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ドラーク伯爵領の防衛体制
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大陸の北西部に位置する、強固な結界に護られた豊かな森の中にその国はあった。
フォランバード王と六人の長老が治める国、サーリット王国があった。
サーリット王国の諜報を担う【影】と呼ばれる組織から、ひとつの重大な報告がもたらされた。
嘗てサーリット王国の英雄と呼ばれ、最年少の長老候補だったルシエルが子供を産んだという事。
しかし問題はその赤子がハイエルフらしいとの報告が影からもたらされる。
それを聞いた愚王フォランバードは、六長老が諌めるのも聞かず、ルシエルの娘を手に入れようと動きだす。
フードを目深に被り、身体的な特徴を隠した集団が、一路南東方向へと分散しながら目指していた。
ある者は馬を駆り、ある者は馬車に乗り、先ず王都を目指しその先にあるドラーク領を目指す。
ただドラーク領への侵入は簡単ではなかった。
領都はへは、街道以外を進もうとすると魔物の領域である深い森が侵入を阻み、安全な整備された街道を使うと領都へ密かに近付くのが難しい。
さらに領都は堅固な城壁に囲まれ、門以外からの侵入は不可能に近かった。
影の面々は冒険者や商人を装い、門からの領都内へ入る事が出来たが、門に立つ兵士や街を巡回する守備隊の実力に、背中に冷たい汗を流す事になる。
サーリット王国からドラーク領へ侵入した影のメンバーは、領都の宿に部屋とるとそこで情報交換しながら今後の計画について話し合っていた。
遮音の魔導具を部屋に設置するとリーダー格の男が話し始める。
「思った以上に難しいな」
部屋の中でもフードを目深に被ったまま、苦々しく呟いた。
「目標の屋敷を確認しましたが、遠くから見ただけでも難易度が高いとしか言えません」
他のメンバーも声は沈んでいる。
「先ず領都の門が予想以上に堅固だ。ただの門兵とは思えん兵士だらけだ。街の中には守備隊の巡回が常に目を光らせている。この守備隊がさらに厄介だ。あれだけの精強な兵士が巡回警備とは、このドラーク伯爵領とは何なんだ」
目標の屋敷に侵入しルシエルの娘を確保。その後、この街から逃走しないといけないのだから、街中や門の警備が想定以上に厳重で、成功するイメージが湧かない。
そこに遅れて合流して来た影のチームが部屋に入って来た。
「……目標の居る屋敷を偵察して来ました」
「で、どうだった」
リーダーが屋敷の警備体制を聞いた。
「先ず屋敷自体に何がしかの魔導具は仕掛けられているようです。ただ詳細は不明です。
次に門兵は相当な実力を持つ騎士と、多分あれはゴーレムなのでしょう。騎士型ゴーレムが門を護っていたした。我等エルフだから気付けたのでしょう。それ程良く出来たゴーレムでした。
敷地内にも騎士型ゴーレムが巡回しているようです。あの距離からではこの程度が限界です。いや、既に気付かれたかもしれません」
その報告を受けた部屋の中の空気が重くなる。
「屋敷の中を探る方法を考えないとな。最低でも目標の居る部屋が分からないとな」
「屋敷に居る使用人を脅して場所を吐かせれば良いのでは?人質にもなりますし」
カイト以下屋敷の中に居る者は、産まれたての子供達以外は、ほぼ自分達よりも強者であるという事が想像出来ない時点で、彼等影の運命は決まっていたのかもしれない。
その後、時間を掛けて屋敷に居る使用人を含めた全ての者の調査を始めた。
その中で屋敷には、ドラーク伯爵の妻の一人でもある兎人族の女の娘が居る事が分かった。その他にも屋敷の中には女の人数が多い事が判明する。
これはアラクネのエピルやラミアのラヴィン、ハーピーのフィーネ達なのだが、彼女達がどれ程の力を持つか、実際にその目にした訳ではないので、ただの使用人程度にしか想定出来なかった。
「使用人の女が多いのなら、こちらには好都合だな」
「はい、ドラーク伯爵が居ない隙を狙えば、屋敷に侵入出来さえすれば成功するでしょう」
サーリット王国の影は、カイトの事を極端に怖れている。国を覆う結界を個人で破壊したバケモノだ。ゴンドワナ帝国との戦いの詳細もある程度伝わっている。故にカイトが屋敷を留守にしている時を狙って作戦を決行する事は絶対だった。幸いにもカイトは忙しく領地を飛び廻っている。
あとは決行のタイミングを待つばかりだった。
影がフーガ達諜報部に泳がされているとも知らずに…………。
フォランバード王と六人の長老が治める国、サーリット王国があった。
サーリット王国の諜報を担う【影】と呼ばれる組織から、ひとつの重大な報告がもたらされた。
嘗てサーリット王国の英雄と呼ばれ、最年少の長老候補だったルシエルが子供を産んだという事。
しかし問題はその赤子がハイエルフらしいとの報告が影からもたらされる。
それを聞いた愚王フォランバードは、六長老が諌めるのも聞かず、ルシエルの娘を手に入れようと動きだす。
フードを目深に被り、身体的な特徴を隠した集団が、一路南東方向へと分散しながら目指していた。
ある者は馬を駆り、ある者は馬車に乗り、先ず王都を目指しその先にあるドラーク領を目指す。
ただドラーク領への侵入は簡単ではなかった。
領都はへは、街道以外を進もうとすると魔物の領域である深い森が侵入を阻み、安全な整備された街道を使うと領都へ密かに近付くのが難しい。
さらに領都は堅固な城壁に囲まれ、門以外からの侵入は不可能に近かった。
影の面々は冒険者や商人を装い、門からの領都内へ入る事が出来たが、門に立つ兵士や街を巡回する守備隊の実力に、背中に冷たい汗を流す事になる。
サーリット王国からドラーク領へ侵入した影のメンバーは、領都の宿に部屋とるとそこで情報交換しながら今後の計画について話し合っていた。
遮音の魔導具を部屋に設置するとリーダー格の男が話し始める。
「思った以上に難しいな」
部屋の中でもフードを目深に被ったまま、苦々しく呟いた。
「目標の屋敷を確認しましたが、遠くから見ただけでも難易度が高いとしか言えません」
他のメンバーも声は沈んでいる。
「先ず領都の門が予想以上に堅固だ。ただの門兵とは思えん兵士だらけだ。街の中には守備隊の巡回が常に目を光らせている。この守備隊がさらに厄介だ。あれだけの精強な兵士が巡回警備とは、このドラーク伯爵領とは何なんだ」
目標の屋敷に侵入しルシエルの娘を確保。その後、この街から逃走しないといけないのだから、街中や門の警備が想定以上に厳重で、成功するイメージが湧かない。
そこに遅れて合流して来た影のチームが部屋に入って来た。
「……目標の居る屋敷を偵察して来ました」
「で、どうだった」
リーダーが屋敷の警備体制を聞いた。
「先ず屋敷自体に何がしかの魔導具は仕掛けられているようです。ただ詳細は不明です。
次に門兵は相当な実力を持つ騎士と、多分あれはゴーレムなのでしょう。騎士型ゴーレムが門を護っていたした。我等エルフだから気付けたのでしょう。それ程良く出来たゴーレムでした。
敷地内にも騎士型ゴーレムが巡回しているようです。あの距離からではこの程度が限界です。いや、既に気付かれたかもしれません」
その報告を受けた部屋の中の空気が重くなる。
「屋敷の中を探る方法を考えないとな。最低でも目標の居る部屋が分からないとな」
「屋敷に居る使用人を脅して場所を吐かせれば良いのでは?人質にもなりますし」
カイト以下屋敷の中に居る者は、産まれたての子供達以外は、ほぼ自分達よりも強者であるという事が想像出来ない時点で、彼等影の運命は決まっていたのかもしれない。
その後、時間を掛けて屋敷に居る使用人を含めた全ての者の調査を始めた。
その中で屋敷には、ドラーク伯爵の妻の一人でもある兎人族の女の娘が居る事が分かった。その他にも屋敷の中には女の人数が多い事が判明する。
これはアラクネのエピルやラミアのラヴィン、ハーピーのフィーネ達なのだが、彼女達がどれ程の力を持つか、実際にその目にした訳ではないので、ただの使用人程度にしか想定出来なかった。
「使用人の女が多いのなら、こちらには好都合だな」
「はい、ドラーク伯爵が居ない隙を狙えば、屋敷に侵入出来さえすれば成功するでしょう」
サーリット王国の影は、カイトの事を極端に怖れている。国を覆う結界を個人で破壊したバケモノだ。ゴンドワナ帝国との戦いの詳細もある程度伝わっている。故にカイトが屋敷を留守にしている時を狙って作戦を決行する事は絶対だった。幸いにもカイトは忙しく領地を飛び廻っている。
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影がフーガ達諜報部に泳がされているとも知らずに…………。
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