フレンドテロリスト

有箱

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 あれから八日、噂はまだ続いている。しかし、当日に比べて随分と静かにはなった。
 理由としては、以前から度々あった悪戯も、不審者の目撃情報も無く、平穏な日々が続いているからだ。

 そう、白都はここ八日の間、一つの命令も受けていなかった。ルールや付け足しなどの補足も無く、“御面”の文字を全く目にしていない。
 校内で騒がれ気が済んだのだろうか、と楽観的な考えまで出てきた。何はともあれ何も無いに越したことは無い。

 完全に拭いきれない部分はあったが、バイトの疲れに加え、気を緩めていた白都は、屋上に出来た暖かな日向部分で眠っていた。

***

「……白都さん随分お疲れみたいですね、俺たち来たことにも気付かないなんて。大丈夫ですかね……」
「最近寝不足だったみたいだからな。でも、大丈夫だろう。寧ろ、こうやって見ると安心するよ」

 耳に、聞き慣れた二人組みの声が聞こえてくる。帝と侑也だ。多分昼食にやってきたのだろう。

「……起こさないようにしないとですね……」

 小声になった侑也の気遣いに起き辛くなった白都は、目を瞑ったまま二人の会話に耳を傾けることにした。

「最近校内もバタバタしてましたしね。不審者不審者うるさかったし……。帝さんは窓の件どう思います?」

 侑也は深く疑問に思っているらしい。知らない場所でもこうして語られているかもしれないと思うと、仕方が無いことだとは言え気分が悪くなった。

「……窓か……誰だろうな……?」

 帝は若干の間を入れつつ、静か過ぎる声で落とす。だが、侑也と対照的にあまり関心は無いようだ。

「あっ、そうだ帝さん。この間のなんですけど……」

 切り出した話題を遮るかの如く、扉の音が聞こえた。続いて、和やかな穂積の声が届く。

「おつかれさまー……ってあれ? 白くん寝てる……」

 目の前に穂積の気配を感じる。屈みこみ覗き込まれる姿がイメージできた。そろそろ目覚めたいが、一度熟睡を決め込んでしまっては、中々タイミングが見出せない。

「最近バイト余分に入ってもらってたからね。無理させちゃったかな」

 どうやら和月も共に来ていたらしい。気配が無く分からなかった。

「……そっか、バイトね……。良かった。悩んでる訳じゃなかったんだ。疲れてるなら起こさない方がいいかなぁ?」
「でも食事し損ねたらそれこそ午後が辛いよ?」
「それもそうだねぇ」

 穂積の手の平が肩に触れ、白都はやっと目を覚ます演技を披露できた。
 四人の自然な笑顔が白都を見詰める。何の気もない挨拶が心を震わす。

 白都は、久々に落ち着いた気持ちで眺められた、何気ない日常に大きな幸福を覚えた。
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