この世界はLOVEで溢れてる

有箱

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前編

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 この世は好きで溢れている。ちなみに私が言っているのは、LIKEではなくLOVEの方の好きだ。
 流行りの歌やドラマ、イベントなんかに必ずしもといっていいほどそれは登場する。
 ただ、人類が愛するその"LOVE"が私には分からなかった。
 
「A太とC子別れたらしいよー」「そうなると思ってた。似合ってなかったもん」
「E美、B男にフラれて泣いたらしい」「やば、あれ本気だったの?」
「D也とF花この間キスしてたって」「H助他校の女子とーー」「G先生とI先生って――」

 特に若者のLOVEについては、大人のものと比べて理解しがたい部分が多い。
 ――なんてことは言っているが、私自身も高校生であり、若者の部類に属する人間だ。とは言え恋に興味もない人間からすれば、学校と言う場所は恋愛に狂っていると思う。中学生の時も、恋バナの嵐への対処にかなり力を使ったものだ。

 ポンと生まれては、あっさり消えるLOVE。浮かれたり泣いたり面倒くさそうなLOVE。適当に付き合って別れて、次の相手を見つけては繰り返して。まるで、遊びの一環のような軽いLOVE。
 それはいかがなものだろうか、と噂を耳にするたび疑問が浮かんだ。そんな恋愛ばかりなら経験する価値もない――なんてことも連動して思った。
 
***
 
「でも、サヤカとヒロは結構ガチめに愛しあってるよね。二人はいつか結婚するの?」
 昼休み中、目の前で堂々とキスを披露したのは友人であるサヤカとヒロだ。かれこれ二年くらいは、こうして熱々な恋情を見せつけてくれている。天真爛漫なサヤカとクールなヒロが、こんなに真剣に愛し合うなんて正直思っていなかった。
「そうだね、いつかできたら良いよね、ヒロ!」
「だな」
 互いの愛を確認したかと思いきや、二人は再び熱烈なキスを始める。見慣れた光景を目にしながら、一体どんな感情がそこにはあるのだろう、と純粋に気になった。
「ふふ、幸せそうでなによりだ」
「うん! 幸せだよ―!」
 九割型、恋愛イコール面倒と認識する私ではあるが、この二人を見ていると一度経験してみたいとも思う。まぁ、そんな日がやってくることはきっとないけれど。
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