造花の開く頃に

有箱

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9月27日

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[9月27日、火曜日]
 次の日も、譲葉は起床時刻に合わせて、リビングに顔を出してくれた。
 折角だからと共に食事し、互いに無言でありながらも短い時間を共に過ごす。
 まだまだ気は張るが、少し進展を見せた日々に、月裏はそれなりに満足もしていた。

 この先もっと良い関係になれるんじゃないか、なんて思い描いては現実感を引き寄せ、無理かもしれないと否定する。
 いつもながら、答えは出なかった。
 結論を導くには、朝の時間では短すぎる。もっと相当な時間をかけて、吟味する必要があるだろう。

「行ってらっしゃい」
「行って来ます」

 現在地は、リビングだ。
 昨日、玄関まで来てくれようとした彼をリビングで止めた結果、今日は何も言わずともリビングから見送ってくれた。本当に良く出来た少年だと、感心する。
 月裏は、これから始まる長い時間に恐怖しながらも、笑顔の裏に隠して扉を潜った。

 今日も10時30分を過ぎたが、譲葉は昨日同様大きな寝巻きに身を包み、ベッドに腰掛け待っていてくれた。

「お疲れ様」

 その手には、画面の暗くなった携帯が握られている。また、家族の写真でも見ていたのだろうか。

「…今日も、ありがとう」

 謝罪に対しては何一つ言わず、背を向ける形で静かに横になると、ぽつりと挨拶が聞こえて来た。

「……おやすみ」
「おやすみ」

 月裏も眠気に襲われていたため、さっさと着替えを済ませ、眠れない覚悟で布団に潜った。
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