6 / 15
2-3
しおりを挟む
「あああイライラするー!」
父さんがトイレに立った隙を見て、怒りを発散する。母さんはやっぱり笑いながら、さらーっと呟いた。
「まぁまぁ、今はなんでもイライラしちゃう年頃なのかもね」
「ずっとですけど!?」
母さんのスルースキルは天下一品だと思う。懐、深すぎるんだよ、母さん。
頬一杯に美味しい料理を詰め、高速で咀嚼する。母さんが徐にスープを指した。
「ほら、これ。この白菜ね近所の人に貰ったやつなんだよ」
「え、うん」
「お父さんが畑仕事手伝ってたみたいで。感謝してたなー」
脳内に、土汚れと共に帰宅した父さんが浮かぶ。なぜか月に何日か、汚れて帰ってくるから不思議だった。いや、よく水溜まりで滑ってたりはするけど。
「へー……」
「お父さん不器用だけど一生懸命頑張ってるんだよー」
納得できない評価の直後、父さんが戻ってくる。地獄耳を備えているのか、遠慮の欠片なく割り込んできた。
「何の話してたの?」
「お父さんの話よ」
「言うの!?」
「え! 聞きたい!」
「お父さんも一生懸命なんだよって言ってたの。そうでしょ?」
「もちろん! 正人もお母さんも大好きだからね! 父さんはいつも一生懸命だよ!」
「嘘つけ! て言うかやめろやい!」
背中から抱き締められて、思いっきり突き放す。二人の大笑いが響いたが、僕はマジで笑えなかった。父さんが今の父さんでいる内は、ずっとイライラしてしまう気がする。
だって、どうしても嫌なところしか見えないし! むしろ、ここまで駄目な人間って本当にいるんだな!?
父さんがトイレに立った隙を見て、怒りを発散する。母さんはやっぱり笑いながら、さらーっと呟いた。
「まぁまぁ、今はなんでもイライラしちゃう年頃なのかもね」
「ずっとですけど!?」
母さんのスルースキルは天下一品だと思う。懐、深すぎるんだよ、母さん。
頬一杯に美味しい料理を詰め、高速で咀嚼する。母さんが徐にスープを指した。
「ほら、これ。この白菜ね近所の人に貰ったやつなんだよ」
「え、うん」
「お父さんが畑仕事手伝ってたみたいで。感謝してたなー」
脳内に、土汚れと共に帰宅した父さんが浮かぶ。なぜか月に何日か、汚れて帰ってくるから不思議だった。いや、よく水溜まりで滑ってたりはするけど。
「へー……」
「お父さん不器用だけど一生懸命頑張ってるんだよー」
納得できない評価の直後、父さんが戻ってくる。地獄耳を備えているのか、遠慮の欠片なく割り込んできた。
「何の話してたの?」
「お父さんの話よ」
「言うの!?」
「え! 聞きたい!」
「お父さんも一生懸命なんだよって言ってたの。そうでしょ?」
「もちろん! 正人もお母さんも大好きだからね! 父さんはいつも一生懸命だよ!」
「嘘つけ! て言うかやめろやい!」
背中から抱き締められて、思いっきり突き放す。二人の大笑いが響いたが、僕はマジで笑えなかった。父さんが今の父さんでいる内は、ずっとイライラしてしまう気がする。
だって、どうしても嫌なところしか見えないし! むしろ、ここまで駄目な人間って本当にいるんだな!?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる