイルも抜群なので文句などないが。
まぁ、でも俺の領地は、良いスタートを切れたと思おう。
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