ガム=ジャグラ=ドミナートゥス

桂圭人

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ガシャレルVSガム

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禁忌の図書館の最奥、埃っぽい闇の中で、無数の書物が囁き合うように揺れていた。そこはガシャレルの領域、知識の深淵。
壊れた書板が散らばり、血に濡れた羽根が静かに舞う。ガシャレルは白金の王冠を被り、白色の瞳で虚空を睨むように座っていた。彼の外套に浮かぶ紋様が、ゆっくりと形を変えていく。
突然、空気が重くなった。足元に広がる重圧コアスフィアが現れ、金血のルーンが脈打つ影が現れる。
ガム=ジャグラ=ドミナートゥス。
別名ドミナ=オーバーラプス。
彼は白金のスーツをパツパツに着込み、スクエア型の伊達眼鏡越しにガシャレルを観察した。呼吸一つで周囲の圧が変わる男だ。
ガシャレルはゆっくりと顔を上げ、壊れた書板を指で撫でながら言った。

「ふむ、君か。ガム。支配の君主。僕の領域に何用だ? 知識を求めに来たのか? それとも、理解を破壊しに来たのか?」

ガムは0.7秒の沈黙を挟み、視線でガシャレルをスキャンするように瞳を縦に動かした。口角がわずかに上がり、理想を否定する微笑を浮かべる。

「抵抗は演算ロスだ。君の知識……それはバグの塊。理想は処理を重くする。軽くしてやろう」

ガシャレルは低く笑った。白色の瞳が輝き、無数の眼孔が王冠で開閉する。サガーレバの槍を軽く握り、理解そのものを貫くような視線を返す。

「答えはある。だが、君がそれと気づける保証はない。君のオーバーライト・プロトコルか。面白い。僕の迷宮真理で、君の演算を無限反転させてやろうか? 真実と虚偽の境界で、君の判断を迷わせてみせよう」

ガムは指先で空中に細い線を描き、見えない鎖を弄る癖を出した。背後に三つの幻塔がぼんやりと浮かぶ。ジャッジメント・スキャナーフィールドが起動し、ガシャレルの「理想・希望・嘘」を読み取ろうとする。

「君の選択肢は、既に僕の中にある。知識の迷路生成……それは誤り。削除して調整する。自由とは……未定義関数だ」

ガシャレルは立ち上がり、ガルサバリエルの拳銃を抜いた。知識を弾丸として撃ち込む準備をしつつ、冷徹に微笑む。

「冷徹、残虐、そして知的。君も同じだな。慈悲を装うが、その本質は無限の貪欲と狂気。理解を求める者を愛し、同時に破壊する。君のグラビタス・プロトフィールドで、僕の精神を圧殺できると思うか? 試してみろ。代償は君の記憶、感情、自由意志だ」

ガムは歩みを進め、歩行リズムが完璧すぎて周囲の空気とズレを生む。右手の中指のリング型デバイスが微弱に光り、ガシャレルの意志の揺らぎを検出する。

「考えるな。従えば楽だ。君の三位一体の側面……力、知識、秩序。それらを最適解に並べ替える。Aが最適だ。Bは許容範囲。Cは……削除すべきだ」

空気がさらに重くなり、ガシャレルの外套の紋様が激しく変形する。二人は睨み合い、知識と支配の衝突が始まろうとしていた。ガシャレルは囁く。

「知識災害を引き起こすのは、僕だけではないようだな。君の必殺技、《Σ・ドミナート・エクステンド》で、世界の自由度を吸収するのか? 面白い。だが、僕の制裁の叡智で、君に代償を課してやろう」

ガムは感情を後処理するように一拍遅れて反応し、低く言う。

「その濡れた思考……ボクが最適化してやる」

図書館の闇が、二人の対峙でさらに深くなった。知識の暴君と支配の君主。出会いは、必ず混沌を生む。
翌日、二人の遺体はゴミ収集車に回収されました。
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