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それからそれから。
食べられたい 【律】
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人付き合いは苦手だ。
美容院で髪を触られるのも苦手だ。
男性でも女性でも触れ合うのも苦手……だった。
初めて、それこそ人間とするとはものごごろついてから初めてのキス。
あれから何度となく、功刀先輩とする触れ合うキスは苦手じゃない。
功刀先輩が触れてくるのは苦手じゃない。
でも人付き合いは……わからない。
誘われても条件反射で断ってるレベルなのだ。
因みに誘うのは相変わらず向井先輩だけ。
他の人は私が断るのがわかっているため、会社の飲み会など私的なものに誘うことはない。
ただ、最近
「頻度が増えてる気がする」
声にでていたのか、背後から拘束するように抱きしめてける腕に力が入る。
「ナニが」
「向井先輩が誘ってくるのが最近多い気がすします」
強張った声に、体を捩って振り返る。
「律は嫌なの?」
「んー、誘われると、
『ああっ、どうしよう?』
って身構えちゃうんですよねー。
それに、私、小さい頃から友達と遊んだことなくてその場の雰囲気が読めない、っていうか、場を壊さないか心配で……
それなら一人でいいかな、って思って」
ため息が漏れる。
ここまで話すつもりはなかったのに。
「一人のほうが気が楽なんです」
功刀先輩の顔が見れない。
沈黙が重い。
目線を向けると功刀先輩は私を通して遠くを見るような目をしていた。
「あの……」
「俺がいるの、邪魔?」
なんの感情も見えない声音が怖い。
「あ……その……」
「ふーん」
いくら空気の読めない私でも今の功刀先輩の不穏なオーラは流石にわかる。
逃げ腰になるのを、ぎゅっと掴み寄せ、向かい合わせになるように太ももの上へ座らせられる。
顔、近っ!
「嫌なの?」
「うひっ」
耳っ!
耳噛まれたっ!
背筋がぞわっとする。
体が捕まえられてるので、首を竦めてやり過ごそうとするが、背後から圧力かけて抱きつ様に拘束する手から逃れられず、
「なぁ、ダメなのか」
いや、何が?
そもそもどれが?
耳からの声と感触からくる情報量にパンク寸前だ!
両耳を手で握るように隠したが、今度はその手の、指の間に舌を這わせてくる。
ぞわぞわするが、これで手を離せば耳が守られない。
体をよじろうとすると、肘などが功刀先輩の体を打ちそうで、縮こまる他ない。
「…やだぁ…」
どうしょうもない状況に泣き言が出る。
なんなの、この状況!?
無表情で指をはむはむする功刀先輩に、なんだかもう諦めてもいいかなと思う、
ああ。
もう。
このまま食べられたい。
了
美容院で髪を触られるのも苦手だ。
男性でも女性でも触れ合うのも苦手……だった。
初めて、それこそ人間とするとはものごごろついてから初めてのキス。
あれから何度となく、功刀先輩とする触れ合うキスは苦手じゃない。
功刀先輩が触れてくるのは苦手じゃない。
でも人付き合いは……わからない。
誘われても条件反射で断ってるレベルなのだ。
因みに誘うのは相変わらず向井先輩だけ。
他の人は私が断るのがわかっているため、会社の飲み会など私的なものに誘うことはない。
ただ、最近
「頻度が増えてる気がする」
声にでていたのか、背後から拘束するように抱きしめてける腕に力が入る。
「ナニが」
「向井先輩が誘ってくるのが最近多い気がすします」
強張った声に、体を捩って振り返る。
「律は嫌なの?」
「んー、誘われると、
『ああっ、どうしよう?』
って身構えちゃうんですよねー。
それに、私、小さい頃から友達と遊んだことなくてその場の雰囲気が読めない、っていうか、場を壊さないか心配で……
それなら一人でいいかな、って思って」
ため息が漏れる。
ここまで話すつもりはなかったのに。
「一人のほうが気が楽なんです」
功刀先輩の顔が見れない。
沈黙が重い。
目線を向けると功刀先輩は私を通して遠くを見るような目をしていた。
「あの……」
「俺がいるの、邪魔?」
なんの感情も見えない声音が怖い。
「あ……その……」
「ふーん」
いくら空気の読めない私でも今の功刀先輩の不穏なオーラは流石にわかる。
逃げ腰になるのを、ぎゅっと掴み寄せ、向かい合わせになるように太ももの上へ座らせられる。
顔、近っ!
「嫌なの?」
「うひっ」
耳っ!
耳噛まれたっ!
背筋がぞわっとする。
体が捕まえられてるので、首を竦めてやり過ごそうとするが、背後から圧力かけて抱きつ様に拘束する手から逃れられず、
「なぁ、ダメなのか」
いや、何が?
そもそもどれが?
耳からの声と感触からくる情報量にパンク寸前だ!
両耳を手で握るように隠したが、今度はその手の、指の間に舌を這わせてくる。
ぞわぞわするが、これで手を離せば耳が守られない。
体をよじろうとすると、肘などが功刀先輩の体を打ちそうで、縮こまる他ない。
「…やだぁ…」
どうしょうもない状況に泣き言が出る。
なんなの、この状況!?
無表情で指をはむはむする功刀先輩に、なんだかもう諦めてもいいかなと思う、
ああ。
もう。
このまま食べられたい。
了
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