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【16】突然の再会(2)
しおりを挟む「おい、メリッサ! フランに当たったらどうするんだよ!」
突然聞こえた掠れた低い声。背中に温かいものが触れて、労わるように優しく添えられている。
「当たってないから良いじゃない。それよりも人型で会うのは久しぶりね」
「あっ……!」
フラミーニアは目を擦り、鮮明になった視界で顔を上げた。
深緑色の髪の毛の合間から光を放つ金色の瞳は、大きく見開かれている。ポカンと開いた口の下には小さなほくろがあった。
「せ、の……?」
初めて出来た友人とそっくりな深い森の色。
懐かしい記憶を思い出して、心の声が溢れていた。
「セノ、なの?」
そう訊ねる声が小さく震える。
セノフォンテと呼ばれた男性は「ゔ……」と視線を彷徨わせたあと、諦めたようにフラミーニアを見つめた。
「うん。そうだよ……フラン」
金色と黒色の光が交わった瞬間、フラミーニアの血が沸騰したかのように燃えた。
――嘘、本当にあのセノなの?
全身が熱い。バクバクと心臓が暴れ出し、フラミーニアから正常な思考を奪っていく。
いろんな感情が一度に湧き上がってぐしゃぐしゃに乱れる。
フラミーニアは訳が分からなくなってしまって、気がついた時にはセノフォンテの手を振り払い、家を飛び出していた。
フラミーニアの孤独を癒してくれた唯一の人。
いつか一人で地に足をつけて生活できるようになったら会いたいと思っていた大切な人。
そして一方的に許可もなくフラミーニアの魔力を押しつけてしまって、ずっとずっと謝りたかった人。
背中から呼び止める声が聞こえたが振り返る余裕がなくて、そのままひた走る。
毎日水を汲みに来る川へ出ると、情けなく座り込んだ。
――会いたかった。謝りたかった。大切なセノ。
セノフォンテに触れられた温もりを思い出してまた体が再燃する。
人間のセノに会うのは二回目で、ましてや一回目は眠っている姿しか見ていない。
フラミーニアよりも背も体幅も大きくて、身に纏う白騎士服が様になっていた。スッキリと切り揃えられた髪は清潔感があって、丸みのある瞳はどこか可愛らしさもあって。口元下にあるほくろが少し色っぽくって。
格好良い姿を思い出して顔が真っ赤になる。
運び屋の鷹はセノだった……。ということはいつも頬擦りしたり、キスをしたり、してた相手はセノだったということで。
今までの鷹との触れ合いを思い出して、再び顔が熱くなる。そろそろ発火してしまいそうだ。
「フラン、こんなところに居た」
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