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11 高林、デートするってよ
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昨日のやり取りから、何か違和感のようなものが生じ、すっきりしない気持ちが続いている。
俺は高林を前世の俺に似てるからと高林の行動を前世の俺に当てはめて見ていた。けど、もし昨日北斗とか颯太が言っていたみたいに、それが俺の勘違いだとしたら……。
いやでも、前世の俺も大概誤解されていた。北斗や颯太も誤解してんじゃないかと思う。だって、前世の俺だったらこうしてくれたら嬉しいだろうな、と思うことを実行して、結果が今なのだ。高林は実際嬉しそうである。うん、やっぱり俺の見立てが正しいような気がする。でも、なんだろうか、このもやもやは。
「高柳くん、難しい顔してどうしたの? 美味しくないかな?」
「いや悪ぃ、考え事してた。今日もうまいよ。すごいな高林」
昨日に引き続きお重に詰められたおかずを堪能していたが、つい思考の世界へトリップして変な顔をしていたようだ。
うまい、と言うとほっとしたように肩の力を抜く高林。
これのどこが、我が道をいってる感じなのだろうか。
「でも、こんなに作んの大変だろ? 売店もあるんだし、オレの分まで作んなくていいよ」
「ううん、自分のも作るし、ついでだから」
ついでって量じゃないと思うんだが。でも、嬉しそうにしている高林を見ていると、これ以上言うのは野暮ってもんなのかもしれない。お金払うのも違うだろうし……。
「じゃあさ、お礼に今度学校帰りにでもなんかご馳走するよ。作ってもらいっぱなしってのもちょっとな」
そう言うと、ガタン、と高林が座っている椅子が音を鳴らす。
「それって……二人で出かけるってこと?」
「ん? ああ、せっかくだから颯太たち」
「楽しみだなぁ。いついく?」
高林、被せんの好きだな。何度目だこれ。いい加減一回注意した方がいいか? でも、下手な注意をすると萎縮して今みたいに自由に喋れなくなるかもしれないよな。遠慮して欲しいわけじゃねぇし、もうちょい親しくなってからそれとなく言うか。
「いつでもいいっちゃいいけど、どっか行きたいとこある?」
と言っても、選択肢は限られてるんだが。俺の財布はそんなに潤っていない。
「高柳くんと一緒ならどこでも嬉しいかな」
「え? あ、おう」
なんだその、好きな男子に女子が言うみたいなやつは。こういう言葉のチョイスは無意識なんだろうけど、変な誤解を生みそうだ。
……俺がうまく返事できなかったから、変な空気になってんじゃねぇか。よし、何事もなかったようにしよう。
「じゃあモックでいいか? 甘いもん好きならそういうのでもいいけど、男二人じゃ浮きそうだしな」
「高柳くんは、女の子と二人でそういうとこ行くの?」
「んー……二人ってのはないかなぁ」
二人でって誘ってくる子がいないわけじゃないけど、ほら、そういうのってたいてい恋愛絡みじゃん。まだ女子トラウマ克服できてない俺としては、それはノーサンキューなんだよな。もうちょい時間が欲しい。
というか高林、女子に興味があるのか? まあそりゃあるよな。何せ俺たちそういうお年頃だし。トラウマと言いつつ、俺だってできれば可愛い女子と青春を送りたい。
高林はどんな女子が好きなんかな? 前世の俺はテンプレみたいな清楚系が好きだったけど、あれは夢見すぎっつーか、二次元に影響受けすぎてたよなぁ。でも、高林もそういうの好きそうだよな。
ちょっとした悪戯心が芽生えた俺は、少しだけ高林をからかうことにした。
「なんだ高林。デートしたい子でもいるのか? どんな子がタイプなんだよ」
「ん? そうだね、いるね。すごく、可愛い子だよ。その子がタイプど真ん中かな」
「んぇ? ま、まじか……」
キョドって動揺するのを想像していたのに、あまりにあっさり返され、逆に俺が動揺してしまう。
なんだこの余裕。さっきから俺の方が動揺してるじゃねぇか。ちょっと悔しいぞ。
というか、今の感じだともう好きな子がいるってことか。この学校にいるのだろうか。女子と一緒にいる高林なんて見たことねぇけど。
「その子とはどんな感じなんだよ。見てるだけじゃどうにもなんねぇぞ?」
「うん、最近少し親しくなってきたんだ。デートの約束もしたし」
「え!?」
いやいや、待て待て。どういうことだ高林。あんな、誰とも話さずキョドキョドしてるのに、意中の女子にはガンガンいけるのか? 大丈夫か? それ、揶揄われてないか?
「その、それはすごくいいことだと思うんだけど、相手の内面はちゃんと見た方がいいからな」
前世の俺はネガティブまっしぐらだったから、可愛い子に声をかけられても罠だ! としか思わなかったし、実際罰ゲームとかで話しかけられてたっぽいこともあった。うっかりそういう子を好きになったりすることはなかったから、ダメージ回避はできていたけど……いや、ショックはショックだったな。だってやっぱ少しは期待するじゃん。
高林、お前は大丈夫か?
「そうだね。でも大丈夫だよ。可愛くて、すごくいい子で。見た目はちょっと派手だけど、すごく純粋な子なんだ」
それ、絶対騙されてる。騙されてるぞ、高林。そんな超絶モテるスペックの女子が、なぜコミュ障陰キャを相手にするんだ。いや、高林は前世の俺ほどはコミュ障じゃないかもしれないが……でも顔すらほとんど見えないのに、そいつを選ぶか? 選ばねぇだろ!
しかしどうやら既にだいぶ惚れ込んでるみたいだし、今俺が何か言ったところで聞きゃしないだろうな。
「うーん、まあそれならいいけど、何かあったら遠慮なく相談しろよ?」
俺にできるのは、騙されてることがわかって傷ついたときに話を聞いてやることくらいだろう。
俺は高林を前世の俺に似てるからと高林の行動を前世の俺に当てはめて見ていた。けど、もし昨日北斗とか颯太が言っていたみたいに、それが俺の勘違いだとしたら……。
いやでも、前世の俺も大概誤解されていた。北斗や颯太も誤解してんじゃないかと思う。だって、前世の俺だったらこうしてくれたら嬉しいだろうな、と思うことを実行して、結果が今なのだ。高林は実際嬉しそうである。うん、やっぱり俺の見立てが正しいような気がする。でも、なんだろうか、このもやもやは。
「高柳くん、難しい顔してどうしたの? 美味しくないかな?」
「いや悪ぃ、考え事してた。今日もうまいよ。すごいな高林」
昨日に引き続きお重に詰められたおかずを堪能していたが、つい思考の世界へトリップして変な顔をしていたようだ。
うまい、と言うとほっとしたように肩の力を抜く高林。
これのどこが、我が道をいってる感じなのだろうか。
「でも、こんなに作んの大変だろ? 売店もあるんだし、オレの分まで作んなくていいよ」
「ううん、自分のも作るし、ついでだから」
ついでって量じゃないと思うんだが。でも、嬉しそうにしている高林を見ていると、これ以上言うのは野暮ってもんなのかもしれない。お金払うのも違うだろうし……。
「じゃあさ、お礼に今度学校帰りにでもなんかご馳走するよ。作ってもらいっぱなしってのもちょっとな」
そう言うと、ガタン、と高林が座っている椅子が音を鳴らす。
「それって……二人で出かけるってこと?」
「ん? ああ、せっかくだから颯太たち」
「楽しみだなぁ。いついく?」
高林、被せんの好きだな。何度目だこれ。いい加減一回注意した方がいいか? でも、下手な注意をすると萎縮して今みたいに自由に喋れなくなるかもしれないよな。遠慮して欲しいわけじゃねぇし、もうちょい親しくなってからそれとなく言うか。
「いつでもいいっちゃいいけど、どっか行きたいとこある?」
と言っても、選択肢は限られてるんだが。俺の財布はそんなに潤っていない。
「高柳くんと一緒ならどこでも嬉しいかな」
「え? あ、おう」
なんだその、好きな男子に女子が言うみたいなやつは。こういう言葉のチョイスは無意識なんだろうけど、変な誤解を生みそうだ。
……俺がうまく返事できなかったから、変な空気になってんじゃねぇか。よし、何事もなかったようにしよう。
「じゃあモックでいいか? 甘いもん好きならそういうのでもいいけど、男二人じゃ浮きそうだしな」
「高柳くんは、女の子と二人でそういうとこ行くの?」
「んー……二人ってのはないかなぁ」
二人でって誘ってくる子がいないわけじゃないけど、ほら、そういうのってたいてい恋愛絡みじゃん。まだ女子トラウマ克服できてない俺としては、それはノーサンキューなんだよな。もうちょい時間が欲しい。
というか高林、女子に興味があるのか? まあそりゃあるよな。何せ俺たちそういうお年頃だし。トラウマと言いつつ、俺だってできれば可愛い女子と青春を送りたい。
高林はどんな女子が好きなんかな? 前世の俺はテンプレみたいな清楚系が好きだったけど、あれは夢見すぎっつーか、二次元に影響受けすぎてたよなぁ。でも、高林もそういうの好きそうだよな。
ちょっとした悪戯心が芽生えた俺は、少しだけ高林をからかうことにした。
「なんだ高林。デートしたい子でもいるのか? どんな子がタイプなんだよ」
「ん? そうだね、いるね。すごく、可愛い子だよ。その子がタイプど真ん中かな」
「んぇ? ま、まじか……」
キョドって動揺するのを想像していたのに、あまりにあっさり返され、逆に俺が動揺してしまう。
なんだこの余裕。さっきから俺の方が動揺してるじゃねぇか。ちょっと悔しいぞ。
というか、今の感じだともう好きな子がいるってことか。この学校にいるのだろうか。女子と一緒にいる高林なんて見たことねぇけど。
「その子とはどんな感じなんだよ。見てるだけじゃどうにもなんねぇぞ?」
「うん、最近少し親しくなってきたんだ。デートの約束もしたし」
「え!?」
いやいや、待て待て。どういうことだ高林。あんな、誰とも話さずキョドキョドしてるのに、意中の女子にはガンガンいけるのか? 大丈夫か? それ、揶揄われてないか?
「その、それはすごくいいことだと思うんだけど、相手の内面はちゃんと見た方がいいからな」
前世の俺はネガティブまっしぐらだったから、可愛い子に声をかけられても罠だ! としか思わなかったし、実際罰ゲームとかで話しかけられてたっぽいこともあった。うっかりそういう子を好きになったりすることはなかったから、ダメージ回避はできていたけど……いや、ショックはショックだったな。だってやっぱ少しは期待するじゃん。
高林、お前は大丈夫か?
「そうだね。でも大丈夫だよ。可愛くて、すごくいい子で。見た目はちょっと派手だけど、すごく純粋な子なんだ」
それ、絶対騙されてる。騙されてるぞ、高林。そんな超絶モテるスペックの女子が、なぜコミュ障陰キャを相手にするんだ。いや、高林は前世の俺ほどはコミュ障じゃないかもしれないが……でも顔すらほとんど見えないのに、そいつを選ぶか? 選ばねぇだろ!
しかしどうやら既にだいぶ惚れ込んでるみたいだし、今俺が何か言ったところで聞きゃしないだろうな。
「うーん、まあそれならいいけど、何かあったら遠慮なく相談しろよ?」
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