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第五章
第58話 対魔族戦決着
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魔族ゾフの強烈な一撃を受け、弾き飛ばされながら僕は見た。
僕の正面に立つゾフと、その真後ろにいるジルベルトと名乗る魔族。
『クラウド様!』
『大丈夫! 気付いています。セバスさん』
僕はゾフと剣を交えながらずっとチャンスを伺っていた。今の僕の攻撃力では、2人の魔族に有効なダメージを与えられる攻撃手段は一つしかない。それもその攻撃は一度しか使えない。
――故に僕はずっとチャンスを伺っていた。
そして、そのチャンスがようやく目の前に現れたのだ。
「これ以上ジルベルト様をお持たせするわけにもいかん。ここで決着をつけさせてもらうぞ。小僧」
ゾフはそう宣言すると両手に握られた剣に黒く禍々しい魔力を注ぎ込んでいく。そして剣の刀身から黒いオーラを放ち始める。
『クラウド様、お気を付け下さい。とてつもない魔力で御座います』
言われるまでもない――あんなものまともに食らったら骨も残らないだろう。
ならば方法はひとつしかない。そしてこの時を僕は待っていたんだ。
「死んでもらうぞ、小僧! 滅殺剣!!」
ゾフが気合と共に剣を振り下ろす。そしてそれと同時に僕は――
「パーフェクトシールド」
僕の周りに光の障壁が展開される――そしてそれと同時に黒い魔力の斬撃が襲いかかってきた。
――ズッガーン!!
鼓膜を激しく揺らす衝撃音と共に黒炎が障壁の周りを覆い尽くす。
――これで良い……。この黒炎が魔族たちから僕の姿を隠してくれる。実力の差が油断を誘う。
障壁の中、僕は魔剣レヴィを構える。
この一撃に全てを懸ける。
――神の一撃『メキドソード』――
以前使用した時とは違う。ただ固有能力を使うのではなく、全ての魔力をこの技に注ぎ込む。更にみんなのオーラもすべて注ぎ込む。
全身全霊、後の事は何も考えない――倒せなければ、どうせ死ぬのだから……
「レヴィ、行くよ!」
『いつでもいいよ~』
レヴィから軽い返事が返ってくる。その返事に多少緊張感が和らぎ、なんとかなる。そう思えてくる。
根拠の無い自信だが、今はそれで十分だ。
僕は覚悟を決め、爆炎が収まりを見せる中パーフェクトシールドを解除する。そして――
「メキドソード!!」
ありったけの気合と魔力を込めて魔剣レヴィを2体の魔族に向け振り抜いた。
周りの音が消え、光が視界を埋め尽くす。
――以前放ったメキドソードとは明らかに威力が違う。それは僕のレベルが上がった為か、それとも以前は込めなかった魔力の為か、はたまた装備のみんなが解放状態だった為か――おそらくそのすべてが理由だろう。
レヴィから放たれた光の閃光は、ゾフを包み込み、ゾフの後方で高みに見物をしていたジルベルトをも一緒に包み込む。
――捉えた――後は……
最初に直撃を受けたゾフは光の渦の中でその体をゆっくりと崩壊させていく。以前メキドソードを喰らったガルムは一瞬で消滅した。だがそうはならないゾフ、さすがは上位魔族といったところか。――そしてその後方で高みに見物をしていたジルベルトも光の渦の中その身を崩壊させていく。
高速で展開されていくその光景が、まるで思考加速魔法にでも掛かったかのようにゆっくりと流れていき、はっきりと認識できる。
そして、その光景は激しい光の爆発と共に終を告げた。
◇ ◇ ◇
意識が朦朧とする中、僕は先程まで魔族が居た場所を眺めていた。
「やった……のか……」
魔族が居たその場所には今は何も残っていない。魔族も、邪神の迷宮の入口も、そしてその後方の森の木々も――
周りを確認して見るが、もう魔族は見当たらない。先程まで周辺を覆っていた濃密な瘴気は消え失せ、周辺は静寂を取り戻していた。
『魔族2体の消滅を確認しました。お疲れ様で御座います。クラウド様』
『やったね~クラウド!』
『主よ、おめでとう御座います』
セバスさん、レヴィ、イジスさんの3人から祝福の言葉を受ける。
『ありがとう。出来過ぎだけどね……あれ?』
そこまで言ってアキーレさん達の反応がない事に気が付く。不思議に思っていると……
『アキーレ達は力を使い果たし、現在休眠状態に入っております。3日もすれば元に戻るでしょう』
と言うことだった。よかった……
どうやらみんな無事らしい。これで取り敢えず今回の件は終わったな。
ん? あれ? 安心したら急に……
体から力が抜けその場で倒れてしまう。やばい……
倒れた僕は両手を地面につき意識を保とうとするが、ダメだ……
しかし――いったい何が……意識が……意識が保てない……
――そして僕の意識はそこで途切れた――
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魔族ゾフの強烈な一撃を受け、弾き飛ばされながら僕は見た。
僕の正面に立つゾフと、その真後ろにいるジルベルトと名乗る魔族。
『クラウド様!』
『大丈夫! 気付いています。セバスさん』
僕はゾフと剣を交えながらずっとチャンスを伺っていた。今の僕の攻撃力では、2人の魔族に有効なダメージを与えられる攻撃手段は一つしかない。それもその攻撃は一度しか使えない。
――故に僕はずっとチャンスを伺っていた。
そして、そのチャンスがようやく目の前に現れたのだ。
「これ以上ジルベルト様をお持たせするわけにもいかん。ここで決着をつけさせてもらうぞ。小僧」
ゾフはそう宣言すると両手に握られた剣に黒く禍々しい魔力を注ぎ込んでいく。そして剣の刀身から黒いオーラを放ち始める。
『クラウド様、お気を付け下さい。とてつもない魔力で御座います』
言われるまでもない――あんなものまともに食らったら骨も残らないだろう。
ならば方法はひとつしかない。そしてこの時を僕は待っていたんだ。
「死んでもらうぞ、小僧! 滅殺剣!!」
ゾフが気合と共に剣を振り下ろす。そしてそれと同時に僕は――
「パーフェクトシールド」
僕の周りに光の障壁が展開される――そしてそれと同時に黒い魔力の斬撃が襲いかかってきた。
――ズッガーン!!
鼓膜を激しく揺らす衝撃音と共に黒炎が障壁の周りを覆い尽くす。
――これで良い……。この黒炎が魔族たちから僕の姿を隠してくれる。実力の差が油断を誘う。
障壁の中、僕は魔剣レヴィを構える。
この一撃に全てを懸ける。
――神の一撃『メキドソード』――
以前使用した時とは違う。ただ固有能力を使うのではなく、全ての魔力をこの技に注ぎ込む。更にみんなのオーラもすべて注ぎ込む。
全身全霊、後の事は何も考えない――倒せなければ、どうせ死ぬのだから……
「レヴィ、行くよ!」
『いつでもいいよ~』
レヴィから軽い返事が返ってくる。その返事に多少緊張感が和らぎ、なんとかなる。そう思えてくる。
根拠の無い自信だが、今はそれで十分だ。
僕は覚悟を決め、爆炎が収まりを見せる中パーフェクトシールドを解除する。そして――
「メキドソード!!」
ありったけの気合と魔力を込めて魔剣レヴィを2体の魔族に向け振り抜いた。
周りの音が消え、光が視界を埋め尽くす。
――以前放ったメキドソードとは明らかに威力が違う。それは僕のレベルが上がった為か、それとも以前は込めなかった魔力の為か、はたまた装備のみんなが解放状態だった為か――おそらくそのすべてが理由だろう。
レヴィから放たれた光の閃光は、ゾフを包み込み、ゾフの後方で高みに見物をしていたジルベルトをも一緒に包み込む。
――捉えた――後は……
最初に直撃を受けたゾフは光の渦の中でその体をゆっくりと崩壊させていく。以前メキドソードを喰らったガルムは一瞬で消滅した。だがそうはならないゾフ、さすがは上位魔族といったところか。――そしてその後方で高みに見物をしていたジルベルトも光の渦の中その身を崩壊させていく。
高速で展開されていくその光景が、まるで思考加速魔法にでも掛かったかのようにゆっくりと流れていき、はっきりと認識できる。
そして、その光景は激しい光の爆発と共に終を告げた。
◇ ◇ ◇
意識が朦朧とする中、僕は先程まで魔族が居た場所を眺めていた。
「やった……のか……」
魔族が居たその場所には今は何も残っていない。魔族も、邪神の迷宮の入口も、そしてその後方の森の木々も――
周りを確認して見るが、もう魔族は見当たらない。先程まで周辺を覆っていた濃密な瘴気は消え失せ、周辺は静寂を取り戻していた。
『魔族2体の消滅を確認しました。お疲れ様で御座います。クラウド様』
『やったね~クラウド!』
『主よ、おめでとう御座います』
セバスさん、レヴィ、イジスさんの3人から祝福の言葉を受ける。
『ありがとう。出来過ぎだけどね……あれ?』
そこまで言ってアキーレさん達の反応がない事に気が付く。不思議に思っていると……
『アキーレ達は力を使い果たし、現在休眠状態に入っております。3日もすれば元に戻るでしょう』
と言うことだった。よかった……
どうやらみんな無事らしい。これで取り敢えず今回の件は終わったな。
ん? あれ? 安心したら急に……
体から力が抜けその場で倒れてしまう。やばい……
倒れた僕は両手を地面につき意識を保とうとするが、ダメだ……
しかし――いったい何が……意識が……意識が保てない……
――そして僕の意識はそこで途切れた――
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