夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント

文字の大きさ
6 / 7

冒険者編~下~

しおりを挟む
 元勇者に王位を譲らせた私は、それを王女だった時の兄弟に委ねました。

 王女だった時の兄弟は王太子として、教育を受けていました。

 貴族だった時の私も、夫の留守中は領地を治めていましたが、その時と時代も規模も違いすぎます。

 本来、治めるべきだった人物が治めるほうが良いでしょう。

 ですが、そんなことを知らない新王(予定)は、私たちに聞きました。



「何故、僕に王位を譲ろうとするんだ? 自ら、玉座に就けばいいじゃないか」



 そうなりますよね~。



「信じられないかもしれませんが、私は殺された王女マリオンの生まれ変わりです」

「マリオンの?!」

「はい。あなたの姉妹のマリオンです。そして、リオンは護衛騎士だったマリオン卿の生まれ変わりです」

「マリオンだけでなく、マリオン卿も生まれ変わっていたのか」



 信じられない告白が立て続けにされて、呆然我失といった様子の呟きに、私の横でリオンが相槌を打ちます。



「はい」

「・・・」



 新王(予定)は私たちをまじまじと見た後、現状を諦めて受け入れてくれたようです。がっくり、肩を落として、何とも言えない表情をしています。



「陛下。わたしたちの過去はそれだけではありません」



 私はこれで終わったと思いましたが、リオンは違うようです。



「マリオンとマリオン卿以外の過去もあるのか?」

「勇者リオンとその妻コレット。勇者マリオンとその妻エステル。わたしたち夫婦は4度目の人生なのです」

「! なんと、二人は二回も夫婦だったのか! ・・・いや、勇者リオンと勇者マリオンはそれぞれその国の王女と結婚したはず・・・」

「殺されて偽者に成り代わられたのと、無理矢理、結婚させられて、元凶の王女を殺した時ですね。話は変わりますが、殿下の結婚相手があの屑になった経緯を教えてください。何故、なんですか?! 家格も変わらないし、功績はわたしのほうがあったでしょう」



 それは私も気になります。

 浮気男との結婚も、どっちも。

 何故、マリオン卿ではなく、あんな浮気男と結婚させたのか。

 死んでも死にきれない気持ちでした。

 父王ではなくても、王太子だった兄弟なら、その裏事情は知っている筈です。



「なんということだ・・・。歴史が書き換えられていたなんて・・・」

「歴史なんて、そんなものです。殿下が殺されて不貞の汚名を着せられたように」



 勇者の前妻がいなかったことにされたように。



「そうだったな。縁談の話だがな。マリオンがマリオン卿に嫁いだ場合、どうなると思う? 『マリオン』と読んだら、二人が返事することになったんだぞ」

「そんなくだらない理由で・・・!」



 完全に同意します。



「マリオンが殺されてから、父上だって後悔したんだぞ! あんな屑に嫁がせるんじゃなかったって」

「「・・・」」



 殺されてからじゃ遅い。多分、リオンの気持ちも同じだったでしょう。



「だがな。勇者の妻は聖女だから、殺してはいけないことは、あの屑も知っていたはずなんだ」

「!!!」

「どういうことですか?!!」



 思わず、私の口から言葉が飛び出ました。

 死んでいなければ治せる超治癒術も、私が聖女だからできたことだったのでしょうか?

 でも、護衛騎士を回復することはできなくて、死なせてしまいましたが・・・。



「勇者は生まれた時から勇者ではない。聖女と結婚した者が勇者になる、と各国の王家に伝えられている」



 リオンが新王の言葉を引き継ぎます。



「妻を殺して後妻に入った王女を殺した時にわたしがそう言いました。各国に伝えられていて、安心しましたよ。ですが、あの屑は妻が聖女だと知っていて殺した、救いようがない屑でしたか」

「「・・・」」



 新王と共に完全同意です。

 それにしても、リオンが妻が聖女だと出まかせを言っていたようなので、死んでいなければ治せる超治癒術と聖女は関係なかったようです。



「殿下を裏切って殺しただけでも許せないのに、聖女だとわかっていて殺したなど、救いようがありません」

「「・・・!」」



 リオンの殺意の波動に私と新王(前世の兄弟)は手を握り合って、震えました。



 ここに! ここに魔王がいます!!

 誰か、勇者を!

 って、勇者は私でしたね。



 無理です!

 元勇者×2回の魔王は勇者1回目のひよっこでは倒せません!









 ◇◆







「ここにいたのか」

「あ。リオン」



 魔王を倒し、浮気者大勝利の国も正した私たちはかつて勇者リオンと妻コレットが暮らしたような田舎の村で暮らしています。

 魔王が死んでも、魔物は消えたりしません。

 街中ではでなくなっても、自然の多い田舎では普通にいます。



「もう、一人の身体じゃないんだから、森に出かけるのは止めてくれ」

「だって、私は勇者なのよ」

「元勇者だ。あの治癒術も使えなくなったんだし、自重してくれ」



 そうです。

 あの死んでいなければ治せる超治癒術、リオンと結婚したら使えなくなったんです。

 聖女の力はただし、純潔に限る、らしかったです。



「は~い」



 不貞腐れたような返事をしますが、すぐにリオンがここにいることが嬉しくて、笑顔になってしまいます。



「叱られて喜ぶなんて、どうしたんだ?」







「だって、魔王が倒されて、あなたとこうして過ごせるなんて、4回目で初めてよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

「大嫌い」と結婚直前に婚約者に言われた私。

狼狼3
恋愛
婚約してから数年。 後少しで結婚というときに、婚約者から呼び出されて言われたことは 「大嫌い」だった。

〖完結〗愛しているから、あなたを愛していないフリをします。

藍川みいな
恋愛
ずっと大好きだった幼なじみの侯爵令息、ウォルシュ様。そんなウォルシュ様から、結婚をして欲しいと言われました。 但し、条件付きで。 「子を産めれば誰でもよかったのだが、やっぱり俺の事を分かってくれている君に頼みたい。愛のない結婚をしてくれ。」 彼は、私の気持ちを知りません。もしも、私が彼を愛している事を知られてしまったら捨てられてしまう。 だから、私は全力であなたを愛していないフリをします。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全7話で完結になります。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...