ケプラー特集

桂圭人

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ケプラーVS黒城機構

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黒鉄の要塞戦艦〈黒曜〉が、虚空を切り裂くように進んでいた。血色の装飾は星光を吸い込み、船体は絶望そのものの霧を纏って静かに浮遊する。
船長室の玉座に、最高責任者・玄武が腰を下ろしていた。黒のタキシードに血色のネクタイ。白い瞳には血色のカラコンがはめられ、冷え切った視線が虚空を射抜く。

「感情は無意味。跪け」

それは命令というより、世界に向けた断言だった。

傍らには黒城機構の幹部たちが控える。
上級執行官・焔魔は黒のフリルシャツを翻し、歪んだ笑みを浮かべる。

「もっと泣けよ。絶望は芸術だろ? 玄武様に認められたい一心でさ」

夕闇はノースリーブのセーラー服に愛想笑いを貼りつけつつ、その瞳の奥では冷酷な計算が走る。

「笑顔は武器だ。裏切るためにな」

鉄鎖は黒鉄の鎖ブレスレットを鳴らし、感情の抜け落ちた声で呟いた。

「自由は許さねぇ。鎖で繋ぐ」

岩鬼は無言のまま巨岩のような腕を構え、ただ命令を待つ。

さらに、四神獣の執行官たち――青龍、白虎、朱雀がその場に揃っていた。
青龍は深緑の髪を揺らし、毒霧を滲ませる。

「希望の芽を腐らせる、絶望の東風」

白虎は銀白の短髪を煌めかせ、低く唸る。

「自由を噛み砕く、西の凶牙」

朱雀は深紅の長髪を炎のように翻す。

「絆を焼き払う、南の業火」

そして北の絶対として君臨する玄武。
彼らは世界を絶望で塗り潰す、《絶望の四柱》だった。

そのとき、船内に警報が走った。

「警告。未知の力場を確認」

〈黒曜〉の冷徹な機械音声が響く。

玄武は眉一つ動かさず、立ち上がった。

「侵食黒血で汚染せよ」

虚空が歪み、星光を纏った存在が現れる。
――ケプラー。
長身の白人男性。白髪の奥、瞳の深部には星空が宿っていた。深紺と白銀の法衣をまとい、腕の周囲には軌道環が静かに回転している。

「宇宙は完璧な法則で動く。ゆえに人間もまた、その軌道に従うべきだ」

感情の揺らぎを一切含まない低い声が、船内を支配した。
ケプラーは古代星術文明の遺産、《金血白者》
数千年を生き、星理王国の滅亡を見届けた賢者であり、彼の目的はただ一つ――十二宮体制を崩壊させ、自由意志を星の軌道に固定する《永遠の天球儀》を起動すること。
感情と不完全さを“宇宙のノイズ”として排除し、完全なる決定論の世界を創るために。

黒城機構が一斉に動いた。
焔魔の衣服が刃と拷問具へと変形する。

「出たな。クソ野郎か?  痛みと絶望を刻んでやる!」

夕闇が闇の壁を展開する。

「表向きは歓迎だ。裏では精神崩壊だがな」

鉄鎖は身体を黒い鎖へと変じる。

「支配せよ。自由など不要だ」

岩鬼が巨岩腕を振り上げ、無言で突進する。
青龍の毒霧、白虎の咆哮、朱雀の業火が船内を満たした。

だが、ケプラーは一歩も動かない。

「――運命の天球儀」

その一言で、世界が書き換えられた。
すべての攻撃は星図として記録され、強制された軌道に従って反転する。焔魔の拷問具は元の軌跡へ引き戻され、夕闇の闇の壁は予測され、楕円の呪縛となって彼自身を閉じ込めた。

「秩序とは、哀しみすら計算することだ」

玄武が侵食黒血を放つ。

「他者の力を汚染し、暴走化せよ」

黒血はケプラーに触れ――拒絶された。
星の法則に固定された黒血は逆流し、玄武の元で暴走を始める。

「君の絶望は、宇宙の法則に反するノイズだ。排除する」

戦いは膠着した。
絶望と支配を美とする黒城機構と、冷酷な秩序を至上とするケプラー。その思想は、奇妙なほどに共鳴していた。
玄武は瞳を細め、初めて興味を宿す。

「貴様の秩序……感情を根絶やしにする点では共通する。だが俺の支配は孤高だ。星の法則など道具に過ぎん」

ケプラーは静かに頷いた。

「君の絶望は、決定論の片鱗だ。協力すれば世界は永遠の天球儀に固定される。自由も希望も、軌道上に閉じ込めよ」

焔魔が笑う。

「いいじゃねぇか、玄武様! 絶望の芸術を星に刻もうぜ!」

夕闇は内心で算を弾く。

「裏切り時は後だ……まずは盲信」

鉄鎖は頷き、「玄武様の命令なら」

岩鬼は沈黙のまま従意を示す。
青龍、白虎、朱雀もまた、絶望の四風として首肯した。
〈黒曜〉の機械音声が宣告する。

「徹底服従。同盟を確認。絶望の墓標として、最適」

こうして、黒城機構とケプラーは一時的な同盟を結んだ。
世界を支配し、感情を排除するという共通の目的のもとに。
だが――
玄武の孤独と、ケプラーの理性。
その二つがいつか衝突することを、星の軌道だけが静かに予見していた。
絶望に染まる虚空の果てで、戦いはなお続く。

翌日、ケプラーは処刑されました。


「侵食黒血って何すか? アンタ白者じゃない」――アグリネス

「金血で創意工夫して黒血を再現してるんだよ。秘密なぁ!!!!(泣)」――玄武

「食用の絵の具を体内にインプットしてる。で、再現するんだ(泣)」――夕闇

「服装はどうしたん??? なんかボク等(ボクとアグリネス)の真似?」――未整

「服装は真似してない。俺等オリジナルでぇす★」――焔魔

「だいたい色違いの液体で遊ぶ奴いたら覚えておいてね。夕闇の発言が全てだ」――岩鬼
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