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17 体育祭2
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「あー! やっと昼飯だー!」
俺の通う高校は、そこそこの進学校だ。だから生徒の人数もそれなりに多く、同じ学年といえど同じクラスにならない限り顔すら知らないなんてことはザラだ。実際、高林のことも同じクラスになるまで知らなかった。
そんな感じなので、競技を見ていても知らない人ばっかりなのだ。北斗たちやクラスメイトの応援は楽しいけど、正直先輩や後輩も誰が誰やらわからないし、知り合いのいない徒競走やら障害物競走やら、一応同じチームのカラーを応援してはみるものの、続けば段々とダレてくる。去年は北斗がずっと騒いでいたからか途切れることなくボルテージはマックスだったが、今年のクラスは比較的大人しい奴らが多いからか、イマイチ盛り上がりきれていない。
部活でも入ってたらもうちょい先輩後輩の知り合いもいたんだろうが、帰宅部なので縁がない。
前世では部活に入るなんてとんでもなくて、当然のように帰宅部だった。だからこそ、今世では部活も楽しもうと思っていたんだけど、目移りしてる間に入り損ねちゃったんだよな。中途半端な時期に入るのもなーと同じ帰宅部組の北斗たちと仲良くなってぐだぐだうだうだしているうちに今の感じになった。
いや、それでも十分楽しいんだけどな。
「裕也、北斗たちのところ行こう」
「おう! ……あ」
視界の隅に立ち上がる高林が入る。
今日は昼飯の約束をしていない。俺以外の人と食べる、というのは考え難いので、おそらく一人で食べるんだろう。
体育祭の日に一人……というのは、やっぱなんか寂しいよな。前世の俺も、周りが楽しそうにはしゃぐ中
、人がいないところを探してぼっちで弁当を食べるのはなんか……すげぇ惨めな気持ちになったんだよな。
高林は俺と昼飯食べるのに張り切って重箱の弁当を用意するくらいだ。人と食べることがそれだけ嬉しかったということは、一人で食べることをよしとしているわけじゃないはず。
「颯太、ちょっと待ってて」
俺はどこかへ行こうとする高林を慌てて追った。
これまで俺以外の人がいる場は嫌がっていたから、誘っても断られるかもしれない。けど、それならそれでいい。一人で食べるのと、大人数で食べるのと、高林が好きな方を選べばいい。
「高林!」
「あ……高柳くん……」
「あのさ、せっかくの体育祭だし、俺らと一緒に食べない?」
ピタリと固まる高林。やっぱだめかなぁ。まだ俺以外には慣れてないもんなぁ。
「うん、ぜひ」
「へ?」
予想外の返事に思わず瞬きする。高林に緊張した様子はなく、その唇は緩やかな弧を描いている。
なんかすっげぇ余裕な感じに見えるけど、どうしたんだ高林。体育祭という非日常がお前のテンションをかつてないほど押し上げているのか?
ま、いっか。どんな理由でも、高林が人と関わろうと一歩踏み出したのは喜ばしいことだし。……北斗が余計なことしなきゃいいな。あいつ、はしゃぐだろうから。
「おっ! 高林くんじゃん!」
予想通り反応した北斗は、高林に興味津々であることを隠さない。こら、高林は人見知りなんだからグイグイいくんじゃねぇ。
「二宮くんだよね? 中学一緒だった」
「そうそう! なんだ覚えててくれたんか! つか俺高林の声聞くのはじめってー」
北斗をたしなめようと一歩踏み出そうとしたのに、高林はあっさり北斗に対応する。え? 大丈夫なん? 急になんでそんな変わるん?
「あんたが高林か。初めましてだよな。俺は真中義和だ。よろしくな」
「よろしく真中くん」
義和ともスムーズに挨拶を交わす高林。さっきも颯太に普通に挨拶してたけど、颯太はクラスメイトだから慣れたのかと思っていた。同中の北斗はまだしも、義和は初対面なのに。
これまでの高林とのあまりの違いに理解が追いつかない。
「裕也、ほら座ろう?」
「あ、ああ」
呆然と立ち尽くしていたところ、颯太に声をかけられてはっとする。
いや、いいじゃないか。ガチガチに緊張して何も話せなくて落ち込むより全然いい。
いいんだけど、なんなんだろうな。あれ? 高林の何が前世の俺に似てたんだっけ?
高林が俺の方を向いている。前髪の向こうは今、どんな表情をしているんだろうか。
俺の通う高校は、そこそこの進学校だ。だから生徒の人数もそれなりに多く、同じ学年といえど同じクラスにならない限り顔すら知らないなんてことはザラだ。実際、高林のことも同じクラスになるまで知らなかった。
そんな感じなので、競技を見ていても知らない人ばっかりなのだ。北斗たちやクラスメイトの応援は楽しいけど、正直先輩や後輩も誰が誰やらわからないし、知り合いのいない徒競走やら障害物競走やら、一応同じチームのカラーを応援してはみるものの、続けば段々とダレてくる。去年は北斗がずっと騒いでいたからか途切れることなくボルテージはマックスだったが、今年のクラスは比較的大人しい奴らが多いからか、イマイチ盛り上がりきれていない。
部活でも入ってたらもうちょい先輩後輩の知り合いもいたんだろうが、帰宅部なので縁がない。
前世では部活に入るなんてとんでもなくて、当然のように帰宅部だった。だからこそ、今世では部活も楽しもうと思っていたんだけど、目移りしてる間に入り損ねちゃったんだよな。中途半端な時期に入るのもなーと同じ帰宅部組の北斗たちと仲良くなってぐだぐだうだうだしているうちに今の感じになった。
いや、それでも十分楽しいんだけどな。
「裕也、北斗たちのところ行こう」
「おう! ……あ」
視界の隅に立ち上がる高林が入る。
今日は昼飯の約束をしていない。俺以外の人と食べる、というのは考え難いので、おそらく一人で食べるんだろう。
体育祭の日に一人……というのは、やっぱなんか寂しいよな。前世の俺も、周りが楽しそうにはしゃぐ中
、人がいないところを探してぼっちで弁当を食べるのはなんか……すげぇ惨めな気持ちになったんだよな。
高林は俺と昼飯食べるのに張り切って重箱の弁当を用意するくらいだ。人と食べることがそれだけ嬉しかったということは、一人で食べることをよしとしているわけじゃないはず。
「颯太、ちょっと待ってて」
俺はどこかへ行こうとする高林を慌てて追った。
これまで俺以外の人がいる場は嫌がっていたから、誘っても断られるかもしれない。けど、それならそれでいい。一人で食べるのと、大人数で食べるのと、高林が好きな方を選べばいい。
「高林!」
「あ……高柳くん……」
「あのさ、せっかくの体育祭だし、俺らと一緒に食べない?」
ピタリと固まる高林。やっぱだめかなぁ。まだ俺以外には慣れてないもんなぁ。
「うん、ぜひ」
「へ?」
予想外の返事に思わず瞬きする。高林に緊張した様子はなく、その唇は緩やかな弧を描いている。
なんかすっげぇ余裕な感じに見えるけど、どうしたんだ高林。体育祭という非日常がお前のテンションをかつてないほど押し上げているのか?
ま、いっか。どんな理由でも、高林が人と関わろうと一歩踏み出したのは喜ばしいことだし。……北斗が余計なことしなきゃいいな。あいつ、はしゃぐだろうから。
「おっ! 高林くんじゃん!」
予想通り反応した北斗は、高林に興味津々であることを隠さない。こら、高林は人見知りなんだからグイグイいくんじゃねぇ。
「二宮くんだよね? 中学一緒だった」
「そうそう! なんだ覚えててくれたんか! つか俺高林の声聞くのはじめってー」
北斗をたしなめようと一歩踏み出そうとしたのに、高林はあっさり北斗に対応する。え? 大丈夫なん? 急になんでそんな変わるん?
「あんたが高林か。初めましてだよな。俺は真中義和だ。よろしくな」
「よろしく真中くん」
義和ともスムーズに挨拶を交わす高林。さっきも颯太に普通に挨拶してたけど、颯太はクラスメイトだから慣れたのかと思っていた。同中の北斗はまだしも、義和は初対面なのに。
これまでの高林とのあまりの違いに理解が追いつかない。
「裕也、ほら座ろう?」
「あ、ああ」
呆然と立ち尽くしていたところ、颯太に声をかけられてはっとする。
いや、いいじゃないか。ガチガチに緊張して何も話せなくて落ち込むより全然いい。
いいんだけど、なんなんだろうな。あれ? 高林の何が前世の俺に似てたんだっけ?
高林が俺の方を向いている。前髪の向こうは今、どんな表情をしているんだろうか。
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