前世の俺みたいだと思っていたけど全然違った件

某千尋

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21 週末のお出かけ1

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 週末、俺は待ち合わせ場所へ向かい、そこで目に入ったものへの衝撃で固まってしまった。
 そこには既に由紀が来ていた。

 前髪を上げて。

 え? どういうことなの? 顔出しNGじゃなかったのお前。
 モノトーンのシンプルなコーデがスタイルの良さを際立たせているが、そんなことより何より顔面の攻撃力がやばい。周りの女の子ちらちら見てるし。そうだよな、見るよなあれは。

 しばし動くことができず茫然と眺めていると、ふいにこちらを向いた由紀と目が合う。
 俺に気付いた由紀は、口元を綻ばせて嬉しそうに目を細める。

 美形の笑顔の威力、やっば!!

 その姿を見ていた周りの女の子たちの視線が俺に向くのは当然の結果で、俺はなんともいたたまれない気持ちになりながら、見られていることに気付いていない風にして由紀に歩み寄る。
 うー……視線が痛い。俺だって一応そこそこ整ってるはずだけど、由紀とはレベルが違いすぎるんだよなぁ。

「由紀、待った?」

「ううん、俺もさっき来たとこだよ」

 いつもは前髪で隠れているため由紀の表情はわからないけど、今日はよくわかる。すげぇ楽しみにしてたんだな、由紀。

「あのぉー……お二人ですか?」

 前髪のことを聞くかどうかちょっと迷っていたら、女の子二人組から声をかけられた。
 これは……逆ナンってやつでは? すげぇ、さすが由紀。逆ナンなんて都市伝説だと思ってたけどあるんだな。しかもすげぇ可愛い子じゃん。二人とも小動物系の色白でふわふわした雰囲気の小柄な子で、くりくりと庇護欲唆られる黒目がちの瞳を潤ませて見上げてくる姿に、お年頃の俺はドキドキしてしまう。

「あの、もしお二人なら私たちも二人なので一緒に遊びませんか?」

 今ここに俺と一緒にいるのが義和だったら確実に返事はイエスだった。だってこんな可愛い子と遊べるんだぞ? 
 でも、今は。

「ごめんね。俺たち、デートだから」

 由紀は女の子に興味ないし、どう断ろうかと思っていたら、由紀がさらりと断って俺の腰に手を回してくる。
 ぽかんと小さな口を開けて目をまん丸にする女の子たち。
 ってちょっと待て! もっと断り方あっただろ!

 何か言おうとして口を開いて、でもこれを否定したらおかしなことになると思って口を閉じて、ってしているうちに由紀が歩き出して俺もぐいっと動かされる。

「ちょ、由紀っ」

「ごめんね。うまい断り方が思いつかなくて」

「うひゃっ」

 耳元で! 囁くなー!!



 いきなりペースを乱されまくりながらも、予定通りに目的地の店に着く。
 外観からもう、なんていうか、おしゃれが滲み出ている。俺の語彙力でこのおしゃれな感じを表現するのは難しい。だって普段モックとかファミレスとかしか行かねぇし。

「おー、由紀きてくれたんだな」

 カランという鈴の軽やかな音とともに店内に入ると、俺たちに気付いた店員に声をかけられた。というか、この人が件の知り合いなら店長か。なるほど、この人が由紀の知り合い……ってどんな関係だ? 高校生じゃないのはわかっていたけど、割と年上だよな? 二十代中頃くらいに見える落ち着いた雰囲気の店員改め店長は、ほっそりしているけれど儚い感じではなく、少しつり目で目力強めのイケメンだった。

「うん、大事な人と来たよ」

「へぇー、よくきてくれたね」

 由紀に向けられていた視線が俺に向く。興味深そうに俺を眺めてくるが、嫌な感じはしない。
 つか、なんだ大事な人って。なんかこう、誤解されそうな表現じゃん。

「こんにちは。由紀の友人の高柳です」

 誤解がないよう友人であることを明示したけど、よく考えたら誤解ってなんだ。大事な人って言ったって普通は仲の良い友人としか思われないだろうよ。あー、思いの外混乱してるな俺。

「せっかくだし、ゆっくりしていってね」

 席に案内されてメニューを渡される。メニューすらおしゃれなんだが。そういやこういう店って前世でも全く縁がなかったから初体験だな。
 しかし、やたら種類の豊富なコーヒーメニューを眺めても、何が何やらわからない。

「裕也、どれにする?」

「んー、お手上げだ。俺にはコーヒーの違いなんてわかんねぇ。由紀のおすすめある?」

「実は俺もよくわからないんだ」

「まじかよ。由紀はこういうとこに来慣れてるのかと思った」

「まさか。一人で来られないから裕也を誘ったんだよ?」

 そういやそうだった。戦力外の二人でメニューとしばらくにらめっこしていたら、先ほどの店長がやってきた。

「とりあえず、俺のおすすめ飲んでみない?」

 俺と由紀は顔を見合わせたあと、同時に深く頷いた。
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