12 / 24
ケプラーVSガーレブ
しおりを挟む
荒野の戦場は、夕暮れの陽光に血のような赤で染まっていた。風が砂塵を巻き上げる中、巨大な斧を肩に担いだ男が立つ。ガーレブだ。
乱れた白い短髪が風に踊り、白眼は剥き出しの闘志で燃えている。腰に巻いたジャケットが激しくはためき、胸の金の紋章からは眩い光と煙が噴き上がっていた。
「出やがったな……金玉の支配者なぁ!!!!」
怒声が荒野を震わせる。その先に立つのは、長身の男――ケプラー。白い髪は無風の中でも微動だにせず、瞳の奥には無数の星々が静かに瞬いていた。肌に刻まれた金の星図が淡く輝き、深紺の法衣は夜空そのもののように揺らぐ。両腕に浮かぶ軌道環が、ゆっくりと回転を始めた。
ケプラーは淡々とガーレブを見据える。感情を排した低い声が、冷えた空気のように響いた。
「ガーレブか。総司令官と呼ばれる者よ。君の軌道は既に計算済みだ。力こそすべて――そう信じる魂もまた、星の運行から逃れられぬ」
「ふざけんなぁ!!!! 訳わかんねぇこと言うなぁ!!!!!」
ガーレブは大斧を地面に叩きつける。衝撃で土が爆ぜ、砂塵が舞い上がった。
「力こそ正義だ! テメェの冷たい理屈なんざ、僕の斧でぶち壊してやる! 僕らは自由に生きて、自由に戦うんだよ! 『完璧な秩序』? クソくらえだ!」
ケプラーの瞳で星々が明滅する。彼は静かに手を上げた。虚空に巨大な天球儀の幻影が現れ、無数の光の軌跡がガーレブを包み込む。
「愚かだ。人間の感情はノイズに過ぎぬ。偶然、自由、激情――それらは宇宙の法則を乱すだけだ。君の信じる『力』も、予測可能な軌道上の一点に過ぎない」
軌道の強制が発動する。ガーレブの身体が一瞬硬直し、足元に金色の楕円軌跡が浮かび上がった。惑星のように、彼の動きを円環へと閉じ込めようとする。
「がっ……クソッ……!」
筋肉が隆起し、紋章の光が爆発的に輝く。ガーレブは吼えた。
「うぜぇわぁ!!!!」
大斧を振り上げ、地面を蹴る。宙に舞ったガーレブは、斧で空気を踏み、さらに高く跳躍した。そして歌い出す。荒々しく、魂を叩きつける戦いの歌を。
「轟け雷よ! 裂け大地よ! 僕の力は誰にも止められねぇ!」
歌声が力へと変わり、大斧の一撃が軌道を粉砕する。金の楕円は砕け散り、ケプラーの法衣がわずかに揺れた。
ケプラーの表情は変わらない。だが声には、かすかな圧が宿る。
「興味深い。君は確かに予測を超える変数だ。だが、それすら秩序の一部。星位予測により、最も完全な結果を選択する。君はここで敗れ、運命の天球儀に記録される。それが宇宙の理だ」
「うるせぇ!!!! 黙れ!!!!」
ガーレブが怒号を叩きつける。
「僕は仲間と戦って、勝利を掴む男だ! 貴様の冷たい世界じゃ、誰も笑えねぇ! 誰も泣けねぇ! そんなもんが正しいわけねぇだろ!」
ガーレブは大突進する。大斧が唸りを上げ、ケプラーへと振り下ろされる。ケプラーは指先をわずかに動かし、運命の天球儀を展開。斧の軌道はわずかに逸れ、地面を深く抉った。
「秩序とは、哀しみすら計算することだ。ガーレブ。君の激情も、いずれ星の軌道に収まる」
「くたばれ!!!! クソ野郎ォ!!!!」
戦いは激しさを増す。一方は剥き出しの力と熱い魂、もう一方は冷徹な法則と永遠の計算。荒野には斧の咆哮と星の沈黙が交錯し、決着はまだ見えない。
それでも、ガーレブの白眼が揺らぐことはなかった。
力こそすべて――その信条が、彼を前へ、前へと突き動かす。
「とっととあの世へ行けやゴラァ!!!!!!」
一世一代の怒号が、赤い空へと突き抜けた。
――翌日、ゴミ収集車がケプラーの遺体を回収していた。
乱れた白い短髪が風に踊り、白眼は剥き出しの闘志で燃えている。腰に巻いたジャケットが激しくはためき、胸の金の紋章からは眩い光と煙が噴き上がっていた。
「出やがったな……金玉の支配者なぁ!!!!」
怒声が荒野を震わせる。その先に立つのは、長身の男――ケプラー。白い髪は無風の中でも微動だにせず、瞳の奥には無数の星々が静かに瞬いていた。肌に刻まれた金の星図が淡く輝き、深紺の法衣は夜空そのもののように揺らぐ。両腕に浮かぶ軌道環が、ゆっくりと回転を始めた。
ケプラーは淡々とガーレブを見据える。感情を排した低い声が、冷えた空気のように響いた。
「ガーレブか。総司令官と呼ばれる者よ。君の軌道は既に計算済みだ。力こそすべて――そう信じる魂もまた、星の運行から逃れられぬ」
「ふざけんなぁ!!!! 訳わかんねぇこと言うなぁ!!!!!」
ガーレブは大斧を地面に叩きつける。衝撃で土が爆ぜ、砂塵が舞い上がった。
「力こそ正義だ! テメェの冷たい理屈なんざ、僕の斧でぶち壊してやる! 僕らは自由に生きて、自由に戦うんだよ! 『完璧な秩序』? クソくらえだ!」
ケプラーの瞳で星々が明滅する。彼は静かに手を上げた。虚空に巨大な天球儀の幻影が現れ、無数の光の軌跡がガーレブを包み込む。
「愚かだ。人間の感情はノイズに過ぎぬ。偶然、自由、激情――それらは宇宙の法則を乱すだけだ。君の信じる『力』も、予測可能な軌道上の一点に過ぎない」
軌道の強制が発動する。ガーレブの身体が一瞬硬直し、足元に金色の楕円軌跡が浮かび上がった。惑星のように、彼の動きを円環へと閉じ込めようとする。
「がっ……クソッ……!」
筋肉が隆起し、紋章の光が爆発的に輝く。ガーレブは吼えた。
「うぜぇわぁ!!!!」
大斧を振り上げ、地面を蹴る。宙に舞ったガーレブは、斧で空気を踏み、さらに高く跳躍した。そして歌い出す。荒々しく、魂を叩きつける戦いの歌を。
「轟け雷よ! 裂け大地よ! 僕の力は誰にも止められねぇ!」
歌声が力へと変わり、大斧の一撃が軌道を粉砕する。金の楕円は砕け散り、ケプラーの法衣がわずかに揺れた。
ケプラーの表情は変わらない。だが声には、かすかな圧が宿る。
「興味深い。君は確かに予測を超える変数だ。だが、それすら秩序の一部。星位予測により、最も完全な結果を選択する。君はここで敗れ、運命の天球儀に記録される。それが宇宙の理だ」
「うるせぇ!!!! 黙れ!!!!」
ガーレブが怒号を叩きつける。
「僕は仲間と戦って、勝利を掴む男だ! 貴様の冷たい世界じゃ、誰も笑えねぇ! 誰も泣けねぇ! そんなもんが正しいわけねぇだろ!」
ガーレブは大突進する。大斧が唸りを上げ、ケプラーへと振り下ろされる。ケプラーは指先をわずかに動かし、運命の天球儀を展開。斧の軌道はわずかに逸れ、地面を深く抉った。
「秩序とは、哀しみすら計算することだ。ガーレブ。君の激情も、いずれ星の軌道に収まる」
「くたばれ!!!! クソ野郎ォ!!!!」
戦いは激しさを増す。一方は剥き出しの力と熱い魂、もう一方は冷徹な法則と永遠の計算。荒野には斧の咆哮と星の沈黙が交錯し、決着はまだ見えない。
それでも、ガーレブの白眼が揺らぐことはなかった。
力こそすべて――その信条が、彼を前へ、前へと突き動かす。
「とっととあの世へ行けやゴラァ!!!!!!」
一世一代の怒号が、赤い空へと突き抜けた。
――翌日、ゴミ収集車がケプラーの遺体を回収していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる