異世界立志伝

そして王となる

　サーメイヤ王国、ゴンドワナ帝国、ローラシア王国の三ヶ国で同時に起こった内乱は、エルフが治める国サーリット王国やドワーフが治めるガウン王国をも巻き込み、大陸全土が混沌とし始めた。

　バスターク辺境伯ゴドウィンとドラーク伯爵カイトは、サーメイヤ王国を瞬く間に鎮圧していく。
　その過程で、ベルトルト公爵が擁立する現王クレモンが、カイト達中立派への討伐命令を出すに至る。

　事ここに至り、ゴドウィンとカイトはクレモン王と決別する事を決意する。

　アレクシア王太后は、ノーラン王弟を擁立するよりも、クララ王女をカイトへと嫁がせ、サーメイヤ王国を一新する事をカイトとゴドウィンに提案する。

　サーメイヤ王国での内乱は、バスターク辺境伯軍とドラーク伯爵軍を中心とした中立派が圧倒し、あっという間に国内を統一する。

　ベルトルト公爵は国外逃亡。

　クレモン王は教会で幽閉され余生を送る事になる。

　国内を統一したカイトは、内乱続くゴンドワナ帝国とローラシア王国の領土の一部を切り取る。その事で危機感を持った両国の内乱は急速に鎮火する。

　結果、サーメイヤ王国は、停戦時にはゴンドワナ帝国とローラシア王国の一部を領土とし、大陸一の大国となった。

　サーメイヤ国内では、多くの貴族派や国王派の貴族が没落したが、カイトとゴドウィンは、過去に貴族派や国王派であっても、有能な人物は積極的に登用し、国内の動揺を最小限に抑えた。

　王弟のノーランは、公爵家を起こし王国を補佐し、バスターク辺境伯は変わらずサーメイヤ王国の盾として、縮小して力を落としたゴンドワナ帝国とローラシア王国を永く抑え続けた。



　カイトはクララを娶り王となり、その後永くサーメイヤ王国を統治した。

　大陸から戦乱が無くなった頃、カイトは王をクララとの間に生まれた王子に譲ると、旧ドラーク伯爵領、現ドラーク大公領で、妻や子供、孫達と静かに暮らした。
　旧ドラーク伯爵領は、発足当初からそうだったように、多種族が差別なく穏やかに暮らせる理想郷として、大陸中から知られる事になっていた。

　人族、獣人族、エルフ、ドワーフ、ホビット、アラクネ、ラミア、ハーピー、様々な種族が助け合いながら暮らす様を見ながら、カイトと家族達は穏やかな晩年を過ごしたと伝えられている。