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第四章
第47話 大蛇に挑もう(2)
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腹に突然の衝撃。続いてくる浮遊感。最後に壁に叩きけられる衝撃を全身に受ける。
ゴガァンン――!!
激しい衝撃音と共に砂塵が巻き上がる。
「いってー!! って、ん? 思ったよりも痛くない?」
確かに痛みは全身にあるが、思ったより痛くない。少なくともしばらく動けなくなるくらいのダメージを覚悟していたのに、実際は動きに全く支障が出ない程度のダメージで済んでいる。
『当たり前よ。わたくしがクラウド君の事を護っているのよ。あんな攻撃で大きなダメージを受ける訳ないじゃない』
おお、流石はSSSランクの鎧だ。凄い防御力。
「ありがとうございます。助かりました。アキーレさんは大丈夫ですか?」
『あの程度の攻撃、何万受けたところで私のこの玉の肌に傷一つ付ける事は出来ないわよ』
さすがだ。でも、あんな攻撃何万回も喰らったら僕の方が持たないよ。って、この件、前にもやった事がある気がする。
『クラウド。のんびり話している時間はないよ。クラウディア達があの蛇を抑えていてくれているけど、たぶんそんなに長くは持たないよ』
レヴィが状況を伝えてくる。
そうだ、早く戦線に戻らないと。
『ちょっと待って。クラウド君、その前に私たちの固有能力を使いなさい』
アキーレさん達にも固有能力があるんだ。初耳だ。
「初めて聞きますけど、どんな能力なんですか?」
『今回特別教えて上げるのは基本技だけよ。能力名は【闘鬼魔装】。能力としては、わたくしが筋力と耐久力の強化。キーレとアーレが瞬発力と機動力の強化ね。同時に使用する事も出来るし、わたしくしだけ、キーレとアーレだけ、と分けて使用する事も出来るわ。ただし使用中はクラウド君の魔力を常に消費し続けるから気を付けてね』
おお、凄い。でもそんな能力があるならもっと早く教えて欲しかったよ。
『先に教えちゃうと面白味がないでしょ。やっぱりピンチの時に教えて上げるのがお約束よね』
なんで口にも念話にも出してないのに考えている事が分かるんだよ。
『あっ! 言い忘れてたいけど、クラウド君の魔力だと、強化度合いは今の身体能力の1.5倍程度だから覚えておいてね』
1.5倍か。充分過ぎる強化だね。
「ちなみに今の僕なら、時間はどれくらい使えますか?」
これ、かなり重要。
『そうね。大体3分くらいかしら』
結構短い。ここぞという時に使わないと、魔力枯渇でかえってピンチになりかねないな。
『2人ともそろそろ話を止めて戻りませんと、あちらの方々が危険かと』
セバスさんからも急ぐように言ってきた。流石に急がないと。
「では早速使わせてもらいます。キーレもアーレもよろしくね」
『お兄ちゃんの為に頑張る』
『兄様の為なら』
「ありがとう。じゃあ3人とも行くよ。闘鬼魔装!!」
僕が言葉を発するとアキーレさん達は、赤いオーラに包まれる。すると体の中から力が湧き立つのを感じる。今までに感じた事のない万能感。
すごい。これなら一気にあの大蛇を倒せる。
『力が上がったからって、油断は禁物よ』
ごもっともです。さっそくアキーレさんから釘を刺されてしまった。
「肝に銘じておきます。では、行きます」
そう応えると、僕は大蛇に向けて突撃した。
大蛇はアンネマリーさんが引き付け、クラウディアさんとリーゼさんが必死に攻撃している。ただアンネマリーさんは既に体力の限界なのか、動きが緩慢になりつつある。あのままではいつやられてもおかしくない。そしてそれは目の前で現実になろうとしていた。
一瞬棒立ちになったアンネマリーさんに大蛇の尻尾が襲い掛かる。
間に合う。僕は更に加速するとその勢いのまま大蛇の尻尾とアンネマリーさんの間に割り込み、強烈な尻尾による攻撃を神盾イジスにより受けきる。
「クラウド様。無事でしたか!」
背中越しにアンネマリーさんが声を掛けてくる。
「はい、心配おかけしました。もう大丈夫です。後は僕が何とかします。アンネマリーさんは下がって休んでいて下さい」
「しかし。……。いや、すまない。後をよろしく頼みます」
今の自分の状態では足手まといになると分かったのか、素直に下がる事を決めたようだ。
「もちろんです。任せて下さい」
僕の言葉にアンネマリーさんは一つ頷くと戦闘圏から離脱した。
さってと、時間はあまりない。ここは強引に倒しにいく。
僕は神盾イジスを前面に押し出し、強化された身体能力で大蛇に向けて突撃をはかる。今までよりもはるかに速い突撃に大蛇は完全に対応が遅れる。完全に間合いに入った僕は逆袈裟切りに胴体に斬りかかる。
胴体を切断するつもりで斬りかかったが、流石に速い。深手を負ったようだが、ギリギリで致命傷から逃れたようだ。
大蛇は痛みに咆哮を上げながら僕を睨みつける。
「あまり時間がないんだ。そろそろ決着を付けさせてもらうよ」
僕は大蛇に向かいそう言うと、魔剣レヴィに魔力を込める。
「オーラソード!」
魔剣レヴィが赤く怪しく光り始める。
闘鬼魔装の使用時間は減るが、ここ決めれば問題ない。
僕は一歩一歩、歩いて大蛇に近づいていく。大蛇は威嚇音を鳴らし、牙を剥き僕を睨みつける。そしてお互いの距離が10mを切った瞬間、大蛇は僕に向け毒液攻撃を仕掛けてきた。
僕はこのタイミングを待っていた。大蛇から毒液が噴出された瞬間、急加速し大蛇の懐に入り込む。わずかにかかった毒液が皮膚を焼き溶かす。だが僕は止まらない。その勢いのまま毒攻撃で動きがわずかに止まった大蛇の胴体を一刀で両断した。
2つに分かれた大蛇はしばらくの間たうち回っていたが少しずつ動きが緩慢になりやがてその動きを止めた。そして大蛇だったそれは光となって消えていき、後には大きな魔石と蛇皮や牙、液体の入った袋が残された。
それを確認した僕はその場で座りこみながらクラウディアさん達の様子を見る。
うん、みんな疲れてはいるようだが、特に大きな怪我はしていないようだ。
安心した僕はその場で大の字になって寝ころんだ。
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腹に突然の衝撃。続いてくる浮遊感。最後に壁に叩きけられる衝撃を全身に受ける。
ゴガァンン――!!
激しい衝撃音と共に砂塵が巻き上がる。
「いってー!! って、ん? 思ったよりも痛くない?」
確かに痛みは全身にあるが、思ったより痛くない。少なくともしばらく動けなくなるくらいのダメージを覚悟していたのに、実際は動きに全く支障が出ない程度のダメージで済んでいる。
『当たり前よ。わたくしがクラウド君の事を護っているのよ。あんな攻撃で大きなダメージを受ける訳ないじゃない』
おお、流石はSSSランクの鎧だ。凄い防御力。
「ありがとうございます。助かりました。アキーレさんは大丈夫ですか?」
『あの程度の攻撃、何万受けたところで私のこの玉の肌に傷一つ付ける事は出来ないわよ』
さすがだ。でも、あんな攻撃何万回も喰らったら僕の方が持たないよ。って、この件、前にもやった事がある気がする。
『クラウド。のんびり話している時間はないよ。クラウディア達があの蛇を抑えていてくれているけど、たぶんそんなに長くは持たないよ』
レヴィが状況を伝えてくる。
そうだ、早く戦線に戻らないと。
『ちょっと待って。クラウド君、その前に私たちの固有能力を使いなさい』
アキーレさん達にも固有能力があるんだ。初耳だ。
「初めて聞きますけど、どんな能力なんですか?」
『今回特別教えて上げるのは基本技だけよ。能力名は【闘鬼魔装】。能力としては、わたくしが筋力と耐久力の強化。キーレとアーレが瞬発力と機動力の強化ね。同時に使用する事も出来るし、わたしくしだけ、キーレとアーレだけ、と分けて使用する事も出来るわ。ただし使用中はクラウド君の魔力を常に消費し続けるから気を付けてね』
おお、凄い。でもそんな能力があるならもっと早く教えて欲しかったよ。
『先に教えちゃうと面白味がないでしょ。やっぱりピンチの時に教えて上げるのがお約束よね』
なんで口にも念話にも出してないのに考えている事が分かるんだよ。
『あっ! 言い忘れてたいけど、クラウド君の魔力だと、強化度合いは今の身体能力の1.5倍程度だから覚えておいてね』
1.5倍か。充分過ぎる強化だね。
「ちなみに今の僕なら、時間はどれくらい使えますか?」
これ、かなり重要。
『そうね。大体3分くらいかしら』
結構短い。ここぞという時に使わないと、魔力枯渇でかえってピンチになりかねないな。
『2人ともそろそろ話を止めて戻りませんと、あちらの方々が危険かと』
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「では早速使わせてもらいます。キーレもアーレもよろしくね」
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『兄様の為なら』
「ありがとう。じゃあ3人とも行くよ。闘鬼魔装!!」
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『力が上がったからって、油断は禁物よ』
ごもっともです。さっそくアキーレさんから釘を刺されてしまった。
「肝に銘じておきます。では、行きます」
そう応えると、僕は大蛇に向けて突撃した。
大蛇はアンネマリーさんが引き付け、クラウディアさんとリーゼさんが必死に攻撃している。ただアンネマリーさんは既に体力の限界なのか、動きが緩慢になりつつある。あのままではいつやられてもおかしくない。そしてそれは目の前で現実になろうとしていた。
一瞬棒立ちになったアンネマリーさんに大蛇の尻尾が襲い掛かる。
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「クラウド様。無事でしたか!」
背中越しにアンネマリーさんが声を掛けてくる。
「はい、心配おかけしました。もう大丈夫です。後は僕が何とかします。アンネマリーさんは下がって休んでいて下さい」
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今の自分の状態では足手まといになると分かったのか、素直に下がる事を決めたようだ。
「もちろんです。任せて下さい」
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胴体を切断するつもりで斬りかかったが、流石に速い。深手を負ったようだが、ギリギリで致命傷から逃れたようだ。
大蛇は痛みに咆哮を上げながら僕を睨みつける。
「あまり時間がないんだ。そろそろ決着を付けさせてもらうよ」
僕は大蛇に向かいそう言うと、魔剣レヴィに魔力を込める。
「オーラソード!」
魔剣レヴィが赤く怪しく光り始める。
闘鬼魔装の使用時間は減るが、ここ決めれば問題ない。
僕は一歩一歩、歩いて大蛇に近づいていく。大蛇は威嚇音を鳴らし、牙を剥き僕を睨みつける。そしてお互いの距離が10mを切った瞬間、大蛇は僕に向け毒液攻撃を仕掛けてきた。
僕はこのタイミングを待っていた。大蛇から毒液が噴出された瞬間、急加速し大蛇の懐に入り込む。わずかにかかった毒液が皮膚を焼き溶かす。だが僕は止まらない。その勢いのまま毒攻撃で動きがわずかに止まった大蛇の胴体を一刀で両断した。
2つに分かれた大蛇はしばらくの間たうち回っていたが少しずつ動きが緩慢になりやがてその動きを止めた。そして大蛇だったそれは光となって消えていき、後には大きな魔石と蛇皮や牙、液体の入った袋が残された。
それを確認した僕はその場で座りこみながらクラウディアさん達の様子を見る。
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