フレンドテロリスト

有箱

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 白都は、心身共々傷を抱えながら学校に来ていた。昨夜の悲惨な事件の所為で、周囲の視線が異常に気になってしまう。
 それでも白都は目を光らせ、怪しい人物が見ていないか注意を払った。

「あっ、白都さん」

 横を擦れ違おうとしたらしき侑也が、目を丸くして白都を見た。
 期限が過ぎた今、侑也がこうして生きている事に感激してしまう。
 口をついて、安堵がほろりと零れだした。

「……良かった……」
「…え? 何が? どうかしたんすか?」

 侑也は目を見開いている。安心される理由が分からないのだろう。

「……あ、いや、何でもないんだ……」

 冗談っぽく控え目に笑うと、侑也は目線を斜め下に落とした。ぎゅっと瞳を瞑り、口を小さく開く。醸し出す空気が、唯事では無いと悟らせた。

「…………あの、俺……実は白都さんがコンビ……」
「待って!!」

 白都は勢いで発言を止めていた。侑也は、焦る白都を前に口を噤む。

「ごめん、今はちょっと……ごめん……!」

 人混みの中で暴露され、誰かの耳に止まったら大変だ。
 そう反射的に拒否し、白都は校舎に走り去った。

 侑也の告白内容が手に取るように分かる。コンビニで仕出かした悪事は、今まで一つしかない。
 そう、多分侑也は万引きを見ていたのだ。
 どこまで確信しているかは分からない。だが、恐らく脅迫が関与しているとは予想していないだろう。
 白都は必死に言い訳を考えた。

***

 だが、本日授業は昼前に終わり、侑也に伝える機会は得られなかった。
 他者に打ち明けていないことだけを願い、白都は歩きながら携帯を手に取る。
 そうして、口伝てしたか否か確認する為の文を、悩みながら制作した。

 バイトまでの時間を、図書館で過ごす。
 広げた本の横に携帯を置き、返信を待ったが、侑也からの返事はなかった。

 体の痛みを隠しバイトに勤しんだが、誰も気付いた気配は無かった。唯一人、和月を除いては。
 その和月が何か言いたげにしていたが、繁忙を極め、且つ同じ場所に居合わせなかった為、言葉一つ交わさなかった。

 帰宅時、裏道に差し掛かった時、白都は湧き上がる寒気を感じた。冷や汗が溢れ、傷が痛み出す。自然と息があがり、足が動かなくなった。
 昨日、鮮烈に刻まれた一分一秒が蘇る――。

 白都は引き返し、表通りへと向かっていた。
 どうしても一歩先へ進めない。景色を見るだけで血の気が引いてしまう。
 トラウマになってしまっているのだと、直ぐに分かった。

 新たな問題に焦燥しながら、白都は自宅に向け全力で走った。
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