フレンドテロリスト

有箱

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 秘密の事件があって三日経過したが、白都はあまり眠れていなかった。視線を感じてしまい、家の中で壁に守られていても落ち着けなかったのだ。

 いつあの不審者が侵入してきて、あの日の様に脅されるか分からない。あの日以降まだ何もないが、どう考えても終わったとは考えにくい。
 次はいつ、何があるのか――。

「白都くん、戻ってきて早々悪いけどこれ良い?」

 レジ打ちを終えバックヤードに戻ってきた白都は、和月の声に我に返った。目の前を見ていなかった訳では無いが、つい上の空になってしまっていた。

 和月が使用するカット場の横――空きスペースには、美しく盛り付けられた肉がある。加えて、彼は現在も作業中だ。
 そこから思考を読み取り、次なる動作を把握する。

「あっ、行ってきます。二番ですね」

 オーダーがどのテーブルか確認し、白都は忙しく席へとメニューを運んだ。

 二時間の勤務を終え、白都は活気ある挨拶を残し店を出た。
 焼肉屋の煌びやかな灯りが遠くなるにつれ、道は暗くなり、無意識の内に不安を煽る。
 人は居るが、中にあの人物が紛れている可能性を思うと気が気でない。

「白都くん」

 呼ばれて振り向くと、制服を纏った和月が大きなゴミ袋を持って裏口から出てきていた。どうやら、廃棄物をゴミ庫に捨てに来たようだ。

「相澤さん、お先です」
「お疲れ様。白都くん今日疲れてない?」

 はっきりと違和感を口に出され、白都は焦る。傍ら、演技を強めた。
 自分では普段通りに振舞っているつもりだが、繕いきれていないのかもしれない。

「大丈夫ですよ、ちょっとレポートに詰まってるだけです。先輩は大丈夫ですか」
「俺は大丈夫、両立慣れてるし」
「そうですか。さすがですね、本当尊敬します」
「いやいや、別にそんな」

 和月は自分より長い時間バイトをしている。しかも、勤続年数も長いそうだ。
 白都は和月に、純粋な尊敬を抱いていた。
 そんな彼は聡く優しいので、演技を見破られる可能性が高い。一番危ういのは穂積だろうけど。

 何が起こるか分からない今、気を抜かないよう気をつけなければ。
 白都は強く、自分に言い聞かせた。
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