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侑也を追い込んだものは何か、それは自分だ。いや、元を辿れば御面なのだが、上手く実行しなかった自分の所為でもある。
もう何が何だか分からず、白都は思い詰めることしか出来なかった。授業の予定を放棄し、バイト先にも欠勤を知らせた。
外出する気力も、食事する気力も無く、毛布に身体を預けたままひたすら考え続ける。
そんな状態が続き、何日か経った時、久しぶりにメールが入った。
実はここ数日、誰からの連絡も無かった。穂積からも和月からも、日向からも御面からもだ。
恐らく、和月と穂積は同じように精神を病んでいるか、配慮してかのどちらかだろう。
日向は現在、大学に復帰しているのか、事情聴取を受けたのかさえ分からず、何とも言えない。
白都は御面からの連絡を恐れながらも、脅迫観念に駆られて直ぐ携帯を確認した。
命令ならば実行しなければ――と文面を見てもいないのに既に考えている。
残念なことに、宛先は御面だった。短く淡々とした、普段とは違う文章が並んでいる。
“学校に来い。家に引き篭もるな。これからもだ。”
真っ黒で顔文字も補足も無い命令は、重々しい怒りを彷彿させた。同時に、自宅に引き篭っていることを見抜かれているとの事実恐ろしくなった。
推測で言っているだけかもしれない。だが、もし監視されていたら怖い。
今までも全てを見ていて、だからこそ帝が殺されてしまったとしたら。
白都は追い立てられる気分になり、急いで大学へ行く準備を始めた。
***
バイトの方に欠勤を入れている所為で、和月に会い辛い。いや、精神を病んでいる今、可笑しくない選択ではあるが。
「あ、白都くんだ」
はっと顔を上げると、少し距離のある所に和月がいた。
「……相澤さん」
「来られたんだね。……大丈夫?」
顔色でも窺ったのか、和月は眉を八の字に曲げている。思考停止に近くなっていた白都は、無意識の内に返事していた。
「何で謝るの」
「あっ、えっと……」
口をついた言葉は“御免なさい”で、改めて気づいた時、自分がなぜ謝罪を口にしたのか白都自身も分からなかった。罪を感じる理由は数多く存在するが。
「……バイトの事なら気にしなくて良いよ。大学来れただけで良いじゃんね」
和月の慰めが染みる。
やっと思考が働き出した白都は、その後の状況を知るべく一つの問いかけを零した。
「……あの、穂積さんと日向くんは……?」
和月は少し驚いた顔をしてから、仄かに微笑んで斜め上を見上げる。
「穂積はちょうど今探してたところ。……で、日向はあれから見てないんだ……。連絡も取れてないし、家に行っても出てくれない……」
改善していなかった状況を聞き、白都の中で確信が固まった。もしかすると、和月や穂積の中でも既にあるかもしれない。
「……そうですか」
和月は周囲を軽く見回し、徐に携帯を確認した。
「あっ、そろそろ移動しないと遅れるから行くね! また昼に!」
どうやら時刻を確認したらしい。
軽く手を掲げ挨拶を残すと、和月は駆け足を始めた。
***
白都は、ゆっくりと歩きながら、廊下から消えゆく学生達の背中を見ていた。
今日は、授業予定に関係なく、勢いで登校していたため参加授業が無い。
ゆえに、足が向かうまま屋上へと上った。
まるで、懐かしく愛しい日々を手繰り寄せるように。もう戻らない日常を追い求めるように――。
鉛のように重くなった足を一歩ずつ踏み出し、やっとのこと屋上前に辿り着いた。
音も立てず、そっと扉を開くと、和月の探していた人物の背中が見えた。
もう何が何だか分からず、白都は思い詰めることしか出来なかった。授業の予定を放棄し、バイト先にも欠勤を知らせた。
外出する気力も、食事する気力も無く、毛布に身体を預けたままひたすら考え続ける。
そんな状態が続き、何日か経った時、久しぶりにメールが入った。
実はここ数日、誰からの連絡も無かった。穂積からも和月からも、日向からも御面からもだ。
恐らく、和月と穂積は同じように精神を病んでいるか、配慮してかのどちらかだろう。
日向は現在、大学に復帰しているのか、事情聴取を受けたのかさえ分からず、何とも言えない。
白都は御面からの連絡を恐れながらも、脅迫観念に駆られて直ぐ携帯を確認した。
命令ならば実行しなければ――と文面を見てもいないのに既に考えている。
残念なことに、宛先は御面だった。短く淡々とした、普段とは違う文章が並んでいる。
“学校に来い。家に引き篭もるな。これからもだ。”
真っ黒で顔文字も補足も無い命令は、重々しい怒りを彷彿させた。同時に、自宅に引き篭っていることを見抜かれているとの事実恐ろしくなった。
推測で言っているだけかもしれない。だが、もし監視されていたら怖い。
今までも全てを見ていて、だからこそ帝が殺されてしまったとしたら。
白都は追い立てられる気分になり、急いで大学へ行く準備を始めた。
***
バイトの方に欠勤を入れている所為で、和月に会い辛い。いや、精神を病んでいる今、可笑しくない選択ではあるが。
「あ、白都くんだ」
はっと顔を上げると、少し距離のある所に和月がいた。
「……相澤さん」
「来られたんだね。……大丈夫?」
顔色でも窺ったのか、和月は眉を八の字に曲げている。思考停止に近くなっていた白都は、無意識の内に返事していた。
「何で謝るの」
「あっ、えっと……」
口をついた言葉は“御免なさい”で、改めて気づいた時、自分がなぜ謝罪を口にしたのか白都自身も分からなかった。罪を感じる理由は数多く存在するが。
「……バイトの事なら気にしなくて良いよ。大学来れただけで良いじゃんね」
和月の慰めが染みる。
やっと思考が働き出した白都は、その後の状況を知るべく一つの問いかけを零した。
「……あの、穂積さんと日向くんは……?」
和月は少し驚いた顔をしてから、仄かに微笑んで斜め上を見上げる。
「穂積はちょうど今探してたところ。……で、日向はあれから見てないんだ……。連絡も取れてないし、家に行っても出てくれない……」
改善していなかった状況を聞き、白都の中で確信が固まった。もしかすると、和月や穂積の中でも既にあるかもしれない。
「……そうですか」
和月は周囲を軽く見回し、徐に携帯を確認した。
「あっ、そろそろ移動しないと遅れるから行くね! また昼に!」
どうやら時刻を確認したらしい。
軽く手を掲げ挨拶を残すと、和月は駆け足を始めた。
***
白都は、ゆっくりと歩きながら、廊下から消えゆく学生達の背中を見ていた。
今日は、授業予定に関係なく、勢いで登校していたため参加授業が無い。
ゆえに、足が向かうまま屋上へと上った。
まるで、懐かしく愛しい日々を手繰り寄せるように。もう戻らない日常を追い求めるように――。
鉛のように重くなった足を一歩ずつ踏み出し、やっとのこと屋上前に辿り着いた。
音も立てず、そっと扉を開くと、和月の探していた人物の背中が見えた。
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