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エーイーリが教師をやってみた
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エーイーリー先生の初授業
~お腹すいたので文化祭を壊しちゃおう~
ある日、街の治安維持組織「銀警官団」の上層部が、正気を疑うような決定を下した。
――エーイーリーを一般社会に馴染ませる再教育プログラム
内容は1か月間、地元の中学校で非常勤講師として勤務。
理由は「彼の破壊衝動を社会貢献に転換できないか」という、会議終盤の誰かが酔った勢いで口にしたような発想だった。反対意見は山ほど出たが、本人が、
「学校? 弁当あるの? ……やるー!」と目を輝かせたことで、計画はそのまま強行された。
1日目:社会科「地域の歴史」
エーイーリーは教室に入るなり、教卓にどすんと腰を下ろした。
制服の襟はすでにヨレヨレ、袖には朝食のカレーのシミ。
「先生……自己紹介お願いします」
「えーっと……エーイーリーです。よろしくねー」
にこにこ笑う教師に、生徒たちは息をのむ。
授業が始まる。教科書を開いたのは最初の30秒だけだった。
「歴史ってさ……昔の人がいっぱいいたんでしょ? ……ふぁあ、眠い」
そのまま机に突っ伏す。
5分後、がばっと顔を上げる。
「お腹すいた……」
「え、まだ10時ですよ?」
「じゃあ……壊しちゃおうかな」
白い瞳が、ほんの一瞬だけ光った。
悲鳴とともに、生徒たちは机の下へ。
――しかし次の瞬間、バキッという乾いた音。
壊されたのは、エーイーリーが手にしていた古い教科書だった。
「……あれ? お腹すかないや。よかったね!」
無邪気な笑顔だけが残り、教室の空気は、その日から永遠に凍りついた。
3日目:体育「持久走」
「走るの? いいね、楽しいね!」
そう言って、最初はのんびり歩き出した――はずだった。
「お腹すいたモード」発動。
突然の全力ダッシュ。
校庭を3周したあたりで方向感覚を失い、フェンスを突き破って隣の小学校へ侵入。
「きゃあああ!」
「わーい! みんなも走ってる! 楽しいねー!」
最終的に、銀警官団の緊急回収班が到着するまで、二校合同の即席運動会が開催されることになった。
最終日:文化祭
テーマは「地域の未来を考える」
エーイーリーの担当は、模擬店――「おにぎり屋さん」
だが彼は早々に結論を出した。
「おにぎり握るの、面倒くさい」
そして。
「お腹すいた……壊しちゃおう……」
文化祭全体を「壊す対象」に設定しかけた、その瞬間。
「先生、待ってください!」
小心者だが芯の強い生徒会長が、震える手で差し出したのは、クラス全員で握った巨大おにぎり。直径80センチ。
「……おっきい。おいしそう」
ぱくり。
「……美味しい」
「……楽しいね」
「……壊すの、やーめた」
そう言って、その場に寝転がり、すぐに爆睡。
文化祭は「謎の超巨大おにぎり」と「寝ている銀警官」の写真がSNSで拡散され、なぜか過去最高の来場者数を記録した。
後日談
エーイーリーは言った。
「教師、楽しかった。またやりたい」
学校側は「二度と来ないでください」と土下座した。
銀警官団上層部は「社会適応失敗」と判定し、再教育プログラムは永久凍結となった。
……それでもエーイーリーは、今でも時々。
「お腹すいた……学校行こっかな」と呟きながら、街をのんびり歩いているらしい。
~お腹すいたので文化祭を壊しちゃおう~
ある日、街の治安維持組織「銀警官団」の上層部が、正気を疑うような決定を下した。
――エーイーリーを一般社会に馴染ませる再教育プログラム
内容は1か月間、地元の中学校で非常勤講師として勤務。
理由は「彼の破壊衝動を社会貢献に転換できないか」という、会議終盤の誰かが酔った勢いで口にしたような発想だった。反対意見は山ほど出たが、本人が、
「学校? 弁当あるの? ……やるー!」と目を輝かせたことで、計画はそのまま強行された。
1日目:社会科「地域の歴史」
エーイーリーは教室に入るなり、教卓にどすんと腰を下ろした。
制服の襟はすでにヨレヨレ、袖には朝食のカレーのシミ。
「先生……自己紹介お願いします」
「えーっと……エーイーリーです。よろしくねー」
にこにこ笑う教師に、生徒たちは息をのむ。
授業が始まる。教科書を開いたのは最初の30秒だけだった。
「歴史ってさ……昔の人がいっぱいいたんでしょ? ……ふぁあ、眠い」
そのまま机に突っ伏す。
5分後、がばっと顔を上げる。
「お腹すいた……」
「え、まだ10時ですよ?」
「じゃあ……壊しちゃおうかな」
白い瞳が、ほんの一瞬だけ光った。
悲鳴とともに、生徒たちは机の下へ。
――しかし次の瞬間、バキッという乾いた音。
壊されたのは、エーイーリーが手にしていた古い教科書だった。
「……あれ? お腹すかないや。よかったね!」
無邪気な笑顔だけが残り、教室の空気は、その日から永遠に凍りついた。
3日目:体育「持久走」
「走るの? いいね、楽しいね!」
そう言って、最初はのんびり歩き出した――はずだった。
「お腹すいたモード」発動。
突然の全力ダッシュ。
校庭を3周したあたりで方向感覚を失い、フェンスを突き破って隣の小学校へ侵入。
「きゃあああ!」
「わーい! みんなも走ってる! 楽しいねー!」
最終的に、銀警官団の緊急回収班が到着するまで、二校合同の即席運動会が開催されることになった。
最終日:文化祭
テーマは「地域の未来を考える」
エーイーリーの担当は、模擬店――「おにぎり屋さん」
だが彼は早々に結論を出した。
「おにぎり握るの、面倒くさい」
そして。
「お腹すいた……壊しちゃおう……」
文化祭全体を「壊す対象」に設定しかけた、その瞬間。
「先生、待ってください!」
小心者だが芯の強い生徒会長が、震える手で差し出したのは、クラス全員で握った巨大おにぎり。直径80センチ。
「……おっきい。おいしそう」
ぱくり。
「……美味しい」
「……楽しいね」
「……壊すの、やーめた」
そう言って、その場に寝転がり、すぐに爆睡。
文化祭は「謎の超巨大おにぎり」と「寝ている銀警官」の写真がSNSで拡散され、なぜか過去最高の来場者数を記録した。
後日談
エーイーリーは言った。
「教師、楽しかった。またやりたい」
学校側は「二度と来ないでください」と土下座した。
銀警官団上層部は「社会適応失敗」と判定し、再教育プログラムは永久凍結となった。
……それでもエーイーリーは、今でも時々。
「お腹すいた……学校行こっかな」と呟きながら、街をのんびり歩いているらしい。
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