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翌朝、白都は携帯を見詰めていた。帝から電話が入っていたのだ。それも何通もだ。時間は昨夜八時頃になっている。
白都は、昨日の八時頃を回想した。
確か昨夜は、帰宅して早々ベッドに飛び込み眠ってしまった。随分疲れが溜まっていたらしく、久々に熟睡していた。
普段なら目覚めていたのに、昨日に限って爆睡してしまうとは。なんてタイミングの悪さだろう。
繰り返し連絡を寄越す行動が、緊急性を知らせてくる。
白都は胸をざわつかせながら、帝に掛け直した。
それほどコールせず電話は繋がり、いつもの低く静かな声が耳に入る。
「……もしもし電話ごめん……。なんだった?」
向こう側はとても静かで、すっと帝が浅く息を吸い込む音が聞こえた。
≪…………昨日、侑也くんが怪我をした≫
「えっ?」
白都は報告に対し、即座に御面の存在を疑う。思い返してみれば、毎度あるはずの催促が今回は無かった。
御面自ら動き、侑也を殺害しようとしたのでは――との想像が膨らみ悪寒が走る。
≪と言っても原因は分からない。階段から落ちたんだそうだ。理由も、本人は踏み外しただけだと言っている≫
補足が、思考を読み取られた上でのものだと直ぐに分かった。帝も御面を疑っているのだ。
「……それで侑也は?」
≪今は病院にいる。命に別状は無いそうだ≫
「……そっか……」
≪偶然ってこともあるんだ、考えすぎないようにな≫
「……うん、教えてくれてありがとう……」
繰り返される冷静な対応のお陰か、白都の焦る心は次第に落ち着きを取り戻していった。
***
昼食の時間、食堂にやってきたが、侑也は居なかった。合同授業にも参加していなかった為、登校自体していないのだと分かる。
疑いはしていなかったが、いざ姿が見えないと急に実感が湧いてきた。
「白くん聞いた? 侑くんの話」
五人で囲む机に、穂積の声が降った。
「……えっ、はい」
驚いて若干声が裏返ってしまう。
穂積、日向、和月は事故だと思い込んでいるのだろう、平然とした顔付きで会話を聞いている。
「びっくりしましたよ、階段から落ちたなんて……」
急いでたんですかね?と、白都は不審視されないよう反応に適当な理由をつけた。
「どうだろう? 誰も見てないらしいからねぇ……」
穂積が和月に淡く視線を送り、和月が流しつつ目を背ける。軽い溜め息が零れ、薄く口が開いた。
「……俺なんだよね、見つけたの……。偶然音が聞こえて見に行ったんだけどさ……」
和月は、何だか腑に落ちないといった表情だ。疑義を浮かべ見詰めていると、不安げな顔で証言が続けられた。
「……足音、聞こえた気がしたんだよね……。まぁびっくりして逃げちゃっただけかもしれないけど」
白都の中で、御面の存在が確信に変わった。やはり侑也は殺害目的で突き落とされたのだ。
早めに対処を講じなければ、また命が狙われてしまうかもしれない。
白都は激しい焦りを渦巻かせた。
「それでさ、皆で侑くんのお見舞い行かない? 今日って用事ある?」
穂積の提案に白都は拒否感を覚えた。
「俺は無いよ」
「……すみませんが私は少し」
だが、和月や、自然体で答えた帝に従い、白都も至って自然な対応を心がける。
「白くんどう?」
「あー、空いてます」
事実、バイトも休みで用事もこれといってない。いわゆる、断る為の口実が無いのだ。
いや、嘘をつけば良いのだが出来なかった。
「そっか! じゃあ行こうよ。良い?」
和月の相槌を見て、白都も首肯した。穂積は承諾を得られて嬉しそうに笑っている。
昼食時間の終わり、目覚めた日向に用事を確認した所、空いていないとの解答が返ってきた。
その為、見舞いには、白都、和月、穂積の三人で行くことになった。
白都は、昨日の八時頃を回想した。
確か昨夜は、帰宅して早々ベッドに飛び込み眠ってしまった。随分疲れが溜まっていたらしく、久々に熟睡していた。
普段なら目覚めていたのに、昨日に限って爆睡してしまうとは。なんてタイミングの悪さだろう。
繰り返し連絡を寄越す行動が、緊急性を知らせてくる。
白都は胸をざわつかせながら、帝に掛け直した。
それほどコールせず電話は繋がり、いつもの低く静かな声が耳に入る。
「……もしもし電話ごめん……。なんだった?」
向こう側はとても静かで、すっと帝が浅く息を吸い込む音が聞こえた。
≪…………昨日、侑也くんが怪我をした≫
「えっ?」
白都は報告に対し、即座に御面の存在を疑う。思い返してみれば、毎度あるはずの催促が今回は無かった。
御面自ら動き、侑也を殺害しようとしたのでは――との想像が膨らみ悪寒が走る。
≪と言っても原因は分からない。階段から落ちたんだそうだ。理由も、本人は踏み外しただけだと言っている≫
補足が、思考を読み取られた上でのものだと直ぐに分かった。帝も御面を疑っているのだ。
「……それで侑也は?」
≪今は病院にいる。命に別状は無いそうだ≫
「……そっか……」
≪偶然ってこともあるんだ、考えすぎないようにな≫
「……うん、教えてくれてありがとう……」
繰り返される冷静な対応のお陰か、白都の焦る心は次第に落ち着きを取り戻していった。
***
昼食の時間、食堂にやってきたが、侑也は居なかった。合同授業にも参加していなかった為、登校自体していないのだと分かる。
疑いはしていなかったが、いざ姿が見えないと急に実感が湧いてきた。
「白くん聞いた? 侑くんの話」
五人で囲む机に、穂積の声が降った。
「……えっ、はい」
驚いて若干声が裏返ってしまう。
穂積、日向、和月は事故だと思い込んでいるのだろう、平然とした顔付きで会話を聞いている。
「びっくりしましたよ、階段から落ちたなんて……」
急いでたんですかね?と、白都は不審視されないよう反応に適当な理由をつけた。
「どうだろう? 誰も見てないらしいからねぇ……」
穂積が和月に淡く視線を送り、和月が流しつつ目を背ける。軽い溜め息が零れ、薄く口が開いた。
「……俺なんだよね、見つけたの……。偶然音が聞こえて見に行ったんだけどさ……」
和月は、何だか腑に落ちないといった表情だ。疑義を浮かべ見詰めていると、不安げな顔で証言が続けられた。
「……足音、聞こえた気がしたんだよね……。まぁびっくりして逃げちゃっただけかもしれないけど」
白都の中で、御面の存在が確信に変わった。やはり侑也は殺害目的で突き落とされたのだ。
早めに対処を講じなければ、また命が狙われてしまうかもしれない。
白都は激しい焦りを渦巻かせた。
「それでさ、皆で侑くんのお見舞い行かない? 今日って用事ある?」
穂積の提案に白都は拒否感を覚えた。
「俺は無いよ」
「……すみませんが私は少し」
だが、和月や、自然体で答えた帝に従い、白都も至って自然な対応を心がける。
「白くんどう?」
「あー、空いてます」
事実、バイトも休みで用事もこれといってない。いわゆる、断る為の口実が無いのだ。
いや、嘘をつけば良いのだが出来なかった。
「そっか! じゃあ行こうよ。良い?」
和月の相槌を見て、白都も首肯した。穂積は承諾を得られて嬉しそうに笑っている。
昼食時間の終わり、目覚めた日向に用事を確認した所、空いていないとの解答が返ってきた。
その為、見舞いには、白都、和月、穂積の三人で行くことになった。
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