フレンドテロリスト

有箱

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 翌日、白都はベッドの上で受信メールを眺めていた。昨日来た三通のメールを順番に見返す。

 まず、昼頃来た二通のメールは、それぞれ帝と和月からだった。帝は体調を案じるメールで、和月はシフトの件だ。
 白都は、体調不良だと見透かされていること実が怖くて、いまだ返信できずにいた。

 因みに、本日は大学自体が休校日だ。夜、バイトが入っており、和月とだけしか会う必要がない。
 返信する気力が生まれなかった為、シフトの件はその時、直接話そうと決めた。

 残る一通――夜に来たメールは御面からだった。内容は命令だ。いつもの文面が書き換えられただけの簡単な文章である。

“今回の命令は、物を盗むこと、です。よく使用するコンビニで良いでしょう。
3通路目の酒コーナーは監視の目が行き辛いでしょう。
期限は明後日の夜9時まで、です。”

 行動するのに最適な時刻は何時頃だろうか。そう、白都は自然と策を謀っていた。
 盗みなら、見つからなければ大事にならない。それに、物理的に誰かを傷付けることも、自分が傷つくことも無いからまだマシだ――とさえ考えている自分もいる。

 そう、今回の命令は失敗さえなければ問題の無い命令なのだ。
 白都は、成功へ辿り着く為の方途を、懸命に見出していった。

***

 その頃侑也は、帝の家に来ていた。
 予め連絡を寄越していた為、玄関の鍵は空いている。それを知っていた侑也は、声を掛けながら入室した。

「早いな」

 出迎えのため、リビングから出てきた帝に、持参した菓子入りの袋を手渡す。

「そうっすか? でもいつも遅帰りになっちゃいますからね」
「どうしても長くなるからな。飲み物だけ用意してくる」
「あ、じゃあ先行ってていいっすか?」
「あぁ、行っていてくれ」

 侑也が廊下奥へと進んで行く姿を見送りもせず、帝は袋の中を覗きながらキッチンに向かった。

***

 実行時間を考察した結果、バイトが終了してからコンビニへ赴くことに決めた。
 人が全く居ない時間は、逆に従業員の目が光りかねない。かと言って客が多くてもいけないと、敢えて時間を定めた。
 必然的に、白都は胸に一物持った状態でアルバイトに挑むこととなった。

「白都くんお疲れさま」

 ロッカーで物憂げに着替えていると、扉のノックと共に和月が入ってきた。

「あっ相澤さん……そう言えばメールすいません、返信できなくて」
「良いよ良いよ。それでどう? この間シフト多く入れすぎたから今度は少し休み多くしようかなって思ってるんだけど」

 メールの用件をそのまま復唱した和月は、軽く壁に凭れ微笑している。

「うーん、有り難いですが大丈夫ですよ。金欠ですし……」

 白都は自宅に引きこもりたい気持ちを押し殺し、必要を第一に優先した。次いつ金を要求されてもいいように、だ。

「そう。ならいつも通り組んじゃうよ?」
「はい、それでお願いします」
「本当に良いんだね?」
「……え? はい」

 背を向けようとした和月の目が、何だか冷ややかに映り、白都は一瞬眉を顰めた。
 見えないはずの感情が、垣間見えたように錯覚してしまい、急な哀感に襲われる。

 友人の中に犯人がいると示すメールが届いてから、急に見方が変化してしまった気がする。それが自分自身気持ち悪く不気味で、落胆せずにはいられなかった。

***

 バイトの帰り、白都は予定通りコンビニに入り盗みを行った。逡巡しつつも最後には遣り遂げて、達成感と罪悪感に挟まれながら帰宅した。
 自分の手が罪を重ねる度、後ろめたさも積もった。
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