前世の俺みたいだと思っていたけど全然違った件

某千尋

文字の大きさ
10 / 38

10 周りから見た高林

しおりを挟む
 高林と昼飯を一緒に食べた日の放課後、予想通り北斗たちに連行された。尋問場所はいつものモックである。

「もうっ! 裕也くんったら新しい男ができたからって俺たちを捨てるのっ?」

「だからその声やめろって」

 あれから裏声にハマったらしい北斗。だんだんクオリティが高くなってるのがムカつく。

「でもほんと、びっくりしたよ。二人で当然のように連れ立って行くからさー」

 颯太がストローをかじりながら言う。

「つか俺だけ高林が誰か未だにわかってないんだけど。とりあえず裕也の新しい友だちなんだろ? そしたらせっかくだしそいつも誘って一緒に飯食いに行かね?」

「義和くぅーん、違うのよぉ。高林は多分俺たちで飯誘ってもこねぇんだな残念ながら」

「そうなん? でも裕也とは飯食うんだろ?」

「つーまーり! 裕也くんが特別なのよ!」

 義和は北斗の裏声を完全にスルーしている。多分教室でもこの調子なんだな。ツッコミ担当がボケに慣れちゃいかんだろ。
 まあそんなことは置いといて。

「ぶっちゃけ俺も何で俺を誘ってくれたのかわかんねーけどさ、高林めっちゃ人見知りっぽいから、人数多いと緊張してダメだと思うんだよな」

「ん? 人見知り? 高林ってそんな感じか? まあ確かにキョドってるからそう見えなくもねぇけど、むしろなんていうか、我が道をいってるというか……」

 北斗が首を捻る。何言ってんだ? 人見知りなのは一目瞭然だろ。

「あー、それは俺もそう思うー。人見知りっていうか、あんまり人と関わりたくなさそうというか」

 颯太も同意したので驚く。え? 高林そんな風に見えてんの? あー、もしかして前世の俺もそう見られてたのかな? 人を拒絶してる的な。

「仮に人見知りだとしてもさー、本当は仲良くしたいってんなら、もうちょいなんかこう、反応があると思うんだよなぁ」

 いまいち北斗の言っていることがわからず、今度は俺が首を捻る。
 
「挨拶返さないのが人見知りだからだとしても、休み時間もどっか行っちゃって馴染もうとする気配もないし、今日だって俺が一緒に行くのは拒否したでしょ? 別に俺一人増えるくらいよくない?」

 やはり颯太は昼のことが不満だったようだ。
 まあ確かに、言われてみればそういう見方もあるのか。でも前世の俺もそんな感じだったしな。いや、さすがに挨拶されてフルシカトはしてなかったか? うまく返せなくて噛みまくっていた気はするが。
 ん? だとすると高林がフルシカトなのは前世の俺とは違うのか? いやでもキョドってるしなぁ。

「しかも裕也には挨拶返してるし。というか、裕也に人見知りしないなら、だいたいの人が大丈夫でしょ」

「失礼な。どういう意味だよ」

 その言い方じゃ俺が怖いみたいじゃないか。

「確かに、裕也ほど見た目がチャラついたやつうちの学年にはいないだろ」

 義和にも言われ、三人の目が俺に集中する。
 まあ確かに、俺はお世辞にも真面目そうな見た目じゃない。長髪ではないけど髪にはゆるくパーマをかけているし、制服もボタン二つほど開けてほどほどに着崩している。
 だってさ、前世はきっちり制服着込んでもっさもさの頭でさ。前世の俺にも憧れはあったんだよ、陽キャみたいな感じになりたいって。でも、自分には似合わないし、笑われると思ってできなかった。
 だから、今世はやりたいと思ったことを素直にやるようにしている。結果、確かに仕上がりはちょっとチャラついているが。

「つってもお前らと変わんねえだろ」

 俺だけがチャラついてるように言われたが、制服の着崩し方なんて北斗や義和も似たようなもんである。
 北斗なんて優奈さんとお揃いのピアスまで開けてるんだから、チャラさは俺より上だろ。

「いや、格好だけ見たら北斗のがチャラそうだけどさ、なんつーの? 顔?」

「顔がチャラいってなんだよ。普通のイケメンだろ」

「自分でイケメン言うなし。なんかなー、こう、顔の造形がチャラいやつのそれなんだよな」

「それそれ。その垂れ目といい、泣き黒子といい、つり眉といい。絶妙なチャラさを演出してるよな。いよっ! チャラ男!」

「いやいや、俺がチャラ男だったことねーだろ。硬派な男だろ俺は」

 義和に乗っかり北斗もからかってくる。まじでお前にだけはチャラ男って言われたくないんだが?

「話せば硬派なのわかるけど、見た目はやっぱチャラついてるよね。だから、裕也と普通に話せるなら、他の人も大丈夫な気がするんだよね」

 なんの話題だったかって高林だよ。つまりなんだ、こいつらからしたら俺と話す難易度クリアできるなら、他もいけるだろってそういうことか?

「見た目は知らねぇけど、俺の内面から溢れる優しさを感じ取ったんだろ」

 そう言うと、三人とも半目で俺を見る。なんだよ、俺、ディスられてない?

「つーか、高林は俺だけが誘ってくれたからって言ってたし、俺から声かけたから安心したんじゃねぇの?」

「そうなのかなぁ」

 珍しく颯太が食い下がる。颯太、そんなに高林に興味あったんかな。いつもはどっちかっつーとふわふわしてんのに。

「なんとなく俺の勘が言ってるんだよね。裕也は高林に気をつけた方がいいって」

「なんだそれ。いいやつだよ、高林は」

 颯太が神妙な顔をしている。こいつの勘は当たるんだよな。でも、何に気をつけろって? せっかく俺に心を開き始めてくれたのに、ここで拒絶なんてできねぇだろ。そりゃまだ高林のことそんなにわかってるわけじゃねぇけど、仲良くなろうと気合い入れて弁当作ってくれたりさ、努力家のいいやつじゃねぇか。

「つーか、ここにいない人間の話題でどんだけ盛り上がってんだよ。俺は会ったこともねーし」

 さすがに義和がこの話題に飽きたようでだるそうにしている。それを合図に話題は変わり、もやもやしたものを胸に抱えながらも俺もそれ以上高林の話はしなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った

しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー? という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡  短編コメディです

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない

綿毛ぽぽ
BL
 アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。 ━━━━━━━━━━━ 現役人気アイドル×脱落モブ男 表紙はくま様からお借りしました https://www.pixiv.net/artworks/84182395

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

処理中です...