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42 後朝
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そこからはユージーンにとって激流のような時間だった。
ヴァイツはユージーンの反応が良い場所を何度も何度も擦り上げ、その奥に大量の精をぶちまけた。
勿論、一回では終わらない。
快楽に流されていたユージーンが腹に広がる温かいものの感覚にやっと終わったと力を抜いたところに、ヴァイツがたちまちのうちに硬度を取り戻した剛直を捻り込む。
不意打ちのそれに身体を弓形に反らせたユージーンは声すら出せずにその喉をはくはくと震わせた。
「ぃやっ……もっ……無理っ!ゔぁいつっ!!」
声を取り戻してなけなしの力で手足をバタつかせるも、子猫よりも弱々しい抵抗がヴァイツに効くわけもなく。
『ユージーン、たくさん、たくさん気持ちよくなろうな?』
その興奮に開ききった瞳孔を見て、ユージーンは自身の抵抗の無意味さを悟った。筋骨隆々なヴァイツが理性を飛ばしていては、ユージーンにはどうすることもできない。
けれど、だからといって快楽に身も心も明け渡して溺れられるほど、開き直ることはできなかった。
「なっ、なんでこんな格好を!」
「ぁあ゛っ!やめっ、もうやめてくれっ!」
「やだやだ!もうイキたくない!もう出ない!むりぃぃいいい!!」
「たすけっ、たすけてっ!ゔぁい、ゔぁいつっ」
過ぎた快楽に文字通り涙を流し、無意味と知りながらも叫び続けたユージーン。
第三者が聞けば無体を働かれているとしか思えない悲鳴。その声に気付かれれば、助けが入った可能性もあろう。けれど、その訪問が秘されているがゆえに王宮の奥に配置されたヴァイツの寝床での惨劇が外部に知れることはなかった。周到なヴァイツは、人払いも済ませていたのだ。
結局、ユージーンの無垢だった身体は、夜が明けるまで理性を失った獣に貪られたのだった。
「酷い目にあった」
ユージーンが目を覚ましたのは翌日のすっかり日が昇り切った頃だった。
身体の節々が痛み、とても自力で動くことはできなかった。見れば身体中に鬱血痕が刻まれている。声は枯れ果て、ユージーンは老人にでもなったような心地だった。
「すまない、ユージーン。あまりに貴方が素晴らしくてすっかり理性を失ってしまった」
ぺたりとその耳を折って、甲斐甲斐しくユージーンを世話するヴァイツ。ユージーンはベッドの背に身体を預け、与えられるまま水と果物を口にする。おかげで喉が潤って声を出すことが楽になったユージーンはひとこと言ってやろうとヴァイツを睨む。
しかし、元々猫好きなユージーンは、その申し訳なさそうに垂れ下がった耳を見ては許すしかなかった。当初は愛しい猫の特徴が嫌いな人間の身体くっついていることに嫌悪を覚えていたが、ことここにきては愛しいヴァイツに愛しい猫の特徴という愛しさの掛け算に陥落していたのだ。卑怯者め!と胸中で叫びながら、顔を赤らめる。
「急にあんな……もっと順番があるだろう……」
昨日までは手を繋ぐだけで満たされるような、清い関係だったのだ。一足飛びにいくつもの階段を駆け上がる必要があったとは、納得できていなかった。
「私はもうすぐ国へ帰らなければならない。花開いた貴方を無垢なまま置いていくなど……誰か攫ってくれと言うようなものだ。貴方の奥に、私の印をつけたかったんだ」
満足そうに微笑むヴァイツに若干の苛立ちを覚えたところで、ユージーンは閃いた。
「マーキングか?」
ヴァイツは少し眉間に皺を寄せ、不満そうに口を尖らせる。
「人を動物みたいに言わないでくれ」
「昨日のお前はまさしく獣だった」
言いながらユージーンは昨夜のことを思い出す。すると、身体の奥がゾクリと疼くのを感じた。一晩で散々快楽を植え付けられた身体はその余韻を引きずっていた。
そして、ユージーンが昨夜を思い出したことでその目に僅かに甘い色が灯ったのをヴァイツは見逃さない。
「そんなこと言って……ユージーンだってとても気持ちよさそうだったじゃないか」
「なっ!」
ヴァイツは顔を真っ赤に染め上げるユージーンを見て、更に追撃する。
「あんなに喘いで、ユージーンだって、まんざらではなかっただろう?」
羞恥でプルプルと身体を震わせながら下から睨むように見上げてくるその姿は、子猫が威嚇しているようでヴァイツにとっては可愛いだけだった。ヴァイツはその愛らしさに思わず口元を緩める。その表情がユージーンの怒りに火をつけるなど思いもせずに。
「またお前はニヤニヤして……馬鹿にしてるのかっ!」
しばらく前に祖母であるヴェロニカの姿を見て我が身を振り返ったはずのユージーンだが、一朝一夕にその性質が変わるわけもなく。
怒りを露わにしたユージーンにヴァイツは慌てて否定する。
「馬鹿になど!羞恥に照れるユージーンが可愛くて……」
「かわっ!私を何歳だと!」
「何歳だってユージーンは可愛い。きっとしわくちゃのおじいちゃんになっても可愛い」
厳つい顔をだらしなく蕩けさせるヴァイツに、ユージーンは言葉に詰まる。あまりに愛おしそうにユージーンを見つめるヴァイツに、怒りよりも照れが勝ったのだ。
「なっ!そっ!」
怒りのやり場を見失い、羞恥やら照れやら様々な感情が大渋滞して固まってしまったユージーン。
ヴァイツはその姿を見て、込み上げてくる感情のままにユージーンを抱きしめた。
「愛しいユージーン。国へ帰ればしばらく会えなくなるけど、私のことを忘れないで」
一転して切ない声で囁かれ、ユージーンの中で渦巻いていた感情は萎んでいく。
「……浮気するなよ」
「しないさ。ユージーンこそ、昨日みたいなのは私だけだよ?他の男に迫られても、触れさせてはいけないよ」
「するわけがない!」
「男はケダモノなんだ。近づいてくる男には十分気をつけて、決して二人きりになってはいけないよ」
「私はどこぞの令嬢か!!」
ユージーンはヴァイツに年頃の娘でもそこまで気をつけないだろう細かい条件をつけられ、うんざりしながらもそれを受け入れる羽目になった。
心からユージーンを案じていることが伝わってくるから、どうにも拒否することができなかったのだ。
その日からしばらくして、ヴァイツは予定通り国へ戻っていった。
ユージーンも居を研究棟の研究室に戻し、久方ぶりに落ち着いた日々を取り戻した。
ヴァイツはユージーンの反応が良い場所を何度も何度も擦り上げ、その奥に大量の精をぶちまけた。
勿論、一回では終わらない。
快楽に流されていたユージーンが腹に広がる温かいものの感覚にやっと終わったと力を抜いたところに、ヴァイツがたちまちのうちに硬度を取り戻した剛直を捻り込む。
不意打ちのそれに身体を弓形に反らせたユージーンは声すら出せずにその喉をはくはくと震わせた。
「ぃやっ……もっ……無理っ!ゔぁいつっ!!」
声を取り戻してなけなしの力で手足をバタつかせるも、子猫よりも弱々しい抵抗がヴァイツに効くわけもなく。
『ユージーン、たくさん、たくさん気持ちよくなろうな?』
その興奮に開ききった瞳孔を見て、ユージーンは自身の抵抗の無意味さを悟った。筋骨隆々なヴァイツが理性を飛ばしていては、ユージーンにはどうすることもできない。
けれど、だからといって快楽に身も心も明け渡して溺れられるほど、開き直ることはできなかった。
「なっ、なんでこんな格好を!」
「ぁあ゛っ!やめっ、もうやめてくれっ!」
「やだやだ!もうイキたくない!もう出ない!むりぃぃいいい!!」
「たすけっ、たすけてっ!ゔぁい、ゔぁいつっ」
過ぎた快楽に文字通り涙を流し、無意味と知りながらも叫び続けたユージーン。
第三者が聞けば無体を働かれているとしか思えない悲鳴。その声に気付かれれば、助けが入った可能性もあろう。けれど、その訪問が秘されているがゆえに王宮の奥に配置されたヴァイツの寝床での惨劇が外部に知れることはなかった。周到なヴァイツは、人払いも済ませていたのだ。
結局、ユージーンの無垢だった身体は、夜が明けるまで理性を失った獣に貪られたのだった。
「酷い目にあった」
ユージーンが目を覚ましたのは翌日のすっかり日が昇り切った頃だった。
身体の節々が痛み、とても自力で動くことはできなかった。見れば身体中に鬱血痕が刻まれている。声は枯れ果て、ユージーンは老人にでもなったような心地だった。
「すまない、ユージーン。あまりに貴方が素晴らしくてすっかり理性を失ってしまった」
ぺたりとその耳を折って、甲斐甲斐しくユージーンを世話するヴァイツ。ユージーンはベッドの背に身体を預け、与えられるまま水と果物を口にする。おかげで喉が潤って声を出すことが楽になったユージーンはひとこと言ってやろうとヴァイツを睨む。
しかし、元々猫好きなユージーンは、その申し訳なさそうに垂れ下がった耳を見ては許すしかなかった。当初は愛しい猫の特徴が嫌いな人間の身体くっついていることに嫌悪を覚えていたが、ことここにきては愛しいヴァイツに愛しい猫の特徴という愛しさの掛け算に陥落していたのだ。卑怯者め!と胸中で叫びながら、顔を赤らめる。
「急にあんな……もっと順番があるだろう……」
昨日までは手を繋ぐだけで満たされるような、清い関係だったのだ。一足飛びにいくつもの階段を駆け上がる必要があったとは、納得できていなかった。
「私はもうすぐ国へ帰らなければならない。花開いた貴方を無垢なまま置いていくなど……誰か攫ってくれと言うようなものだ。貴方の奥に、私の印をつけたかったんだ」
満足そうに微笑むヴァイツに若干の苛立ちを覚えたところで、ユージーンは閃いた。
「マーキングか?」
ヴァイツは少し眉間に皺を寄せ、不満そうに口を尖らせる。
「人を動物みたいに言わないでくれ」
「昨日のお前はまさしく獣だった」
言いながらユージーンは昨夜のことを思い出す。すると、身体の奥がゾクリと疼くのを感じた。一晩で散々快楽を植え付けられた身体はその余韻を引きずっていた。
そして、ユージーンが昨夜を思い出したことでその目に僅かに甘い色が灯ったのをヴァイツは見逃さない。
「そんなこと言って……ユージーンだってとても気持ちよさそうだったじゃないか」
「なっ!」
ヴァイツは顔を真っ赤に染め上げるユージーンを見て、更に追撃する。
「あんなに喘いで、ユージーンだって、まんざらではなかっただろう?」
羞恥でプルプルと身体を震わせながら下から睨むように見上げてくるその姿は、子猫が威嚇しているようでヴァイツにとっては可愛いだけだった。ヴァイツはその愛らしさに思わず口元を緩める。その表情がユージーンの怒りに火をつけるなど思いもせずに。
「またお前はニヤニヤして……馬鹿にしてるのかっ!」
しばらく前に祖母であるヴェロニカの姿を見て我が身を振り返ったはずのユージーンだが、一朝一夕にその性質が変わるわけもなく。
怒りを露わにしたユージーンにヴァイツは慌てて否定する。
「馬鹿になど!羞恥に照れるユージーンが可愛くて……」
「かわっ!私を何歳だと!」
「何歳だってユージーンは可愛い。きっとしわくちゃのおじいちゃんになっても可愛い」
厳つい顔をだらしなく蕩けさせるヴァイツに、ユージーンは言葉に詰まる。あまりに愛おしそうにユージーンを見つめるヴァイツに、怒りよりも照れが勝ったのだ。
「なっ!そっ!」
怒りのやり場を見失い、羞恥やら照れやら様々な感情が大渋滞して固まってしまったユージーン。
ヴァイツはその姿を見て、込み上げてくる感情のままにユージーンを抱きしめた。
「愛しいユージーン。国へ帰ればしばらく会えなくなるけど、私のことを忘れないで」
一転して切ない声で囁かれ、ユージーンの中で渦巻いていた感情は萎んでいく。
「……浮気するなよ」
「しないさ。ユージーンこそ、昨日みたいなのは私だけだよ?他の男に迫られても、触れさせてはいけないよ」
「するわけがない!」
「男はケダモノなんだ。近づいてくる男には十分気をつけて、決して二人きりになってはいけないよ」
「私はどこぞの令嬢か!!」
ユージーンはヴァイツに年頃の娘でもそこまで気をつけないだろう細かい条件をつけられ、うんざりしながらもそれを受け入れる羽目になった。
心からユージーンを案じていることが伝わってくるから、どうにも拒否することができなかったのだ。
その日からしばらくして、ヴァイツは予定通り国へ戻っていった。
ユージーンも居を研究棟の研究室に戻し、久方ぶりに落ち着いた日々を取り戻した。
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