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《56》五感すべてで(5)※
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三月も最終週になった。企画部での大和の送別会も終わり、今日はいよいよ大和との最後の着付け稽古だ。
「本日で最後ですが、よろしくお願いします。大和先生」
「あぁ。今日は集大成、だな」
今まで大和に教わったことをひとつひとつ思い返しながら紐を結ぶ。
補正から始まり、長襦袢、着物を着て、帯を締める。
自分で着るだけではなく、トルソーにも着付ける。
外出着としての着物だけでなく、喪服、留袖など冠婚葬祭用の着付けもおこなった。
大和の手の動き、手足の運び方、姿勢。
何度も見惚れて美しいと感じた大和の全てを思い返す。
「うん。もうなにも教えることはないよ。あとは繰り返し練習あるのみだ。本当によく頑張ったな。師範として誇らしいよ」
普段過剰に人を褒めることをしない大和の言葉だからこそ、余計に胸に響いた。
大和だけではなく、別の講師からも瑛美の上達ぶりは賞賛された。学院の受付をしている人から、隣で授業をしている人まで、短期間でメキメキと腕を上げる瑛美は学院の中で特異な存在だったようだ。
「生まれて初めて夢中になったことが着付けで、それも大和先生に教わったから、ここまで成長できました。本当にありがとうございました」
子弟として、深く頭を下げる。
「こちらこそありがとう」
大和との上司と部下の関係も終わり、今日で師弟関係は終わる。
この後はただの恋人としての時間だ。
「大和。こないだの返事をする前に、大和に触れたいです」
行き慣れた大和の部屋に着いて早々に、そう切り出した。
もう瑛美のなかで答えは決まっている。あとはそれを伝えるだけ。けれど、その前にどうしても大和のぬくもりを感じたかった。
「うん。おいで」
広げられた腕の中に躊躇なく飛び込んだ。絹の香りと大和の男性らしい匂いが混ざった、特別な香り。一生忘れることのないように胸に刻み込む。
「やまと……っ」
「すごい瑛美。興奮してる?」
「んんっ、そんなこと聞かないで」
互いに一糸纏わぬ姿となり、大和の逞しい体躯の上に乗る。
少し触れ合っただけで蕩けた蜜園を、大和のそそりたつ雄に擦りつけながら腰を揺らす。
角度をずらしたらすぐに入ってしまう。そんな危うい濃密な触れ合いをしながら、唇を合わせて舌を絡め合う。
「瑛美っ、そんな揺らしたら入るから……っ」
「ん。もう、いれてほし……」
「そんな可愛いこと言うな。理性が焼き切れる」
はぁ、と色っぽい息を吐き出し、薄膜をつけた大和は瑛美を仰向けに寝かそうとした。
「私が上じゃ、だめですか……?」
「嬉しいけど、珍しいな。瑛美がそんなこと言うなんて」
「大和を喜ばせたくて……いや?」
「ううん。すごく嬉しい」
仰向けに寝ころんだ大和の上にまたがり、膨れ上がった男根を手に添えて、自らのなかに受け入れていく。
「すごい、はいっていくところ丸見え」
「んん……っ」
大和の興奮した声を聞きながら、顔を真っ赤にしつつもゆっくり腰を下ろしていく。窮屈な蜜壁を拓いていく感覚は、何度経験してもぞくぞくと背筋が震える。
「はぁっ、あつい」
膜越しでもその灼熱の熱さと存在感を強く感じる。接合部が深くなっていくにつれて、瑛美は快楽に顔を歪ませた。
「可愛い、瑛美」
「ん……はい、った」
なんとか自力で奥まで呑み込む。少し腰を揺らしただけで、奥壁が痺れて耐えがたい快感が襲ってくる。
「きもちい?」
「あぁ、すごく、気持ちいいよ」
背を後ろに逸らして、繋がっているところを大和に見せつける。大和の膝に手を突き、腰を上下に動かした。
ぐちゅぐちゅと粘着質な音と、肌がぶつかる乾いた音が寝室に響いて恥ずかしくてたまらない。けれど、その羞恥心よりも、大和をたくさん愛したいという激情が勝る。
(私が大和を愛しているところを見て、覚えていてほしい……っ)
「やらし……っ」
「すきやまと。っ、すき……」
「本日で最後ですが、よろしくお願いします。大和先生」
「あぁ。今日は集大成、だな」
今まで大和に教わったことをひとつひとつ思い返しながら紐を結ぶ。
補正から始まり、長襦袢、着物を着て、帯を締める。
自分で着るだけではなく、トルソーにも着付ける。
外出着としての着物だけでなく、喪服、留袖など冠婚葬祭用の着付けもおこなった。
大和の手の動き、手足の運び方、姿勢。
何度も見惚れて美しいと感じた大和の全てを思い返す。
「うん。もうなにも教えることはないよ。あとは繰り返し練習あるのみだ。本当によく頑張ったな。師範として誇らしいよ」
普段過剰に人を褒めることをしない大和の言葉だからこそ、余計に胸に響いた。
大和だけではなく、別の講師からも瑛美の上達ぶりは賞賛された。学院の受付をしている人から、隣で授業をしている人まで、短期間でメキメキと腕を上げる瑛美は学院の中で特異な存在だったようだ。
「生まれて初めて夢中になったことが着付けで、それも大和先生に教わったから、ここまで成長できました。本当にありがとうございました」
子弟として、深く頭を下げる。
「こちらこそありがとう」
大和との上司と部下の関係も終わり、今日で師弟関係は終わる。
この後はただの恋人としての時間だ。
「大和。こないだの返事をする前に、大和に触れたいです」
行き慣れた大和の部屋に着いて早々に、そう切り出した。
もう瑛美のなかで答えは決まっている。あとはそれを伝えるだけ。けれど、その前にどうしても大和のぬくもりを感じたかった。
「うん。おいで」
広げられた腕の中に躊躇なく飛び込んだ。絹の香りと大和の男性らしい匂いが混ざった、特別な香り。一生忘れることのないように胸に刻み込む。
「やまと……っ」
「すごい瑛美。興奮してる?」
「んんっ、そんなこと聞かないで」
互いに一糸纏わぬ姿となり、大和の逞しい体躯の上に乗る。
少し触れ合っただけで蕩けた蜜園を、大和のそそりたつ雄に擦りつけながら腰を揺らす。
角度をずらしたらすぐに入ってしまう。そんな危うい濃密な触れ合いをしながら、唇を合わせて舌を絡め合う。
「瑛美っ、そんな揺らしたら入るから……っ」
「ん。もう、いれてほし……」
「そんな可愛いこと言うな。理性が焼き切れる」
はぁ、と色っぽい息を吐き出し、薄膜をつけた大和は瑛美を仰向けに寝かそうとした。
「私が上じゃ、だめですか……?」
「嬉しいけど、珍しいな。瑛美がそんなこと言うなんて」
「大和を喜ばせたくて……いや?」
「ううん。すごく嬉しい」
仰向けに寝ころんだ大和の上にまたがり、膨れ上がった男根を手に添えて、自らのなかに受け入れていく。
「すごい、はいっていくところ丸見え」
「んん……っ」
大和の興奮した声を聞きながら、顔を真っ赤にしつつもゆっくり腰を下ろしていく。窮屈な蜜壁を拓いていく感覚は、何度経験してもぞくぞくと背筋が震える。
「はぁっ、あつい」
膜越しでもその灼熱の熱さと存在感を強く感じる。接合部が深くなっていくにつれて、瑛美は快楽に顔を歪ませた。
「可愛い、瑛美」
「ん……はい、った」
なんとか自力で奥まで呑み込む。少し腰を揺らしただけで、奥壁が痺れて耐えがたい快感が襲ってくる。
「きもちい?」
「あぁ、すごく、気持ちいいよ」
背を後ろに逸らして、繋がっているところを大和に見せつける。大和の膝に手を突き、腰を上下に動かした。
ぐちゅぐちゅと粘着質な音と、肌がぶつかる乾いた音が寝室に響いて恥ずかしくてたまらない。けれど、その羞恥心よりも、大和をたくさん愛したいという激情が勝る。
(私が大和を愛しているところを見て、覚えていてほしい……っ)
「やらし……っ」
「すきやまと。っ、すき……」
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