余命数日の公爵令嬢の影に転生した俺、毒を喰らって最強の影の大精霊になる 〜お嬢を蝕む毒はすべて、俺のレベルアップの糧でした〜

もふもふ隊

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ご機嫌よう、クソ……失礼。お清らかな学院の生徒諸君

小ネタ:天命鑑定(恋愛編)と、過保護な影の絶叫

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第一王子の鼻血が乾ききらないうちに、ジークは新たな「毒」への対策――すなわち第二王子の接近を警戒していた。

「セレナ様。第二王子は兄とは違い、誠実で清廉、かつ女性を蕩(とろ)かすような微笑みを持つと評判です。……これは第一王子以上の猛毒ですな」

ジークが深刻な顔でモノクルを磨く。

「そこで、私の『天命鑑定』の新たな真骨頂。【宿命の恋占い(デスティニー・ダイス)】を使い、殿下とお嬢様の相性を占っておきましょう。もし『6』が出れば、それは運命の赤い糸。私が全力で外堀を埋めましょう」

「あはは」

(ちょっと待て、このクソ眼鏡! 恋愛にまでその呪いのサイコロを持ち込むんじゃねぇ!!お嬢も笑ってないで止めろよ)

カゲレナが影の中でジークの影を説得させる、おっさんはどこ吹く風でダイスを召喚する。

『無理よ、マスター見目を裏切って人の恋路が大好きだもん』

(馬に蹴られてしまえ)

「さあ、カゲレナ。お前も協力しろ。お嬢様の幸せのためだ……」

(幸せじゃねーよ! もしうっかり俺の指が滑って『6』なんて出してみろ。あのキラキラ王子がお嬢の隣に居座るんだぞ? 俺の、俺たちの『聖域』に、ドブならぬ『美形』が混ざるんだぞ!?)

「では……振りますぞ」

カラカラカラ……ッ!!

モノクルの奥で、ダイスが残酷なまでに滑らかに回転を始める。 カゲレナは血相を変え(影だけど)、触手を総動員してダイスに飛びついた。

(出すな……絶対に『6』は出すな……!! でも『1』を出してジークが『運命が死んでいる!』とか言って変な呪いアイテムを買いに行っても困る! なんだ!? 何を出せば波風が立たねぇんだ!?)

カゲレナの思考は光速を超えた。

鑑定成功率= 
王子の顔面偏差値
出目×同調率

 
(計算が合わねぇ! クソッ、こうなったら……中間の『3』だ! 『3』を出して、『可もなく不可もなし、今のままが一番』という超無難な結論に導いてやる!)

カゲレナの影の触手が、空中のダイスを「ペシッ」と叩く。 止まった数字は……『3』

「……む。3ですか」 ジークが眉をひそめる。

「『友達以上、恋人未満……だが、周囲の影(邪魔者)が多すぎて進展なし』。……ふむ。なるほど、カゲレナ。お前が邪魔だということか」

(お前だよ!! お前とお前のダイスが一番の邪魔なんだよ!!)

お嬢様は、二人の(主にカゲレナの)死闘など露知らず、ぬいぐるみを抱きしめて「あらら」と無邪気に首を傾げていた。


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