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去り際、残された言葉が耳から離れない。
御面は『明日こそは実行しろ』と、単調な口調で、放心する白都の元に声を落としていった。
自宅にて鏡を確認したところ、幸い目立つ箇所の傷はなかった。唯一、手の平に擦り傷を作ったくらいだろうか。
白都は押入れから長めの上着を探し出し、椅子の背凭れに掛けた。
白都は未だに虚脱状態にあった。
事件があって数時間は経過しただろう。しかし、まだ脳内が真っ白になったまま戻らない。
ただ一つ心に浮かぶのは、“命令に背けば次こそ殺される”との恐怖だけだった。深層意識にまで浸透し、ぼんやりとしていても強く感じさせる。
幸い明日、アルバイトは公休だ。授業も本日よりは少なく、時間は多くある。
微動だにせず座り込んでいると、携帯の着信メロディが鳴った。本能的に肩を竦め、ベッドに放った鞄に視線を向かわせる。
また、御面からのメールだろうか。
一気に舞い込んだ恐怖により、放心状態はあっさりと解けた。今日学習したばかりの教訓が、確認を急かす。
直ぐに内容を把握しなければ、また手遅れになるかもしれない。
白都は鞄をひっくり返し、すぐさま携帯を手に取ると、真っ先に相手先の確認を行った。相手は御面ではなく、ただの迷惑メールだった。
しかし、その一つ前、見知った名前が表示されている。帝だ。
¨今日行っても良いか?実家から届いた野菜を持って行きたいんだが¨
他愛の無い文章に、思わず硬直してしまった。数瞬して、ゆっくりと安心感が降りてくる。
落ち着きを取り戻した所で受信時間を確認すると、今から約三時間前となっていた。バイトの終了時刻に合わせているのがよく分かる。どうやら、着信に気付かなかったらしい。
携帯上部に表示された時刻を目に、悩んだ末、一応連絡だけ入れておくことにした。
¨ごめん今気付いた。もう寝てるかもしれないから連絡だけ入れといた。持ってきてもらうの悪いから近い内に行くね。行く時は連絡します¨
送信完了を見送ると、白都は力なく携帯を充電器に差し、机上に置く。それから、シーツの上に散らかした物を、整頓しつつ鞄に戻した。それから、やっと疲れきった体をベッドに放った。
たった、それだけの行動が重労働に感じた。
帝に話してしまいたい。いや、誰かに打ち明けたい。これ以上物事が発展する前に、酷くなる前に、解決策を導き出したい。
誰かに頼って、一緒に見つけて欲しい。
縋りたい気持ちが膨れ上がると共に、否定感情も共に大きくなる。
巻き込んで、それこそ命まで危険に晒してしまったら元も子もないのだ。かと言って、やっぱり死にたくはない。
ナイフの感触や暴行の痛みが記憶内で誇張され、悪戯だと割り切ることが既に不可能になっている。
このままエスカレートしたら、いつか――。
白都は慄然し、シーツに包まりながら暗鬱な未来を想像した。
御面は『明日こそは実行しろ』と、単調な口調で、放心する白都の元に声を落としていった。
自宅にて鏡を確認したところ、幸い目立つ箇所の傷はなかった。唯一、手の平に擦り傷を作ったくらいだろうか。
白都は押入れから長めの上着を探し出し、椅子の背凭れに掛けた。
白都は未だに虚脱状態にあった。
事件があって数時間は経過しただろう。しかし、まだ脳内が真っ白になったまま戻らない。
ただ一つ心に浮かぶのは、“命令に背けば次こそ殺される”との恐怖だけだった。深層意識にまで浸透し、ぼんやりとしていても強く感じさせる。
幸い明日、アルバイトは公休だ。授業も本日よりは少なく、時間は多くある。
微動だにせず座り込んでいると、携帯の着信メロディが鳴った。本能的に肩を竦め、ベッドに放った鞄に視線を向かわせる。
また、御面からのメールだろうか。
一気に舞い込んだ恐怖により、放心状態はあっさりと解けた。今日学習したばかりの教訓が、確認を急かす。
直ぐに内容を把握しなければ、また手遅れになるかもしれない。
白都は鞄をひっくり返し、すぐさま携帯を手に取ると、真っ先に相手先の確認を行った。相手は御面ではなく、ただの迷惑メールだった。
しかし、その一つ前、見知った名前が表示されている。帝だ。
¨今日行っても良いか?実家から届いた野菜を持って行きたいんだが¨
他愛の無い文章に、思わず硬直してしまった。数瞬して、ゆっくりと安心感が降りてくる。
落ち着きを取り戻した所で受信時間を確認すると、今から約三時間前となっていた。バイトの終了時刻に合わせているのがよく分かる。どうやら、着信に気付かなかったらしい。
携帯上部に表示された時刻を目に、悩んだ末、一応連絡だけ入れておくことにした。
¨ごめん今気付いた。もう寝てるかもしれないから連絡だけ入れといた。持ってきてもらうの悪いから近い内に行くね。行く時は連絡します¨
送信完了を見送ると、白都は力なく携帯を充電器に差し、机上に置く。それから、シーツの上に散らかした物を、整頓しつつ鞄に戻した。それから、やっと疲れきった体をベッドに放った。
たった、それだけの行動が重労働に感じた。
帝に話してしまいたい。いや、誰かに打ち明けたい。これ以上物事が発展する前に、酷くなる前に、解決策を導き出したい。
誰かに頼って、一緒に見つけて欲しい。
縋りたい気持ちが膨れ上がると共に、否定感情も共に大きくなる。
巻き込んで、それこそ命まで危険に晒してしまったら元も子もないのだ。かと言って、やっぱり死にたくはない。
ナイフの感触や暴行の痛みが記憶内で誇張され、悪戯だと割り切ることが既に不可能になっている。
このままエスカレートしたら、いつか――。
白都は慄然し、シーツに包まりながら暗鬱な未来を想像した。
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