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15 美形の悩み
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超絶美形を隠す理由なんて、普通のイケメンの俺にはわからない。俺には、わからないが。
「颯太さ、その顔で苦労したことある?」
「急にどうしたの」
休み時間、美形といえばということで颯太に聞いてみる。すまんな、脈絡なくて。
「いや、美形には美形なりの苦労があるのかなって」
「突然何でそんなこと思ったのかわからないけど、まあ、ないこともないよ」
「どんな?」
「俺の場合、小さい頃とか見た目は完全に美少女だったから、母親に似合うからって女装させられたり、あとはなんか変な人に声かけられたり、そういうの」
「その二つは並列にしていいのか? つか大変だったんだな……」
「うーん、そこまで危ない目にあったことはないんだけどね。あとは、見た目だけで寄ってくる人も多いから、鬱陶しいなって思うことはあるよ。勝手な理想持たれることもあるし」
そっちのがすり減るかなぁ、と呟く颯太。
「あー、勝手に想像されて、想像と違って幻滅される的な?」
「そうそれ。なんかさ、花生けてそうとか言われたりさ。そういう、清楚というか清純? みたいなイメージ持たれること多くて。俺、一般家庭育ちの一般的な男子だよ? 花の種類すらわからないし」
眉を下げる颯太。これは色々エピソードがありそうだ。花か……俺もひまわりくらいしかわからない。確かに颯太は綺麗系の美形だし、肌も白いし、線も細いから、そういう繊細なイメージなのはわからんでもない。でも、こいつの好物モックのポテトだし、食べる量も多いし、感性はそこら辺の普通の男子高校生なんだよな。全然下ネタとか言うし。
「そしたら、顔隠したいなーとか思ったことある?」
「隠す? んー……それはないな」
はっきりと断言され、思わず目を瞬かせる。
「俺の場合は、そういうのを差し置いてもこの顔を晒しておく理由があるんだよね」
そう言って意味深に微笑む颯太。なんだろう、これは深く聞いた方がいいのか? いや、やめとこう。なんか藪蛇になりそうだ。こういう勘はあたるんだ。
「なるほどなぁ。でも、その理由がなかったら隠したいってこと?」
「んー……あからさまに隠す、はやっぱしないとは思うよ。それはそれで大変そうだし。でも、目立たないようにはするかもね、眼鏡とか小物を使って」
「美形っていいことばっかじゃないんだなぁ」
「裕也だって色々苦労はあるんじゃない? 去年は結構しつこく言い寄られたりしてたじゃん」
え? 俺、しつこく言い寄られたりしてたっけ? 俺は首を傾げる。
ああ、そういえば、去年何度も告白してくれたり、帰りに俺を待ち伏せたりする子がいたけど、そのことか? イケメンすげぇ! としか思わなかったけど。前世でそんなに好意を向けてもらえたことがないからただただ感動してたんだよな。応えられないからどうしようかとちょっと困ったけど。
「……裕也ってたまに不思議なほど純粋だよね。適当にあしらったりもしないし」
「んなことできねぇよ。好意を持ってくれるなんてありがたいことじゃねぇの?」
「人や場合によらない?」
ああ、そうか。颯太は、好意を向けられることが当たり前の人生だからわからないのか。誰にも相手にされない辛さを。多少困ることはあっても、あの辛さを思えば、それがありがたさを上回ることはない。
「んー……俺は颯太ほどモテないからなぁ」
「それはどうかなぁ……ああ、それで、さっきの話って高林のこと?」
ふいに小声になった颯太の言葉に俺は固まる。
「え?」
「高林、すごい美形だったんだ?」
「あー……」
やっべぇ迂闊すぎた。そりゃ最近俺が絡んでるの高林だし、高林は顔隠してるし、すぐわかるよな。
「……秘密にしてもらえるか? そんな話広まったら、高林が困るから」
「わかってるよ。義和たちにも言わないよ。なるほどねぇ……」
颯太は何かを思案するように右手の人差し指を顎にかける。颯太はぽやぽやしてると思いきや鋭いんだよなぁ。いや、でも今回は俺が分かりやすすぎたな。
「ああ、そういえば明日は体育祭だね。裕也、二人三脚頑張ってね」
「ん? あ、おう。颯太もリレー頑張れよ。とりあえず北斗は潰す感じで」
「ふふっ。後で北斗に泣かれそうだなぁ」
そうか、もう明日が体育祭か。練習ではペースも合ってるし、思ってたより高林足速いし、割といい線いけそうなんだよな。楽しみだな。
そんな話をしているうちにチャイムが鳴り、颯太との話は終わった。
「颯太さ、その顔で苦労したことある?」
「急にどうしたの」
休み時間、美形といえばということで颯太に聞いてみる。すまんな、脈絡なくて。
「いや、美形には美形なりの苦労があるのかなって」
「突然何でそんなこと思ったのかわからないけど、まあ、ないこともないよ」
「どんな?」
「俺の場合、小さい頃とか見た目は完全に美少女だったから、母親に似合うからって女装させられたり、あとはなんか変な人に声かけられたり、そういうの」
「その二つは並列にしていいのか? つか大変だったんだな……」
「うーん、そこまで危ない目にあったことはないんだけどね。あとは、見た目だけで寄ってくる人も多いから、鬱陶しいなって思うことはあるよ。勝手な理想持たれることもあるし」
そっちのがすり減るかなぁ、と呟く颯太。
「あー、勝手に想像されて、想像と違って幻滅される的な?」
「そうそれ。なんかさ、花生けてそうとか言われたりさ。そういう、清楚というか清純? みたいなイメージ持たれること多くて。俺、一般家庭育ちの一般的な男子だよ? 花の種類すらわからないし」
眉を下げる颯太。これは色々エピソードがありそうだ。花か……俺もひまわりくらいしかわからない。確かに颯太は綺麗系の美形だし、肌も白いし、線も細いから、そういう繊細なイメージなのはわからんでもない。でも、こいつの好物モックのポテトだし、食べる量も多いし、感性はそこら辺の普通の男子高校生なんだよな。全然下ネタとか言うし。
「そしたら、顔隠したいなーとか思ったことある?」
「隠す? んー……それはないな」
はっきりと断言され、思わず目を瞬かせる。
「俺の場合は、そういうのを差し置いてもこの顔を晒しておく理由があるんだよね」
そう言って意味深に微笑む颯太。なんだろう、これは深く聞いた方がいいのか? いや、やめとこう。なんか藪蛇になりそうだ。こういう勘はあたるんだ。
「なるほどなぁ。でも、その理由がなかったら隠したいってこと?」
「んー……あからさまに隠す、はやっぱしないとは思うよ。それはそれで大変そうだし。でも、目立たないようにはするかもね、眼鏡とか小物を使って」
「美形っていいことばっかじゃないんだなぁ」
「裕也だって色々苦労はあるんじゃない? 去年は結構しつこく言い寄られたりしてたじゃん」
え? 俺、しつこく言い寄られたりしてたっけ? 俺は首を傾げる。
ああ、そういえば、去年何度も告白してくれたり、帰りに俺を待ち伏せたりする子がいたけど、そのことか? イケメンすげぇ! としか思わなかったけど。前世でそんなに好意を向けてもらえたことがないからただただ感動してたんだよな。応えられないからどうしようかとちょっと困ったけど。
「……裕也ってたまに不思議なほど純粋だよね。適当にあしらったりもしないし」
「んなことできねぇよ。好意を持ってくれるなんてありがたいことじゃねぇの?」
「人や場合によらない?」
ああ、そうか。颯太は、好意を向けられることが当たり前の人生だからわからないのか。誰にも相手にされない辛さを。多少困ることはあっても、あの辛さを思えば、それがありがたさを上回ることはない。
「んー……俺は颯太ほどモテないからなぁ」
「それはどうかなぁ……ああ、それで、さっきの話って高林のこと?」
ふいに小声になった颯太の言葉に俺は固まる。
「え?」
「高林、すごい美形だったんだ?」
「あー……」
やっべぇ迂闊すぎた。そりゃ最近俺が絡んでるの高林だし、高林は顔隠してるし、すぐわかるよな。
「……秘密にしてもらえるか? そんな話広まったら、高林が困るから」
「わかってるよ。義和たちにも言わないよ。なるほどねぇ……」
颯太は何かを思案するように右手の人差し指を顎にかける。颯太はぽやぽやしてると思いきや鋭いんだよなぁ。いや、でも今回は俺が分かりやすすぎたな。
「ああ、そういえば明日は体育祭だね。裕也、二人三脚頑張ってね」
「ん? あ、おう。颯太もリレー頑張れよ。とりあえず北斗は潰す感じで」
「ふふっ。後で北斗に泣かれそうだなぁ」
そうか、もう明日が体育祭か。練習ではペースも合ってるし、思ってたより高林足速いし、割といい線いけそうなんだよな。楽しみだな。
そんな話をしているうちにチャイムが鳴り、颯太との話は終わった。
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