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ようこそこの世界へ
14.確かに君が悪役令息
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セカきみには六つのルートがある。
俺様系から無気力系、クール系、カワイイ系に情熱系……その他にも。
沢山のルートにそれぞれのエンド。何故か乙女ゲーあるあるの逆ハーレムエンドとかは無かったけど、その代わりか全てのルートに別の悪役がいた。
ゲームサービス予告公開当初、その凄さに「お金大丈夫!?赤字ならん!?」だとか「こんなただの乙女ゲーに金使う運営アホ」だとか中々に酷い炎上をしたが、実際にサービスを受けてみると、YouTu○には面白いほど手のひら返しな動画ばかり上がっていて見ていてそれはもう面白かった。
そんな中の、あるひとつのルート。
ラナイフマジン攻略ルート。
実を言うと俺はラナイフマジン推しじゃなかったからあまり詳しくは覚えていない。
まあその代わり推しのルートは詳しく覚えているんだけど。
ラナイフマジンルートのあらすじはたしかこう。
王都立総合学園で出会った先輩であるラナイフマジンと、後輩である主人公。
ラナイフマジンが抱く主人公への最初の印象はよそよそしい子、というものだった。
というのも、主人公は平民や男爵家の子ではなく隣国の公爵令嬢か侯爵令息で、学園での肩書きはその隣国からの留学生というものだった。
そんな右も左も分からない土地の案内役として抜擢されたのがラナイフマジンだった。
突発的な街イベントやトラブルを一緒に解決していく内に、気心がしれた二人が自分の中身を吐露し始め、次第にお互いに惹かれていく……というのが大筋。
その最中、何やら隠し事をしているラナイフマジンを気がかりに思いつつ、彼が話してくれるまで待つことにした主人公。
無事色々なハプニングを乗り越え、ラナイフマジンが成人を迎え大学卒業のパーティで、主人公はリアルトラーと初めて対面する。
ブリオングロード家内で孤立状態にあったリアルトラーは、実の兄ながら幼い頃からずっとラナイフマジンに恋心を抱いていた。
ずっとずっとずーっと会えない日々、待ち焦がれていた兄は恋人を連れて帰省してきた。
リアルトラーはそこら中に乱れた感情の全てを当たり散らした。けれど誰も相手をしてくれない。もちろん自分の兄も。
何故なら、これが一度目じゃないからだ。
リアルトラーは昔、兄を盗られる嫉妬に身を焦がして、
自分の弟を殺した。
って確かそんな話だったよな!?
お部屋に帰る方法が分からない時と比じゃないくらい、身体から水分が抜け落ちる。
さっき水を飲んだばかりなのに意味がなかったみたいだ。
「やだやだやだ、ラーナにいさまはぼくのー!」
「大丈夫だよ、ラーナ兄様はリアの兄様だ。」
「ほんと?ラーナにいさまはぼくだけのにいさま?」
「うーん…………」
俺今苦笑いとか出来る余裕ない。
今日一日のカロリーが高すぎる。
不整脈かと疑うくらいの心臓が痛くて胸を抑えてしまう。
それに気が付かない二人は相も変わらずで、ラーナ兄様は何処かリア兄様の反応を楽しんでいる様でもあった。
浅い息を繰り返して何とか落ち着かせようとするけど、それもあまり効果がみられない。
「ら、らあなにい、しゃま……」
「なに?イーヒャ……って、イーヒャ?大丈夫?」
やっとこちらを見てくれたラーナ兄様は、俺を見て驚いて顔を覗き込んできた。
酷い顔をしているのだろうか、自分がどんな顔をしてるかなんて分からないのに気になってしまう。
ラーナ兄様は俺を抱き抱えて座っていたソファから立ち上がった。
「ラーナにいさま……?」
目の前がどんどんとモヤで埋まっていく。
もうこちらを見上げてくるリア兄様の顔すら朧げだ。
船酔いをしたかのような胃の気持ち悪さから逃れたくて精霊さんを探すけど、この部屋のどこにもいない。
やばいどうしよう。死ぬかも。
「ごめんねリア、もう帰るね。」
「もうかえられるの!?まだきたばかりではないですか、まだダメです!」
「またすぐに来るから。いい子に待っていられる?」
「すぐっていつですか?あした?あさって?」
「リア……」
「イーヒャがぐあいがわるそうにしているからですか?ならほうっておいて」
「だめだよリア」
またもや泣き出しそうなリア兄様がいるがそんな人に構っていられるほど余裕はない。
もう帰らせてくれ。
その一言に尽きる。
またすぐに来ると指切りげんまんをした二人は別れる最後まで名残惜しそうに手を繋いでいた。
別れて部屋から出ると、ラーナ兄様は再び現れた精霊さんに髪色の変更と加速のお願いをした。
行きよりも早くたどり着いた家で、ラーナ兄様は髪色を解くとそこらにいたスチュワードに冷水と着替えを持って来るよう命令した。
やっと辿り着いた自分の部屋に、少し落ち着くけれど自分の運命をしってしまった俺には全然薬になってくれない。
『イーヒャ大丈夫?』
『おねつ?おねつ?』
『具合がわるいの?』
精霊が飛び回って心配してくれている。
あっちにうろうろこっちにうろうろと何をしたらいいか分からなそうにしている精霊さんたちは、ほんの少しだけ癒しになる。
「せれしゃ、ねんね、したい…っ」
精霊さんは顔を見合せて頷くと、おでこを二回ほどぺちぺちと叩いた。
すると直ぐに眠気がやってきた。
強制的に眠ることは怖いけれど、今は何も考えたくない。
俺は将来いつか殺されて、いなくなってしまう。
部屋を出る際のリア兄様の最後の顔を思い出す。
ああ確かに、あの子が、俺にとっても悪役令息だ———…………
俺様系から無気力系、クール系、カワイイ系に情熱系……その他にも。
沢山のルートにそれぞれのエンド。何故か乙女ゲーあるあるの逆ハーレムエンドとかは無かったけど、その代わりか全てのルートに別の悪役がいた。
ゲームサービス予告公開当初、その凄さに「お金大丈夫!?赤字ならん!?」だとか「こんなただの乙女ゲーに金使う運営アホ」だとか中々に酷い炎上をしたが、実際にサービスを受けてみると、YouTu○には面白いほど手のひら返しな動画ばかり上がっていて見ていてそれはもう面白かった。
そんな中の、あるひとつのルート。
ラナイフマジン攻略ルート。
実を言うと俺はラナイフマジン推しじゃなかったからあまり詳しくは覚えていない。
まあその代わり推しのルートは詳しく覚えているんだけど。
ラナイフマジンルートのあらすじはたしかこう。
王都立総合学園で出会った先輩であるラナイフマジンと、後輩である主人公。
ラナイフマジンが抱く主人公への最初の印象はよそよそしい子、というものだった。
というのも、主人公は平民や男爵家の子ではなく隣国の公爵令嬢か侯爵令息で、学園での肩書きはその隣国からの留学生というものだった。
そんな右も左も分からない土地の案内役として抜擢されたのがラナイフマジンだった。
突発的な街イベントやトラブルを一緒に解決していく内に、気心がしれた二人が自分の中身を吐露し始め、次第にお互いに惹かれていく……というのが大筋。
その最中、何やら隠し事をしているラナイフマジンを気がかりに思いつつ、彼が話してくれるまで待つことにした主人公。
無事色々なハプニングを乗り越え、ラナイフマジンが成人を迎え大学卒業のパーティで、主人公はリアルトラーと初めて対面する。
ブリオングロード家内で孤立状態にあったリアルトラーは、実の兄ながら幼い頃からずっとラナイフマジンに恋心を抱いていた。
ずっとずっとずーっと会えない日々、待ち焦がれていた兄は恋人を連れて帰省してきた。
リアルトラーはそこら中に乱れた感情の全てを当たり散らした。けれど誰も相手をしてくれない。もちろん自分の兄も。
何故なら、これが一度目じゃないからだ。
リアルトラーは昔、兄を盗られる嫉妬に身を焦がして、
自分の弟を殺した。
って確かそんな話だったよな!?
お部屋に帰る方法が分からない時と比じゃないくらい、身体から水分が抜け落ちる。
さっき水を飲んだばかりなのに意味がなかったみたいだ。
「やだやだやだ、ラーナにいさまはぼくのー!」
「大丈夫だよ、ラーナ兄様はリアの兄様だ。」
「ほんと?ラーナにいさまはぼくだけのにいさま?」
「うーん…………」
俺今苦笑いとか出来る余裕ない。
今日一日のカロリーが高すぎる。
不整脈かと疑うくらいの心臓が痛くて胸を抑えてしまう。
それに気が付かない二人は相も変わらずで、ラーナ兄様は何処かリア兄様の反応を楽しんでいる様でもあった。
浅い息を繰り返して何とか落ち着かせようとするけど、それもあまり効果がみられない。
「ら、らあなにい、しゃま……」
「なに?イーヒャ……って、イーヒャ?大丈夫?」
やっとこちらを見てくれたラーナ兄様は、俺を見て驚いて顔を覗き込んできた。
酷い顔をしているのだろうか、自分がどんな顔をしてるかなんて分からないのに気になってしまう。
ラーナ兄様は俺を抱き抱えて座っていたソファから立ち上がった。
「ラーナにいさま……?」
目の前がどんどんとモヤで埋まっていく。
もうこちらを見上げてくるリア兄様の顔すら朧げだ。
船酔いをしたかのような胃の気持ち悪さから逃れたくて精霊さんを探すけど、この部屋のどこにもいない。
やばいどうしよう。死ぬかも。
「ごめんねリア、もう帰るね。」
「もうかえられるの!?まだきたばかりではないですか、まだダメです!」
「またすぐに来るから。いい子に待っていられる?」
「すぐっていつですか?あした?あさって?」
「リア……」
「イーヒャがぐあいがわるそうにしているからですか?ならほうっておいて」
「だめだよリア」
またもや泣き出しそうなリア兄様がいるがそんな人に構っていられるほど余裕はない。
もう帰らせてくれ。
その一言に尽きる。
またすぐに来ると指切りげんまんをした二人は別れる最後まで名残惜しそうに手を繋いでいた。
別れて部屋から出ると、ラーナ兄様は再び現れた精霊さんに髪色の変更と加速のお願いをした。
行きよりも早くたどり着いた家で、ラーナ兄様は髪色を解くとそこらにいたスチュワードに冷水と着替えを持って来るよう命令した。
やっと辿り着いた自分の部屋に、少し落ち着くけれど自分の運命をしってしまった俺には全然薬になってくれない。
『イーヒャ大丈夫?』
『おねつ?おねつ?』
『具合がわるいの?』
精霊が飛び回って心配してくれている。
あっちにうろうろこっちにうろうろと何をしたらいいか分からなそうにしている精霊さんたちは、ほんの少しだけ癒しになる。
「せれしゃ、ねんね、したい…っ」
精霊さんは顔を見合せて頷くと、おでこを二回ほどぺちぺちと叩いた。
すると直ぐに眠気がやってきた。
強制的に眠ることは怖いけれど、今は何も考えたくない。
俺は将来いつか殺されて、いなくなってしまう。
部屋を出る際のリア兄様の最後の顔を思い出す。
ああ確かに、あの子が、俺にとっても悪役令息だ———…………
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