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第五章
第59話 これからの事が決まりました
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目を覚ました僕は、柔らかいベッドの中にいた。
まだまどろむ意識の中、僕は今いる場所を確認するように視線を動かす。
ここは……魔法のテントの部屋の中か……。どうして……、あれ? そういえば僕は魔族と戦っていて……そうか! 魔族を倒した後そのまま意識を失くしたんだった。
……あっ! そうだ! 寝ている場合じゃない。邪神が復活する。急いでローレンツさんにこの事を伝えないと。
すぐにベッドから起き上がり部屋を出ようとしたが――
ガゴンッ!!
ベッドから降りたところで僕は盛大な音を立てて倒れてしまった。
なんだ? 身体が思ったように動かない。全身が重りを付けられたように重く、腕一つ上げるのも億劫だ。
「クラウド様!!」
その音を聞いたらしく、セバスさんが慌てて部屋に入って来た。
「セバスさん、すみません。気を失っていたみたいですね。こんな……急がないといけない時に……」
「クラウド様、まずは、ベッドにお戻りください」
倒れた僕を支えセバスさんは僕をベッドに寝かせようとする。
「僕は大丈夫です。それより、邪神を――ローレッツさんに邪神が復活している事を伝えないと……」
ベッドに運ぼうとするセバスさんを、僕は留めながら言った。
「その点に関しては問題御座いません」
しかしセバスさんは問題無いと言う。一体どういう事なんだ? 少しでも早く伝えたければならない事なのに……
「ご説明は今からさせていただきますので、まず、ベッドにお戻りください」
その言葉を聞き、僕はセバスさんに言われるままにベッドに戻った。
「まず、ローレンツ様への報告の件でございますが、既にご報告済みでございます」
えっ!? もう済んでいる?
「それはいったいどういう事なんでしょうか?」
ローレンツさんの自宅まではベガで移動しても6日は掛かるはず。それが報告済みっていったい……
「それは、クラウド様が意識を失われている間に、私どもが既に報告を行たったからです」
「えっと……」
意味がよく分からないんだが……、もしかしてセバスさんって、転移魔法が使えるのか? セバスさんならホントに出来そうだし……
「申し訳ありません。説明が逆になってしまいました。実はクラウド様が意識を失くされてから既に13日が経過しております」
「なっ!?」
13日……、僕はそんなに意識を失っていたのか……
「今回は、ただの魔力枯渇だけでなく、私達の能力解放が大きく影響したと思われます」
「能力解放……ですか……」
「はい、能力解放は、私達の魔力を解放するだけでなく、契約者の力を限界以上に引き上げる特殊能力です。その特殊能力を、私達全員が同時に使用した事でクラウド様に大きく負荷が掛かった事が原因と思われます。この方法しか、クラウド様が助かる方法が無かったとはいえ、危険な方法を取ってしまい申し訳御座いませんでした」
なるほど、あれほど一気に能力が高く能力だ。当然それに似合うリスクがあったんだな……
「いえ、僕が今生きているのはその能力解放のおかげなので……むしろお礼を言わせて下さい。ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ当然の事を行っただけです。それよりもクラウド様。これからの事ですが」
そうかだ、問題はこれからだ。あの魔族は倒す事が出来たが本当の敵は邪神だ。あの世界の敵を倒さない限りこの世界は終わる。
そして、セバスさんは言った。その邪神との戦いにおいて僕が切り札になると……
「僕の事ですね」
「はい、クラウド様のレベルは魔族を倒した事により飛躍的に上がり現在327で御座います」
なっ! マジか? 恐ろしくレベルが上がっているな。流石にレベル357と445の魔族を倒しただけの事は有るみたいだ。
「しかしまだ、邪神と戦うには全く足りません。それどころか、最上位魔族相手でもメキドソード無しでは倒すこともままならないでしょう」
セバスさんの言葉に僕も頷く。
確かに、あの時現れたジルベルトという最上位魔族は明らかに次元が違った。メキドソードで倒せたのも奴が戦闘体勢に入っておらず油断していたからだ。
今なら僕のレベルも上がり戦闘状態でも直撃さえさせられれば、倒す事も可能だと思う。……が、邪神戦が控える今、切り札をそう何度も使う訳には行かない。ましてや最上位魔族が何人いるかも分からない。
「ですので、クラウド様が回復しだい、S級迷宮に1年間籠って修行を行ってもらいます」
「……はい?」
今、S級迷宮に1年籠るって言わなかったか?
「ちなみに既にここはS級迷宮『羅刹迷宮』の中で御座います」
「……マジですか?」
「はい」
……い、いきなりですか……
確か『羅刹迷宮』って、現在発見されているS級迷宮の中で最難関って言われている迷宮だよね……
……。僕にはもう1年後が訪れないかも……
「1年間で邪神と戦えるだけの力を付けねばなりません。ご理解下さい」
諦めるしか無いらしい……
「……はい。頑張ります」
こうして、僕にとって、あの地獄の特訓ループを超える地獄の日々が始まった。
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目を覚ました僕は、柔らかいベッドの中にいた。
まだまどろむ意識の中、僕は今いる場所を確認するように視線を動かす。
ここは……魔法のテントの部屋の中か……。どうして……、あれ? そういえば僕は魔族と戦っていて……そうか! 魔族を倒した後そのまま意識を失くしたんだった。
……あっ! そうだ! 寝ている場合じゃない。邪神が復活する。急いでローレンツさんにこの事を伝えないと。
すぐにベッドから起き上がり部屋を出ようとしたが――
ガゴンッ!!
ベッドから降りたところで僕は盛大な音を立てて倒れてしまった。
なんだ? 身体が思ったように動かない。全身が重りを付けられたように重く、腕一つ上げるのも億劫だ。
「クラウド様!!」
その音を聞いたらしく、セバスさんが慌てて部屋に入って来た。
「セバスさん、すみません。気を失っていたみたいですね。こんな……急がないといけない時に……」
「クラウド様、まずは、ベッドにお戻りください」
倒れた僕を支えセバスさんは僕をベッドに寝かせようとする。
「僕は大丈夫です。それより、邪神を――ローレッツさんに邪神が復活している事を伝えないと……」
ベッドに運ぼうとするセバスさんを、僕は留めながら言った。
「その点に関しては問題御座いません」
しかしセバスさんは問題無いと言う。一体どういう事なんだ? 少しでも早く伝えたければならない事なのに……
「ご説明は今からさせていただきますので、まず、ベッドにお戻りください」
その言葉を聞き、僕はセバスさんに言われるままにベッドに戻った。
「まず、ローレンツ様への報告の件でございますが、既にご報告済みでございます」
えっ!? もう済んでいる?
「それはいったいどういう事なんでしょうか?」
ローレンツさんの自宅まではベガで移動しても6日は掛かるはず。それが報告済みっていったい……
「それは、クラウド様が意識を失われている間に、私どもが既に報告を行たったからです」
「えっと……」
意味がよく分からないんだが……、もしかしてセバスさんって、転移魔法が使えるのか? セバスさんならホントに出来そうだし……
「申し訳ありません。説明が逆になってしまいました。実はクラウド様が意識を失くされてから既に13日が経過しております」
「なっ!?」
13日……、僕はそんなに意識を失っていたのか……
「今回は、ただの魔力枯渇だけでなく、私達の能力解放が大きく影響したと思われます」
「能力解放……ですか……」
「はい、能力解放は、私達の魔力を解放するだけでなく、契約者の力を限界以上に引き上げる特殊能力です。その特殊能力を、私達全員が同時に使用した事でクラウド様に大きく負荷が掛かった事が原因と思われます。この方法しか、クラウド様が助かる方法が無かったとはいえ、危険な方法を取ってしまい申し訳御座いませんでした」
なるほど、あれほど一気に能力が高く能力だ。当然それに似合うリスクがあったんだな……
「いえ、僕が今生きているのはその能力解放のおかげなので……むしろお礼を言わせて下さい。ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ当然の事を行っただけです。それよりもクラウド様。これからの事ですが」
そうかだ、問題はこれからだ。あの魔族は倒す事が出来たが本当の敵は邪神だ。あの世界の敵を倒さない限りこの世界は終わる。
そして、セバスさんは言った。その邪神との戦いにおいて僕が切り札になると……
「僕の事ですね」
「はい、クラウド様のレベルは魔族を倒した事により飛躍的に上がり現在327で御座います」
なっ! マジか? 恐ろしくレベルが上がっているな。流石にレベル357と445の魔族を倒しただけの事は有るみたいだ。
「しかしまだ、邪神と戦うには全く足りません。それどころか、最上位魔族相手でもメキドソード無しでは倒すこともままならないでしょう」
セバスさんの言葉に僕も頷く。
確かに、あの時現れたジルベルトという最上位魔族は明らかに次元が違った。メキドソードで倒せたのも奴が戦闘体勢に入っておらず油断していたからだ。
今なら僕のレベルも上がり戦闘状態でも直撃さえさせられれば、倒す事も可能だと思う。……が、邪神戦が控える今、切り札をそう何度も使う訳には行かない。ましてや最上位魔族が何人いるかも分からない。
「ですので、クラウド様が回復しだい、S級迷宮に1年間籠って修行を行ってもらいます」
「……はい?」
今、S級迷宮に1年籠るって言わなかったか?
「ちなみに既にここはS級迷宮『羅刹迷宮』の中で御座います」
「……マジですか?」
「はい」
……い、いきなりですか……
確か『羅刹迷宮』って、現在発見されているS級迷宮の中で最難関って言われている迷宮だよね……
……。僕にはもう1年後が訪れないかも……
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「……はい。頑張ります」
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