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第七章
第81話 将軍に会おう
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「先ほどは、大変失礼致しました」
少し歩いたところでクラウディアさんが申し訳なさそうに頭を下げて来た。
「いえ、気にしていませんから。第一クラウディアさんが悪い訳じゃ無いですし」
『悪いのはあの貴族のボンボンだよね。クラウドの正体も分かったんだし、一発殴っとけば良かったんじゃない』
レヴィがなにか危険な事を言っているが、この際それは無視して話を続ける。
「ですからクラウディアさんは気になさらないで下さい」
「しかし……」
「僕が良いって言っているんですからいいんですよ」
そこまで言うとクラウディアさんは「ありがとうございます」と言ってしぶしぶ納得して引き下がってくれた。
それからしばらく雑談をしながら歩いていると、天幕が立ち並ぶ場所が見えてきた。
「あそこが、ブリンテルト王国軍の本陣になります」
歩きながらクラウディアさんが説明してくれる。
いくつも建ち並ぶ天幕を横目に奥に進むと、一際大きな天幕が見えてくる。
「あちらの天幕にお父様や今回の総大将を務められているホルガー・フォン・シュタイン将軍がおられます」
そう言った後、僕が頷くのを確認したクラウディアさんはそのまま巨大天幕にむかう。
「西方義勇軍指揮官クラウディアです。シュタイン将軍閣下とローレンツ参謀長閣下に面会をお願いします」
天幕の入口に立つ2人の衛兵にクラウディアさんは声を掛ける。
「分かりました、少々お待ちを。ちなみにそちらの方は?」
クラウディアさんの言葉に右に立つ衛兵が応対する。左に立つ衛兵はそのまま周りを警戒するように立ち続けている。
「この度の戦いで、邪神軍を撃滅した天使たちを召喚したクラウド様です。Sランクハンターでも在られますので、シュタイン将軍閣下とローレンツ参謀長閣下に一度お目通り願おうとお連れ致しました」
「先ほどの…… 分かりました。少々お持ちください」
そう言うと「ロイターです。失礼します」と天幕に中に声を掛け、衛兵改めロイターさんは慌てて中に入って行く。そしてしばらく待っていると、ロイターさんは再び中から飛び出して来た。
「大変お待たせいたしました」
そんなに待ってないけど……
「シュタイン将軍閣下とローレンツ参謀長閣下がお待ちです」
騎士の敬礼をしたロイターさんが、僕達にそう伝えて来た。
僕とクラウディアさんはロイターさんともう一人の衛兵にお礼を言うとそのまま天幕の中に入って行く。
天幕の中にはローレンツさんを始め、立派な鎧を着た5人の騎士が座っていた。その5人の騎士達は、入って来た僕を値踏みするように見て来る。
「シュタイン将軍閣下、此度、邪神軍を撃滅したしましたSランクハンター、クラウド様をお連れしました」
一番奥に座る一際力を感じる鎧を纏った男に向けクラウディアさんは話しける。
この人が救国の英雄とまで言われたホルガー・フォン・シュタイン将軍か……
全身赤黒い鎧に身を包んだ50歳前後の男からは、確かに常人ならざる気配を感じる。それだけでもこの人がかなりの手練れだという事が分かる。
「卿が黒の勇者、クラウドか……」
『もう黒く無いけどね』というレヴィの茶々を無視して、「はい」と答える。
周りからは、「まさかこれ程若い者だとは……」や「全然強そうには見えんな」など小声でやり取りしている声が聞こえてくる。彼らからしたら、聞こえていないつもりなのだろうが、半神人化したことにより、五感全てが強化された僕にとっては普通にしゃべっているように聞こえてしまう。まあ、聞こえたからと言って特に気にはしないけど……
「そうか…… この度は我が軍を救っていただき感謝の念に堪えない。卿が来なければ我が軍は間違い無く崩壊していただろう。そしてブリンテルト王国も…… 本当に深く感謝する」
そう言ってシュタイン将軍は深く頭を下げた。それに倣うようにローレンツさんや周りの騎士達も頭を下げる。
『さっきのボンボン貴族とはえらい違いんだね』
レヴィの言葉に思わず頷きそうになるのを我慢し「いえ、そんな…… もっと早く来られればよかったのですが……」と答える。
「いや、卿は本来我が国の者では無い。そんな卿が我が国を救ってくれたのだ、これ以上の事は望むべくもない。この恩は必ず返させてもらう」
「そんな、恩なんて……」
それから、今回の功績に対する報酬について話し合った後、シュタイン将軍がここからが本題とばかりに僕に問いかけて来た。
「クラウド殿、卿はこれからどうされるおつもりだ?」
「今後ですか……」
「ああ、もし卿さえ良ければ我が軍と行動を共にしていただけないだろうか?」
話の流れから、こういった話になるのではと思っていたがやっぱりそうなるよね。気持ちは分かるんだけど……
「申し訳ないです。これから僕は、邪神軍の拠点に攻撃を仕掛けるつもりでいます。その戦に皆さんを巻き込む訳には行きません。ですので、その話はお断りさせていただきます」
「なっ…… 一人で敵の拠点に攻め込むというのか!?」
「クラウド様、それは危険です。そんな無茶な事お止めください!!」
シュタイン将軍の言葉を遮るようにクラウディアさんが僕に詰め寄って来る。
「そうしたいのも山々なんですが、邪神が動き出している以上、そうも行かないんですよね」
「そんな…… そんな事……」そう言って項垂れるクラウディアさん。
「ならば、我が軍と共同で戦線を築き、邪神軍と対抗すれば良いではないか。その方が、卿に掛かる負担も小さくなり、より、邪神討伐の可能性も高くなるのではないか?」
今度はシュタイン将軍が僕を止めようと案を提示してくる。
「閣下はエルドラン平原の戦いの事を知っていますか?」
エルドラン平原の戦いとは、僕が初めて戦った邪神と戦ったあの戦いの事だ。
「ああ、卿が邪神と戦った戦いだったな」
「そうです。あの戦いに参戦した兵の方たちがどうなったか知っていますか?」
「……全滅、……したと聞いている」
ここでシュタイン将軍は僕の言いたいに気が付いたようだ。
「そうです。実力が伴わない者にとって、邪神の側に立つという事は、それだけで死を意味するといっても過言では無いんです」
「…………」
シュタイン将軍を始め、この場に居る者全員、顔色を失う。
「では、では、少数精鋭で挑めば――」
シュタイン将軍の言葉に僕は首を振る。
「僕が召喚した天使達の戦いを見ましたよね?」
「ああ、見た」
「彼らは全員レベル600を超えています」
「なっ!?」
「そして、邪神軍の幹部達もそれに近いレベルをしています。そんな天使や魔族が戦えばどうなるか…… 先ほどの天使達の戦いを見れば想像は難しくないはずです」
「我々は足で纏いだと……」
僕は首肯で答える。正直、足で纏いどころか、レベル300を超えるシュタイン将軍ですら戦場に近づく事も出来ないだろうが……
「……そうか…… 卿は一人で大丈夫なのか?」
「はい」
シュタイン将軍は僕の事を一人と言ったが、僕にはレヴィ達がいる。決して一人じゃない。無茶な事をしようとしている事は分かっているが、決して無理でないと思っている。今の僕なら……
「クラウド様……」
「大丈夫。まだ死ぬつもりは無いよ」
泣きそうなクラウディアさんの頭を撫で、僕は笑顔を向ける。
「……はい、必ず戻って来て下さい」
そう言うクラウディアさんに頷いて「必ず邪神を倒して帰ってきますよ」と笑顔で答えるのであった。
それらシュタイン将軍やローレッツさんと今後の事を相談し、僕はクラウディアさん達と別れ、邪神討伐の為行動を開始した。
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レヴィがなにか危険な事を言っているが、この際それは無視して話を続ける。
「ですからクラウディアさんは気になさらないで下さい」
「しかし……」
「僕が良いって言っているんですからいいんですよ」
そこまで言うとクラウディアさんは「ありがとうございます」と言ってしぶしぶ納得して引き下がってくれた。
それからしばらく雑談をしながら歩いていると、天幕が立ち並ぶ場所が見えてきた。
「あそこが、ブリンテルト王国軍の本陣になります」
歩きながらクラウディアさんが説明してくれる。
いくつも建ち並ぶ天幕を横目に奥に進むと、一際大きな天幕が見えてくる。
「あちらの天幕にお父様や今回の総大将を務められているホルガー・フォン・シュタイン将軍がおられます」
そう言った後、僕が頷くのを確認したクラウディアさんはそのまま巨大天幕にむかう。
「西方義勇軍指揮官クラウディアです。シュタイン将軍閣下とローレンツ参謀長閣下に面会をお願いします」
天幕の入口に立つ2人の衛兵にクラウディアさんは声を掛ける。
「分かりました、少々お待ちを。ちなみにそちらの方は?」
クラウディアさんの言葉に右に立つ衛兵が応対する。左に立つ衛兵はそのまま周りを警戒するように立ち続けている。
「この度の戦いで、邪神軍を撃滅した天使たちを召喚したクラウド様です。Sランクハンターでも在られますので、シュタイン将軍閣下とローレンツ参謀長閣下に一度お目通り願おうとお連れ致しました」
「先ほどの…… 分かりました。少々お持ちください」
そう言うと「ロイターです。失礼します」と天幕に中に声を掛け、衛兵改めロイターさんは慌てて中に入って行く。そしてしばらく待っていると、ロイターさんは再び中から飛び出して来た。
「大変お待たせいたしました」
そんなに待ってないけど……
「シュタイン将軍閣下とローレンツ参謀長閣下がお待ちです」
騎士の敬礼をしたロイターさんが、僕達にそう伝えて来た。
僕とクラウディアさんはロイターさんともう一人の衛兵にお礼を言うとそのまま天幕の中に入って行く。
天幕の中にはローレンツさんを始め、立派な鎧を着た5人の騎士が座っていた。その5人の騎士達は、入って来た僕を値踏みするように見て来る。
「シュタイン将軍閣下、此度、邪神軍を撃滅したしましたSランクハンター、クラウド様をお連れしました」
一番奥に座る一際力を感じる鎧を纏った男に向けクラウディアさんは話しける。
この人が救国の英雄とまで言われたホルガー・フォン・シュタイン将軍か……
全身赤黒い鎧に身を包んだ50歳前後の男からは、確かに常人ならざる気配を感じる。それだけでもこの人がかなりの手練れだという事が分かる。
「卿が黒の勇者、クラウドか……」
『もう黒く無いけどね』というレヴィの茶々を無視して、「はい」と答える。
周りからは、「まさかこれ程若い者だとは……」や「全然強そうには見えんな」など小声でやり取りしている声が聞こえてくる。彼らからしたら、聞こえていないつもりなのだろうが、半神人化したことにより、五感全てが強化された僕にとっては普通にしゃべっているように聞こえてしまう。まあ、聞こえたからと言って特に気にはしないけど……
「そうか…… この度は我が軍を救っていただき感謝の念に堪えない。卿が来なければ我が軍は間違い無く崩壊していただろう。そしてブリンテルト王国も…… 本当に深く感謝する」
そう言ってシュタイン将軍は深く頭を下げた。それに倣うようにローレンツさんや周りの騎士達も頭を下げる。
『さっきのボンボン貴族とはえらい違いんだね』
レヴィの言葉に思わず頷きそうになるのを我慢し「いえ、そんな…… もっと早く来られればよかったのですが……」と答える。
「いや、卿は本来我が国の者では無い。そんな卿が我が国を救ってくれたのだ、これ以上の事は望むべくもない。この恩は必ず返させてもらう」
「そんな、恩なんて……」
それから、今回の功績に対する報酬について話し合った後、シュタイン将軍がここからが本題とばかりに僕に問いかけて来た。
「クラウド殿、卿はこれからどうされるおつもりだ?」
「今後ですか……」
「ああ、もし卿さえ良ければ我が軍と行動を共にしていただけないだろうか?」
話の流れから、こういった話になるのではと思っていたがやっぱりそうなるよね。気持ちは分かるんだけど……
「申し訳ないです。これから僕は、邪神軍の拠点に攻撃を仕掛けるつもりでいます。その戦に皆さんを巻き込む訳には行きません。ですので、その話はお断りさせていただきます」
「なっ…… 一人で敵の拠点に攻め込むというのか!?」
「クラウド様、それは危険です。そんな無茶な事お止めください!!」
シュタイン将軍の言葉を遮るようにクラウディアさんが僕に詰め寄って来る。
「そうしたいのも山々なんですが、邪神が動き出している以上、そうも行かないんですよね」
「そんな…… そんな事……」そう言って項垂れるクラウディアさん。
「ならば、我が軍と共同で戦線を築き、邪神軍と対抗すれば良いではないか。その方が、卿に掛かる負担も小さくなり、より、邪神討伐の可能性も高くなるのではないか?」
今度はシュタイン将軍が僕を止めようと案を提示してくる。
「閣下はエルドラン平原の戦いの事を知っていますか?」
エルドラン平原の戦いとは、僕が初めて戦った邪神と戦ったあの戦いの事だ。
「ああ、卿が邪神と戦った戦いだったな」
「そうです。あの戦いに参戦した兵の方たちがどうなったか知っていますか?」
「……全滅、……したと聞いている」
ここでシュタイン将軍は僕の言いたいに気が付いたようだ。
「そうです。実力が伴わない者にとって、邪神の側に立つという事は、それだけで死を意味するといっても過言では無いんです」
「…………」
シュタイン将軍を始め、この場に居る者全員、顔色を失う。
「では、では、少数精鋭で挑めば――」
シュタイン将軍の言葉に僕は首を振る。
「僕が召喚した天使達の戦いを見ましたよね?」
「ああ、見た」
「彼らは全員レベル600を超えています」
「なっ!?」
「そして、邪神軍の幹部達もそれに近いレベルをしています。そんな天使や魔族が戦えばどうなるか…… 先ほどの天使達の戦いを見れば想像は難しくないはずです」
「我々は足で纏いだと……」
僕は首肯で答える。正直、足で纏いどころか、レベル300を超えるシュタイン将軍ですら戦場に近づく事も出来ないだろうが……
「……そうか…… 卿は一人で大丈夫なのか?」
「はい」
シュタイン将軍は僕の事を一人と言ったが、僕にはレヴィ達がいる。決して一人じゃない。無茶な事をしようとしている事は分かっているが、決して無理でないと思っている。今の僕なら……
「クラウド様……」
「大丈夫。まだ死ぬつもりは無いよ」
泣きそうなクラウディアさんの頭を撫で、僕は笑顔を向ける。
「……はい、必ず戻って来て下さい」
そう言うクラウディアさんに頷いて「必ず邪神を倒して帰ってきますよ」と笑顔で答えるのであった。
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