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死境に彷徨う死神の網

回復と、ワープと、電話と

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「ここから…聴こえるんじゃね?」
フィラットは耳を澄まして聴いた。
とある部屋の扉の前に辿り着いた。

その部屋に、レオポルトとバスティアンは目配せした。


「……ここって…」
「また、戻ってきたな。」

「えっ…確かに。俺、ここから来たもんね…」

レオポルトとフィラットが飛ばされた、小さなアトリエ。

「でも、ここにはピアノはありません。」
「…うん、ピアノ無かった!」
「……てことは…」

バスティアンはアトリエの隣の壁に耳を当てた。確かにここからピアノの音が聴こえる。

アトリエの隣には、部屋はないはず。

しかし、なぜか隣の壁はとても広い。

「アトリエ…そんなに部屋大きかったか?」
「いえ。小さいです…。」

すると、レオポルトは何かに気付いた。

「あっ!!」
「レオ?」

「これですよ!」
部屋の中から取ってきたのは、金槌。
アトリエに飛ばされた時、不思議に思っていた金槌がここで役立つようだ。

「これで…壁壊せってこと?」
「そのようかと。」
「出来そう?」
「…最低限で良いなら、多分…。」
「ふぅん……レオ、頑張れ。」

「えっ、僕ですか?」
「…1番若いから。」
「あっ……あぁ…」


レオポルトはアトリエの隣、壁を金槌で思いっきり壊そうとする。

「くっ……これ結構きついですよ……!!」
「頑張れ~」
「…こういう時に!…ゲルトさんと!アルベルトさんが!いれば…!!」
「レオ頑張れ~、おっ?!」


ガゴンッッ


すると、少しだけ壁に穴が開いた。

「……中、見えそうです。」

そこからはっきりとピアノの音が聴こえる。


レオポルトが覗いた。

「……?」
「見えたか?」
「…音楽家?がいるんじゃね?」

レオポルトが見たのは、壁一面に誰かの肖像画が飾られている。床には楽譜と本が散らばる。

そして、空中に浮くようにグランドピアノが音楽を奏でていた。

「誰も……いない…??」

すると、レオポルトが覗いていた穴に向かって血色の悪い肌をした人が笑った。

「うわぁぁぁぁぁぁっっっ!!??」

「どしたの?」
「レオ?」


ズガァァァン!!



その穴から青白い手が突き抜けてきた。


「「「うわぁぁぁぁぁぁ!?!?」」」

3人は逃げた。

「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!!!」
「バスティアンさん!早く!」
「マントが重いんだよ!!!」

3人は全く後ろを振り返らなかった。
とにかく走った。凄い走った。

ふと、3人は立ち止まって後ろを見た。

「……はぁっ……!良かった…」
「あ~…次これに立ち向かうとかガチ無理ゲー…」
「仕方ないだろ…次は6人で来るから大丈夫だ。」
「…てか……ここどこ?」
「あ……」

3人は一目散に走ったので、まだ見ていない所に来ていたようだ。

「…散策…してみますか?」
「えー…もうやだ…」

すると、バスティアンが呟いた。

「…ここまで歩いてきて、アルベルト達に会えないのはおかしい。……もう…1階は出たんじゃないか?」

「…確かに…」
「でもさ、その…白い像いっぱいあったとこ?にまだいる可能性もあるっちゃあるよ?」
「…あの3人だ。閉じ込められた部屋からは出ているだろうし、もしかしたら上に行っているかもしれない。」
「…階段を見つけたと?」
「…もしくは飛ばされた…か。」

「この飛ばすやつってさ、行先決まってるんじゃね?」
「そうですか?」
「……いや。何となくだけど、よくあるじゃん、広すぎる城の中をワープできる!みたいな?」
「……多分、それだろうな。」
フィラットの考察に、バスティアンは頷いた。

「まず…回復…したいです…」
「あぁ。そうだな。」
「俺は大丈夫。」
「お前は闘わずに逃げ回ってたんだろ」
「あはは」

バスティアンの回復薬も底を尽き、ヒーラーのハインリヒがいないため、回復することが出来ず、危篤状態で敵と闘う訳にもいかなかった。

「デカい敵が出たら逃げる、倒せそうだったら倒そうか。」
「そうですね。」
「……了解。」

3人は音楽家の居場所が分かった上で、まだ調査しきれていない場所を調べることにした。


_____________



一方、大聖堂を出てまだそこにフィラットがいると思い込んでいるアルベルト達。

白い修道女に回復をして貰い、ワープの現れた大聖堂を調査していた。

「お、聖書じゃないか?」
「…聖書は…普通の聖書か…」
「あぁ。特に…何も無さそうだ。」
ゲルトが司教座周辺を探して見つけた聖書を捲った。特に手掛かりはないようだ。

「…凄い…。」
その奥でハインリヒは、飾られていた絵画や像を見て、触れていた。

床は鏡のように美しく、光を反射し、逆さにハインリヒを映していた。大聖堂の端には噴水もあった。
「どこから水を上げているの?」
現実的な面からつっこんでしまった。

大聖堂をふらりと歩き回る。
敵もいないことが分かったため、美術品を見回って密かに楽しんでいた。

(…あ…電話だ…)

絵画、像、噴水、本棚…。
それらに紛れてあったのは、電話。
レプリカみたいなやつか。飾りだろうと、ハインリヒはスルーしてしまった。


後に、こいつが役立つことまで考えは至らなかったようだ。


「ハインリヒ。そろそろ進もう」
「フィラットが逃げる。」
「ははっ、そうですね。行きましょう。」
大聖堂を調査したが特に手掛かりはなく、3人はただ楽しんで出てきてしまった。


大聖堂を出て立ち止まった。

「…これは…明らかに修道女がいる階だな…」
「あぁ。」

3人は未だにはぐれないようにと手を繋いでいる。珍しく、ゲルトがこういった事を嫌がらなかった。

ここは1階ではないということが分かる。1階とは逆に、白と金で作られている。

大聖堂から出た先にも廊下が左右に分かれている。

出てすぐの廊下には、聖母マリアの像とユリの花が並べて飾られている。

「げ……」
「あっ…」
「ひぃ……」

3人は息を吸った。
先に見えたのは、何かの尻尾。ニョロニョロと這っている。

((うわっ…絶対蛇やん…))

白い蛇で、大きい。白大蛇だ。

「…行こう…」

3人はゆっくりと静かに進み、大蛇の後ろ姿を陰から覗いた。

確かに、白蛇。


「金運上がりそうだな!」
「うるせぇバカ」

アルベルトはゲルトに怒られた!

「右に行ってみますか?」
「…そう…だな。」

ハインリヒは白蛇が進んだ逆方向を指差した。


「なぁ、真っ直ぐだと階段あるぞ。」
ゲルトが指したのは、真っ直ぐ進んだ先にある広間。グラウンドピアノと石膏像、そして大きな螺旋階段があった。

「早速上に登るのもな…どこに続いてるのかも分からないからな。階段は後にしよう。」
「あぁ。」
「行きましょう。」

アルベルトとゲルトが先に歩き出し、その後をハインリヒが追った。

「……?」

後ろに気配がした。

「ひっ」
ハインリヒの視界の端に、細長い舌のようなものが見えた。

(…蛇じゃん…?!さっき、あっちにいったよね???)

さっき、逆方向に行ったはずの蛇がハインリヒを囲むようにとぐろを巻き始める。

「ァ…アルベルトサン…!ゲルトサァァン…!!」

小声で叫んだ。(矛盾)

「……?!」
「ハインリヒ?!」
「タスケテ…」

2人は直ぐに駆けつけ、ハインリヒを締め付けようとする尻尾を斬った。

🐍「シャァーーーーーーー!!!!!」


戦闘が始まった。

【1ターン目】

アルベルト
 必殺 大剣突き 13560ダメージ

ゲルト
 通常守備 横一列にガードを置いた

ハインリヒ
 奥義 ママのお守り 全員の防御力UP

🐍「シャァーーーー!!!!!」
 長い尻尾を全体に3回叩きつけた。
 3人は10670ダメージずつ受けた。


【2ターン目】

 アルベルト
 通常攻撃 8720ダメージ

ゲルト
 通常攻撃 6900ダメージ

ハインリヒ
 通常回復 全体のHPを6330ずつ回復

🐍「シャァーーーー!!!!!」
 ゲルトに噛み付いてきた。
 ゲルトは7630のダメージを受け、大蛇は12760回復。

ゲルトには毒の特殊効果が。2000ずつHPが奪われていく。

「うわ!こいつ吸い取って自分回復しやがるタイプか!!!」
「解毒はバスティアンさんが出来そうですけど…」
「あぁ。バスティアンなら解毒薬を持ってるかもしれないな。まぁ、大体、こういうのは3ターンまでだ。それまで耐えればなくなってるだろう…」
「……」

ハインリヒは回復と能力の強化しか出来ない自分に腹が立った。

【3ターン目】

アルベルト
 通常攻撃 10430ダメージ

ゲルト
 通常攻撃 6822ダメージ

ハインリヒ
 通常回復 ゲルトに12100回復

すると、何やら大蛇は上に向かい、空中でとぐろを巻いた。

「え、何?」
「必殺か?まさか?」
「えぇ……?」
大蛇の大きく開けた口に光?が溜まっていく。

「あっ…これ死ぬやつやん…」
「全体かな?」
「いや…??俺だ…」
大蛇が必殺技を仕掛けたのは、ゲルト。
毒の効果でHPが徐々に減っていき、回復したが、3人の中では1番ダメージを受けている。

「終わった……」

大蛇は口に溜められた、光った玉のような物を叩きつけた。

ゲルトは137570ダメージを受けた!


「うぉぉぉぉ??!!!ギリ生きてる!」
「ゲルト!危なかったな!」
「…死んだと思った…!」
「流石ゲルトさん…」

大ダメージだったが、何とか持ち堪えたようだ。しかし、危篤状態に陥ってしまった。

【4ターン目】

「ゲルトさん!来てください!」
ハインリヒはスキルを使おうと、ゲルトの前で両手を広げた。

ゲルトは顔を顰めて拒否した。

「…俺はママさんには世話にならねぇって決めてんだよ。どこぞの最強キャプテンの赤ん坊とは違ってな。」
「ア゙?」
「( ◜ω◝)誰とは言ってねぇぜ?」
「ざけんな」

「ゲルトさん!もうそんなのいいから!」
「通常でいいんだって。」
「次もゲルトさん狙われたら、しにますよ」
「…それは…その時だ。後は頼んだ」
「…俺達を犠牲にしないでくれるか?」

「ゲルトさん!お願いですから!」
「男に授乳されたくねぇっつーの!!!」
「……じゃあしね」
「は??!!!」
「ま、そうなるよな。」

ゲルトは見放された!

戦闘に戻ろう。(大蛇は待たされた!)


アルベルト
 必殺 大剣突き 23460ダメージ(クリティカルヒット!)

ゲルト
 スキル 鉄壁の守り 自身にカードを置いた

ハインリヒ
 通常回復 12100ゲルトを回復
 だが、ゲルトは危篤状態、寸前。

🐍「シャァーーーー!!!!!」
 次はアルベルトに噛み付いた。

9620ダメージと毒の特殊効果。

「くそっ、俺もかよ…。」
「お揃っちだな」
「黙れ」
ゲルトは怒られた!

………………………………………………


【15ターン目】

危篤状態だったゲルトはあまり狙われず、回復しギリギリ存命。しかし、アルベルトも危篤状態。ハインリヒは何故か全く狙われなかった。(多分あまり力がないので、ほぼいないのと同じかもしれないね!)

敵のHPも、もうすぐだ。

「流石に、これで終わらそう…!」
「あぁ。もう限界かもな。」
「そうですね。」

アルベルト
 必殺 大剣突き 21969ダメージ

ゲルト
 通常攻撃 9744ダメージ

「あぁくそ!ちょい足りなかったか!ハインリヒ。止め、刺せ。」
「えっ……あっ…はい……。」

ハインリヒ
 通常攻撃 4320ダメージ

🐍「シャァーーーー……!!!!!」


 ♪ テッテレテッテレテレレッテレー⤴︎︎︎

勝利!!


素材とEXPが与えられた。

ハインリヒ Lv57→60



『コアスキルが解放されました!』



「…コアスキル…って何ですか?」
「cooperation skillの略だ。特定の誰かがパーティーにいれば、発動するスキルだ。…ハインリヒにコアスキルなんてあんのか?てか、誰とのコアスキルだ?」
「…分かりません。でも、 解放された  らしいです…」
「……。」

レベルが60になったハインリヒ。
それに伴って、コアスキル(協力スキル)が解放されたとの知らせ。


ゲルトとハインリヒは疑問に思い首を傾げ、


アルベルトは2人の後ろで顔を顰めていた。



「てかこれ…いきなり中ボスなのか?」
「分からない。でもよく3人で倒せたよ。」
「死にかけましたけどね」
「今も死にかけてるよ。」

「大聖堂に戻れば、HP回復してくれるんじゃねぇか?」
「そうですよ!」
「あぁ!そうだったな!じゃあ、戻ろう」

3人は来た道を戻り、大聖堂に入った。

『HPが全回復されました!』

「ふぅ…良かったな。」
「あぁ。助かった。」
「ここ、色んな所にあると助かりますけどね。」
「そうだな」

3人は、ほっ と一息ついた。

「……これから…どうする?」
「…フィラットさん、いなさそうですけど。」
「あいつ、無駄に逃げ足は速いからな。」
「…また、どっかに飛ばされてるかもな。」

「……そろそろ…帰りたい。」
「そうですね…。体力的にも限界に近付いてます…。」
「他がどうなってるのかも全く分からないしな…。」
「…糸電話とか、ありゃいいんだけどな!」
「ははっ、そうだな。」

ハインリヒはゲルトの一言にはっとした。

「電話!使えますかね?!」
「何の事だ??」
「これです!これ!」

ハインリヒは大聖堂で見つけた電話を2人に見せた。

「……これ、飾りじゃないのか?」
「分かりませんけど…」
「…この番号、どうなってるんだ??」

アルベルトが違和感を感じたのは、電話機にあるダイヤル。

普通は0~9だが、0~5しかない。

「…かいすうとか…」
「回数?何回も押すのか?」
「いえ。階段の階の方。階数です。」
「…なるほど?」

「バスティアンさんが飛ばされたのは、地下一階…なら0。レオポルトさんは…1階?かな。なら、1。」

「…そんな単純でいいのか?」
「やってみる価値はある。ハインリヒ。やってみよう。」
「はい!」

「まず…0から。」
アルベルトは0のダイヤルを回した。

「……?」
「…!鳴ってるぞ!繋がってるみたいだ。」
「やった!」
「よし!!」

しかし、一向に誰も出ないようだ。

「じゃあ…次は1か。」
1のダイヤルを回した。

繋がった音はする。しかし、またこれも誰も出ない。

「……出ないですか?」
「ビビって出ないか、もしくは…聴こえないか…いや。そもそも無いんじゃねぇか?」
「…その可能性もありそうですけどね」
「切るか…。」

アルベルトが電話を切ろうと、耳から離した時。

「……~~?」

「えっ?」
「え?」
「何か聴こえるぞ?」

「……もしもし?」

〝…ん…アルベルト?〟

「!!!」
アルベルトは目を点にして驚いた。

「その声的に…。バスティアンか?!」

「はぁっ!良かった!」
「よっしゃ!!」
ハインリヒとゲルトも喜んだ。

〝あぁ!そうだよ!アルベルトなんだな!〟

そう。繋がった先で応答したのは、レオポルトとフィラットが合流しているバスティアン。



________数分前。


ボスの音楽家と思われる敵に遭遇し、逃げ回った3人。まだ調査していない場所にたどり着き、部屋を回っていた。


とある倉庫のような部屋にて。

📞ディリリリリリリリリ!!!ディリリリリリリリリ!!!


「「「うわぁ!!!!!??」」」

「びっくりした!」
「えっ?えっ?えっ!?何?!」
「何だ?電話だ…」
「てっきり飾りかと!!!」
「……まさか鳴るとはな。」

「え……出ます?」
「…やだやだ!知らない人からの電話は出るなって言われてるでしょ!!!」
「出てみるよ。」
「え!やめときなって!」
「きっと大丈夫だよ。」
「…もし、何かあったら?」
「…大丈夫だ。」

バスティアンが出ようとすると、2人がネチネチ止めるので、電話を取るのが遅かったようだ。


〝ぁっ…もしもし?〟

「…ん?アルベルト?」

〝その声的に……。……バスティアンか?!〟

「あぁ!そうだよ!アルベルトなんだな!」

「えっ!嘘でしょ!?」
「やりましたね!!」
「アルベルト生きてたんだ!」
「勝手に殺さないで下さい」

喜んだのは、こっちも同じだったようだ。

2人は抱き合って喜んだ。

〝そっちは無事か?!〟

「…あぁ。大丈夫だ。そっちは?」

〝大丈夫だ。俺とゲルトと、ハインリヒで3人でいるよ。バスティアン…お前確か地下にいたよな?〟

「あぁ。階段を見つけて、1階に上がってきた。そしたら、レオポルトと合流出来たんだ。」

〝そうなのか!〟

「あっ。あと、さっきフィラットとも合流して、今は3人だよ。」

〝なぁんだ!!そうなのか!!フィラットを探して諦めようとした所だったよ〟

「そっか。…何回か敵と遭遇して、もう危篤状態だし、こっちは回復出来ないんだ。そろそろ…宿に戻りたいんだ。」

〝あぁ。俺らも帰りたい所だったよ。ワープは見つけたか?〟

「……あぁ。1階のは見つけてないけど、地下で階段とワープ見つけてるから、多分そこに行けば大丈夫だ。」

〝そうか!なら、ワープで宿に戻ってくれ。俺らもすぐに戻れるから。〟

「あぁ。やっと帰れるな。」

〝そうだな。お疲れ。それじゃ、後で。〟

「はーい。それじゃ後ほど。」

📞プツン


バスティアンは久しく笑顔を見せた。

「良かった。ワープして帰ろう。」
「はい!」
「わぁん!良かった~!!!」

3人は早速、バスティアンの見つけた地下1階のワープに向かった。敵は全てスルーした。


_________


「よし。戻ろうか。」
「あぁ!良かった!」
「フィラットさんもレオポルトさんも一だったんですね!本当に良かった!」
「あぁ。フィラット、人騒がせな奴だよ。」
「全くだ。」
「戻りましょう!」
「よし!行こう!」


こちらの3人もワープを潜った。


♪ ブォン


「おかえりなさぁぁい!!!」

もはや懐かしく感じる兎店主の声。
ずっと屋内にいたためか、時間感覚もない。こっちはもう夜が更けていたようだ。

♪ ブォン

「うわぁ!アルベルトぉ~!!」
「ゲルトさん!ハインリヒさん!」
「良かった!」

1階にいた3人も戻ってきた。
6人は再会を喜んだ。仲間といきなりはぐれ始めて、ステージにいた少しの時間が数年経ったように感じていた。


「な…何があったんですか?!」
「……どうしたんですか?」
ティナとクラウスが状況を把握出来ずに、喜び合う6人を見つめていた。

「…メインステージではぐれてしまっていたんです。」
それに気付いたレオポルトが事情を説明。

「そうなんですね…!」
「それは災難でしたね…!」
「……はい。災難でしたよ」
レオポルトは笑った。

「皆さん!ご飯食べて休んでください!ご苦労が多かったようですので!」

「ありがとうございます」
6人は夕食(ほぼ夜食)を済ませ、それぞれ部屋に戻った。

皆、無事に合流し宿に戻ってベッドに寝転がり一息つく。

_______



これから、アルベルト達に波乱が巻き起こる出来事が待ち受けている。
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