コンデムネイション特集

桂圭人

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ガシャバとコンデムネイション

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暗い地下施設の審問室。鉄の扉が重い音を立てて閉まる。部屋の中央に、拘束された男が膝をついていた。理想を語り、希望を叫び、国家の秩序を乱した反逆者だ。

扉の向こうから、二つの足音が近づいてくる。

まず入室したのはガシャバだった。後ろ刈り上げの白髪が蛍光灯の下で冷たく光り、前髪が表情を覆い隠している。パツパツの軍服に身を包み、帽子をわずかに傾けて無表情に立っている。白い瞳は感情を一切映さない。

その後ろから、コンデムネイション=ジャッジサーキット——が静かに歩み寄る。白いロングコートの裾が床を滑り、金のボタンが整然と並ぶ。白い髪、白い瞳、白手袋をはめた手が、腰の「断罪スキャナー」を軽く撫でる。白金のサイバーゴーグルが、かすかに光を放っている。

ガシャバが短く告げた。
「始末しろ」

コンデムネイションは囚人を見下ろす。ゴーグルが低く唸りを上げ、金血レンズが赤く輝き始める。

「希望を語ったな」  
凛とした、氷のような声。  
「理想を振りかざし、秩序を乱した」

囚人が震える声で叫ぶ。
「俺たちはただ……未来を信じただけだ! お前たちみたいな機械みたいな奴らに、何がわかる!」

コンデムネイションの唇が、わずかに動く。笑みではない。断罪の予兆だ。
「理想は不要。真実だけが残ればいい」

ガシャバが一歩前に出る。冷ややかな声で、短く。
「無駄だ。抵抗は痛みを増やすだけだ」

囚人が最後の力を振り絞って叫ぶ。
「痛みなんか怖くない! お前たちに心がないだけだ!」

その瞬間、断罪スキャナーが起動した。金血レンズが囚人の胸を照らす。スキャンが完了するまでの数秒、部屋に重い沈黙が落ちる。

「誤りだ」  
コンデムネイションが静かに告げる。  
「希望——検出。削除対象」

破壊光が放たれた。赤い光線が囚人の体を貫く。叫び声は一瞬で途切れ、肉体は灰のように崩れ落ちる。理想も希望も、跡形もなく消し去られた。

ガシャバは崩れた残骸を一瞥し、すぐに背を向ける。
「処理完了だ」

コンデムネイションはスキャナーを静かに収め、白手袋を軽く鳴らす。
「修正しろ。次も、誤りは許さない」

二人は無言で室を出る。背後で、自動清掃システムが動き始める。
廊下を並んで歩きながら、ガシャバがぽつりと漏らす。
「痛みは必要悪だ」

コンデムネイションは答えない。ただ、白い瞳を前方に向けたまま、静かに頷いた。
秩序は、今日も守られた。  
冷徹な二人の手によって。
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