17 / 19
17
しおりを挟む凄いっ……!
本当にこんな事が出来る方がいるなんて。話を聞いてる限りには半信半疑だったものは実体験を得て、確信に変わり、私はとてつもない高揚感に浮き足たつ思いだった。
「ベアトリス様!」
「エクラ!? 今の見た……? 彼はどうやら神子というそうよ。私と同じ。星の名と同じ意味」
珍しく驚いて駆け寄るエクラを見て、更に愉快そうに楽しげに笑う私も恐らく大概なのかもしれない。安否確認をするエクラは無事である事を確認すると大きく息を着いた。一方、その一瞬の素敵な時を見せてくれたフェラン皇子は、唸りながら何かを考えあぐねている。
「そう言えば、終わったの? ヴァルル王子の謝罪会見」
「会見とは違いますが……収束しました。フィーリア令嬢も満足だと思いますよ」
「そう」
まあ、念押し程度にはヴァルル王子には色々伝えていたし、後は彼がどう行動するか今後次第だろう。他国の事なので、聞かれれば助言はすれど、それまでだ。ふふんっと上機嫌に戻ってくるとフィーリア令嬢も目をぱちくりと瞬かせている。私も吃驚したけど、楽しさの方が圧倒的だった。
「おかえりなさい、ベアトリス様。随分、楽しそうですね……?」
「ただいま、フィーリア。そうね、少し素敵な事がありましたの。後程、ゆっくりお話させて」
にこにこと笑みを浮かべながらそういうと人の気も知らないでと思うような曖昧に苦笑するフィーリア令嬢だったけど、一先ずは後でも話してくださるならと納得したように頷いた。私は王国の専属侍従にご馳走様とお伝えするよう言うと笑顔で丁寧な会釈を返してくれた。
「ちょっと待ってよ、カエルム!! 婚約者が居るなんて聞いてないんだけど!!」
「……聞かれてないからね」
そこに私が室内に戻って行くのにハッとしたのか、バルコニーから戻ってきたフェラン皇子は勢い任せに文句をぶつける。その相手であるカエルム王太子は紅茶をカップから飲み干すと静かにカップを置き、素知らぬ顔で答えた。
当然、納得いかないフェラン皇子は頬を膨らました。わりと可愛らしい顔立ちなので、凄く愛らしく見えるのは、先程の告白の相乗効果かも知れない。くすくすとますます楽しくなってしまって笑わずにはいられなかった。
「もう! ベアトリス皇女まで笑って酷くない? 台無しだからね本当」
「いえ、申し訳ないですわ。でも、私はその告白に現状答えることは出来かねますが、お友達にはなれますのよ」
「えっ……本当?」
流石に他国の王太子の胸倉を掴みかかりそうな勢いは有るフェラン皇子を止めた方が良いかと思ってしまった。しかし、少しこのカエルム王太子の尻拭いをした気がして癪に触る。フェラン皇子は目を輝かせ、もう既にカエルム王太子は眼中にすら入れてない。私はスっと片手を差し出した。
「ええ、私もぜひ大国パレメールとは親交を深めたいですし、勿論フェラン皇子とも仲良くしたいと思っておりますわ」
「……流石、抜かりない姫君だ。やっぱり益々惜しいな! でも、一先ずは友達として宜しくね」
そういうや否や差し出した手を握り返してくれた。しかも両手で包み込むように、見た目以上に強く握り返されるかと思ったけど、至って柔らかく繊細に扱ってくれたようで、温かみさえ感じる。この程度で諦めるくらいだったら私も素手で触らせる行為をさせたりはしない。
エクラが若干鋭い目付きで睨んでいるのだけど、外交に向けての為であるからそんな目で見てはいけないわ。一応、彼は他国の代表ですわ。
「さあて、お話も目処が立ったようですので、そろそろお暇致しますわ。ああ、言い忘れてましたけど、私は色恋沙汰には手を貸しませんので悪しからず、だって貸してしまったら…ねえ?」
「……僕の最大の敵はやはり貴方ですね」
「あらあら何の事でしょう?」
はぁと溜め息を漏らすカエルム王太子にくすくすと笑った。別に止めても無いのだから求婚でも何でもしたら良いのに、とは思うが推し進める必要性も無い。そもそも、彼が行なった貸しに対してパレメールと王国の先の繋がりを勧め、王太子としての功を奏した動きを影で支援したのは、他でもない私だった。借りはそれなりに大きく返したので、それ以上は自力で何とかするべきである。
軽く淑女の礼を行ない、お見送りはお断りする。いくつかの書類を持つとフィーリアも礼をし、私達は応接室を後にした。
1
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました
丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、
隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。
だが私は知っている。
原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、
私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。
優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。
私は転生者としての知識を武器に、
聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、
王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。
「婚約は……こちらから願い下げです」
土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。
私は新しい未来を選ぶ。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
婚約破棄されたから、とりあえず逃げた!
志位斗 茂家波
恋愛
「マテラ・ディア公爵令嬢!!この第1王子ヒース・カックの名において婚約破棄をここに宣言する!!」
私、マテラ・ディアはどうやら婚約破棄を言い渡されたようです。
見れば、王子の隣にいる方にいじめたとかで、冤罪なのに捕まえる気のようですが‥‥‥よし、とりあえず逃げますか。私、転生者でもありますのでこの際この知識も活かしますかね。
マイペースなマテラは国を見捨てて逃げた!!
思い付きであり、1日にまとめて5話だして終了です。テンプレのざまぁのような気もしますが、あっさりとした気持ちでどうぞ読んでみてください。
ちょっと書いてみたくなった婚約破棄物語である。
内容を進めることを重視。誤字指摘があれば報告してくださり次第修正いたします。どうぞ温かい目で見てください。(テンプレもあるけど、斜め上の事も入れてみたい)
不器量で可愛げが無くて僻みっぽくて小賢しい私の話
あんど もあ
ファンタジー
王太子が真実の愛とか言って婚約破棄を宣言。廃太子と決まりました。おかげで妹の私に王太子になれと言われたのですが、不器量で可愛げが無くて僻みっぽくて小賢しくて政略結婚の役にも立たないと言われていた私がですか?
「お前の代わりはいくらでもいる」と笑った婚約者が、翌日から報告書一枚書けなくなった件
歩人
ファンタジー
子爵令嬢リーゼロッテの取り柄は、文章を書くことだけ。
華やかさのかけらもない彼女は、婚約者アルベルトの政務報告、外交書簡、
演説原稿——その全てを代筆していた。
「お前の代わりはいくらでもいる」
社交界の花形令嬢に乗り換えたアルベルトは、笑ってそう言った。
翌日から、彼の机の上には白紙の報告書だけが積み上がっていく。
——代わりは、いなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる