浮気した彼氏のせいでNTRれた私

プラネットプラント

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過ぎいく夏

この人、本当に夏川先輩なの?!

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 慌てて飛び起きたら、先に目が覚めて服を着終わっていた夏川先輩は笑って、帰る用意をするのを手伝ってくれた。脱ぎ散らかした服を着やすいように下着から順番に渡してくれる。

 それがなんかムカつく。
 それぐらい気が付くなら、もっと早く時間を教えてくれたらいいのに。

 恨みがましい目を向けたら、まだ夏川先輩の髪が濡れているのに気付いた。シャワーを浴びる時間すらあったらしい。

 もっと早く起こしてくれたら、夕食に遅れなかったのに!
 いくらお母さんがあんなこと言っていたからって、ヤってて寝過ごしましたってわかる帰り方なんかしたくない。

「送って行くよ」
「いいです!」
「もう、夏だって言っても、夜道は危ないから送って行くよ」

 そう言われて、呆れてしまった。

 紳士なスポーツしていて、紳士的なのがコレくらいなのはなんでなんだろう?

「・・・」
「なんでそんな目をしているのかな?」

 私が胡乱な目をしているのが夏川先輩には不思議らしい。私には夏川先輩自体が不思議なものに見えるのに。

「イイエ。ナンデモアリマセン」

 さっさと別れたいとは思っていても、遅くなったことだし、お父さんやお母さんに心配をかけたくないし、いいか。

「明日はあまり優しくしてあげられないかもしれないけど、また週末まで我慢することになるから少しくらいいよね」
「明日も?!」

 明日という言葉を聞いて、驚きのあまりおかしな声を上げてしまった。

 そんなの聞いてないよ?!
 土日しか一緒にいられないっていうのは聞いたことあるけど、その両方を一緒に過ごすなんて初耳。

「そう。金、土は実花ちゃんの日。日は僕の日」

 土は私の日で日は夏川先輩の日?

「??? よくわからないんですけど?」
「実花ちゃんの日は実花ちゃんの為に使う日。土曜に僕が遠征や合宿でいない時は金曜が実花ちゃんの日。そうじゃなかったら、どちらかでいいよ。日曜は僕の日だから、絶対来てね」
「ええええ?! なにそれ?! 私の為に使う日?? ――ちょっと待ってください。えっと? 日曜日もなんですか?!」

 私の為に使う日?!

 ますますわからなくなってきた。

 私の為に使う日って何?!
 曜日も固定じゃなくて、遠征があったら金曜日がその日になるって、どういうこと?!
 それに日曜日は夏川先輩の日って、どういうこと?!
 私の日と夏川先輩の日はどう違うの?

「うん。実花ちゃんがいいなら一日でいいと思うんだけど、それじゃあ、実花ちゃんが可哀想だから」

 可哀想で私の日と夏川先輩の日があるって、本当にどういうこと?!
 さっぱりわからない。
 夏川先輩と会うってことは、ヤりたいってことだよね?
 週に二日もヤるってこと?!

「可哀想で二日にされたくないですよ! それはあんただけしかメリットないじゃないですか!」
「そうかな? 実花ちゃんの日は実花ちゃんに優しくするつもりだけど?」

 優しい人なら浮気された腹いせにNTらせてくれなんて言わないし、そんなことを思いつく実花ちゃんが優しくなんてできないと思うんですけど。
 だって、好きになった相手としかヤりたくないって言っても、ヤりたくなる状況に持って行く人なんだよ?!
 どこが優しいの! どこが!!

「優しいでヤってたら意味ないじゃないですか! 私はヤりたくないんです」
「身体はそうは言ってなかったけど?」
「それは・・・!」

 それを言われると困る。
 好きな相手でもないのに、夏川先輩とヤりたくなる。
 好きな相手でもないのに、夏川先輩とヤりたくてたまらなくなる。
 おかげで私って、ヤりたくてどうしようもない身体をしているような気がする。

「ごめんごめん。意地悪だったね。実花ちゃんの日は今日と同じように抱き締めて愚痴を聞いてあげるから、その時に決めれてくれればいい。ヤりたいと思った日はやればいいし、ヤりたくないと思ったらヤらなくていいよ」

 私の日は抱き締められて愚痴を聞いてもらうだけでいい?!
 私がヤりたくないと思ったらヤらなくていい?!

 今まで私の意志を無視してきた夏川先輩なのに、何言ってんの?!
 この人、本当に夏川先輩なの?!

 どこからどう見ても、夏川先輩だよね?
 入れ替わってないよね?
 双子の兄弟とかじゃないよね?

 じっくり、夏川先輩の顔を見てみるけど、どう見ても別人とは思えない。一卵性双生児でも、この胡散臭い人の好さそうな笑顔はできないと思う。
 だったら、――

「夏川先輩・・・、熱でもあるんですか?!」

 高熱で何かおかしなことを口走っているとしか思えない。

「特に熱はないよ?」
「ちょっと待ってください」

 夏川先輩の額に手をあててみる。平熱が私と同じくらいなのか熱くも冷たくもない。
 だったら、――

「熱はないようですね。私が眠ってる間におかしなものでも食べたんですか?」

 幻覚が見えるものとか、気が大きくなるような食べ物。
 それを食べたとしか思えない。
 あの自分勝手で、人の言うことには耳を貸さない夏川先輩が私がヤりたくないと思ったらヤらなくていいって言ったんだよ?!

「おかしなものも食べてないよ。・・・実花ちゃん。実花ちゃんは僕のことを何だと思ってるの?」
「テニス馬鹿で後腐れなくヤれるセフレを彼女だと思って人の話を聞かない生物」

 一瞬、夏川先輩は驚いたように目を見開いた後、胡散臭い笑顔を浮かべる。

 ここでそんな表情するなんて、どういう神経してんのよ?!

「優しくしてあげたのにひどいな~」

 はあ?! 
 開いた口が塞がらない。

「優しくって、ヤってることに変わりはないでしょ?! 私はあんたとヤりたくないんです!」

 私の意志は無視ですか?!

「僕ができるだけ優しくしてあげているのに、そんなこと言うんだ。実花ちゃん」

 ヤりたくないって言ってるのに、ヤりたいと言わせておいてソレ?! それを優しくしてるっていうの?!

 信じられない・・・。
 私には信じられない世界だ・・・。
 信じられなくても仕方ないか。考え方の違う私と夏川先輩の常識は別次元のものだから。

「何度言ったらわかるんですか? あんたがヤりたくても、私はヤりたくないんです!」
「実花ちゃん。気持ち良くなりたいって思うのは悪いことじゃないんだよ? 性欲があるのは普通のことだし、異常なことじゃないから」

 でしょうね・・・!
 知ってますよ! それはもう。嫌っていうほど、あんたに知らされました。
 だけど、

「私は好きな人とセックスしたいんです! 気持ち良くなりたいからセックスしたいわけじゃないんですよ」
「それなら、僕を好きになればいいじゃないか」

 どの口がそう言うんだ?!
 夏川先輩ってナルシスト? それとも自信過剰? 自分がイケメンだからって、女の子なら誰でも好きになれると思ってる? 図に乗りすぎじゃない?

「夏川先輩は彼女を大事にしないじゃない! テニスと付き合ってるくせにヤリ捨て用のセフレを彼女と言うんだから、そんな人、好きになれません! 私だって、好きになる相手を選ぶ権利だってあるんですから!」

 好きになれない点を上げてみた。もっとたくさんあるかもしれないけど、すぐに思いついたのはコレくらいだ。

「出る前に家に連絡しておいたほうがよくないかな?」
「?!」

 何を言われたのか一瞬わからなくて戸惑う。
 夏川先輩以外に意識が向いて、壁時計が目に入った。

「20時30分!!」

 30分も言い合いしてた・・・。
 夕食の時間、とっくに過ぎてる~~~! 絶対に間に合わない~~~!!
 夏川先輩のところに来てるのを知っているお母さんとお父さんが夕食の時にこのことをどんなふうに話してるのか考えたくない!
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