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初恋は・・・
「私(ひと)の話を聞け!」
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あいつにお弁当を持って行かなくてよくなった私は、予鈴が鳴る前に登校すればいい。あいつがお弁当を食べる時間を考えて早めに家を出る必要がないからだ。
それなのに彼氏と別れて第一日目はいつもの習慣で早く家を出てしまった。
せっかく、ゆっくりできるのに駄目だな。
寄り道する気も起きず、気付いたら学校で、無意識にあいつの入っているテニス部の部室に向かいそうになっていた。
まずい。習慣って怖い。
意識しないと今までと同じことをしてしまう。
テニス部の部室まであいつを迎えに行って、一緒に教室まで向かって、教室であいつは私のお弁当を食べる。
それも今日からはない。
あいつにとって私はどうでもいい存在だったから、あいつは気にも留めなかった。他の男に私を差し出したんだから、あいつに捨てられたと言える。
欝々とした気分で教室に着く。まだ誰も来ていないのを自分の席まで行って着席する。
あいつと一緒に教室に来たら、まばらにクラスメイトがいて挨拶をしながらあいつの席に行った。
・・・。
今日はもう、SHRが始まるまで寝てよう。
あいつと話すことも、あいつのことを友達と話すことも気まずくてやりたくない。
私は自分の席でふて寝した。
「実花、弁当は?」
肩を揺さぶられて、目が覚めるとあいつがいて開口一番これだった。
弁当はって、私はあんたの弁当当番じゃない。
やっぱり、こいつにとって私は弁当しか価値がないのだなと思う。
部室まで迎えに行かなかったこととか、夏川先輩の家での事とか、聞いてこない。
そう言えば、置き去りにされてから初めての接触がこれだ。
気遣うメールすらくれなかった。
こいつにとって私って、本当にどうでもいい存在なんだと改めて実感させられる。
「あんたの分はない」
「どうしたんだよ? なんで、今日はないんだよ」
こいつには意味が分からないらしい。
自分が何をして、何をしなかったのか気付いてもいないらしい。
そんな私とこいつの言い争いをクラスメイトが遠目に見守っている。
「あんたは私の彼氏じゃない。従って、私はあんたにお弁当を作る義理もない」
「あのことは悪かったよ。俺だって、悪いと思っているんだ。気に障ったのはわかったから、許してくれよ」
ようやく思い当たったらしい。
本当に私のことがどうでもいいんだな!
「あんなことしておいて、許せると思ってんの?!」
「あ、あれは・・・。仕方がなかったんだ」
教室の入り口がざわめく。
私はこいつに言っておきたいことがあるから、それがなんなのか確認できない。
「じゃあ、これも仕方ないわよね」
「実花ちゃんがお弁当持って来てくれなかったから、来てしまったよ」
ややこしいの来たー!
教室の入り口が騒がしいと思ったら夏川先輩だった。
「なんで夏川先輩にお弁当を持って行かなきゃいけないんですか?」
「春原と付き合っている時だけ? 今、付き合っている僕には駄目なのかい?」
相性が良かったら付き合おうって言っていたけど、私に拒否権はないの?!
付き合いたくないって言ったよね?
夏川先輩はどう見てもセフレが欲しいだけだから嫌だって言ったよね、私。
「実花、夏川先輩と付き合っているって?! 浮気したのは俺が悪かったが、夏川先輩に乗り換えるのは早すぎだ!」
ちょっと待て!
私たち、もう付き合っていないのに何言い出すの。
と、こいつは浮気したことしか悪いと思っていないか! 私を夏川先輩に差し出したことを本心から悪いとは思っていないんだな?
よろしい。ならば、完っ全に縁を切ってやる。
また付き合うことなんか論外だったけど、存在をなかったことにするほどだとは思わなかった。
そうと決めたら、夏川先輩(こっち)のほうをなんとかしなきゃ。
「ちょっと、待ってください! 私と夏川先輩、付き合っていませんよね?」
「付き合っているよ。朝寝坊して、僕の好きなおかずが作れなかったからって、ひどいこと言うな~。実花ちゃんは」
付き合わないかとは言われたけど、断ったでしょ?
なんで付き合っていると思っているんだ、この人・・・。
それに勝手に私(ひと)を朝寝坊したってことにしないで。今日だって私の分のお弁当は作ってきているんだから。
「彼氏じゃないからお弁当を作らなかっただけよ!」
「恥ずかしがらなくてもいいのに」
「恥ずかしがっているんじゃありません。他の女子の嫉妬から守ってくれそうにない夏川先輩とは付き合えないと言いましたよね?」
「僕の好物を入れたお弁当を作ってくれるとは言ってくれたじゃないか」
「そんな約束していません!」
お弁当を作る約束どころか、付き合うかどうか言い出す前から、あんたが入れてくれと言い続けただけだ。
「ひどい。俺を捨てて、夏川先輩に乗り換えるなんて・・・!」
ひどいのは浮気した挙句、私を慰謝料として夏川先輩に差し出したあんただ!!
「乗り換えてないって! 私(ひと)の話を聞いて!」
「振られた者同士付き合うことになっただけだ」
セフレは嫌だって!!
「私(ひと)の話を聞け! 私はどっちも付き合っていないって言ってるでしょ!」
私(ひと)の話を聞かない奴らに私はこれ以降も悩まされることになる。
それなのに彼氏と別れて第一日目はいつもの習慣で早く家を出てしまった。
せっかく、ゆっくりできるのに駄目だな。
寄り道する気も起きず、気付いたら学校で、無意識にあいつの入っているテニス部の部室に向かいそうになっていた。
まずい。習慣って怖い。
意識しないと今までと同じことをしてしまう。
テニス部の部室まであいつを迎えに行って、一緒に教室まで向かって、教室であいつは私のお弁当を食べる。
それも今日からはない。
あいつにとって私はどうでもいい存在だったから、あいつは気にも留めなかった。他の男に私を差し出したんだから、あいつに捨てられたと言える。
欝々とした気分で教室に着く。まだ誰も来ていないのを自分の席まで行って着席する。
あいつと一緒に教室に来たら、まばらにクラスメイトがいて挨拶をしながらあいつの席に行った。
・・・。
今日はもう、SHRが始まるまで寝てよう。
あいつと話すことも、あいつのことを友達と話すことも気まずくてやりたくない。
私は自分の席でふて寝した。
「実花、弁当は?」
肩を揺さぶられて、目が覚めるとあいつがいて開口一番これだった。
弁当はって、私はあんたの弁当当番じゃない。
やっぱり、こいつにとって私は弁当しか価値がないのだなと思う。
部室まで迎えに行かなかったこととか、夏川先輩の家での事とか、聞いてこない。
そう言えば、置き去りにされてから初めての接触がこれだ。
気遣うメールすらくれなかった。
こいつにとって私って、本当にどうでもいい存在なんだと改めて実感させられる。
「あんたの分はない」
「どうしたんだよ? なんで、今日はないんだよ」
こいつには意味が分からないらしい。
自分が何をして、何をしなかったのか気付いてもいないらしい。
そんな私とこいつの言い争いをクラスメイトが遠目に見守っている。
「あんたは私の彼氏じゃない。従って、私はあんたにお弁当を作る義理もない」
「あのことは悪かったよ。俺だって、悪いと思っているんだ。気に障ったのはわかったから、許してくれよ」
ようやく思い当たったらしい。
本当に私のことがどうでもいいんだな!
「あんなことしておいて、許せると思ってんの?!」
「あ、あれは・・・。仕方がなかったんだ」
教室の入り口がざわめく。
私はこいつに言っておきたいことがあるから、それがなんなのか確認できない。
「じゃあ、これも仕方ないわよね」
「実花ちゃんがお弁当持って来てくれなかったから、来てしまったよ」
ややこしいの来たー!
教室の入り口が騒がしいと思ったら夏川先輩だった。
「なんで夏川先輩にお弁当を持って行かなきゃいけないんですか?」
「春原と付き合っている時だけ? 今、付き合っている僕には駄目なのかい?」
相性が良かったら付き合おうって言っていたけど、私に拒否権はないの?!
付き合いたくないって言ったよね?
夏川先輩はどう見てもセフレが欲しいだけだから嫌だって言ったよね、私。
「実花、夏川先輩と付き合っているって?! 浮気したのは俺が悪かったが、夏川先輩に乗り換えるのは早すぎだ!」
ちょっと待て!
私たち、もう付き合っていないのに何言い出すの。
と、こいつは浮気したことしか悪いと思っていないか! 私を夏川先輩に差し出したことを本心から悪いとは思っていないんだな?
よろしい。ならば、完っ全に縁を切ってやる。
また付き合うことなんか論外だったけど、存在をなかったことにするほどだとは思わなかった。
そうと決めたら、夏川先輩(こっち)のほうをなんとかしなきゃ。
「ちょっと、待ってください! 私と夏川先輩、付き合っていませんよね?」
「付き合っているよ。朝寝坊して、僕の好きなおかずが作れなかったからって、ひどいこと言うな~。実花ちゃんは」
付き合わないかとは言われたけど、断ったでしょ?
なんで付き合っていると思っているんだ、この人・・・。
それに勝手に私(ひと)を朝寝坊したってことにしないで。今日だって私の分のお弁当は作ってきているんだから。
「彼氏じゃないからお弁当を作らなかっただけよ!」
「恥ずかしがらなくてもいいのに」
「恥ずかしがっているんじゃありません。他の女子の嫉妬から守ってくれそうにない夏川先輩とは付き合えないと言いましたよね?」
「僕の好物を入れたお弁当を作ってくれるとは言ってくれたじゃないか」
「そんな約束していません!」
お弁当を作る約束どころか、付き合うかどうか言い出す前から、あんたが入れてくれと言い続けただけだ。
「ひどい。俺を捨てて、夏川先輩に乗り換えるなんて・・・!」
ひどいのは浮気した挙句、私を慰謝料として夏川先輩に差し出したあんただ!!
「乗り換えてないって! 私(ひと)の話を聞いて!」
「振られた者同士付き合うことになっただけだ」
セフレは嫌だって!!
「私(ひと)の話を聞け! 私はどっちも付き合っていないって言ってるでしょ!」
私(ひと)の話を聞かない奴らに私はこれ以降も悩まされることになる。
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