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ほんの施しですわよ
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「お母様。どうしてミレーナが国外追放なの?」
「そうね。フィエナには難しいけど。自分自身が許せない時が人にはあるのよ。ミレーナには彼女なりの罪があるの。彼女は自分の責任を取りたかったのでしょう」
アストレアという呪縛から放たれた途端、国外追放を選んだって事かしら。せっかく許す気にもなっていたのに勝手ですわね。
今更一人でどこに行こうというの?またメイドでもやるのかしらね。
それにしても、隣でケロッとしてるアズミルは本当に親への興味がないのですわね。
「アズミルは?あなたは何故、母親であるミレーナについて行こうとは思わないの?」
「何で?僕は、ミレーナにはついていかないよ」
「あなた、ミレーナの何がそんなに嫌いなの?」
「分からないよ。でも僕の中の別の誰かがミレーナを嫌がるんだ」
別の誰か?この子にもいるの?
私も子供の頃は自分の中に、それを感じていましたわね。
私は記憶を保ったまま生まれ変わったし。だから、昔と今の記憶が混同してるのかと最初は思いましたわね。
でも、それはメリアンナともフィエナとも違ったのですわ。
「アズミル。あなた、ひょっとして変な夢を見ているのではなくて?」
あらら。その顔。図星のようね。
だとしたら、やはり私の小さい頃と同じなのですわ。私もフィエナとして産まれてから変な夢を見てましたもの。
「アズミル。その夢、どんな内容か教えてくれる?」
「フィエナ、どうして夢を見てるって分かるの? 僕、毎日ミレーナとアストレアの夢を見るんだ。でもその夢の中で誰かが僕に話かけるの。お父さんもお母さんも僕には感心なんてない!って。そして最後は夢の中で僕は殺されちゃうんだ」
やっぱり。アズミルもそうなんだわ。産まれる前の記憶が潜在的に残ってますのね。でも彼の場合は私と少し違って、憎しみの感情があるようですわね。何故かしら……
でも私、彼の言ってる事は分かりますのよ。
かつて私が見ていた夢も彼と同じ。知るはずもないアレクトスとリカーテの生活の様子だったりしたのですもの。
そして、産まれる前の私に対するとても温かくて、優しい感情。
それがあったから私はメリアンナの記憶を残しながらも、アレクトスとリカーテを親として認める事が出来たのですものね。
「その夢はそのうち消えるわアズミル。ただ、それからでも遅くないから考えなさい。ミレーナが本当にあなたへの愛情がなかったのかどうか。夢の中の誰かではなく。あなた自身の答えを考えなさいな」
「フィエナ?あなた、何を言ってるの?」
「何でもないわ、お母様。子供の戯れ言ですのよ」
きっとアズミルは、ミレーナの中に残った魂の声を聞いているのですわね。アズミルが産まれる前に犠牲になった魂がミレーナには確実にあるのですもの。
アズミルの話を聞いて私、分かりましたのよ。
私は強い憎しみをもって死にましたもの。きっと、アレクトスとリカーテの間に出来ていた子供の魂に例外的に乗り移ってしまったのですわ。
だから、元々二人の間に産まれていた小さな魂の記憶も夢で見ていたのだと今になってそう思いますのよ。
一人の命は長い歴史の中でほんの一瞬の儚いものかもしれないけれど。魂はきっと本来は未来永劫、輪廻転生を繰り返し長く受け継がれていくものだと私は考えていますの。
そうね。だから、私が憎しみで侵食してしまった元の魂の分まで、今の人生を幸せなものにしなければなりませんのよ。
ミレーナはアストレアとの間に子供が出来て幸せの反面、罪悪感を感じてしまっていたのかもしれませんわね。
親が子供に罪悪感を感じたら子供は報われませんのよ。ミレーナ。それこそが、あなたが犯した最大の罪だったのではなくて?
「フィエナ。泣いてるの?」
「――――目に虫が入ったのよ!」
「虫じゃなくてゴミでしょ? ところで、これからは僕フィエナと姉弟になるんでしょ?フィエナと結婚出来なくても、ブラントンにはあげないからね」
うるさいマセガキですわね。何も、そんなにむくれた顔して言わなくてもいいじゃないの。
「面倒ね。黙って自分の相手を探しなさい。あなたは将来、パルムドンの王太子になるのよ!あなたは小さい時のブラントンそっくりね。なんで私は、そういう生意気小僧に好かれるのかしらね」
「あはは!フィエナにアズミルの事は言えないよ。フィエナも十分に生意気だったからな。小さい子供の頃から、やたら味にうるさいし。妙に大人っぽい言動したりするし。なぁ、リカーテ」
「そうね。フィエナは本当に不思議な子だったわ。子供らしくないっていうか。生まれながらにしてお嬢様だったわね。フフフ」
えぇ。そりゃそうよ。だって生まれる前からお嬢様ですもの。
この二人に本当の事言ったらビックリするでしょうね。いや、そもそも信じるのかしら?
まぁ本音は、面倒くさくて子供でなんていられなかったのですわ。私が生きてきた年数は既に三十一年。
精神年齢は、もうオバサンですわね。
アストレアとミレーナへの復習から始まった私の新しい人生だったけど結局私はこの十一年で何を得たのかしら?
考えるのも疲れましたのよ。
後はユックリと幸せへの道を進ませて欲しいものですわね。
パルムドンへ帰ると、アストレアの事を含めアレクトスがお祖父様に報告して全ては丸く収まったわ。
あぁ。アストレアの事を『丸く収まった』と言ってしまったのは、もちろん私の真の心の声だわね。もはやどうでも良いわ。
その数年後。クリムゾアや帝国との関係が正式に同盟国となった頃。お祖父様はとうとう病に倒れ亡くなりましたのよ。
そして、アレクトスがパルムドン王国の国王となり。パルムドンは新しい時代を迎えましたの。
そして現在。私はというと……
「フィエナお嬢様。お久しぶりでございます!あぁ、もう今日からは皇太子妃殿下様でしたね」
「やめてくださいなエリナ。でもクリムゾアまでわざわざありがとう。あなたがメイドを辞めて一年ぶりかしら。チャールズ先生は?」
「夫は、パルムドンの方々達と一緒に既に式場にいます。それにしても、とても綺麗ですよ!お嬢様。妖精か女神か。とりあえず人以上の何かが座っているのかと思いましたわ」
相変わらずエリナは過剰な表現をするのですわね。
そんな彼女は、去年チャールズ先生と結婚しましたのよ。あれで意外と内気な彼女だけど私の努力で見事くっつけましたわ。
彼女には幸せになって欲しいのですもの。
「それでは、お嬢様に挨拶も出来た事ですし。後は式場で待ってますね。 あら、噂をすればお嬢様を呼びに来ましたね」
「そうみたいね。エリナ、ちょっと扉を開けてきてもらえるかしら?」
「はい。――――えっ!?み、ミレーナ様!!」
ふふっ。そうなるわよね。
私も今日の朝、ブラントンに紹介されてスゴく驚いたのですもの。
「久しぶりね。エリナさん。もう私に『様』なんていらないのよ。私、クリムゾアではフィエナ様の専属メイドなのだから。……さぁフィエナ様。そろそろ時間でございます。皆様お待ちかねですよ」
「分かったわ。行きますわよミレーナ」
エリナは驚きで開いた口が塞がりませんでしたわ。早く参列者の所に戻りなさいな。
「フィエナ様。十八歳の誕生日と、ご結婚おめでとうございます。この扉の先は幸せの入り口ですよ。これからは私もフィエナ様の幸せを全力でサポートさせてもらいますね」
とても長かったですわね。
三十八年にして漸くロイヤルウエディングを迎えるのだもの。どうでも良いけど、もっと早くアストレアとロイヤルウエディングをしていた可能性は少しくらいあったのかしら?
でもまぁ、本当にそうならなくて良かったわね。
「ミレーナ。あなたには迷惑かけましたわね」
「何を仰います。私は一度だってフィエナ様に迷惑をかけられた事なんてありませんよ」
「そう……。じゃあこれから迷惑かけますわ。ずっと私のメイドとして目一杯使ってあげますわ。あなたは、いつだって私にとって最高のメイドなのですもの」
そうよね。思えばメリアンナの時だってミレーナの事は嫌いだったわ。でも、どんなに苛めても私の側にいてくれたのは彼女だけだったのですもの。
「何を仰るのですか。私はフィエナ様のメイドは初めてなのですよ? 上手くできるかなんて分かりません。明日には捨てられてるかもしれませんね。フフフ」
「大丈夫ですわよ。あなたの事は私が一番知っているのですから。では、行ってきますわね」
「はい。フィエナ様……」
ざまぁ見なさい!っと心で言っておきましょう。
これから先。私はメイドのあなたに一番近くで最高に幸せな人生を見せ付けてあげますわ。
でも、そうね。
少しだけ。そう、ほんの少しだけ、有り余る幸せを分け与えてあげてもよろしくてよ?ミレーナ。
「そうね。フィエナには難しいけど。自分自身が許せない時が人にはあるのよ。ミレーナには彼女なりの罪があるの。彼女は自分の責任を取りたかったのでしょう」
アストレアという呪縛から放たれた途端、国外追放を選んだって事かしら。せっかく許す気にもなっていたのに勝手ですわね。
今更一人でどこに行こうというの?またメイドでもやるのかしらね。
それにしても、隣でケロッとしてるアズミルは本当に親への興味がないのですわね。
「アズミルは?あなたは何故、母親であるミレーナについて行こうとは思わないの?」
「何で?僕は、ミレーナにはついていかないよ」
「あなた、ミレーナの何がそんなに嫌いなの?」
「分からないよ。でも僕の中の別の誰かがミレーナを嫌がるんだ」
別の誰か?この子にもいるの?
私も子供の頃は自分の中に、それを感じていましたわね。
私は記憶を保ったまま生まれ変わったし。だから、昔と今の記憶が混同してるのかと最初は思いましたわね。
でも、それはメリアンナともフィエナとも違ったのですわ。
「アズミル。あなた、ひょっとして変な夢を見ているのではなくて?」
あらら。その顔。図星のようね。
だとしたら、やはり私の小さい頃と同じなのですわ。私もフィエナとして産まれてから変な夢を見てましたもの。
「アズミル。その夢、どんな内容か教えてくれる?」
「フィエナ、どうして夢を見てるって分かるの? 僕、毎日ミレーナとアストレアの夢を見るんだ。でもその夢の中で誰かが僕に話かけるの。お父さんもお母さんも僕には感心なんてない!って。そして最後は夢の中で僕は殺されちゃうんだ」
やっぱり。アズミルもそうなんだわ。産まれる前の記憶が潜在的に残ってますのね。でも彼の場合は私と少し違って、憎しみの感情があるようですわね。何故かしら……
でも私、彼の言ってる事は分かりますのよ。
かつて私が見ていた夢も彼と同じ。知るはずもないアレクトスとリカーテの生活の様子だったりしたのですもの。
そして、産まれる前の私に対するとても温かくて、優しい感情。
それがあったから私はメリアンナの記憶を残しながらも、アレクトスとリカーテを親として認める事が出来たのですものね。
「その夢はそのうち消えるわアズミル。ただ、それからでも遅くないから考えなさい。ミレーナが本当にあなたへの愛情がなかったのかどうか。夢の中の誰かではなく。あなた自身の答えを考えなさいな」
「フィエナ?あなた、何を言ってるの?」
「何でもないわ、お母様。子供の戯れ言ですのよ」
きっとアズミルは、ミレーナの中に残った魂の声を聞いているのですわね。アズミルが産まれる前に犠牲になった魂がミレーナには確実にあるのですもの。
アズミルの話を聞いて私、分かりましたのよ。
私は強い憎しみをもって死にましたもの。きっと、アレクトスとリカーテの間に出来ていた子供の魂に例外的に乗り移ってしまったのですわ。
だから、元々二人の間に産まれていた小さな魂の記憶も夢で見ていたのだと今になってそう思いますのよ。
一人の命は長い歴史の中でほんの一瞬の儚いものかもしれないけれど。魂はきっと本来は未来永劫、輪廻転生を繰り返し長く受け継がれていくものだと私は考えていますの。
そうね。だから、私が憎しみで侵食してしまった元の魂の分まで、今の人生を幸せなものにしなければなりませんのよ。
ミレーナはアストレアとの間に子供が出来て幸せの反面、罪悪感を感じてしまっていたのかもしれませんわね。
親が子供に罪悪感を感じたら子供は報われませんのよ。ミレーナ。それこそが、あなたが犯した最大の罪だったのではなくて?
「フィエナ。泣いてるの?」
「――――目に虫が入ったのよ!」
「虫じゃなくてゴミでしょ? ところで、これからは僕フィエナと姉弟になるんでしょ?フィエナと結婚出来なくても、ブラントンにはあげないからね」
うるさいマセガキですわね。何も、そんなにむくれた顔して言わなくてもいいじゃないの。
「面倒ね。黙って自分の相手を探しなさい。あなたは将来、パルムドンの王太子になるのよ!あなたは小さい時のブラントンそっくりね。なんで私は、そういう生意気小僧に好かれるのかしらね」
「あはは!フィエナにアズミルの事は言えないよ。フィエナも十分に生意気だったからな。小さい子供の頃から、やたら味にうるさいし。妙に大人っぽい言動したりするし。なぁ、リカーテ」
「そうね。フィエナは本当に不思議な子だったわ。子供らしくないっていうか。生まれながらにしてお嬢様だったわね。フフフ」
えぇ。そりゃそうよ。だって生まれる前からお嬢様ですもの。
この二人に本当の事言ったらビックリするでしょうね。いや、そもそも信じるのかしら?
まぁ本音は、面倒くさくて子供でなんていられなかったのですわ。私が生きてきた年数は既に三十一年。
精神年齢は、もうオバサンですわね。
アストレアとミレーナへの復習から始まった私の新しい人生だったけど結局私はこの十一年で何を得たのかしら?
考えるのも疲れましたのよ。
後はユックリと幸せへの道を進ませて欲しいものですわね。
パルムドンへ帰ると、アストレアの事を含めアレクトスがお祖父様に報告して全ては丸く収まったわ。
あぁ。アストレアの事を『丸く収まった』と言ってしまったのは、もちろん私の真の心の声だわね。もはやどうでも良いわ。
その数年後。クリムゾアや帝国との関係が正式に同盟国となった頃。お祖父様はとうとう病に倒れ亡くなりましたのよ。
そして、アレクトスがパルムドン王国の国王となり。パルムドンは新しい時代を迎えましたの。
そして現在。私はというと……
「フィエナお嬢様。お久しぶりでございます!あぁ、もう今日からは皇太子妃殿下様でしたね」
「やめてくださいなエリナ。でもクリムゾアまでわざわざありがとう。あなたがメイドを辞めて一年ぶりかしら。チャールズ先生は?」
「夫は、パルムドンの方々達と一緒に既に式場にいます。それにしても、とても綺麗ですよ!お嬢様。妖精か女神か。とりあえず人以上の何かが座っているのかと思いましたわ」
相変わらずエリナは過剰な表現をするのですわね。
そんな彼女は、去年チャールズ先生と結婚しましたのよ。あれで意外と内気な彼女だけど私の努力で見事くっつけましたわ。
彼女には幸せになって欲しいのですもの。
「それでは、お嬢様に挨拶も出来た事ですし。後は式場で待ってますね。 あら、噂をすればお嬢様を呼びに来ましたね」
「そうみたいね。エリナ、ちょっと扉を開けてきてもらえるかしら?」
「はい。――――えっ!?み、ミレーナ様!!」
ふふっ。そうなるわよね。
私も今日の朝、ブラントンに紹介されてスゴく驚いたのですもの。
「久しぶりね。エリナさん。もう私に『様』なんていらないのよ。私、クリムゾアではフィエナ様の専属メイドなのだから。……さぁフィエナ様。そろそろ時間でございます。皆様お待ちかねですよ」
「分かったわ。行きますわよミレーナ」
エリナは驚きで開いた口が塞がりませんでしたわ。早く参列者の所に戻りなさいな。
「フィエナ様。十八歳の誕生日と、ご結婚おめでとうございます。この扉の先は幸せの入り口ですよ。これからは私もフィエナ様の幸せを全力でサポートさせてもらいますね」
とても長かったですわね。
三十八年にして漸くロイヤルウエディングを迎えるのだもの。どうでも良いけど、もっと早くアストレアとロイヤルウエディングをしていた可能性は少しくらいあったのかしら?
でもまぁ、本当にそうならなくて良かったわね。
「ミレーナ。あなたには迷惑かけましたわね」
「何を仰います。私は一度だってフィエナ様に迷惑をかけられた事なんてありませんよ」
「そう……。じゃあこれから迷惑かけますわ。ずっと私のメイドとして目一杯使ってあげますわ。あなたは、いつだって私にとって最高のメイドなのですもの」
そうよね。思えばメリアンナの時だってミレーナの事は嫌いだったわ。でも、どんなに苛めても私の側にいてくれたのは彼女だけだったのですもの。
「何を仰るのですか。私はフィエナ様のメイドは初めてなのですよ? 上手くできるかなんて分かりません。明日には捨てられてるかもしれませんね。フフフ」
「大丈夫ですわよ。あなたの事は私が一番知っているのですから。では、行ってきますわね」
「はい。フィエナ様……」
ざまぁ見なさい!っと心で言っておきましょう。
これから先。私はメイドのあなたに一番近くで最高に幸せな人生を見せ付けてあげますわ。
でも、そうね。
少しだけ。そう、ほんの少しだけ、有り余る幸せを分け与えてあげてもよろしくてよ?ミレーナ。
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