美少女の顔に触りたい、月曜日

睡眠丸

文字の大きさ
14 / 95
第四章 友人との、取るに足らない会話

次郎丸の話(2)

しおりを挟む
 
 ……いかん。思考が多々良さんと同じ完璧人間のそれになっている。
 
 僕はコンプレックスを理解できる男だったはずなのに。
 なんにせよ、こんな人より頭二つ分とびぬけている三郎を、見過ごすことはないだろう。
 
 恐れ多くも。
 多々良さんのことを、三郎は友達と言っているのだ。
 
 そして多々良さんは友達をわざと無視するような人間ではないはずだ。あ、断定できないぞ。

「それで、オレは多々良が多重人格だという説を押す!」

「ミステリ小説の読みすぎじゃ」

「オレが文庫本を持っただけで寝てしまう人種だという事を忘れたか」

「どうでもいい情報は忘れるようにできてる」

 こんなことを言ったら本当に僕の脳みそがシュークリームで構成されてるように思われてしまう。まぁいいや。

「というより、本人に聞いた方が早いだろ」

「もしわざと無視されてたとしたら立ち直れない」

「それは―――僕も立ち直れない」

 心が粉々に砕けてしまうだろう。

 多々良さんはこの高校における唯一神の様なマドンナである。
 完璧なまでの全てを持つ彼女から見放され、捨てられ、あまつさえ暴言を吐かれるようなことがあれば、男どもは二度と学校に来ることができなくなるほどに病んでしまうはずである。
 
 今時、親衛隊まであるのだ。

「いやお前はいつも暴言吐かれてるだろ」

「あれは、多々良さんの僕に対する通常言動だから問題ないよ。あれ以上のことを言われたら凹んでしまうけど」

「お前の感覚がわかんねえ」

 呆れたように言った次郎丸は、もう一度教室を見渡して、多々良さんがいないことを再度確認して

「もし多重人格だったら面白いよな。隠さなくてもいいのに。」

 彼の中で、どうやら多々良さん多重人格者説は揺るがない事実になりそうな雰囲気である。


「……コンプレックスなんじゃないか? もしお前の話が正しかったらの場合」
「多重人格が、か?」

 一つ頷いた。

 十中八九、三郎の考えは外れていることだろうけど、僕は思うのだ。友達にさえ隠してしまう自分の事柄、というのはコンプレックス以外にほかないのではないか、と。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...