女社長よ さようなら ~ 柳林善次郎の事件簿~

ナッツ高美

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第14話 新たな被害の可能性

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「社長の座を 譲ってもらうね」
「何を言ってるの?」
「今よりも 良い会社に してみせる」


































──────────


下里美智子(しもざとみちこ) 29歳 
抑揚がなく ぼそぼそっと話し、何事にもあまり積極的ではなく、やるべき事はそつなくやるのだけど、それ以上には、羽目を外したりすることもなく、夢中になったり、何かに熱くなれるものが特になく、淡々と つまらなそうに しかし日々はこんなもんだと、下里美智子は過ごしていた。




黒髪を1本に縛り、地味なメイクに、黒縁メガネ。一見、冴えないのだが、メガネの奥の瞳は美しかった。 メガネを外してメイクもしっかりすれば、かなり目立つ美人になる。










柴山と階段の踊り場で話していた女だ。








沙織は、ロッカー室で着替えて、急いで帰って、清掃モップの柄に仕込ませた小型カメラで撮影した柴山と下里の顔写真を、柳林と本間に見せた。沙織は、次は柴山にこの子が狙われるかもしれないと、そして今夜、柴山と下里は出掛けると、柳林と本間に話をした。柳林と本間は下里美智子をこっそりと本人にもバレないよう護衛することにした。



柴山と下里は、まずイタリアンレストランへ行き、そのあとbarカスケードへ行こうと、さっき階段の踊り場で話をしていた。そのことを沙織が柳林と本間に伝えると、柳林と本間はカスケードで見張りをすることに決めた。









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barカスケイドで、柳林と本間もお客のふりをして、店内に入り、ノンアルコールビールを飲みながら、二人が来るのを待っていた。














柳林「ノンアルコールかぁ、、冴えないなぁ」




本間「柳林さん、仕事中ですから、、。汗。そして、もしかしたら下里さんの命が危険かもしれない夜なんです。」





柳林「笑 じょーだん。じょーだん。
いや、でも本間。殺された3人はみんな、ホテル以外の場所で死んでいる。ホテルの部屋に2人がもし向かっても、このホテルの部屋で殺される可能性は極めて低い、まだ芝山が犯人だという証拠もないし、断定はできない。しかしなにか悲鳴や異変があれば、すぐに、助けに行けるように、もしふたりがここを出て、部屋へ向かうようであれば、ふたりにタイミングを合わせて、その階の踊り場で待機する。まずは部屋が何号室か確認しないとならん。」





本間「はい。」











柳林と本間はソファー席に座っている
水のカーテンのパーテンション越しに、男女が店に入ってきて、カウンター席に座るのが見えた。










写真の顔の男と女だ!   




あの人が、、下里美智子




そして、、あいつが、柴山透だ!













柴山「マスター、いつものお願いします」





マスター「こんばんは。いらっしゃいませ、柴山様。はい、お待ちくださいませ。今夜は可愛らしい人をお連れしてますね。いらっしゃいませ」







下里が、嬉しそうに少し顔を赤らめて、戸惑う。

下里「 こんばんは。  わたし、ちょっと御手洗に、、失礼します」



下里が一旦気持ちを落ち着かせようと、席を外す。








マスターが柴山にグレンフィディックのソーダ割りを作る。









柴山「.....マスター、最近、社内で続けて人が殺されているんだ....」




マスター「え?   ぶっそうですね..」





柴山「しかも、みんな俺と仲良しの人ばかりでね、山本社長に、江川取締役、長谷川ちゃん、、」








マスターも みんな柴山と一緒にカウンター席に来ていた常連客だったから、 ポーカーフェイスのマスターは、表情には出さなかったが、心の中で驚き悲しんだ。






マスター「そうでしたか、、最近みなさんおめ掛けしないなと、お元気かなと思っていました」








柴山「、、、俺、そんで、今度次期社長候補になったんだよ、」





マスター「そうなんですね。それは、重責ですね、この状況の中、会社のために役目を果たさなければならないのは、相当な精神力と努力がないと..柴山様、あまり無理なさらないように。」







柴山「マスター、ありがとう。。いやでも本当に、、、結構精神的に参っていてね。亡くなってしまった彼女達の分まで頑張ろうとは思うんだけどね。なんだか心にぽっかり穴が空いたような気分だよ。」



















下里美智子が御手洗から戻ってきた。





黒いスーツ姿に黒髪をいつも通り1本にたばねて、黒縁のメガネをしている。




柴山「下里ちゃーん、すわってすわって」




下里「なんか、緊張しちゃいます、、」





下里が柴山の席の隣に座ると、姿勢は綺麗にピンと背筋を伸ばして、表情は固く、どう話していいか戸惑いながら、柴山が何か言ってくれるのを待っている様子だった。





下里「私こういう所、初めてで、慣れてなくて」
沈黙が続きそうだったので、さらに下里から口を開いた。





柴山「そぉ?  あんまり 下里ちゃんは、こういうとこ、来たことないのかな?  いいんだよ、いいんだよ、リラックスして、  お家にいるような気分で。さっきのイタリアンレストランどうだった? 美味しかったでしょ?  」




下里「はい、美味しかったです。」






柴山「なに飲む? 下里さん、、、、
           美智子ちゃんで良い?」






下里は少し戸惑ったが、いいですよ、と返事をした。









下里「私、お酒飲めないんです。」





柴山「あっそうなの? それじゃぁ 美智子ちゃん、シンデレラとかシャーリテンプルとか、、
あっ!この前作ってた、あの綺麗な色の、ほら、白ワインとなんだっけ、、カシスじゃなくて、、ねぇ、、、マスター、、何かノンアルコールカクテル作ってあげてよ」







マスター「..キールアンぺリアルですね。スパークリングワインとラズベリー、木苺のカクテルです。 スパークリングを炭酸水にして、ノンアルコールでお作り致しますよ。」






マスターは、細めのフルートグラスに、大人なかわいい、ムードある淡いクラレット色の微発砲のノンアルコールカクテルを作り、下里の前に出した。








すると、「綺麗」と言って下里は喜び、
肩苦しい表情の顔が、一瞬だけだが、柔らかくなり、優しい女性らしい顔になった。









下里が、一口飲む。 笑顔を見せる
「美味しいです」







柴山「よかった」






下里「それで社内の悩みなんですが、、」









下里から喋りだしたから、柴山は(おっ  君から話してくるのね) と、意表を突かれ、すっかり下里の悩みを聞くって言っていたことも忘れていたのだが、話を聞き始めた。










下里「それで.... 『やってね』って言われたことをやったら、『そうは言ってない』って言うんです。。。」




柴山「うーーん。うんうん、美智子ちゃーん
、人生なんてそんなもんだよ。
あーやってね、こーやってね、と言われても、そんなこと言ってないよ~って言われたり、理不尽な事もあるし、実際は思い通りなんていかない。
よくある事だよ。気にしない方がいい」





柴山は、ちゃんと聞いているんだか、聞いていないんだか、分からないような軽めの絶妙な相槌を打ち、解決法を言ってくるので、不思議と下里は自分の悩みを溜め込まずに、柴山に、こぼすことができた。





下里(いつもはこんなに喋る自分ではないのに、柴山さんだと不思議と話しちゃうなぁ)

そこから、下里は趣味の話やら、最近結婚した女友達の話やら、たわいもない話をした。





的を得ているのだが、軽い感じで答える柴山であった。しかし柴山の頭の中は、早く部屋に行き、やることをやりたい。このクソ真面目な女をどうしたら落とせるかだけを考えていた。






下里「今日は、素敵なお店に来れて嬉しかったです。柴山さんともゆっくりお話ができたし、会社だとバタバタしてるから話なんてできないし。柴山さん、お話聞いてくれてありがとうございました。私、そろそろ失礼します。また明日も頑張るので、よろしくお願いします」






柴山「 え??  もう帰っちゃうの?   もう一杯くらい飲んでけば? 美智子ちゃん、俺がまだまだそばにいるよ、きっと元気になれるよ。社会人の先輩として、美智子ちゃんに、色々教えてあげられると思うんだよね。他に悩みはない? 聞くよ。一緒にいようよ、もう少し。」







下里「柴山さん、ありがとうございます。心強いです。でも、明日は、ランジェリードリームの大胡田さんと、先日新作の冷感下着のデザインを頼まれていたのが、出来上がって、それを、見せに、細かい修正などの打ち合わせしなきゃならなくて...。私、試着もしなきゃならなくて。。汗。朝早いんです。また誘ってくださいね。」








柴山「そうなんだね。そっかぁ..。あの、、一時間したら繊維が水に溶けるってあの新作の?  大胡田さん、仕事熱心だからなぁ、、美智子ちゃんも大胡田さんと対等に打ち合わせできるように、パフォーマンスが下がらないように、早い睡眠をとらないとね。がんばってね。」





下里「はい、ありがとうございます。それじゃあ失礼します。柴山さん、マスター、おやすみなさい。」





























、、、、、、、、、























柴山は、女と一緒にエレベーターに乗れない日も、稀にあるようだ。















期待はずれ、肩を落として、うなだれてる柴山に
マスターが声をかける








マスター「柴山様  白州18年のロックでもお作りしましょうか?」





柴山「いいねぇ、それいこう。」






マスターのナイスタイミングのフォローで、
柴山は気持ちを切り替えることが出来た。



















































その様子をソファー席からみていたふたりは..



本間「柳林さん、二人は別々に帰るようですね。」

柳林「本間、ほんとだな。何も起こらなそうだな。しかし数日は、まだ 下里さんの護衛をしよう」






本間「はい!」






柳林「それに、柴山と下里さんがまた次会う約束をしたかもしれないからな、、気を抜くな」







本間「はい!」







柳林「それにしても、オシャンな店だなぁ。。こういう所も良いけれど、俺はやっぱりママのところが一番好きだ。落ち着くなぁ。 今日ちょっと、ママんとこ 寄ってくかなぁ。 こんなノンアルコールビールじゃ、一日を終えれない。」







本間「柳林さん、下里さんの護衛がしばらく続きますので、ママのところは、落ち着くまでは控えた方がいいかと、、 酔ってしまいますと、緊急の時動けなくなってしまうと、、」







柳林「本間、、、。たしかにそうだ。 正解だ。
わかった。我慢しよう。 」









柳林は、ちょっと寂しそうに遠くをみつめながら、ノンアルコールビールを飲み干した。












柳林「お兄ちゃん、ごっそっさん」
柳林がにこっとします。









マスター「はい、ありがとうございました」





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──────










つづく ☪︎*·̩͙




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