フレンドテロリスト

有箱

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 だが、致死量ではなかったのか、数時間もすると激しかった不調が和らぎ始めた。
 それでも、体に残ったダメージが、まだ苦痛を味わわせてくる。指先は震え、脈は速く、未だに意識が朦朧としている。

 だが、完遂したのだ。これで悲劇は一つ回避できた。仮に、かもれないが先延ばしに出来たのだ。こうして繋げていけば、きっと彼らを守ることが出来るだろう。

 白都はぼんやりしながらも、動画を保存し、メールに貼り付けて御面へと送り返す。
 そしてから、重い体で吐瀉物を片付け、もう一度ベッドへ落ちるように倒れた。
 
 疲弊していた体は、ずっと休養を求めていたのか、白都は際限なく眠り続けた。
 いやにリアルな悪夢に苛まれながら、途中で何度も目覚めながらだったが。
 風邪を引き熱に侵された日のように、目覚めも眠りも分からなくなる錯覚に襲われながら、時間を見送った。

***

 白都が命令を実行した翌日、穂積は駅で白都のことを考えていた。アナウンスが耳を通り抜ける。
 曖昧な返事をし、実際に欠席した白都の気持ちを想像していると、久しく見る背中が目に留まった。
 それは侑也だった。黄色線の内側で、俯きながら立っている。

「あっ、侑くー……」

 電車の鳴らす轟音に、声がかき消された。直後、背中が消えるのを穂積は見ていた。

***

 やっと現実を自覚した時、二日が経過していた。時刻が分からず、数秒茫然とする。
 ふと、枕元に放り出したままの携帯が目に付いた。
 音だけは気付いていたが、確認できなかった連絡に目を通す。

 御面だったらとの不安が過ぎったが、入っていたのは穂積と和月からの電話だった。
 それぞれ一通ずつ、昨日の昼頃に和月から、一昨日の夜に穂積から入っている。
 和月の方には留守電が残されていて、再生ボタンをタップすると直ぐに音声が開始された。

≪………………白――ん、落ち――い――聞――……≫

 録音機能は悪くないはずだ。なのに、音が小さく耳を済ませなければ聞こえない。
 白都は息を殺し、一心に耳を傾けた。

≪…………設楽君が、自殺した……≫

 携帯が手の平を擦り抜け、床に叩きつけられる。だが、携帯へと注意は向かず、白都はただ放心していた。

「…………侑也が……自殺……した……?」

 言葉を復唱し、内容を改めて確認した瞬間、急に重く圧し掛かった重篤感が身体のバランスを崩させる。
 白都は眩暈を覚え、またベッドに身体を預けていた。うつ伏せに転がって、枕に顔を埋める。
 相次ぐ友人の死に、号泣が押さえ切れなかった。
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