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第六章 多々良さん探し 開始
小菊さんとさきっちょだけ(2)
しおりを挟む「触ればわかるんです、小菊さん」
「嫌だよ!」
「君が女であることの証明を、諦めるわけには行かないんだ!」
「いや、諦めてよっ! 男だから!」
僕は小菊さんが本当に男なのか、確認するために、追い回しているのだ。
確かに、僕の通っている高校の門には、『黒隠男子高校』という字が書いてあったし、よくよく見れば、もさい男しか周りにいないことを認識できた。
僕はどうやら、昨日、あんな大きな決意をする前から、多々良さんしか見えていなかったのだ。ま、それは横に置いといて。
小菊さんが、不思議の国に迷いこんだ女の子だという可能性も否定できないのだ。
「さっきも言ったけど、ボクは男だから! 諦めて!」
「ボクっ子ですね、多々良さん。流行を意識しない、一人称素敵です!」
走りながら喋っているため、自然と語調が強くなる。
歩く一般生徒(男子)を軽々かわしながら、小菊さん。
「なんとなく、キミがまだ、気付いてなさそうなこと、分かって黙ってたこと謝るから。このまま隠してたらどうなるかなーとか、面白がってたのも謝るから、追いかけないでよ!」
「一人称も偽装してたんですかー?」
「そうだよ! っていうか、別にどっちだっていいでしょー!」
「ボクっ子かそうじゃないかって、好きな人には重要なことだと思うのです!」
「キミはどっちが好きなの!」
「僕は多々良さんが好きです!」
「言うと思った!」
どうやらこの勝負、僕の勝ちらしい。小菊さんが今曲がった先は、行き止まりである。
理科室に続く道ではあるが、昼休みの時間のため、鍵はしまっている。つまり、教室の中に逃げ込むことはできない。
人の目がこない、細い路地に、か弱い乙女を追いやったような状況。
乙女なのか、違うのかは、これから確かめる。
「何でそんなに、触ることに執着してるのさ……」
理科室の開かない扉にくっついて、怯える姿はまるでまな板の上の鯛だ。いや、マリちゃんがウサギだから、小菊さんはカモノハシかな。両方の可能性があるってで。両性類。
……あんまりうまい事言えてないな、これ。
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