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十二話 小さな武神
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ルミエール伯爵家の訓練場は、城の敷地の広さに比例して広大だ。
その外周を身体強化抜きで走っているのは、私とララ、マーテル、パティ、ノックスの従者候補。
身体強化をしない状態で走っているのは、純粋な身体能力を鍛える為だ。
地面に大の字になって転がるララやマーテル、ノックスにパティ。
「ハァ、ハァ、ハァ、し、死ぬ」
「吐きそうだわ。死んでも吐かないけど」
「おっ、お嬢っ、こ、これ、毎日するのか?」
「…………」
「まだたった五週じゃない。慣れたら距離は増やすし、そのうち重しを担いでもらうわよ」
走るのは、武術でも重要な足腰の強化と持久力をつけるのにもってこいだ。慣れたら大岩を担いで走り込みさせてやる。
「なぁ、お嬢ってこんなだったか?」
「私達よりも多く走ってるのに平気だし、なんか丸太を担いでるし、ユーリはどこへ行くつもり?」
「子供が、ましてや女の子がする訓練メニューでしょうか?」
「ウッ、ウプッ」
ノックス達がごちゃごちゃ言ってるけど気にしない。前世の全盛期よりもはるかに動けるんだもの。鍛えるのが楽しくて仕方ないわ。
勿論、身体強化全開での訓練もする。魔力操作の訓練や魔力量の増加、魔力の回復速度の上昇など、する意味は多いからね。
そしてその訓練場で、私は皆んなに稽古を付けていた。
「マーテル、剣を力任せに振り回し過ぎよ。もっと相手を見て!」
この世界の剣は、両刃の西洋風の剣、ロングソードと呼ばれる物が主流だから、叩き付けるように振り回す傾向が強いのよね。しかも力任せで動きも単調だ。
これは対人戦に特化した地球の武術とは違い、この世界では危険な魔物が多い所為もあるんでしょう。魔物が相手なら、魔力による身体強化で力任せも悪くないと思う。
私はオリハルコンの長杖を使い、皆んなの模擬戦の相手をしながら指導していた。
「も、もう、限界っ!」
「じゃあ、次は、ララね」
「ユーリったら、変わり過ぎよ!」
手加減はしているけど、私にボコボコにされたマーテルが地面に転がると、次はララを指名する。
ララは、マーテルよりも軽めの剣を使う技巧派だけど、長杖を持つ私の脅威にはなり得ない。八十年近く磨き続けた武術は伊達じゃない。
「ララは、頭で考え過ぎね。それ自体は悪くないけど、動きがぎこちないわよ」
ララは、地頭が良いから、こんな模擬戦をした時でも考え過ぎてしまいがちだ。相手を観察して対処を考える事自体は悪くない。でも、それは自分の技量が後の先をとれるレベルじゃないとね。
「クッ、強過ぎるわよ!」
「お疲れさま。次は、パティ」
「は、はい!」
パティは、もともと平民なので、剣を振り始めてそんなに経っていない。ただ、パティの真面目な性格もあって、とても素直な剣筋をしている。まあ、それでもマーテルやララと比べると、素人っぽいのは仕方ない。
「パティは、とにかくたくさん剣を振ることね。その後、小手先の技術を学びなさい」
「ひっ、は、はいぃ!」
まだまだ素人のパティは、正しい姿勢、正しい歩法を身に付ける時期だと思う。
「じゃあ、ノックス」
「おう!」
ノックスは、私達よりも一つ歳上で男の子という事もあり体も大きいし、身体強化無しの力も強い。
「ノックス、悪くはないけど、対人戦ではもう少し虚実を学びなさい。それ以外はこのまま成長していけばいいと思うわ」
「はぁはぁ、クソッ! 前のお嬢も才能あると思ってたけど、もう別人じゃないか」
地面に大の字に寝転がり、息を整えながらそう言うけど、少し前までの私と比べるとそう思うのは仕方ないわね。
私は長杖をクルクルと回しながら、何故か並ぶガーランドやマーカス、ジェス、そして……
「どうしてお父さままで並んでるのですか?」
「決まってるじゃないか。少し観ているだけで分かるよ。僕が身に付けているものより、武術として遥かに洗練されているってね」
「そうですぞ。是非、我らともお手合わせをお願いしますぞ」
「……まぁ、私の鍛錬にもなるからいいですけどね」
私は、アレクお父さま達と立ち合う前に、ゴクウに魔力を少し渡し、地面に転がるララやマーテル達に、回復魔法をかける。
そして始まった無限掛かり稽古。
ボコボコにしては転がる人数がある程度になると、ゴクウに魔力を渡してまとめてエリアヒールをかける。
しかも、アレクお父さま達大人組みは、いつの間にか、全力ではないけど身体強化の魔法有りでの立ち合いになったので、それはもう激しい戦闘になった。
そのうち、騎士団で仕事のないメンバーが集まってきて、若手の団員なんかは四~五人ずつまとめて相手する始末。大人が寄ってたかって、七歳の私に掛かって来るって、どういうつもりなんだろう。まあ、それをボコボコにしている私に言われたくないでしょうけどね。
天津無双流の捌き、流水の極意で剣をいなし無力化する。それだけでなく、太極拳や八極拳で学んだ化勁をも駆使する。纏絲勁まで使わされたのには驚きを通り越して、賞賛してしまう。
分かってはいたけど、アレクお父さま、滅茶苦茶強いんだけど。それに、凄いスピードで洗練されていくんだけど。
剣術自体は、前世と比べても遅れている。だけど、アレクお父さまには積み重ねた実戦の強さがある。これは、現代日本に暮らしていた私には積めないものだから、とても勉強になるわ。
◇
うちの可愛い天使、ユーリがルミエール伯爵家に嵐を巻き起こしている。
最初、従者候補の子達を鍛える訓練だったものが、いつの間かガーランドを筆頭に騎士団のメンバーまで参加した訓練に波及してしまった。
僕も率先して参加した手間、あまり言えないけれど、七歳の可愛い女の子が、大の大人をバッタバッタと薙ぎ倒し、ボコボコにしてはまとめて回復魔法をかけている。
訓練に参加しているメンバーは、ボコボコにされては回復し、またユーリに向かっていくという無限ループに陥っている。
まあ、それはいいんだ。問題は、ユーリの強過ぎる武術の腕前なんだ。
ユーリ曰く魔法に関しては、五歳からフローラに教えてもらったものと、賢者殿から一月師事した程度なので、まだまだだそうだが、事武術に関しては、間違いなく僕よりも遥かに高みに居る。
「はぁ、次はお父さまですか……」
「本気でいくね」
「ええ、どうぞ」
最初、僕の番になると、ユーリに呆れた顔をされたけど、娘とはいえこれ程の強者と手合わせする機会はなかったからね。
僕は鋭く踏み込むと斬り下ろす。その斬撃をユーリはなんなく捌く。いや、そんな言葉では言い表せない。初めての感触。
僕の体が流れ、そこをユーリの長杖が、まるで生きているかのように襲いくる。
瞬間的に身体強化し、かろうじてユーリの長杖を受けるけど、その後の連撃を防ぐ事は出来なかった。
そこからは僕もスイッチが入り、激しい攻防となったんだけど、僕は終始ユーリの掌の上だった。
体格が大人と子供なので、圧倒的に僕が有利な筈なんだけど、神機の影響でユーリの身体能力は僕と変わらない。いや、瞬間的にはユーリが上かもしれない。
更に、ユーリが持つ長杖が非常に厄介だ。時には槍のように、また時には剣のように、変幻自在の動きで僕達を翻弄する。
面白い。楽しくてたまらない。
ユースクリフ王国でも最上位に立つと自負する僕が、まだまだ成長できるんだ。楽しくない筈がない。
その日の訓練が終わった後、ガーランドと少し相談した。
「お館様。ユーリお嬢様と騎士団との訓練を週に二日。可能なら三日実施出来ないでしょうか?」
「いやガーランド。ユーリはまだ七歳だよ。騎士団の強化の為とはいえ、そんなに負担は掛けれないよ」
「う~む。それはそうですな。お嬢様は、未だ七歳でしたな」
そもそも、僕達がユーリを守るのであって、ユーリに鍛えられるって……
「まあ、あの子達の訓練に、時々参加させてもらうくらいがいいだろうね」
「そうですな。しかし、ユーリお嬢様は小さな武神ですな」
「確かに。ルミエールの小さな武神だね」
今のユーリを攫うなんて無理だろう。前世を思い出してからのユーリは、一騎当千なんて生優しいものじゃないからね。
「ユーリお嬢様は、ルミエールの至宝。他家には漏らせませんな」
「ああ、勿論王家にもね」
こんな話が漏れれば大事になるだろうけど、敵対貴族であろうが、犯罪組織、教会、そして王家にだって……、そんな輩にユーリを好きにさせるなんてあり得ない。
「まあ大丈夫でしょう。今のユーリお嬢様なら、近衛騎士団の精鋭や王家の暗部が相手でも、容易く喰い破るでしょうからな」
「ああ、僕もそう思うけど、念には念を入れて、魔法をもっと学ばせないとね」
「それも賢者様の弟子なのですから、数年もすれば問題なくなるでしょう」
「そうだね。僕達は、その数年の時間を稼がないとね」
領内のネズミは徹底的に駆除する。その所為で、王家に目を付けられる可能性は高いけど、暗部をルミエール領内に入れる方が悪い。まあ、表立って非難はしてこないだろうけどね。
その代わり、何か理由をこじつけて、人を寄越しそうだけど、領内の治安維持の為の賊狩りと言っておけば大丈夫だろう。
「ガーランド、ルミエール領を強くするぞ」
「ええ、今まで以上に、強く堅固で豊かにしてみましょう」
出来る事は何でもしよう。二度と家族が傷付かなよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あけましておめでとうございます。
この度、作者著作の「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。
2025年1月まで、楽しみにして頂けると嬉しいです。
それと「いずれ最強の錬金術師?」の17巻が12月中旬に発売されます。書店で手に取って頂ければ幸いです。
あとコミック版の「いずれ最強の錬金術師?」8巻が、12月16日より順次発売予定です。
また、コミック版の「いずれ最強の錬金術師?」1巻~7巻の増刷されます。
12月中頃には、お近くの書店に並ぶと思いますので手に取って頂ければ幸いです。
その外周を身体強化抜きで走っているのは、私とララ、マーテル、パティ、ノックスの従者候補。
身体強化をしない状態で走っているのは、純粋な身体能力を鍛える為だ。
地面に大の字になって転がるララやマーテル、ノックスにパティ。
「ハァ、ハァ、ハァ、し、死ぬ」
「吐きそうだわ。死んでも吐かないけど」
「おっ、お嬢っ、こ、これ、毎日するのか?」
「…………」
「まだたった五週じゃない。慣れたら距離は増やすし、そのうち重しを担いでもらうわよ」
走るのは、武術でも重要な足腰の強化と持久力をつけるのにもってこいだ。慣れたら大岩を担いで走り込みさせてやる。
「なぁ、お嬢ってこんなだったか?」
「私達よりも多く走ってるのに平気だし、なんか丸太を担いでるし、ユーリはどこへ行くつもり?」
「子供が、ましてや女の子がする訓練メニューでしょうか?」
「ウッ、ウプッ」
ノックス達がごちゃごちゃ言ってるけど気にしない。前世の全盛期よりもはるかに動けるんだもの。鍛えるのが楽しくて仕方ないわ。
勿論、身体強化全開での訓練もする。魔力操作の訓練や魔力量の増加、魔力の回復速度の上昇など、する意味は多いからね。
そしてその訓練場で、私は皆んなに稽古を付けていた。
「マーテル、剣を力任せに振り回し過ぎよ。もっと相手を見て!」
この世界の剣は、両刃の西洋風の剣、ロングソードと呼ばれる物が主流だから、叩き付けるように振り回す傾向が強いのよね。しかも力任せで動きも単調だ。
これは対人戦に特化した地球の武術とは違い、この世界では危険な魔物が多い所為もあるんでしょう。魔物が相手なら、魔力による身体強化で力任せも悪くないと思う。
私はオリハルコンの長杖を使い、皆んなの模擬戦の相手をしながら指導していた。
「も、もう、限界っ!」
「じゃあ、次は、ララね」
「ユーリったら、変わり過ぎよ!」
手加減はしているけど、私にボコボコにされたマーテルが地面に転がると、次はララを指名する。
ララは、マーテルよりも軽めの剣を使う技巧派だけど、長杖を持つ私の脅威にはなり得ない。八十年近く磨き続けた武術は伊達じゃない。
「ララは、頭で考え過ぎね。それ自体は悪くないけど、動きがぎこちないわよ」
ララは、地頭が良いから、こんな模擬戦をした時でも考え過ぎてしまいがちだ。相手を観察して対処を考える事自体は悪くない。でも、それは自分の技量が後の先をとれるレベルじゃないとね。
「クッ、強過ぎるわよ!」
「お疲れさま。次は、パティ」
「は、はい!」
パティは、もともと平民なので、剣を振り始めてそんなに経っていない。ただ、パティの真面目な性格もあって、とても素直な剣筋をしている。まあ、それでもマーテルやララと比べると、素人っぽいのは仕方ない。
「パティは、とにかくたくさん剣を振ることね。その後、小手先の技術を学びなさい」
「ひっ、は、はいぃ!」
まだまだ素人のパティは、正しい姿勢、正しい歩法を身に付ける時期だと思う。
「じゃあ、ノックス」
「おう!」
ノックスは、私達よりも一つ歳上で男の子という事もあり体も大きいし、身体強化無しの力も強い。
「ノックス、悪くはないけど、対人戦ではもう少し虚実を学びなさい。それ以外はこのまま成長していけばいいと思うわ」
「はぁはぁ、クソッ! 前のお嬢も才能あると思ってたけど、もう別人じゃないか」
地面に大の字に寝転がり、息を整えながらそう言うけど、少し前までの私と比べるとそう思うのは仕方ないわね。
私は長杖をクルクルと回しながら、何故か並ぶガーランドやマーカス、ジェス、そして……
「どうしてお父さままで並んでるのですか?」
「決まってるじゃないか。少し観ているだけで分かるよ。僕が身に付けているものより、武術として遥かに洗練されているってね」
「そうですぞ。是非、我らともお手合わせをお願いしますぞ」
「……まぁ、私の鍛錬にもなるからいいですけどね」
私は、アレクお父さま達と立ち合う前に、ゴクウに魔力を少し渡し、地面に転がるララやマーテル達に、回復魔法をかける。
そして始まった無限掛かり稽古。
ボコボコにしては転がる人数がある程度になると、ゴクウに魔力を渡してまとめてエリアヒールをかける。
しかも、アレクお父さま達大人組みは、いつの間にか、全力ではないけど身体強化の魔法有りでの立ち合いになったので、それはもう激しい戦闘になった。
そのうち、騎士団で仕事のないメンバーが集まってきて、若手の団員なんかは四~五人ずつまとめて相手する始末。大人が寄ってたかって、七歳の私に掛かって来るって、どういうつもりなんだろう。まあ、それをボコボコにしている私に言われたくないでしょうけどね。
天津無双流の捌き、流水の極意で剣をいなし無力化する。それだけでなく、太極拳や八極拳で学んだ化勁をも駆使する。纏絲勁まで使わされたのには驚きを通り越して、賞賛してしまう。
分かってはいたけど、アレクお父さま、滅茶苦茶強いんだけど。それに、凄いスピードで洗練されていくんだけど。
剣術自体は、前世と比べても遅れている。だけど、アレクお父さまには積み重ねた実戦の強さがある。これは、現代日本に暮らしていた私には積めないものだから、とても勉強になるわ。
◇
うちの可愛い天使、ユーリがルミエール伯爵家に嵐を巻き起こしている。
最初、従者候補の子達を鍛える訓練だったものが、いつの間かガーランドを筆頭に騎士団のメンバーまで参加した訓練に波及してしまった。
僕も率先して参加した手間、あまり言えないけれど、七歳の可愛い女の子が、大の大人をバッタバッタと薙ぎ倒し、ボコボコにしてはまとめて回復魔法をかけている。
訓練に参加しているメンバーは、ボコボコにされては回復し、またユーリに向かっていくという無限ループに陥っている。
まあ、それはいいんだ。問題は、ユーリの強過ぎる武術の腕前なんだ。
ユーリ曰く魔法に関しては、五歳からフローラに教えてもらったものと、賢者殿から一月師事した程度なので、まだまだだそうだが、事武術に関しては、間違いなく僕よりも遥かに高みに居る。
「はぁ、次はお父さまですか……」
「本気でいくね」
「ええ、どうぞ」
最初、僕の番になると、ユーリに呆れた顔をされたけど、娘とはいえこれ程の強者と手合わせする機会はなかったからね。
僕は鋭く踏み込むと斬り下ろす。その斬撃をユーリはなんなく捌く。いや、そんな言葉では言い表せない。初めての感触。
僕の体が流れ、そこをユーリの長杖が、まるで生きているかのように襲いくる。
瞬間的に身体強化し、かろうじてユーリの長杖を受けるけど、その後の連撃を防ぐ事は出来なかった。
そこからは僕もスイッチが入り、激しい攻防となったんだけど、僕は終始ユーリの掌の上だった。
体格が大人と子供なので、圧倒的に僕が有利な筈なんだけど、神機の影響でユーリの身体能力は僕と変わらない。いや、瞬間的にはユーリが上かもしれない。
更に、ユーリが持つ長杖が非常に厄介だ。時には槍のように、また時には剣のように、変幻自在の動きで僕達を翻弄する。
面白い。楽しくてたまらない。
ユースクリフ王国でも最上位に立つと自負する僕が、まだまだ成長できるんだ。楽しくない筈がない。
その日の訓練が終わった後、ガーランドと少し相談した。
「お館様。ユーリお嬢様と騎士団との訓練を週に二日。可能なら三日実施出来ないでしょうか?」
「いやガーランド。ユーリはまだ七歳だよ。騎士団の強化の為とはいえ、そんなに負担は掛けれないよ」
「う~む。それはそうですな。お嬢様は、未だ七歳でしたな」
そもそも、僕達がユーリを守るのであって、ユーリに鍛えられるって……
「まあ、あの子達の訓練に、時々参加させてもらうくらいがいいだろうね」
「そうですな。しかし、ユーリお嬢様は小さな武神ですな」
「確かに。ルミエールの小さな武神だね」
今のユーリを攫うなんて無理だろう。前世を思い出してからのユーリは、一騎当千なんて生優しいものじゃないからね。
「ユーリお嬢様は、ルミエールの至宝。他家には漏らせませんな」
「ああ、勿論王家にもね」
こんな話が漏れれば大事になるだろうけど、敵対貴族であろうが、犯罪組織、教会、そして王家にだって……、そんな輩にユーリを好きにさせるなんてあり得ない。
「まあ大丈夫でしょう。今のユーリお嬢様なら、近衛騎士団の精鋭や王家の暗部が相手でも、容易く喰い破るでしょうからな」
「ああ、僕もそう思うけど、念には念を入れて、魔法をもっと学ばせないとね」
「それも賢者様の弟子なのですから、数年もすれば問題なくなるでしょう」
「そうだね。僕達は、その数年の時間を稼がないとね」
領内のネズミは徹底的に駆除する。その所為で、王家に目を付けられる可能性は高いけど、暗部をルミエール領内に入れる方が悪い。まあ、表立って非難はしてこないだろうけどね。
その代わり、何か理由をこじつけて、人を寄越しそうだけど、領内の治安維持の為の賊狩りと言っておけば大丈夫だろう。
「ガーランド、ルミエール領を強くするぞ」
「ええ、今まで以上に、強く堅固で豊かにしてみましょう」
出来る事は何でもしよう。二度と家族が傷付かなよう。
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あけましておめでとうございます。
この度、作者著作の「いずれ最強の錬金術師?」のアニメ化が決定しました。
2025年1月まで、楽しみにして頂けると嬉しいです。
それと「いずれ最強の錬金術師?」の17巻が12月中旬に発売されます。書店で手に取って頂ければ幸いです。
あとコミック版の「いずれ最強の錬金術師?」8巻が、12月16日より順次発売予定です。
また、コミック版の「いずれ最強の錬金術師?」1巻~7巻の増刷されます。
12月中頃には、お近くの書店に並ぶと思いますので手に取って頂ければ幸いです。
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