嘘つき山猫は赤面症

nyakachi

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それからそれから。

いや【律】

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「…やだぁ…」
甘えた声がもれた。

動きやすいように、部屋着代わりのタオル素材の長袖ワンピース。
背中の方から手繰られて、両手が背中を直に撫でる。

っ!

やだ!

抱き寄せる手は力強いのを知っている。
が、触れるか触れないのフェザータッチに、ぞわぞわと鳥肌が立つ。

春は過ぎ、初夏というほどでもなく、空調は止めて入るが寒くはない。
だが、功刀先輩が触れたところは功刀先輩の熱が移ったようにじんわりと温かみをもち、他の場所との温度差を感じてしまう。

背中を撫でられてるせいか、胸が反らされて功刀先輩の押し付ける。

空気が淀む。

見たことのない表情で功刀先輩が、指に這わせていた舌を外し、ペロリと私の唇を舐めた。

「なっ」
「既成事実っていいよな」
「えっ?」

功刀先輩の唇が歪む。

ワンピースはそのままに、服の下で直接触れてくる手は執拗に背中をはいまわり、頭が働かない。

ぞわぞわ。

頭のどこかで太いイモムシが過る。

流石に気持ちの悪い想像したせいか、ぶるりと震えてしまう。

「いや」
「そうか」

そうか。
じゃない!

背中の熱が堪えられない。

耳から両手を離し、目の前の加害者に抱きつくしかなく、
「もぅ…やだ…」

「俺のことどう思ってる?
本気で嫌なら考えるよ」
ペロリと唇の端を舐めながら言われても、答えられない。

「んっ」

声を出そうと口を開けば、良くないことがおきそうで。

吐息を漏らすこともできずに、鼻から声が息が抜けていく。

「……っ…」

もぅやだ。

こんな声、私じゃない!

だいぶご無沙汰だった。
まるで処女みたいな反応だ。

いや、それか功刀先輩の前では無垢でありたいとの願望か。

油断してた。

この半年以上、キス以上にならなかったし、艶のある雰囲気にならなかった。
てっきり性欲なし系の草食男子だと思ってた。

久しぶりすぎて、どうしていいかわからない!

30過ぎて今更な気もする!

でも、経験者でも回数が少なければ同じこと?

2と3は違いはおおきくなくても、0か1は大きって知ってる。

知ってるよ、私!

ああ。

もう。

考えるのやめたい。
「好きにして」




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