5 / 7
冒険者編~中~
魔王を倒したとなったら、次は王様元勇者に報告をしなければいけません。
「勇者よ。魔王討伐をした褒美をやろう」
現役バリバリのくせにサボタージュした奴が何かほざいているので、いらない褒美を言われる前に望みを言いました。
「王位をください」
「はあ?! 何を言っておる――」
「私は魔王を倒したんですよ。王位を貰うに相応しい功績じゃないですか? まだまだ現役なのだから、自分で行けばいいものを、私にさせておいて、褒賞をケチる気ですか?」
「はっ! 言うに事欠いて、勇者だからと、好き放題、言うのだな!」
「王女を殺してから、脅し取ってもいいのですよ?」
「娘を殺すと言うのか!」
「あなただって、王女を殺したじゃないですか。今、あなたが王位をくれないなら、あなたと同じことをしなきゃ、王位がもらえないってことでしょ」
「だから、なんでそうなるんだ?!」
「勇者でありながら戦おうとしなかった罪を、王位で支払ってもらいたいと言っているのに、四の五の言い逃れようとしているのは、あなたのほうでしょ」
王と言い合いをしている私の顔の横を何かが飛んでいきました。
「!!」
「ぐあぁっ!」
そして、王の肩に突き刺さりました。あの短剣は勇者パーティに参加している戦士の物です。
「死んでいなかったら、治せるんだよな?」
短剣の持ち主は呑気にそう聞いてきます。
「ええ。死んでいなければ治せます」
魔王を倒す時にも、この死んでいなければ治せる超治癒術のおかげで、何度も命拾いしました。
王女の時にはできていれば、護衛騎士を助けることができたでしょう。
「さっさと王位を渡せ! 色ボケ男が!」
しんみり物思いに耽る耳に戦士の殺意に満ちた声が入ってきました。
「戦士?」
「お前に裏切られて、殺された殿下の痛みを思い知れ!」
戦士は王笏を握る手を戦斧で切り落としていました。
「戦士?! まさか、あなた――」
王女の死は不貞の末の返り討ち。それが、一般的に広がっています。
私の死んだ時の状況を知っているのは、私と私の護衛騎士。それに夫と浮気相手と、夫の護衛騎士。
夫の護衛騎士はまだ生きていて。
あとの二人がここにいるということは――戦士は私の護衛騎士の生まれ変わり?
あり得なくはない。私が4度も生まれ変わっているのだから。
「幸せになるんだったら、俺じゃなくても良かったんだ! それを、コレットを殺しやがって、この野郎!!」
「あなた、もしかして、リオン?」
コレットというのは、私の村人の時の名前でした。
リオンはその時の夫の名前。
「そうだ。必ず帰ると言っただろう」
「でも、あなたは王女様と結婚したって・・・」
「王女が恋仲の男と結婚する為に、国に戻ったところで殺されたんだ」
「そんな・・・!」
村人だった時に裏切られたと思っていた夫が、殺されていたなんて・・・。
「貴族になってもそうだ。やっと、帰ってきた時にはお前がいなかった。それどころか、殺されていて・・・」
「マリオンもあなただったの?! 私が邪魔で殺したんじゃなかったの?」
マリオンは貴族だったの時の夫の名前です。
「邪魔なはずがあるか! せっかく、前の時のように暮らしていけると思ったのに、王女の横恋慕のせいで・・・!」
「戦士――リオン・・・」
私の護衛騎士と同じく、戦士も私の夫だった勇者と同じ名前でした。私の護衛騎士の時と同様に、私は彼の名前を呼べませんでした。愛していたのに、裏切って、殺した夫の名前で心を許した人を呼びたくなかったのです。
「って、もっと、空気、読みなさいよ!」
お涙ちょうだいの奇跡の再会の場面でも、卑怯者の元勇者の部下たちが攻撃を仕掛けてきたので、煩わしくなって、私は思いっきり殴り飛ばしました。
ボコッとか音を立てて、壁にぶち当たりました。
「!!」
ようやく、実力の差に気付いたようです。その場にいる者たちは顔色を失いました。
私、勇者ですよ。
魔王を討伐したんですよ。
私と戦士の周りには殴り飛ばす前に襲い掛かってきた空気の読めない奴らが転がっています。殴り飛ばされた奴は、これが目に入らなかったってことですか?
「さ。リオン、続けよう」
「王位を譲ってもらってからにしよう」
そう言って、リオンは無造作に戦斧を投げました。その先には這って逃げ出そうとしていた元勇者がいました。
確かに。続きは王位を譲ってもらった後のほうがいい。
「勇者よ。魔王討伐をした褒美をやろう」
現役バリバリのくせにサボタージュした奴が何かほざいているので、いらない褒美を言われる前に望みを言いました。
「王位をください」
「はあ?! 何を言っておる――」
「私は魔王を倒したんですよ。王位を貰うに相応しい功績じゃないですか? まだまだ現役なのだから、自分で行けばいいものを、私にさせておいて、褒賞をケチる気ですか?」
「はっ! 言うに事欠いて、勇者だからと、好き放題、言うのだな!」
「王女を殺してから、脅し取ってもいいのですよ?」
「娘を殺すと言うのか!」
「あなただって、王女を殺したじゃないですか。今、あなたが王位をくれないなら、あなたと同じことをしなきゃ、王位がもらえないってことでしょ」
「だから、なんでそうなるんだ?!」
「勇者でありながら戦おうとしなかった罪を、王位で支払ってもらいたいと言っているのに、四の五の言い逃れようとしているのは、あなたのほうでしょ」
王と言い合いをしている私の顔の横を何かが飛んでいきました。
「!!」
「ぐあぁっ!」
そして、王の肩に突き刺さりました。あの短剣は勇者パーティに参加している戦士の物です。
「死んでいなかったら、治せるんだよな?」
短剣の持ち主は呑気にそう聞いてきます。
「ええ。死んでいなければ治せます」
魔王を倒す時にも、この死んでいなければ治せる超治癒術のおかげで、何度も命拾いしました。
王女の時にはできていれば、護衛騎士を助けることができたでしょう。
「さっさと王位を渡せ! 色ボケ男が!」
しんみり物思いに耽る耳に戦士の殺意に満ちた声が入ってきました。
「戦士?」
「お前に裏切られて、殺された殿下の痛みを思い知れ!」
戦士は王笏を握る手を戦斧で切り落としていました。
「戦士?! まさか、あなた――」
王女の死は不貞の末の返り討ち。それが、一般的に広がっています。
私の死んだ時の状況を知っているのは、私と私の護衛騎士。それに夫と浮気相手と、夫の護衛騎士。
夫の護衛騎士はまだ生きていて。
あとの二人がここにいるということは――戦士は私の護衛騎士の生まれ変わり?
あり得なくはない。私が4度も生まれ変わっているのだから。
「幸せになるんだったら、俺じゃなくても良かったんだ! それを、コレットを殺しやがって、この野郎!!」
「あなた、もしかして、リオン?」
コレットというのは、私の村人の時の名前でした。
リオンはその時の夫の名前。
「そうだ。必ず帰ると言っただろう」
「でも、あなたは王女様と結婚したって・・・」
「王女が恋仲の男と結婚する為に、国に戻ったところで殺されたんだ」
「そんな・・・!」
村人だった時に裏切られたと思っていた夫が、殺されていたなんて・・・。
「貴族になってもそうだ。やっと、帰ってきた時にはお前がいなかった。それどころか、殺されていて・・・」
「マリオンもあなただったの?! 私が邪魔で殺したんじゃなかったの?」
マリオンは貴族だったの時の夫の名前です。
「邪魔なはずがあるか! せっかく、前の時のように暮らしていけると思ったのに、王女の横恋慕のせいで・・・!」
「戦士――リオン・・・」
私の護衛騎士と同じく、戦士も私の夫だった勇者と同じ名前でした。私の護衛騎士の時と同様に、私は彼の名前を呼べませんでした。愛していたのに、裏切って、殺した夫の名前で心を許した人を呼びたくなかったのです。
「って、もっと、空気、読みなさいよ!」
お涙ちょうだいの奇跡の再会の場面でも、卑怯者の元勇者の部下たちが攻撃を仕掛けてきたので、煩わしくなって、私は思いっきり殴り飛ばしました。
ボコッとか音を立てて、壁にぶち当たりました。
「!!」
ようやく、実力の差に気付いたようです。その場にいる者たちは顔色を失いました。
私、勇者ですよ。
魔王を討伐したんですよ。
私と戦士の周りには殴り飛ばす前に襲い掛かってきた空気の読めない奴らが転がっています。殴り飛ばされた奴は、これが目に入らなかったってことですか?
「さ。リオン、続けよう」
「王位を譲ってもらってからにしよう」
そう言って、リオンは無造作に戦斧を投げました。その先には這って逃げ出そうとしていた元勇者がいました。
確かに。続きは王位を譲ってもらった後のほうがいい。
あなたにおすすめの小説
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た
青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。
それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。
彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。
ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・
ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。
【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。
山葵
恋愛
私の愛する旦那様。私は貴方と結婚して幸せでした。
姉は「協力するよ!」と言いながら友達や私の好きな人に近づき「彼、私の事を好きだって!私も話しているうちに好きになっちゃったかも♡」と言うのです。
そんな姉が離縁され実家に戻ってきました。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
【完結】愛する人のために
月樹《つき》
恋愛
カスペル公爵令嬢デルフィーヌは、幼い頃その愛くるしい笑顔に一目惚れしたクリストファー王子に請われ、彼の婚約者となった。
けれど王子妃としての厳しい教育を受けるうちに、彼が好きだった笑顔は滅多に見られなくなり…気がつけば彼の側には、デルフィーヌではなく屈託なく笑う平民の聖女アネモネの姿を見かけるようになる…。
『あなたのために、私は無邪気な笑顔もなくしたのに…』
このお話は愛する誰かのために生きる人達のお話です。
三部仕立てで、お話はそれぞれの視点で描かれております。
※他サイトでも投稿しております。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
元カノが復縁したそうにこちらを見ているので、彼の幸せのために身を引こうとしたら意外と溺愛されていました
おりの まるる
恋愛
カーネリアは、大好きな魔法師団の副師団長であるリオンへ告白すること2回、元カノが忘れられないと振られること2回、玉砕覚悟で3回目の告白をした。
3回目の告白の返事は「友達としてなら付き合ってもいい」と言われ3年の月日を過ごした。
もう付き合うとかできないかもと諦めかけた時、ついに付き合うことがてきるように。
喜んだのもつかの間、初めてのデートで、彼を以前捨てた恋人アイオラが再びリオンの前に訪れて……。
大好きな彼の幸せを願って、身を引こうとするのだが。